2008年06月26日
Day 3: サフィン旋風
ウィンブルドン天気予報
26日木曜日は曇りときどき晴れ 金曜は雨
会場総立ち、サフィンのストレートセット勝利
Safin def. Djokovic: 6-4, 7-6(3), 6-2
ジョコヴィッチがダブルフォルトをしました。
「Advantage Safin!」
チェアアンパイアの声が会場に響きわたります。マッチポイントです!誰がこの瞬間を信じたでしょう! ジョコヴィッチは表情を固くしながら、サーヴィスポジションにうつりました。
「Fault!」1stサーヴはサイドラインから大きく離れて右にきれていきました。
ジョコヴィッチはもう一度大きく深呼吸をしました。何度もボールをついて、トスを上げました。会場はシーンと静まり返ってジョコヴィッチの2ndサーヴの行方を見守ります。
「Fault!」
会場は総立ちです!拍手の嵐が止みません!解説者もきっと椅子から飛び上がったはずです。誰もが予想もしなかったこのサフィンの勝利を、どう表現してよいのかわからず声がうわずっています。
世界3位のジョコヴィチを75位のサフィンが破ったのです。サフィンは別にガッツポーズをする訳でもなく、淡々とした面持ちでネットに近づきました。ジョコヴィッチも淡々としています。そして二人は軽く肩を抱き合って、言葉を交わせて去っていきました。
ストレートセットで、サフィンに敗れたジョコヴィッチは、インタービューで負けた原因をこのように述べています。
「僕は決して肉体的には疲れてはいなかった。今日はやろうとしたことがすべてうまくいかなかったんだ。」
「マラットはすごく良いプレーをした。彼はいつもは、調子がよかったり悪かったり、安定感のないテニスをやるのに、今日はミスもすくなく、ダウンをすることがなかった。ダウンする時を待っていた自分が悪かったのが。」
「マラットは僕の小さいころのアイドル選手だったんだ。彼に何度もプレーをしてもらったことがあり、僕は尊敬しているんだ。この尊敬が邪魔をしたのかもしれない。」
遠慮の気持ちがあったことは確か。敵意をむき出しにして戦っていくジョコヴィッチの姿はありませんでした。あの有名なお父さん(応援がうるさいので有名。一度はフェデラーまでもが、「黙れ!」とコートから怒鳴ったくらい)までもが、ジョコヴィッチの負け試合に耐えられず、途中で席を立ってしまいました。
サフィンは試合後の感想をこのように述べています。
「今日の試合は誰も僕が勝つと思ってないから、プレッシャーが無かった。でもノヴァックはナンバーワンの地位を狙っているし、決勝までいくことを皆が期待しているからね。プレッシャーが大きかったと思う。」
「今日はよく集中できよいプレーができた。長い間勝ったことがなかったから、とても気持ちがいいね。エッ?これからの対策って?正直いって、ノヴァックに勝てると思っていなかったので、次がだれかも知らないんだ。これから調べてみるよ。」
正直で微笑ましいですね。確かにジョコヴィッチの調子も悪かったのですが、彼に立ち上がるチャンスを与えなかったサフィンはさすが元チャンピオンです。やっとあの私たちのサフィンが戻ってきました!(涙)
(サフィンの勝因)
1. サーヴがvery good
2. リターンがvery very good
3. ジョコヴィッチの2ndサーヴをアタックしてポイントに
4. 終始オフェンスのテニスを展開
5. 失敗しても冷静さを失わず感情をコントロール
(ジョコヴィッチの敗因)
1. サーヴが入らない
2. 風が強く、得意のラインぎりぎりを狙えない
3. サフィンのサーヴが読めない
4. サフィンのストロークがベースライン近くに落ちるので攻撃できない
5. サフィンを尊敬していて、敵愾心をむき出しにして攻撃しづらい心理が作用。
6. プレッシャーに負ける
サフィン vs ジョコヴィッチ