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Tennisnakama in New York 世界にテニスの輪を広げたいと願っています。元レポーターのTennisnakamaが、ホットな情報やめずらしい話を、ニューヨークからどんどんお届けします。自由にリンクしてください。(記事はすべて〓tennisnakama.comとなっておりますので、無断掲載はご遠慮ください)

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マレーのちょっといい話

この一週間は、フェデラーナダル、ジョコヴィッチについて近況を報告してきましたので、今日は3位のアンディ・マレーのちょっとしたいい話です。一週間前の話になりますが、草トーの親玉のようなイギリスの全国地区大会に突然出現して、世間をあっと驚かしたエピソードをご紹介したいと思います。

現在はアンディ・マレーはイギリスを離れ、マイアミでトレーニングを開始しています。彼は家をマイアミに買っていますので、自宅から通えるマイアミ大学の施設を使ってトレーニングをしているのですが、US Openシリーズに向けての特訓です。マイアミは毎日30度を超す猛暑。本当にご苦労さまです。(私などマイアミと聞いただけで頭がクラクラしてきます。)

さて話を一週間前のイギリスにもどしましょう。

LTA(Lawn Tennis Association)ローンテニス協会はイギリスの日本テニス協会に似た全国組織で、テニスの興隆をはかって毎年いろんなトーナメントを企画しています。その一つにエーゴン・サマーカップというトーナメントがあります。これはイギリスの44地区の代表チームが競う大会で、めずらしいことにシングルスのないダブルス大会です。

7月20日から24日までの5日間、44のチームを7つのグループにわけ、ラウンドロビンで試合が行われました。アンディが現れたのは、グループ1に属する北スコットランドチームです。開催地はエセックスのイーストボーン。ロンドンから車で約2時間もかかるイギリスの南端の海岸都市です。

初日の20日に北スコットランド・チームはランカシャー・チームに0-9で大敗。このベーグルの惨敗にチームはショックから立ち上がれず、翌日もワーウィックシャイアーに3-6で敗退。最悪の事態を招いてしまいました。「あかん!もうこうなったらマレーしかおれへん!」と関西弁で言ったかどうか知りませんが、チームは駄目もとでマレー兄弟にSOSを発信。やっと兄のジェレミーに連絡がとれ、来てくれるかもしれないという答えが返ってきました。しかしチームは半信半疑。トーナメント第3日目を迎えます。

22日の朝11時。小さな車がデヴォンシャイアー公園に到着しました。窮屈な車の中からでてきたのは、ジェイミー、母のジュディー、そして何とアンディだったのです!まさか? 誰もアンディが出場してくれるなんて思いません。アンディは運転免許をとったばかりで、運転練習のために立ち寄ったにちがいない・・・でも本気で出る様子です。ウッソー! 

もう会場は大変な騒ぎです。

さっそくアンディとジェイミーはチームのユニフォームを借りてウォームアップを始めました。マレー兄弟の突然の出現に、ど肝を抜かれた対戦チームのハードフォードシャイアーは「そんなアホな!ルール違反やでェ!」と慌てて抗議。しかしルールブックには、その地区の出身であれば誰がでてもよいというかなりいい加減なルールで違反はみつかりません。(右端がアンディ)

murraysummercup



考えてもみてください。錦織選手がある日突然予告なしで、全国地区大会で島根代表で出場したとしたら? それはビックリ仰天で大変な騒ぎになりますね。でも実際に起こればステキなことですね。

マレー兄弟の母親は元テニス選手で、この北スコットランドチームで昔何度か戦ったことがあります。母親思いの兄弟は、故郷と母のために人肌を脱いだのです。なかなかいい話ですね。この気軽さが実にすばらしい。

アンディとジェイミーは、ペアを組むのはもったいないので、兄弟は別々のペアで出場。しかし兄弟の勝利にもかかわらず、北スコットランドはその日は4-5で負けてしまいました。結局北スコットランド・チームは19勝26敗と成績はふるいませんでしたが、このマレー兄弟の参加は、スコットランドだけでなく、イギリスのテニス界の賞賛を浴びたことは言うまでもありません。最近は自分の利益のためだけしか行動しないアスリートが多いなかで、このようなコミュニティーに貢献するマレー兄弟の行為は、とても新鮮で嬉しく思いました。

現在日本でリハビリ中の錦織選手ですが、今は日本にいて比較的時間に余裕があるようですので、ふだんは試合でいそがしくてできないようなことを気軽にやってくれれば最高です。例えばふらっとジュニアの試合に足を運ぶとか。彼にしては些細な行為でも、テニスを目指す子供たちに、計り知れない刺激と影響を与えることっていろいろあると思います。彼をアイドルとして敬愛している子供たちとの接触は、彼にとっても気分転換になるでしょうし、モチヴェーションにもなって一挙両得だと思うのですが。いかがでしょう。圭くん? 美容院でのイメチェンついでに行動の幅を一歩広げてみませんか?
投稿者 Tennisnakama  06:00 | コメント(39)| トラックバック(0)

ナダル衝撃インターヴュー

足を捻挫してから一週間、夫もモンブランの登頂に出かけてしまいましたので、家で休養しながら、200のスペインのコメントを読破したり、ジョコヴィッチのシリーズを完結したりで、相当がんばってきましたが、夫も帰ってきたことだし、このへんで少し休憩を・・・と思った矢先、ナダルの膝に対するショッキングな発言!

毎日10時間以上コンピューターでリサーチしてましたので目が痛い。でもナダルファンにとってはきがきでない内容だけに、またグーグルに頑張ってもらって、彼のインターヴューの一部が掲載されている記事を翻訳してご紹介したいと思います。
http://bit.ly/1a7Qg2


今日28日にスペインTV局、TVEがナダルの独占インターヴューを、Porto Cristoにあるナダルの別荘で行いました。



私のスペイン語は赤ちゃんレベルですので、ビデオで何を言っているのかわかりませんが、要約した記事を読んでみるとだいたい以下の内容であったように思います。スペイン語のグーグルの翻訳は、ときどき訳のわからない文章が出てくることがあり、ニュアンスやら、解釈に多少のズレがあるかもしれませんがご了解ください。後日、ナダルのHPにて正式に英語版が出るまでのつなぎの情報です。これはインターヴューの一部でしかも要約されたものです。

『僕の膝は深刻な問題』"Mi problema real son las rodillas"

僕の調子はよいと思う。でもまだトレーニングし始めてから1週間とちょっとだから、これからどれくらい回復していくのか待たなければまだわからない。最初は希望に燃えているけれど、でも本当のテストはプッシュしてみたときにはじめて分かると思う。

僕の両親のことで、僕の調子が悪くなったんじゃないかという噂が流れているようだけれど、僕のテニスと家族のことは全く関係ないのです。僕だって人間だから、消化していくのはむずかしいけれど、僕が今心配しているのは自分の膝の問題なんです。

膝が痛み出したのは、インディアンウェルズ、バルセロナ、そしてローマのときでした。

マイアミから戻ってきたときに右膝がすごく痛みだしたんです。これは今までとは違った痛みでした。僕が膝テープをとったときは、皆が完全に治ったと思っていたようですが、本当は膝下は痛くはなかったんですよ。痛みは膝の上だったんです。

それ以来すべてが悪い方向に進んでしまいました。痛み止めのパッチも貼りましたが、僕はもうその痛みに我慢ができなくなってしまったんです。しばらくテニスをやめて回復を待とうと決心しました。自分への自信がなければ同じレベルでは戦えないということが分かっていましたから。

僕とテニスとの関係は、長い間の痛みとの付き合いでした。毎日痛み止めの薬を飲んでテニスをやってきました。 僕は苦痛とともに暮らしてきたんです。あんまり痛いときは、あれも経験の一つだと思うようにしました。苦痛が僕にいろんな価値を教えてくれたと思います。毎日、痛みがひどく悪化していくのを感じながらも、僕はいつ止めたらよいのか分からなかったのです。

テニスを止めたこの2ヶ月間はむずかしかった。あまり回復に期待がもてなかったし、きちんとやるべきことをやらなかった(健康管理)ことに対する悔いもありました。

マドリッドは僕のミステークだった。僕の問題はいつ止めるべきかをきちんと判断できなかったことです。でも僕はマドリッドでプレーをしたかった。でもそれは大きな間違いだったのです。

でもこの2ヶ月の間はずいぶんゆっくりとくつろいだ時間がもてましたよ。ソファにすわる時間は、過去4年間よりももっと長かったように思います。

正直いってモントリオールに出れるかどうかまだ分かりません。トーナメントを控えて、僕のライヴァルたちのことを考えると、自分に対する疑問がいろいろ湧いてきます。

カムバックへの決断はスポンサーやATPのプレッシャーからではなく、自分の自由意志でありたいと願っています。彼らの心配していることは、誰がナンバーワンになることだけど、僕にとってはそれは二の次なんです。本当に僕が望んでいることは、テニスを楽しむこと、しかも向上して、膝に問題が起きないことなんです。


フェデラーとは連絡をとっていますか?の質問に、「この2ヶ月間ロジャーには連絡していないけれど、彼のゴールはナンバーワンというよりGSタイトルだと思う」と答えたラファ。10日前の「僕の方がフェデラーより有利」の言葉も、不安な自分に言い聞かせていたのですね。

今まで激痛に耐えながら歯を食いしばって戦ってきたラファのインターヴューは涙なくしては読めません。

(追記)ビデオではナダルは笑って答えていますのであまり深刻な感じはありませんが、活字になってしまうと衝撃的な印象を受けます。


投稿者 Tennisnakama  14:04 | コメント(27)| トラックバック(0)

知られざるジョコヴィッチの素顔

ジョコヴィッチのファンサイトはドイツ、フランス、スイスといろいろありますが、スイスのファンサイトがよく出来ていることは前回の記事で書きました。しかも6月にスタートしたばかりの新サイトです。
http://www.novakdjokovic.ch/

そのサイトからジョコヴィッチのインターヴュー記事の情報を手に入れることができたので、ウェブマスターに感謝のコメントを残しました。これは私がいつもやっていることで、礼儀とでもいいましょうか。そうすると数時間後に彼から下記のメールが飛びこんできました。

Hi...

It's nice to hear that Nole has fans in Japan too...
The website is my big passion. I really thank you for the kind of nice words.

Maybe you can translate me what you have written at your blog about my page...

best regards
Zdravko

簡単に訳しますと、「ノーレのファンが日本にいることを知って嬉しい。ウェブサイトは僕のパッションです。褒めていただいてありがとう。僕のHPについて、もしあなたのブログに書かれたとしたら・・・翻訳して教えてください。」

彼の名前は Zdravko 名前から彼はスイスに住むセルビア人に違いないとピーンときたのです。スイスでこれほどしっかりしたジョコヴィッチのファンサイトをつくるのは、セルビア関係の人に違いないと。

昨夜早速 Zdravkoに返事を書きました。(舌を噛みそうな名前です)

「ひょっとしてあなたはセルビア出身ですか?そうであればセルビア語が読めますか? ジョコヴィッチの資料集めで苦労していますので、もしセルビアに関することでおもしろい情報があれば教えてください。ちなみに私の夫はバーゼル出身のスイス人です。」

彼からまた返事。

「そうです。僕はスイスのルッチェルン住むセルビア人です。ルッチェルンはバーゼルから一時間のところです。セルビア語は完璧に読めますよ。もし何かぼくでお手伝いできることがあれば言ってください。ところで8月31日にUS Openをみるためニューヨークに行きます。会えるとよいですね。」

ルッチェルンですか。子供が小さいときは毎年そこにある交通博物館によく行ったものです。飛行機から各種の電車まで展示されていて、スケールの大きな博物館で息子は一日中そこで遊んでました。

そうそう一年前、Tennistalkをやり始めたスウェーデンのヨハンにも会いました。私に日本語版をやってほしいという話でしたが、やはり私は自分の記事が書きたいのでお断りしてしまいましたが。また、ひょんなことから自分のサイトをもっているオーストラリアの選手と知り合いときどき交信しています。このようにインターネットのおかげでテニスの輪がどんどん世界に広がっていきます。一瞬のうちに地球のどこでもコネクトしてしまうのですから、ますますその魅力にどっぷりと浸ってしまいそうです。もう溺れる寸前ですが(笑)。

前置きが長くなってしまいましたが、本題のジョコヴィッチの話に戻ります。

ジョコヴィッチが英字のメディアに出てこない、と思っていたらドイツやスイスの雑誌・新聞にインターヴュー記事が出ていることがわかりました。

彼はジュニアのときに単身ドイツへテニス留学していますので、彼のドイツ語は達者です。しかし彼の英語も流暢で、英字メディアには出てこない理由は、決して彼が英語が苦手なのが理由ではなくて、今まで彼の発言が散々叩かれてきましたので、英米メディアへのアレルギーがあるのかもしれません。

2008年のドイツの大会でのインターヴューではジョコヴィッチはあご髭をはやしています。彼のドイツ語はなかなか達者です。



それでは昨日のドイツ誌Tennis Magazinのインターヴューの続きです。
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview

Tennis Magazin 2009年7月15日

Q:何が人生で最も大切なことですか?
ジョコ: 自分の心の平和を保つこと。そして自分の周囲の人たちに対して忠実で正直であること。もし仮に僕がGSタイトル20個とってNo.1となったとしたら、それはすばらしいことだけど、でも人生それだけじゃないからね。30歳になってキャリアが終わってしまうとしたら、それからどうする?

Q:じゃテニスの他に何かやりたいことでも? ステージに向いているってマッケンローが言ってましたけど。
ジョコ: そうかもしれない。僕は4歳のころから歌ったり、踊ったりすることが好きで、よく皆の前でエンターテインしてきたからね。僕にはいろんな興味があるから、後のことなど分からないよ。
(前に、ジョコのマイケル・ジャクソンのスリラーを紹介しましたが、彼ってなかなか芸達者で感心しました。)

Q:昨年のUS Openでロディックを批判したことは賢明だと思いますか?
ジョコ:多分やっちゃいけないことだったんだろうけど。僕は思ったことをそのまま隠さず言ってしまうから。鏡に映っている僕の姿が僕のありのままの姿なんだ。ピュアなんだよ。

Q:今まで道化者だったり、ショーマンだったりするジョコヴィッチは最近おとなしくなったようですが?
ジョコ: 僕は人を楽しませようとすることは前と変わらないけれど、僕の国や、ファン、そしてメディアのプレッシャーがあるからね。ほんと、疲れてしまったよ。僕には「試合をわざと放棄する選手」として定評があるみたいだけれど、傷ついているんだ。そんなことは決してありえないのに。

Q:テニスには娯楽性が必要ですか?
ジョコ:今のテニス選手には面白いキャラクターが少なすぎるよ。ツォンガやマレーがいるとしても、もっと多く出てきてもよいはずだ。いつもフェデラーvsナダルのライヴァルはよくないと思う。もっといろんな選手が削り合って戦えばファンにとっても面白いし、マーケティングにもプラスになる。

Q:昨年はコソヴォについて政治的な発言をしていましたけど?
ジョコ:セルビアのような小さな国から、トップ選手が出てくることをメディアは受け入れたくないのだと思う。僕のようにエネルギーに溢れていて、正直な人間をね。思っていることをスパッと言ってしまうし。僕はこの一年半の間、コソヴォの独立についてコメントをしてきた。でも自分が同じ境遇にない限りなかなか理解してもらえないことがわかったよ。この反セルビア感情は西欧のメディアだけだけど、もう僕はこれからコソヴォのことについては発言をしないことに決めたんだ。アスリートが政治的発言をすること自体、よくないことに気がついた。僕のプライオリティーはテニスなんだから。

(注釈)
この最後の>反セルビア感情は西欧のメディアだけだ<の下りのコメントには、セルビアから大量に移民がヨーロッパに流出し、社会問題になっているという背景があります。そのために治安が悪化したり、犯罪率が増えるというネガティヴがイメージがあるのです。しかもセルビア人は熱狂的な愛国心をスポーツイヴェントなどに誇示し、ときどき暴力事件などに発展することがあり、地元の反感も招いているようにも思えます。

このジョコヴィッチの発言は興味がありますので、 Zdravkoにメールを送って彼の感想を聞いてみたいと思います。


では5月のインターヴューになりますが、ドイツ誌Blickのインターヴューから、一部をひろってみました。
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview


Blick 2009年5月28日

Q: 最近のテニスは生真面目な選手が多くなりましたね?
ジョコ: 1520年前はマッケンロー、ベッカー、ナスターゼ、コナーズなんかがいてとても面白かったのに、今はキャラクターが少なすぎるよ。彼らはチャンピオンだけではなくて、観客を沸き立たせることを知っている。観客とどうコネクトしていくかは、とても大切なことだと思う。

Q:だから人の分まで努力してるのですか?
ジョコ: テニスは自分を売ることも大切だけれど、テニスというスポーツ自体も面白くしていかなければならないと思う。切符を買ってくださるお客さんに喜んでいただいてポピュラーにしていかなければならない。最終的にはビジネスなのだから、皆で盛り立てていくべきだと思うよ。

Q:ガールフレンドのエレナさんとはあまり公共の場では一緒のところをみかけませんが?
ジョコ:僕たちが知り合って3年半になるけど、彼女はその間に学校を卒業し、今は働いている。でも週に56日は働かなくちゃならないからなかなか一緒に過ごすときがないんだ。僕たちはモナコに住んでいるけど、わざと一目を避けてるんじゃないよ。

(二人はイタリアで休暇を楽しんだばかり。沢山の写真がこのサイトでみれます。)
http://bit.ly/17Nt2e

Q:フェデラーがガールフレンドと結婚しましたが、結婚の予定など?
ジョコ:そんなまだまだ先の話だよ。ロジャーは78歳も年上なんだから。

Q:いや、まだ5歳しか違いませんよ。
ジョコ:5歳? でも彼の方が年上だよ。エレナと僕は今の状態が気に入っているんだ。彼女は野心家でキャリアを積みたいと願ってる。家族が大切だから、もちろんいずれは誰かと結婚して子供をつくると思うけど。

(おかしいのは、ジョコヴィッチにとってはフェデラーはずいぶん年上に映っていること。これは多分フェデラーが圧倒的に強い期間が長かったので、ずーっと年上のような印象をもっていたのではないでしょうか。最近のナダルの発言にもありましたが、フェデラーが年をとっているような印象ですが、まだまだ若くフェデラー時代はこれからも続いていくことを忘れてもらっては困ります。)

(あとはもう一つ気になったことは、Vielleicht jemand, der in deine Fussstapfen tritt.のコメントです。この jemandの言葉が気になります。これは結婚する相手が誰かという意味でエレナとは限らないのです。ジョコヴィッチがドイツ語でインターヴューしたのか、英語を翻訳したのか分かりませんが、ちょっと微妙な発言です。)

(訂正)どうしても翻訳された英語では彼の発言がつじつまが合わないので、しっかりとドイツ語で読んでみました。彼のあいまいな表現でわかりづらいのですが、どうやらジョコがいいたかったのは、この誰かというのは結婚する相手ではなくて、”子供”という意味のようです。つまりいずれは結婚して、フットステップとなる子供をつくり・・・というような意味だと思います。ですから今のガールフレンドとの結婚を前提にしているように思います。微妙なニュアンスとなると、グーグルの翻訳の限界があるようです。失礼しました。

最後はスイスのバーゼル新聞でおなじみのBasler Zeitungです。

Basler Zeitung 4月4日

Q:弟たちはお兄さん(ジョコ)のようにテニスの才能があると思いますか?
ジョコ:二人とも将来有望だ。二人ともプロ選手になるため必死でがんばっているよ。上のマルコは今バルセロナでトレーニングしていて、下のジョーディアは僕の通っていたミュンヘンのピリッチのアカデミーにいる。

Q:二人にとってはお兄さんから得るところが大きいでしょうね?
ジョコ:もちろん直接助けられるところは全面的にサポートしているけれど、マイナス面もある。二人に対するプレッシャーが大きい点だ。特にセルビアでは皆が注目しているからね。でももうすぐ僕を負かすようになると思うけど。(笑)


さて8月からモントリオールで久しぶりのジョコヴィッチの姿が観られますが、予定されていたサフィンとのエグジビションマッチもやめてしまって、ウォーミングアップなしのマスターズとなるところが気になります。

フィットネスとメンタルの問題はジョコヴィッチの最大の課題です。

「メディカル・タイムアウトをとりすぎる」という汚名を返上するため(試合の途中で息切れになることが多く、時間稼ぎのためにトレーナーを呼ぶという批判が多い)、ジョコヴィッチは新しくフィジオを迎えて、真剣にフィットネスの向上に取り組みはじめました。マレーとロディックはフィジカルトレーニングの強化によってランキングを上げてきた選手です。特に熱さに弱いジョコヴィッチにとっては、これからのUS Openシリーズは彼のフィットネスが試されるときとなります。

マドリッドの激戦の末、ナダルに最終的には負けてしまったジョコヴィッチは、メンタルの問題もこれからの大きな課題として真剣に取り組んでいかなければなりません。ときどきあっさりと負けてしまったときなどは、彼のメンタルは大丈夫なのか?と首をかしげたくなるような態度があることも確かです。

このあっさりしているととれる印象は、多分彼の体調に自信がないところから来ているかもしれません。「僕には健康であるということが最も大切なことなんだ。無理をして害を与えたくない。」試合中 よく肩で息をしていて、時には呼吸困難なようにもみえるときがあります。昔、鼻の手術をして呼吸をしやすくしたと聞いています。このようなハンディを克服しながら、果たしてフェデラーナダル、マレーと対等に5セットマッチが戦えるのか? 

ジョコヴィッチのキャラクターはテニス界にとって貴重です。ときにはおどけたりジョークを言って笑わせてくるエンターテイナー。無表情のフェデラーのような選手ばかりではつまりません。コートにドラマを展開してくれる数少ないエンターテイナーとして、モントリオールではどのようなパーフォーマンスを演じてくれるでしょうか?


投稿者 Tennisnakama  00:13 | コメント(17)| トラックバック(0)

ジョコヴィッチを解体

全豪オープン優勝から1年半。「僕のゴールはNo.1になること」とジョコヴィッチは誇らしげに宣言してきました。ですが、それ以降のGSタイトルはなく、今年に入ってからは、タイトルはドバイとベルグラードのみ。しかもフェデラーナダルには考えられない初戦での敗退をおかすジョコヴィッチに対して、「彼は本当にチャンピオンになれる資質があるのだろうか?」という疑問が投げかけられています。

ジョコヴィッチはグランドスラムのOne-time-winner単発屋に終わってしまうのではないか? と密かにささやかれ始めていることも確かです。それに家族の不和の噂なども気になります。ウィンブルドン以降、トーナメントに出場していないジョコヴィッチは、今週弟のマルコと組んで、クロアチアのUmag大会にダブルスで出場しますが、なぜシングルスに出ないのか?

最新のドイツ誌のインターヴュー記事は、今までジョコヴィッチが語らなかった側面にも迫り、興味深い記事となっていますのでここで紹介したいと思いますが、その前にジョコヴィッチを知っていただく意味で、彼の過去2年の行動を振り返ってみたいと思います。

ジョコヴィッチは複雑で、なかなか一般のテニスファンには理解してもらえない選手です。

まずセルビアの熱い血が流れています。エモーショナルで表現がストレートなため、誤解を生むことが多く、今までもずいぶん損をしてきました。

セルビアのヒーローとしての義務と責任。
自分への過大な期待。
セルビアオープンの主催事業。

選手として、国民のヒーローとして、そして事業家として、彼の肩にのしかかるプレッシャーは私たちの想像を絶するものがあると思います。

2008年のゴールデンイヤー
ジョコヴィッチの2008年の活躍は目を見張るものがあります。全豪オープンで準決勝でフェデラーを破り、決勝でツォンガを倒して優勝。破竹の勢いでインディアンウェルズ、ローマ、そして上海のマスターズカップのタイトルを獲得しました。自信にあふれ2位のナダルとの距離をどんどん縮めるジョコヴィッチは、スリリングでエキサイティングなテニスを私たちに堪能させてくれました。

ラケットを替える危険な賭け
しかし今年に入ってラケットをウィルソンからヘッドに替えて以来、ジョコヴィッチのテニスにリズムが得られず、タイトルもATP500のドバイと、マイナーな自分が主催するセルビアオープンのみという停滞が続いています。ラケットを替えてランキングが大幅に落ちてしまった選手にリュービチッチがいますが、 全豪のディフェンディング・チャンピオンとして、トーナメント直前におかしてはならないタブー「ラケットのチェンジ」をなぜ行ったのか? 後に彼は金銭的な動機があったことを認めています。

Love - Hateに分かれたテニスファン
2007年のUS Openでシャラポヴァやナダルの物真似をして、世界のテニスファンのハートをキャッチしてしまったジョコヴィッチは、久しぶりのエンターテイナーの出現で、テニス界にセンセーションを起こしました。

しかし翌年のUS Openでジョコヴィッチが、昨年の大喝采とはまるで逆のブーイングを受けるなど誰が予想したでしょう。彼の人気をどん底に突き落としたジョコヴィッチの発言をまずビデオでご覧になってください。この事件はジョコヴィッチを語る上で見逃してはならない重要な事件ですので、ここでブーイングにいたった経過を簡単に説明してみたいと思います。




ジョコヴィッチの問題の発言:(ビデオの翻訳)
ジョコ:「アンディ(ロディック)は前の試合で僕が16の怪我をしたと言っていたけど、今日の試合ではっきりそうじゃないということがわかったはずだ。」(ブー)
ジョコ:「好むと好まざるにかかわらず実際そうなんだから。」(ブー)

司会者:そんなことをいうと、昨年はあれほど君のことを愛してくれた会場のファンを敵にまわすことになりますよ。
ジョコ:「わかってるよ。彼らはすでに僕のことを敵視していることは。」(ブー)
「僕がみんな嘘ついてると思われていることは知ってるよ。」(ブー)

司会者:誰もそんなこと言ってませんよ。アンディが言っただけなんだから。でも彼は冗談で言ったんですよ。そのことで怒ってるんですか?
ジョコ:「皆の前で16回も怪我をしたとか、怪我のふりをしたとか、そんなことを言うなんてよくないよ。僕は誰に対しても反対してるんじゃなくて、そんなことをいうことはよくないって言いたいだけなんだ。」

地元のロディックに対するネガティヴな発言とブーイングの事件は、世界にすぐさま放送されてしまったことはいうまでもありません。ジョコヴィッチは「ファンを敵にまわしてはならない」というタブーをおかしてしまったのです。

多すぎるメディカル・タイムアウトに対する疑惑
ここでジョコヴィッチのコメントに何度も出てきた「16回の怪我のふり」について、なぜロディックがこのような冗談を言ったのか理解する必要があります。

ことの発端は記者会見でのロブレドの発言でした。ロディック戦の前に、5セットのフルセットでジョコヴィッチはロブレドに勝ちましたが、メディカル・タイムアウトをやたらとったことに対して、「僕だってつかれているけれどとらなかった」と、ジョコヴィッチのスポーツマンシップを疑問視するロブレドは不満をぶちまけたのです。

それでなくても、ジョコヴィッチには「インジャリータイムアウトのとりすぎ」「リタイアのしすぎ」の批判の歴史がありますので、翌日の試合を控えたロディックに質問が殺到しました。

ロディックの記者会見
ビデオのクリップ: http://bit.ly/B12eg

Q: 今日のジョコヴィッチの(ロブレド戦の)怪我ですが、他の日は左足首といってましたが、今日は右足首だとか・・・
ロディック:両方じゃなかったの?それとも背中、それとも腰だっけ?

Q:彼は数えきれないくらいあると言ってましたけど、
ロディック:じゃ、痙攣もあったのかな。

Q. 彼の調子はどうだと思いますか?
ロディック:バードフルー

Q. いろんな事が重なった?北京弊害?(オリンピックの直後なため)
ロディック:まあ、ね。

Q. 彼の病気のリストは長いですね。
ロディック:炭疽菌、SARS, 咳に風邪・・・(笑い) すごい数だ。試合を中断してトレーナーを呼ぶことは簡単なことだよ。そうだろう? 彼は一番クレージーな男なんだから。判断は君たち(記者団)に任せるよ。

ロディックがここでHe is the craziest guy of all time. と断言していることが気になります。これだけはっきりと記者団に言えるということは、やはり「トレーナーを呼びすぎる」ことに、選手の中でも批判がでているのは明らかです。

確かに冗談を言われているジョコヴィッチにとっては実に不愉快なコメントだったと思います。しかしロディックにしては、同じような記者団の質問に、まともに答えてられなかった、と言っている状況も分からないではありません。つまりこれは記者たちがロディックの反応を面白がって質問を止めなかった。ロディックも巧みに質問をかわす外交術をもたなかった。いわゆるロッカールームのジョークののりで、この無神経な発言になったようです。

(詳しくは『ジョコの教訓』2008年9月5日に記載していますので参照してください。)
http://newyork.blog.tennis365.net/archives/article/135033.html#comment


あれから一年。また話題の多いUS Openがやってこようとしています。ジョコヴィッチの身辺に何が起こりつつあるのか? 

では彼の最新インターヴュー記事の一部をご紹介していきたいと思います。

Tennis Magazin 2009年7月15日(ドイツ語)
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview

Q: 4冠王になり15のタイトルをとったフェデラーはテニス史上でベストな選手だと思いますか?
ジョコ: ベストとは思わない。ベストな一人だと思うけれど。時代によってテニスが変化しているので、単純には比較できないよ。

Q: フェデラーとの関係はあまりよくないみたいですね?
ジョコ: そんなことはないよ。友だちではないというだけさ。一緒にディナーにでかけたりするような仲でないのは確かだ。お互いライヴァイル同士なのだから、選手の間で友人関係をつくるのはむずかしい。

Q: No.1になるというゴールはまだ同じですか?
ジョコ: 変わっていない。この2、3年自分としては最高のレベルでプレーしてきたと思っている。これからはコンシステンシー、自信、テニスへのコミット、そしてプロフェッショナリズムにかかっていると思う。

Q: 何が人生で最も大切なことですか?

(おっと、時間切れです。記事が余りにも長くなるので、途中ですが今日はこれでおしまいです。)

このインターヴューは、ジョコヴィッチの人生哲学などにもふれてなかなか面白いので、次回につづけてご紹介していきたいと思います。

(追記)8月6日に予定されていたアシュヴィルにて、サフィンとジョコヴィッチのエグジビションは28日に延期されました。スケジュールの関係でジョコヴィッチは出場できなくなり、かわりにアガシがプレーすることになりました。ジョコヴィッチはウォームアップがなくなって、直接モントリオール入りとなります。



投稿者 Tennisnakama  04:48 | コメント(19)| トラックバック(0)

ナダルがドミニカ共和国に別荘を

6月24日に報道されたナダルのドミニカ共和国の別荘購入の噂は、ナダルの契約書のサインによって、正式にナダルが家の所有者となったことを7月24日のスペイン紙 El Mundoが明らかにしました。
http://www.elmundo.es/elmundo/2009/07/24/baleares/1248458434.html

契約書にサインをするナダル


nadalbuyhouse

Photo by elmundo



購入価格は公表されていませんが、首都のサント・ドミンゴ空港から45分のPlaya Nueva Romana にあります。スポーツマリーナや、18ホールのゴルフ場があり、約1200軒の高級住宅と5スターのホテルの並ぶ高級リゾート地帯です。ここでマスコミに追っかけられることなく、彼の好きな釣りとゴルフが存分に楽しめるわけです。



私は20年前にサント・ドミンゴを訪れたことがありますが、リゾート地帯は大変美しく、料理もおいしく、カリヴ諸島の中でもベスト3に入る思い出の島です。

ナダルの別荘の購入の理由に、マヨルカでは両親と共に生活をしていたため、両親の離婚もあってマヨルカが住み辛くなった、という噂があります。トレーニングは今まで通りマヨルカでするとしても、フェデラーのドバイの別荘のようなものではないかと思います。

テニスのプラクティスもでき、しかもゆったりと休養もできるプラヤ・ヌエバ・ロマナ。しかしこのためにマヨルカ島に住む期間が減ってしまいますね。この別荘の購入はナダルにとってはジャイアントステップだと思います。何しろ一番したいことは?という記者の質問にいつも「故郷のマヨルカに帰ってくつろぎたい」と言っていたラファでしたから。

私が予想した以上のスピードで、ナダルの自立への旅立ちがすすんでいるようです。トニーコーチがいつもこぼしていた「子供っぽいナダル」から「大人のナダル」への第一歩を踏み出した彼は、今人生で大きなターニングポイントを迎えているといってよいでしょう。

それにしてもガールフレンドのジスカはどうなるのでしょうね。彼らの関係もこれからいろんな試練を乗り越えて試されるときがきているような気がします。

Vamos Rafa!



投稿者 Tennisnakama  12:22 | コメント(8)| トラックバック(0)

ジョコヴィッチの近況

ジョコヴィッチファンは一体ジョコヴィッチはどこに行ってしまったのか?と心配されていると思います。今回は言語を英字だけでなく様々な言語でサーチしてようやく彼についてある程度情報が集まりましたので、ここでまとめながら紹介していきたいと思います。

まず、才能あふれる7歳のノーレのビデオをご覧ください。



不思議なジャーマン・オープンのポスター

DjokoPoster



ハンブルグのジャーマンオープンでは、ジョコヴィッチのポスターまで制作して大々的にPRを行うつもりでしたが、ジョコヴィッチは出場していません。この欠場に対して詳しい答えは控えていますが、彼の言い分としては、「出場するとは言わなかったのに訳が分からない」と言っています。

今年のハンブルグは昨年のマスターズの格を下げられATP500となってしまいました。それにしても余りにもトップクラスの選手の参加が少ない。7位のシモンがシード1のドローに失望したファンも多かったはず。なぜフェデラーナダル、マレー、ジョコヴィッチのトップ選手が参加しなかったのか? スケジュールの変更の影響もありますが、これはATPとの訴訟事件で莫大な経費を抱えたハンブルグは、トップ選手にギャラを払えなかったから、ともっぱらの噂です。でもこのノーギャラの話はどうやら真実なようです。

こうなると金欠のジャパンオープンが心配になります。トップ選手は同日に開かれる北京と東京のどちらを選ぶ? トーナメントもカネ次第。ますます日本は中国に差をつけられそうですね。

ジョコヴィッチのスケジュール
7月28日から始まる Umag (クロアチア)大会に、弟のマルコ(シングルス1551位、ダブルス868位)とダブルスで出場します。ジョコヴィッチはシングルスには出ません。対戦相手はイタリア人ペアのフォグニーニ/スタラーチェです。27日月曜日はクロチアの休日で試合はありません。

ハンブルグの大きな大会に参加せず、 Umag のATP250に参加することはちょっと不思議な感じがしますが、その理由として、ハンブルグのスケジュールが変更になったたこと。隣国クロアチアに対する協力(2004年以来昨年を除いてジョコヴィッチは出場しています)。弟を試合に出させる手助けなどが考えられると思います。

8月6日 Asheville(ノースカロライナ州)のシヴィックセンターにて、サフィンとエグジビションを行います。こんなところでなぜ? これはモントリオールのウォームアップのためですが、ギャラの保障があり、気楽にできるエグジビションは、ポイントを重視しなければ、ウォームアップとして有効なのでしょう。しかし今回はどうも地方興行というイメージが強く、なんでこんなところで?という疑問が湧きますが、ジョコヴィッチが、アイドルのサフィンと気軽にウォームアップができるメリットと、メディアの注目を浴びない点でグッドアイデアなのかもしれません。

ちなみに今週の4位のジョコヴィッチのポイントは8150で、3位のマレーとは1550、5位のロディックとは2710のポイント差があります。

8月8日モントリオール・マスターズ
この大会でフェデラーナダルも出場という予定になっていますが、気になるところです。しかしマレーとジョコヴィッチの出場は間違いないようなので、久しぶりに彼らのテニスが観戦できます。楽しみです。

ほしい情報が手に入らない現状
以前にこのブログで話題がフェデラーナダルに偏っているとのご批判をいただいたことがあります。それは認めます。しかしそうなってしまうのは、この二人の情報は手に入りますが、マレー以外は、他の選手の情報がなかなか手に入らないという現状をご理解していただきたいのです。

いくらインターネットのストリーミングで多くの試合が観戦できるようになっても、私たちはほとんどの選手についてはコートでプレーする姿しか知りません。

最近は仏、独、スペイン語だけでなく、ジョコヴィッチにいたってはセルビア語まで挑戦しましたが、なかなか「ほしい情報」が得られない。「ほしい情報」とは 、試合の結果ではなく彼らのテニス選手としての裏話や個人的な情報です。コーチとの関係。選手生活。家族の話。選手としての苦悩と希望。新聞で簡単に紹介される試合の結果からは決して知る事のできない、血の通った生身の人間の情報は得られないものだろうか?

エナンが12歳のときに亡き母親に誓ったストーリー「ママ、私もきっとロランギャロスで優勝してみせる!」は、エナンのテニスには切っても切り離すことができないストーリーです。このように選手をより多く知ることによって、ますます彼らに魅せられ、そしてテニスの魅力にひかれていくのだと思います。

しかしなかなか選手のヒューマン・ストーリーが日本に紹介されない。日本だけでなく、海外でもスポーツメディアはいそがしくて、母国の選手でもなかなか特集記事を組まない。例えば今回ハンブルグの準決勝まで勝ち残ったクウォリファイアーのクエバスについても、実は書きたかったのですが、母国のウルグアイの新聞でもほとんど詳しくは取り上げられておらず、まだ107位くらいではニュースにもならない現実の厳しさを知りました。ですから日本の錦織選手のメディアの取り扱いは、大変稀なケースと捉えた方がよいと思います。

ファンサイトを狙え
という訳で、あのジョコヴィッチですら、あまりメディアにとりあげられない状況ですので困っていたのですが、今回は海外のジョコヴィッチ・ファンサイトにトライしてみたのです。ファンサイトは世界の情報収集にエネルギーを注いでいますので、私の勘はピンポーン! いくつかのファンサイトのなかで、スイスのジョコヴィッチのファンサイトは実によく正確にジョコを追っかけていることが分かりました。
http://www.novakdjokovic.ch/

英字では紹介されなかった最近のインターヴューの4記事を、このファンサイトでみつけましたので、次回で紹介していきたいと思います。




投稿者 Tennisnakama  06:28 | コメント(6)| トラックバック(0)

フェデラー双子誕生の快挙

フェデラー応援歌
下記のサイトをクリックしてください。3秒後に音楽が流れてきます。これをバックグランドにしてこの記事を読んでいただけるとバッチリです。赤ちゃん誕生を祝ってラップのフェデラー応援歌が作られました。首都ベルン出身のバンドで、スタイルはベルンラップとか。スイスドイツ語のベルン方言のラップが滅茶おもしろいです。では♪♪
http://bit.ly/SVjeE

今年のマドリッドのタイトルの後、全仏優勝、ウィンブルドン優勝、15GSタイトルの新記録、そして双子誕生! 記録男のフェデラーの勢いは留まるところをしりません。今のフェデラーをみていると、「フェデラーは駄目になった」と叩かれた今までの長い月日がまるで嘘のようです。

フェデラーは サーヴひとつで ツインエース!」

(Twitterでフェデラーの赤ちゃん誕生を祝って、皆で赤ちゃん川柳を始めました。下手っぴで申しわけありませんが参加精神ということでご勘弁を)

ミルカが妊娠し二人が結婚すると、フェデラーを祝福する一方、フェデラーのプライオリティーに疑問をもつ声が高まりました。「ファミリーマンになるフェデラーにテニスは期待できない」とバーゼルの新聞までもが、彼に見切りをつけたような記事を掲載したことがあります。

しかし全仏、ウィンブルドン優勝の快挙で、今まで散々けなしていたメディアや元フェデラーファンたちは、すっかり記憶喪失になってしまったようで、今ではフェデラーはテニス史上最強の選手と白々しく褒めちぎっています。ホント勝手なもんです。

私たちは(tennisnakamaのフェデラーファン)ロジャーが苦しんでいたときも、彼を見捨てませんでした。不調のときこそ声援するのが真のファン。フェデラーに失望したファンたちが応援をやめてしまった後も、私たちは最後まで彼を信じHopp Roger!のエールを送り続けてきたのです。ですから幸せの絶頂にあるロジャーをみて、私たちの喜びはひとしおなのです。

「Fedex おむつ交換 超特急」

私はなぜかいつもアンダードッグに応援をしてしまいます。サンプラスも絶頂のときはファンではありませんでしたが、負け始めた頃から私はサンプラスを応援するようになりました。2年間タイトルなし。その間の彼の苦しみはフェデラーの比ではありませんでした。

記者会見はいつ引退するのか?という質問ばかり。31歳の頭が薄くなってきたサンプラスは、見るのも辛いGSタイトルへの長い道のりでした。ですから最後の試合となった2002年のUS Openのアガシとの決勝は忘れることができません。アガシとの世紀のバトルの末、高々とトロフィーを誇らしげに掲げ、満場の拍手を浴びながらコートから去っていったサンプラス。まさに王者にふさわしい引き際でした。

federerdiapers

July 25, 2009 Basler Zeitung



Naming
さて二人のお嬢ちゃんの名前ですが、最初がファーストネーム、次がミドルネームで、普段はファーストネームで呼びますから、 Myla Roseは Myla(ミラ)、 Charlene Rivaは Charlene(シャーリーン)となります。でも最近はこの二つの名を一つの名として呼ぶのが流行っていますので、ミラローズ、シャーリーンリヴァと呼ぶのかもしれません。でもこんな長ったらしい名前は、叱るときは舌を噛みそうですね。

Mylaはチェコの名前のLudmilla を短くしたもので意味は「慈悲深い」。 Charleneは英語の名前のCaroline,フランス語のCharlotteが語源。フェデラー夫妻にふさわしく国際的な名前ですね。スイスの花子、Heidiハイディの名前はやっぱりつけなかったのですね。

「ミルカママ 双子追っかけ 20kg減!」

スイスでは子供の名前にリーをつけることが多いので、ミラリー(これはいけます)とかシャーリリー(これは無理)とかで呼んでいるのかも知れませんね。このリーとは日本語のちゃんに似た表現で、例えばうちの猫のモモはモモリーとなります。

そうそうMarca紙のコメントの中にNadalinという表現がありましたが、スペインではリンをつけるのかもしれません。日本語で例をとってみると、アキオであれば、スイス風に言うと、アキリー、スペイン風だとアキリンになりますね。一度子供やペットで試してみてください。

「筋トレは 両手にツイン ロジャーパパ」

この赤ちゃん誕生の嬉しいニュースに、世界中のファンから祝メーッセージが送られています。ホームページには約3000、フェイスブックには3万に近いメッセージです。ホームページにはコメント者の母国の国旗が付けられていて、まるで国際連合のようです。敵対している国家間でも、フェデラーの話をすれば、意気投合して平和調停がうまくはかどるかもしれません。引退後はぜひ世界各国を訪問して平和の大使になって活躍してほしいと思います。

さてテニスファンに最も関心のあるのは今後の「ロジャーパパのスケジュール」です。

マスターズやUS Openはスキップするとは思いませんが、問題はジャパンオープンです。10月5日だと赤ちゃんはわずか2ヶ月半。一緒に旅をするのはチャレンジです。フェデラーに里心がついてしまって、アジアに何週間も家族と離れてロジャーパパが耐えられるかどうか。日本をスキップして10月12日の上海マスターズに飛んでしまう可能性がありますので、フェデラーファンは覚悟しておいた方がよいかもしれません。

「双子連れ Federer来日 ファン号泣」

つぎに関心のあるのは、「パパになったら勝てるのか?」 つまりプライオリティーが家族にシフトして、エッジを失ってしまうのではないか?

過去の例をとってみますと、ジミー・コナーズ、ボリス・ベッカー、アンドレ・アガシ、パット・キャッシュなどが丁度フェデラーと同じような状況のときに、グランドスラムのタイトルを勝ち取っています。ですからモチヴェーションが沸騰しているフェデラーには、プライオリティーの問題は心配ないと思います。

フェデラーが あくび殺して コートチェンジ」
(双子の夜泣きのコーラスに睡眠不足のフェデラーの顔が浮かびます)

プレッシャーが大きい子供たち
気の早いスポーツベティングの業者の間では、すでにLadbrokesが、「ミラちゃんとシャーリーンちゃんのどちらかの一人がシングルスのGSタイトルをとる」に賭け率100:1、「フェデラー姉妹がダブルスのGSタイトルをとる」に賭け率200:1で賭けを提供しているとか。ミラちゃんとシャーリーンちゃんは、オギャーと生まれてこのプレッシャーです。伝説の親を持つ子供の宿命といいましょうか。

マッケンローの息子、ショーンくんを思い出します。彼と私の息子は同じ高校のテニス部に所属してましたので、マッケンロー親子のことはよく知っていますが、ショーン君はもちろん伝説の父親にかなうわけもなく、しかもマッケンローの名前で試合に出場すると、すぐ息子だとバレるので、彼の名前はいつも母親のテイタム・オニールの姓名で、ショーン・オニールで出場していました。高校をやめてボレテリで一年修行しましたが、とても全国レベルまでもいける実力はなく、ボレテリも辞めてしまいました。今ごろはどこかの地方の大学の体育会にでも入ってテニスをやっているかもしれません・・・

アガシ+グラフ、サンプラス、フェデラーの子供たちの中で誰が一番強いか?なんて巷のテニス雀たちがTweeterでおしゃべりを楽しんでいますが、当の本人にしてみれば、それは堪え難い重圧となって人生につきまとってきます。

「子供たち もう聞き飽きた Federerの名」

ミラとシャーリーンがウィリアムズ姉妹の記録を追い越すのは2000何年? なんてことはタブーです。そっとしておいてあげましょう。

子供好きなフェデラー夫妻は、これからもフェデラーチームのメンバーを増やしていってくれると思います。本当におめでとう!ロジャーとミルカに乾杯です!

Hopp Roger!  Hopp Mirka!  Hopp the Federers!




(追記)
スポーツはやはり勝たねばお話になりません。いくら立派な人間と尊敬されても強くなければスポーツでは価値がない。この残酷なまでに非情な勝負の世界で、ナダルは今闘っています。今度はナダルが私たちを必要としています。彼の元気なバモスのガッツポーズを一日でも早くみたい。テニス界にとってなくてはならないもう一人の横綱ラファも温かく応援していきたいと思います。

投稿者 Tennisnakama  01:01 | コメント(14)| トラックバック(0)

ナダル発言の波紋

前回の記事でスペインの大手のMarca紙の記事タイトルが『僕の方がフェデラーより有利』という刺激的なものであったために反響が大きかったと書きましたが、これはナダルの発言でスペインが大騒ぎしたという意味ではありませんので、誤解のないように願います。

Marca紙に殺到した350近くのコメント全部に目を通すことはできませんでしたが、(スペイン語ですので大変なのです)二日間にわたってやっと200近くのコメントを読み切りました。
http://bit.ly/3H8w4

読んでいくうちに驚いたのは、意外に多くのナダル批判があることです。でもこれはMarca紙の扇情的な見出しに反応したものも相当あると思いますので、一概にこれらのコメントがスペインのナダル観を代表しているものと考えるのは危険だと思います。

また『僕の方がフェデラーより有利』のタイトルにむかついたフェデラーファンが多く投稿したことによって「ナダル批判が多かった」という印象を受けたのかもしれません。

フェデラーvsソダーリングのRG決勝戦でコートに乱入してきたスペインのふとどき者も、ナダルではなくフェデラーのファンでした。彼はフェデラーvsナダルの決勝を見越してチケットを購入。まさかナダルがその前に敗退してしまうなど想像もつかなかったでしょうが、もしナダルが決勝に出ていたなら・・・? バルセロナの旗を掲げスイスの国旗のソックスをはいたこの乱入者の出現は、ナダルへの最大の侮辱行為となるところでした。

またナダルにネガティヴである他の理由として、マヨルカに対する歴史政治的感情、サッカーカンツリー、スペインのチーム間の対抗意識(ナダルはレアル・マドリッドの熱狂的ファン)、ナダルの度重なる怪我に対する失望などがあげられると思います。

今回の記事のタイトルが、フェデラーファンを刺激するようなものであったためか、フェデラーファンから多くのアンチ・ナダルのコメントが寄せられました。全体の約4割くらいがフェデラーを褒め讃えるコメントだったように思います。(この何割という表現は、読後の印象からくるもので正確ではありません。)

Federer ファンのコメント
ナダルファンの皆様、気分を害さないでください。フェデラーファンは、ナダルの発言にムッときているということを理解の上で読んでください。)

「年齢差なんて関係ないよ。いつもフィジカルの限界に挑戦するナダルのやり方では選手生命が長続きするわけがなく、あと3年もたてばナダルも終わりかもしれない。そうするとフェデラーと同じ時期に引退となるから、23歳の年でも有利とは言えない。」

フェデラーは完成された技術のテニスとたぐい稀ない才能に恵まれている。ナダルは肉体を使った足とパワーのテニス。今のままでは、ナダルの膝が治ってもフェデラーの領域にはとても届かない。」

「4歳の違いは大した違いじゃない。もしナダルが30歳で引退したとしても、フェデラーはまだ34歳。この年齢の二人のフィジカルな状態を比べてみたら、きっとフェデラーの方が上だと思う。」

「Nadalin(ナダリンちゃん)がもし今のフェデラーの27歳だったとしたらもう引退しているかもしれない。でもフェデラーはまだ31歳。まだまだ試合で活躍できる健康体。これは頑張りだけのテニスではなく、テニスの技術の最高峰を極める者に許される特権だってことをお忘れなく。」

フェデラーは力の7割でも勝利を得ることができる。ナダルはいつも100%を出し切らなければ勝てない。これでおのずと勝負は決まる。」

このナダル攻撃に対してナダルファンは猛然とカウンターアタックをしています。しかし批判抜きの熱烈ファンは全体の2割くらいの感じで思ったより少なめでした。

Nadal ファンの激励のコメント
「若いということは絶対的に有利なことだということは分かりきったことだ。その当たり前のことをラファは言ったまでのこと。」

フェデラーがサンプラスを打倒したように、ナダルフェデラーを打倒していく。これは歴史の流れだ。」

「ランキングが落ちるのが怖くて無理をする選手が多い中で、ナダルがNo.1を失ったことに対する冷静な態度はすばらしい。」

「23歳でまだ年齢に余裕があるというのは本当のことだ。27歳になったらフェデラーの記録を超すと信じている。バモス、ラファ!」

ナダルは賢明な青年だ。自分の今一番大切なことをよくわきまえて、試合に出ないでトレーニングに専念する彼の努力を讃えるべきだ。」

「ラファのいないテニスは本当につまらなかった。やっとテニスに戻ってきてくれて嬉しい!」

「それにしても、なんでこんなにアンチ・ナダルが多いんだ? それにこんなくだらない記事には吐き気がするよ。」

「僕たちのラファは、いつも100%の力を出ししきって試合に挑戦する。それがラファなんだから。US Openのタイトルに向けて100%頑張ってほしい。」

「ラファはまだ若い。そして彼のテニスはまだまだ向上し続けている。これからラファはフェデラーを超して彼の黄金時代を築く日が近いと信じている。」

「オリンピックの陸上選手を見習って賢明になってほしい。彼らは予選では全力で疾走しない。余力を残したプレーをしてGSのタイトルをできるだけ沢山獲得してほしい。」

残りの4割ですが、ナダルに失望したというか、ナダルの怪我の多さにイライラしているとでもいうか。ナダルのファンですが厳しいコメントが多かったように思います。

Nadal ファンの叱咤のコメント
「23歳は若くない。多くのティーンネージャーがラファの跡を追ってきている。年齢よりも技術を磨いてほしい。そして攻撃テニスをやってほしい。」

ナダルの言葉に正直がっかりした。もし若いということだけが有利な点としたら、フェデラーよりも早く引退してしまえば意味のない言葉じゃないか。」

「20才のときから同じ怪我の繰り返し。スペイン史上ベストなテニスプレーヤーを、もし若くして失ってしまうようなことが起これば本当に悲しいことだ。」

「愚痴はやめて実行せよ。 膝のせいでRGでソダーリングに負けたのではない。ソダーリングはナダルよりも強かったことを認識してほしい。ラファの前に立ちはだかっているのはフェデラーだけじゃない。がんばってほしい。」

「ラファの口からそんな言葉を聞くとは驚きだ。彼はフェデラーではないと思っていたのに残念だ。」

「今までのナダルは負けたときも相手の選手を褒めることしかしなかったのに、あのつつましいナダルはどこへ行ってしまったのか?」

これらの多くのコメントを読み終えて、スペインの二つの顔をみたような気がしました。
一つの顔は、「スペインは熱狂的にナダルを応援しているという単純な構図ではない」こと。もう一つの顔は、「ナダルがスペイン人にとって崇高なヒーローであり続けなければならない」こと。

決して奢ることのない謙虚なラファ。
言い訳をしないスポーツマンシップに溢れるアスリート。
相手の気持ちを思いやるやさしい青年。
どんなときにでも生死をかけて戦うマタドール・ナダル
たえず向上をめざす努力と魂の男。

フェデラーが勝ち続けていた時代に、自身のイメージに対して「自分はモンスターをつくり上げてしまった」と語ったことがありました。ナダルにもいつの間にか自分のつくりあげたモンスターが一人歩きをしてしまっているような気がします。

今までのナダルの記者会見は、はっきり言って退屈でした。英語というハンディがあるにせよ、毎回彼の返事は壊れたレコードのように同じ答えの繰り返し。対戦相手をいつも褒め、どの記者会見を読んでも「僕のゴールは向上すること」。あまりにも優等生すぎて正直いって食傷気味でもありました。

誰もが思っている当たり前のこと「ぼくの方が若いのだからフェデラーよりは有利だよ」こんな当たり前のことも今まで言えず聖人化してしまったナダル・・・

テニスにおいても、あまりにもフィジカルすぎたナダルのスタイルに修正が迫られ、選手としても大きな転期をむかえるナダル・・・

今まで何の疑いもなく親に従い、トニーコーチに従ってきたナダルは、今年は両親の離婚、膝の怪我、No.2へ降格が重なる試練の年となりました。長い辛いリハビリから解放され、やっとトレーニングに戻れたナダルの口をついて出た「僕のほうが有利だ」の発言は、彼が初めてみせた生身の23歳の青年の言葉だったと思います。

何かがナダルの中で変わりつつある・・・

ナダルナダルであるためには何をしなければならないのか? その答えを求めて歩み出したナダルを私たちは温かく見守っていきたいと思います。
投稿者 Tennisnakama  16:38 | コメント(17)| トラックバック(0)

ナダル報道の微妙な違い

私が2008年からブログを始めたきっかけは、日本に伝えられないテニス情報が多く、少しでも日本のテニスファンのお役に立てれば(そしてテニス会話をしたい)という思いで、一年半にわたってブログを書き続けてきました。その間情報収集をしていて気づいたことは、英語の情報だけではテニス界を知るには不十分で正確をきたさないという事実でした。

特にランキングのトップ100に、スペインは9人、フランスは8人も占めており、スペインやフランスの現地の反応を知るには現地の新聞を読まなければ、偏った情報伝達になることに気づきました。特にナダルに関しては現地新聞は不可欠な情報源となります。公正をきすため、きつい作業なのですが、グーグル翻訳を使いながら母国語のニュースソースにも目を通すようになりました。そこでとても興味深い記事が浮上してきたのです。

今回のナダルのトレーニング開始に対する報道はそのよい例ですので、紹介しながら海外の記事の取り扱いとスペイン人の反応の違い(次回)について述べてみたいと思います。

ニュースソースについて
メディアの報道は、自社の記者が直接取材しないかぎり、ニュースエージェンシーから送られてくるニュースを掲載します。日本では共同通信と時事通信がそれにあたります。海外の大手のスポーツメディアは、アメリカのAP(Associated Press)とフランスのAFP(Agence France Presse)の記事を採用していることが多いのですが、ブログではドイツのDPA(Deutsche Presse Agentur) が情報源となっているところもあります。

さて、今回のナダルのトレーニング開始のニュースで、そのソースによって報道の仕方にいろいろ違いがあることがわかりました。記事の内容に大差がなくても、タイトルのつけ方で大きくニュアンスが違ってくるのです。

ナダルは膝のリハビリを続けながら、この月曜からマヨルカにてトレーニングを開始しましたが、休養期間が長かっただけに、トレーニング後のナダルにどっとスペイン記者がつめかけ、ナダルに質問を投げかけました。その状況は以下のビデオで観ることができます。




ナダルの応答の詳しい内容はスペイン紙のMarcaに掲載されていますが、その内容は主に(A)と(B)に区別することができます。

(A)「現実的に僕がNo.1の座にすぐ戻るのはむずかしいと思う。もし100%の状態で戻れたとしても、約2ヶ月近いブランクがあるので、リズムを取り戻すのがむずかしいからね。No.1やNo.2のナンバーにはあまりこだわってはいないよ。No.2になったからといって特別なことが起こる訳でもないからね。今一番大切なのはPlay wellということ。僕のモチベーションはトーナメントに勝つということなんだ。」

(B)「でも僕には有利な点が一つある。それは僕が23歳だということ。ロジャーは27歳か28歳だからね。レースは終わっていないよ。これから僕はもっとメジャーなタイトルをとっていきたいと願っている。もちろん No.1になれれば言うことはないけれど。」

ここで面白いのはナダルに対する報道の微妙な違いです。

APの報道:『ナダルがトレーニング開始』
ナダルの発言には全く触れず簡単なトレーニングが開始したことについての記事。
http://www.wlaj.com/sports/injury-16361-knee-nadal.html

AFPの報道:『困難なシーズンを控えたナダル
(A)(B)の両方を伝えていますが、(A)を重視したタイトルでナダルの抱える難しさに焦点。
http://bit.ly/RdQOF

DPAの報道:『トレーニングを終えて自信のナダル
AFPと対照的でナダルの希望と自信にあふれた記事となっています。記事の内容はナダルの公式サイトからとったもので、「僕はラケットに触れることができて、そしてトレーニングにカムバックすることができて嬉しい。」というもの。ATPのHPのニュースソースもナダルのサイトです。
http://bit.ly/1mbiB

Marca紙の報道:『ナダルフェデラーより僕の方が有利』
http://www.marca.com/2009/07/20/tenis/1248093428.html

ここで面白いのはスペインの大手のスポーツ紙、 Marcaの上記の報道です。『僕の方がフェデラーより有利』という書き出しで刺激的なタイトルとなっています。(B)を重視したため、フェデラーとの比較に焦点を合わせたようなタイトルです。確かにナダルの発言には間違いないのですが、ナダルファンとっては言ってほしくなかった言葉、フェデラーファンにとっては侮辱的な言葉として、ちょっとした反響を呼びおこしているのです。

この記事のインパクトの大きさは350近いコメントが殺到したことからも伺えますが、コメントを読んでいくうちに、スペイン人のナダルに対する思い、フェデラーに対する思い、スペインの国民性などが浮き彫りにされて、とても興味深く一気に100近くのコメントを翻訳しながら読み切ってしまいました。

スペイン語から英語に翻訳すると、独特の英語になってしまい異常に時間がかかってしまいました。幸いにも今捻挫で外出できないので、この作業ができていますが、いやー、結構しんどかったです。しかし生のスペイン人の気持ちが手に取るように伝わってきて、なかなか面白かったことは事実ですが。

「スペイン人は皆ナダルファン」という安易な構図でははかりしれない複雑で興味深いスペインを、ナダルを通しながら少しでも触れることができれば・・・次回はナダルの発言が投げかけた波紋について書いてみたいと思います。(しかし途中でコケてしまったらお許しください。)

投稿者 Tennisnakama  02:22 | コメント(36)| トラックバック(0)

シャーディって誰?

昨日の日曜日は、The Openの最終戦で59歳のワトソンを応援していたため、メルセデスカップ決勝、シャーディvsハネスク戦を見逃してしまいました。ついにフランス人のジェレミー・シャ-ディJeremy Chardyが優勝しましたね。ついにというのは、今年2月、ヨハネスブルグの決勝でツォンガに負けてしまいましたが、なかなかいい線をいっていた選手の一人だったからです。

シャーディvsハネスク決勝




シャーディは5年前にプロに転向して以来、錦織選手のように突然ブレークするのではなく、ゆるやかなカーヴを描きながら、着実にランキングを上げてきた地味な選手です。しかしテニスを辞めたら俳優になりたいと言っているくらいですから、なかなか渋いマスクで女性にも人気があるのです。この優勝はプロになって以来初めてのヴィクトリーで、ランキングも11位を駆け上って32位となりました。

優勝したときの写真をみて、ヒゲがますます伸びてきてちょっと驚きました。でもヒゲは女性の魔除けになっているのかも知れません。選手は縁起をかつぎますので、当分シャーディはヒゲを剃りそうにもありませんね。

chardy6



第1セットは「ものすごく緊張してしまった」というシャーディは、ハネスクに1-6で完敗。しかし第2セットから武器のサーヴがうまく入るようになり、モメンタムをシフトさせて6-3で第2セットを勝ち取り、第3セットではネットプレーのアグレッシヴなプレーで、4-0で余裕のリード。シャルディの武器はサーヴ。10のサーヴィスエースでハネスクの最後の抵抗もむなしく、6-4でシャーディの勝利となりました。

「僕は全然疲れていないよ。これからジャーマンオープンに出るためハンブルグに飛ぶんだ。優勝したから第1日目はバイだから、月曜は休めるよ。」
と22歳のシャルディは元気一杯。しかし心配なのは、彼は選手の中でも今年は29トーナメントに出場している最多選手の一人です。無理が体に故障を起こさない訳がありません。しかしシャルディとしては優勝で得た自信で一気にランキングを駆け上りたいところでしょう。

それにしてもフランスはスペインと並んで実に選手の層が厚いですね。シモン、ツォンガ、モンフィス、ガスケの四銃士の陰でなかなかスポットライトを浴びることがなかったシャルディですので、今日は彼の最初のATPツアー優勝を祝って、彼について書いてみたいと思います。

chardy1



と、ここまではよかったのですが、メルセデスカップくらいで優勝しても、仏紙は詳しくは選手のことは書いてくれないのですね。試合の結果報告はあってもシャルディの特集は組んでいません。これほどトップクラスの選手を抱えるフランスでは、トップ30くらいでは話題にもならないのでしょうか。(うらやましいというか、気の毒というか)

フランスの層の厚さ
9人のフランス人が今週のランキングのトップ100に入っていますが、36歳のサントロが43位とは驚異です。彼は日本にやってきますね。サントロ・マジックをたっぷり披露してくれると思います。100番台にはベテランのローダやクレモンがまだ健闘しています。若手もどんどん100番台に入ってきていますので、フランスの層の厚さは驚くべきものがあります。

さてトップ100のフランス選手をあげてみますと:
シモン(7位)
ツォンガ(8位)
モンフィス(13位)
ガスケ(ドーピングで30位に転落しました)
シャーディ(32位)
マチュー(39位)
サントロ(43位)
セラ(51位)
ジケル(82位)

chardy4


ジェレミー・シャルディ


22歳。6歳でテニスを始め父親は銀行家という裕福な家庭に育っています。3人兄姉の末っ子で姉は教師、兄は父と同じ銀行家です。ジェレミーのアイドルはサンプラス。2005年にはジュニア部門でウィンブルドン優勝、US Open準優勝を勝ち取り、フランスの未来のスターとして期待されましたが、プロ転向以降、サーヴ以外はこれといった武器に欠けていたため、爆発的な勢いはありませんが、着実にランキングをあげてきました。

今年のシャーディはなかなか好調で、2月のヨハネスブルグで決勝。デルレービーチで準決勝。5月のミュンヘンで準決勝。そして今回のシュツッツガルトでは優勝です。

昨日の記者会見で、ハネスク打倒の作戦について以下のように述べています。

Q:ハネスクに勝つ作戦を特別に考えましたか?
シャーディ:第1セットをとられてしまったので、もっとネットにくることにしたんだ。それが功を奏した。今までの対戦成績はクレーで一敗、ハードで一勝している。彼はクレーではベースライナーの強い選手だから、今回はスローと速いショットを混ぜてみたんだ。またできるだけネットにきてアタックするようにした。

Q:あなたの優勝に誰が最も貢献したと思いますか?
シャーディ:10年間コーチをしているコーチ・フォンタンにとても感謝しているよ。それに僕の家族、友だち、ガールフレンドにもお礼をいいたい。

(残念でした。彼にはガールフレンドがいるようです。)

ところでシャーディをサーチしているときに、中国のシャーディのブログを見つけました。
http://blog.udn.com/chardy/detail

タイトルはChardy 的部落格。 的部落格とはブログのこと。そして作家(管理者)は法國美男子Jeremy Chardyとあります。この写真がHPの写真です。やはり美男子には違いありません。

chardy5


法國はフランスという意味。シャーディをフランスの美男子と命名してしまったところなど、相当なファンですね。

ダブルスではよくシモンとペアを組むシャーディ。 日本もこれからファンが増えることでしょうね。イケメンは得です。

このサイトではシャーディの114枚の写真が載っています。
http://media.photobucket.com/image/jeremy+chardy/Peta_pj/Australian%20Open%202009/JeremyChardy05.jpg?o=41



投稿者 Tennisnakama  06:32 | コメント(3)| トラックバック(0)

タイガー・遼の狂想曲

The Open Championship(日本では全英オープン)の本戦がいよいよ始まりました。タイガー/遼ペアの予選のお祭り騒ぎが終わってやっと静かになり、これから本当にゴルフファンにこたえられないエキサイティングなトーナメントとなりました。

The Open
The Open Championshipを省略してイギリス人はThe Openと呼んでいますが、彼らはBritish Open の名で呼ばれるのを嫌がります。

The Open は1860年にスタートした最も古いメジャーなゴルフトーナメントです。35年後の1895年にアメリカがUS Openをスタートさせましたが、Openと名のつくのは我々のみと言う訳で、イギリスはThe Openの名にこだわりつづけているのです。私たちは便宜上、全米と区別するために気軽に全英オープンとかBritish Openなどと呼んで区別していますが、私は誇り高きイギリスの伝統に敬意を払って、 The Open と呼ぶことにします。

さてThe Openの主催者はR&Aですが、これは何の略だかご存知ですか?

The Royal and Ancient Golf Club of St Andrews 
「セントアンドリュース王室古代ゴルフクラブ」とでも訳しましょうか。古代という言葉にびっくりしますが、ゴルフの起源はローマ時代にさかのぼるという説もありますので、なるほどと納得。それにしてもこんな時代錯誤な名前にもかたくななイギリス気質をみる思いがします。

タイガー・遼の狂想曲
4つのメジャーのなかでも、最も伝統と格式高さで知られるThe Openですが、その古めかしいThe Openが今年は大胆な企画を立て世界をアッと驚かせました。

それは皆さんもご存知、ターガー・ウッズ/石川遼のペアリングです。しかも本国のトップゴルファー、リー・ウェストウッドを3人目に加えて、イギリスのゴルフファンのご機嫌も伺うという苦肉の策でスタートしたこのダイナマイト・グループは、日本はもちろんのこと、海外でも話題が沸騰しました。

石川サイドとR&Aとの間にどのような取引がされたのかわかりませんが、それにしてもうまく考えましたね。このペアリングについて巷ではいろいろ噂が流れていますが、「日本が多額の金を払って(またはスポンサーを確約をして)このペアを買い取った・・・」は、ありうる話です。何はともあれ石川遼の名はこれで世界に轟くことが保障されたのですから、日本側としてはめでたしめでたしというところでしょうか。

R&Aとしてもこの話題性のペアが予選の視聴率をあげる絶好の機会とにらみ、批判を覚悟でタイガー・遼ペアリングを決行しました。「批判を覚悟」というのは、異常な取材陣の殺到が予期される事態です。それでなくてもタイガーにはメディアが殺到します。それプラス、約100人の日本の取材陣が遼くんの一挙一動を狙ってシャッターを切るのですから、取材合戦というよりはまるでサーカスです。タイガーもいい迷惑だったのではないかと思います。

この予選を Woods-Ishikawa pairing led to media madness 「ウッズ ー 石川ペアリングが呼んだメディアの狂気」と題して、golfweek.comが取り上げています。
http://msn.foxsports.com/golf/story/9815664/Woods-Ishikawa-pairing-led-to-media-madness

その狂気のなかで、17歳で世界No.1と組んで動じる様子もなかった遼くんの度胸は、米英の解説者が何度も驚嘆するほどすばらしいものでした。初日は調子の悪いタイガーを相手に、日本のマスコミは「タイガーに勝った!」などと軽卒な見出しで大喜びをしましたが、私は内心ホッとしたのです。もし遼くんが最初からひどい成績では、日本はカネをバラ撒いてペアリングを工作したなどと中傷されるかもしれません。

初日はターンベリーはめずらしく無風快晴の理想的な天気です。遼君はついてましたね。しかし2日目の天気は典型的なスコットランドの風雨の悪天候。やはり経験の浅い遼くんにはtoo muchだったようで、結局6オーヴァーでタイガーとともにカットをミスしてしまいました。

それにしてもタイガーの態度が気になりました。最初からイライラしている様子。何度もクラブを叩き付け怒鳴ってます。解説者も眉をひそめるシーンが何度もありました。しかし立派だったのは、一緒にまわったイギリス人のウェストウッドでした。周りの取材サーカスに惑わされることなく、2で堂々とリーダーボードに残って本戦入りを果たしました。

タイガーは初日からトラブル・トレインに乗ったまま、軌道を変えることができず、2日目にはその列車に遼くんが同乗。そして二人は予選で終着駅となってしまいました。

こうなるとあの騒ぎは一体何だったんでしょうね?と考えてしまいます。

狂ったような大騒ぎの間、ひたすらもくもくと打ち続け、T2位で本戦入りした久保谷健一選手など、ほとんど報道されることもありませんでした。彼が2位に上がってきたときには、解説者に「ケニチ・カボーヤ」なんて呼ばれてしまって、最初誰のことだか気がつかなかったくらいですから。(KuboyaのKuは英語ではカになってしまうのです。それとKenichiですと発音はケニチ。Ken-ichiとハイフンを入れなければケンイチとは呼んでもらえません。)

今日の本戦はJustice is doneとでもいいましょうか、このタイガー/遼のペアのために見向きもされなかった優秀なゴルファーたちが、やっと陽の目を浴びることになったのです。

最年長の59歳のトム・ワトソン

59歳のワトソンと16歳のマナセロ

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懐かしい顔です。もう云十年前のことですが、私はアーノルド・パーマーを取材しています。彼はヘリコプターにのって、アメリカン・フットボールの開催式に現れたのです。ヘリから降りてスタジアムの観客に手を振りながら挨拶する彼は、とてもアメリカっぽくて、そのスケールの大きさにびっくりしたものです。これが私とゴルフとの最初の出会いだったのです。それ以降一時ゴルフに凝っていたときがありましたので、トム・ワトソンの名は懐かしくて、彼がトップを独走しているのを観て驚喜してしまいました。

「とてもスピリチャルな経験だった。」とワトソンは昨日のインタービューで語っていました。これは精神的という意味ではなくて、神懸かり的な、神聖な、崇高なとでもいいましょうか。いわゆる私たちが何げなく使っている、「ゾーンに入った」という状態だったのではないかと思います。

この感じを私は2週間前のレイク・プラシッドのゴルフ場で経験したのです。アメリカでも最古の一つに数えられる由緒あるむずかしいチャンピオンコースです。その日は豪雨。それに寒い。ぶるぶると震えながら、手袋もぐちょぐちょ。すでに前払いしてしまっているので、仕方なく貧乏人根性の息子と私は誰一人いない18ホールに挑戦したのです。こんな状況ですのでまったく自分のゴルフに期待せず、ただただ無心にクラブを振ったのでした。思いはただ風邪ひかないようにということのみ。一年に数度しかやらないゴルフです。スコアなんてどうでもよいというのが正直な気持ちでした。

このとき不思議なことが起こったのです。息子が途中でスコアの計算をし始めて叫びました。「マミー、すごいよ!9ホールで40だよ!」 この雨で? スコアボードをみるとボギーとパーでやってきた数字に間違いはありません。「よーし!やったるでェ!」それからは言うまでもなく、10ホールに入った私はタイガーのトラブル・トレインです。スコアを気にし始めたのです。コースも狙いすぎ。スウィングもあれこれ考えすぎ。しかし前半のゲームはまさにワトソンのいう「スピリチャル」な経験だったと思います。

無心に打つ。テニスにもありますね。2000年にUS Openの決勝で、サンプラスを6-4, 6-3, 6-3で圧勝したサフィンも、あっと気がつけば勝っていたと言っていました。あれ以上の試合はまだしたことがないと言っていましたので、あのときは神が乗り移っていたのでしょう。

9ヶ月前に腰の手術をしたばかりで、還暦をむかえようとしているワトソンのゴルフは、まさに神懸かりでした。奇跡のパットが続きます。 予選でワトソンとマナセロのグループでプレイをしたヒンギスの昔の恋人、セルジオ・ガルシアがワトソンに叫びました。”Come on old man!”このユーモアあふれる激励の言葉にワトソンは、「ホント、オールドマンだよ。」とユーモアを返しながら、今日もスピリチャルなショットで独走しつづけているのです。

最年少の16歳のマテオ・マナセロ

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さて最年長のワトソンとペアリングをしたのは、大会で最年少のマテオ・マナセロくん。彼は全英アマチュア選手権で優勝したばかりのイタリアの男の子です。この業績が認められて今年のThe Openと来年のマスターズに招待が決まりました。


イタリアのスポーツ紙, La Stampaをグーグルで訳してみると:
ゴルフはどれくらいやっているの? 
「学校があるから木曜とあとは土日の週末だけ。」

趣味は? 「サッカー」

メディアに追っかけられる? 
「僕の家族はとてもシンプルなんだ。両親なんかTVのインターヴューを受けてとても緊張していたよ。」

好きな学科は? 「数学」

もしメジャーで優勝したら何を買いたい?
「ドバイに別荘がほしい。とてもきれいなところみたいだから。」(きっとフェデラーのようなライフスタイルを夢にみているかもしれません)

今すぐにでもプロになれるのにならないの?
「プロになるのはまだ3年先。きちんと学校を卒業してから。学校はとても大切だから。」
(どんなに若くてもすぐプロになりたがる風潮のなかで貴重な存在です。遼くんはすでに何億と稼いでますが、いくらでも稼げることが分かっていて急がず慌てずというところが大物。両親も立派です。タイガーもそういえばスタンフォード大中退ですね。)

遼とマテロの二人のティーンネージャーを、伝説のゴルファーとペアリングさせた企画もなかなか面白いものがありました。それもよく似た者同士のペアリングは気が利いてました。

タイガー・遼は取材陣を惹き付ける華やかなで大胆なゴルフ。ワトソン・マテロはシンプルながら奥の深いゴルフ。 マテロは今日は+3で18ホールを終了してT28位です。73人の中でアマチュアは彼一人。遼くんよりも若くしかも初めてのメジャーで本戦入りという偉業を果たしたマテロくん。小さいときからスポットライトを浴び、若くしてプロになった遼くんとは対照的なゴルファーです。この二人が将来どのようなゴルファーに成長するか楽しみが増えました。

マテオくんといい、遼くんといい、ゴルフの世界もテニスに負けずイケメン選手が多いのも嬉しい話。しかも年寄りも若手も面白いキャラクターが一杯です。しかし明日の最終戦は是非とも年寄りの希望の星、ワトソンに勝利してもらいたいと願っています。

ここで忘れてならないのは、残念ながら2位からT14位に落ちてしまったカボーヤ(久保谷)選手です。65、72、75と毎日叩く数が多くなっていますが、最後の踏ん張りで再びリーダーボードへカムバックしてほしと思います。

Let's go カボーヤ!


投稿者 Tennisnakama  06:31 | コメント(9)| トラックバック(0)

ガスケが払ったキスの代償

今年3月にマイアミで尿サンプルからコケインが検出され、アンチ・ドーピング法違反で12ヶ月の試合出場禁止令の処分を受けていたリシャール・ガスケは、明日の今日7月16日から試合に出場することが許されることになりました。

でもまだ一年は経っていないけれど、どうしてこんなに早く出場禁止が解除に?

最悪の場合は2年間出場禁止の判決もありうるドーピングの公聴会は、ロンドンで6月29日・30日の両日に行われましたが、ガスケの言い分がとおり出場禁止処分は2ヶ月半に軽減されることになったのです。

処分軽減の理由は?

ガスケは内気で用心深い性格で、正直な好青年である。(コケインを常用する青年にはみえない)

*コケインが尿サンプルAとBの二つから摘出されたことに大きなショックを受けたガスケは、無実を証明するため、別に独自で毛髪のテストを5月7日に行った結果、コケインは摘出されなかった。(毛髪の場合は長くコケインが長期間残るため)

*3月のソニーエリックソン・オープンに出場のためマイアミ入りしたガスケは、肩に痛みを覚え試合を棄権することを決断。その夜フランス人のDJのいるダンスクラブへ。そのクラブはコケイン常習者が多いので有名。 そこで知り合ったパメラと名乗る女性とキスしたことでコケインが体内に。(パメラがコケインを使用していることを前提)

*ダンスクラブで知り合ったパメラという女性とキスをしたことや、その女性がコケインを使用していたことなどは証明不可能であるが、検出された量がわずかであったことや、周辺の状況からその可能性はあると考えられる。

ガスケの尿から発見されたコケインは、塩粒くらいの少量で、もしテストが数時間後に行われていたら、発見されなかったほどのわずかな量であったこと。

以上の事情を考慮にいれて、12ヶ月の処分は厳しすぎるとの弁護士の意義申し立てが受け入れられ、2ヶ月半と軽減されました。それにしても、もしガスケの話が本当であったとしたら、これはとてつもなく高いキスになってしまいましたね。本当に気の毒です。昔ティーンネージャーのガスケを側で見ましたが、モデルのようにカッコよかったのを覚えています。試合のプレッシャーや日頃のストレスを解消するため、テニスを離れてときにはクラブに行って発散させたいでしょう。イケメンでクールな選手がもてないはずはなく、誘惑も相当なものだと思います。

魅惑的な女性に迫られチュッとキスされたり・・・そんなときでも、”Sorry, I can’t.” なんて、野暮なことを言わなくちゃならないなんて。

これではパーティに出かけても、相手の身元調査から始めなくてはならずシラケてしまうでしょうね。このアンチ・ドーピングルールを決めたおじさんたちは、多分このような楽しい世界に縁のない人たちなんでしょうけど。

つまり私は前々から主張しているように、このアンチ・ドーピングのルールは厳しすぎて非現実的で、選手を不正から救うどころか、ノイローゼにさせてしまうルールのような気がしてならないのです。

5月にドーピングの記事を掲載していますので参照してください。
http://newyork.blog.tennis365.net/archives/article/180986.html#comment

ヒンギスのコケイン使用の処分は2年間の出場禁止という最も厳しいものでした。彼女は上訴しましたが、受け入れられませんでした。ヒンギスは今年の10月1日に禁止解除となりますが、永久的にクロとされてしまったヒンギスは、テニス殿堂入りのチャンスも逃がしてしまいました。彼女はもうカムバックのことは考えてない、と言ってましたがそれは無理もない話です。私は彼女が無実であると信じていますので、この事件はセレスの刺傷事件とともに、テニス史上最大の悲劇だと思っています。

ともかくもリシャール、試合に出場できるようになっておめでとう。あなたはまだ23歳。これからいくらでもやり直しができるのですから、あなたの華麗なテニスを観たがっている世界のファンのためにも、Allez Richard!

そうそう言い忘れてましたが、今度ガスケがコケインで捕まると、一生試合に出れなくなるんだそうです。もう見知らぬ女性とキスができなくなってしまいましたね。それにしてもリシャールはガールフレンドがいないのでしょうか?

投稿者 Tennisnakama  08:18 | コメント(5)| トラックバック(0)

フェデラーとナダルの比較検証

ウィンブルドンはロディックの健闘で感動的な決勝戦となりましたが、それにしてもナダルのいない全仏とウィンブルドンの決勝は寂しいものがありました。フェデラーナダルは性格もプレースタイルも対照的だからこそ、ますます私たちは二人の試合に魅せられるのですが、ここで世紀のライヴァルと呼ばれる二人のテニスに対する姿勢について述べてみたいと思います。題は重々しいですが、つまりフェデラーナダルをプレースタイル以外で比較してみましょう、という軽い気持ちから書いています。

フェデラーは自分のコンディションについては語りたがりません。モノのときは、モノだという病名がわかるまで、フェデラーは調子が悪いことはひた隠しにしてきました。体調が悪くても、決して悪いとは言わず、負けたときでも「体調はすこぶるいいよ」とフェデラーは言い続けてきたのです。 このような発言が多かったものですから、「実はモノにかかっていて、発熱したりして大変なときがあった。」何て後できくと、「じゃ今までのコメントはなんだったの?」という非難めいた声も多く聞かれたことは事実でした。腰の問題もそうですが、一切具体的なことには触れようとしません。このようにして自分の体のコンディションは内密にしておくというのが、フェデラーであれば、逆にナダルはファンの要望に応えるため、膝のコンディションを詳細に伝えています。

この二人の態度の違いは、試合の作戦上の違いとも解釈できます。

怪我を隠すことのメリット:Federer

これは一般の選手がとる作戦で、相手に有利と感じさせないことが目的ですが、フェデラーの場合もしかり。具合の悪いフェデラーであっても、黙っていればフェデラー強しのイメージで相手を威圧できます。
調子の悪いときでも「まさかあのフェデラーがこんなミスを!?」と、つい対戦者は 半信半疑です。勝てそうな試合であっても、つまり尊敬しすぎて負けてしまうのです。

怪我を隠さないことのメリット:Nadal
対戦相手は膝が悪いのだからひょっとしたら勝てるかも、とかすかな期待感をもって試合にのぞみます。これは対戦相手が試合の途中で怪我をしてしまったときの心理と似ています。「相手にハンディがあるから。」こういうときは過去の例が示すように意外に勝てないものなのです。なぜか? 自分に余分なプレッシャーをかけてしまうのです。「ナダルに勝つには彼を走らせるしかない」とワイドにやたらに振ってみたり、ドロップショットをやってみたり、ナダルの膝に気をとられすぎて、自分のテニスを忘れてしまうのです。

デ杯に対するFedererのスタンス
フェデラーが最初にスイスのデ杯チームに参加したのは10年前の1999年。それ以降5年間連続出場していたデ杯を、突如自分のテニスのキャリアに専念したいので、デ杯には参加しないと発表しました。 フェデラーがランキング一位になった直後のことです。結局2004年4月フランスとのQFを最後に、現在に至るまでフェデラーはデ杯には一度も出場することはありませんでした。スイス国民は彼の発言に大きなショックを受け、フェデラーは自己中心で愛国心に欠けると非難しました。私も正直いって彼に失望したことは確かです。同年の2004年2月にランキング一位の座を獲得したフェデラーは、プライオリティーを自分のテニスのキャリアを優先することを決意したのです。そして昨年8月にナダルに一位の座を譲るまで、4年半にわたってフェデラーは一位の座を守り続けたのでした。

昨年8月はランキング一位の座をナダルに明け渡した無念の月でもあり、またオリンピックのダブルスに優勝した栄光の月でもありました。2位への転落という失意のなかで、母国に金メダルをもたらしたフェデラーは、自分のためだけでない大義のために戦う深い喜びと誇りを学びました。「これからは母国のためにデ杯に出場したい」フェデラーはデ杯への情熱を隠そうとはしませんでした。

このフェデラーの言葉を聞いて、私たちは彼を応援するために、今年3月のスイスvsアメリカ観戦アラバマ行きを決行しました。巨大なカウベル。赤地に白十字のスイス国旗のシャツ。ハット。それにスカーフ。さすがパンツまではスイスの国旗ではありませんが、ばっちり決めて、 Hopp Schwiiz! (頑張れスイス!)と張り切って応援するつもりでいたのです。

せっかくアラバマまで飛ぶのですから、狙うは特上席です。発売当日、クレジットカードをしっかり握りしめて、さっそくコンピューターのアラバマの会場サイトにクリック。ところがどうでしょう。5年ぶりにフェデラーのデ杯出場で、チケットはあっという間に2時間で売り切れてしまっていたのです。私たちはチケットを買うことが出来ませんでしたが、1万6千人の観客の中に、何千ドルを払ってフェデラーを観るために飛行機+ホテル代を捻出して、アラバマまで出かけていった人は沢山いるはずです。その人たちの期待を裏切って、フェデラーは直前にキャンセルしてしまったのです。理由は「腰の調子がもうひとつでリハビリに徹したい」ということでした。翻訳すると、「出れない状態ではないが、腰を悪化させるようなことはしたくない」ということになります。

フェデラーのキャンセルは、アメリカのテニスファンに大きな失望を与えたのは言うまでもありません。テニスの記事を滅多に書かないニューヨークタイムズまでが、「フェデラーがデ杯にコミット」という大きな見出しで記事を掲載したくらいでしたから、まさかキャンセルするとは思ってもいなかったのです。http://www.nytimes.com/2008/10/29/sports/tennis/29tennis.html?pagewanted=all
もし私たちがチケットを買っていたら、きっとフェデラーの事情を察してあげるなんて、やさしい気持ちなど吹き飛んでしまって、恨めしい思いでアラバマに飛んでいったと思います。「コミットできないのなら、始めから出るなんて言わないでほしかった。」というのが本音でしょうか。

ここでフェデラーについて批判するつもりは全くありません。しかしフェデラーのテニスに対する姿勢は、このデ杯欠場によく現れていると思うのです。ナダルのデ杯への情熱とは、対照的で興味深いものがあります。デ杯への情熱は、お国柄を反映しているのではなく、個人の価値観を反映していると思います。現にアメリカにおいてはデ杯の興味が薄れてしまっているにも拘らず、ロディックやブライアン兄弟は、自分のキャリアよりも優先させてデ杯にプライオリティーをおいています。

Federerのプライオリティー
フェデラーは今までも出場するといっておきながら、デ杯のときのように、直前にトーナメントをキャンセルすることがあります。AIG オープンのときもそうでした。ストックフォルムやドイツのハーレもそうでした。フェデラーの欠場の理由のほとんどが「疲れているから」というものでした。これは自分の体に余計な負担をかけて怪我をしたくない、という彼のモットーが貫かれています。

ファンの立場としては、薄っぺらい財布から大枚を払って彼の試合にコミットするのですから少々疲れていても出場してほしい。大会主催者としては、出場する可能性が少しでもあれば、チケットの売り上げのためにも、フェデラーに出場すると言ってもらいたい。フェデラーとしては、体の調子がよければ参加するが、無理してまでは参加したくない。三者三様の立場があって複雑です。

しかし複雑な状況の中でも、フェデラーのプライオリティーはいつもシンプルで明確です。「怪我をしないために最善の努力を払う」多くの選手が怪我でキャリアを断念したり引退していく中で、彼の健康管理に対する厳しい自己規制には驚くばかりです。何しろあの魅力的な女優のキーラ・ナイトリーとのディナーも、試合があるからと断ってしまったのですから。サフィンだったら、夕食だけでなくディスコまで付き合って夜更かしをしてきたに違いありません。

ファンがキャンセルをしたと怒ろうが、大会主催者に泣きつかれようが、スイスの国民からデ杯欠場で愛国心に欠けると非難されようが、ガンとして自分のプライオリティーを通してきたのは見事です。よい例が、今年のモンテカルロのマスターズです。彼のメジャーなスポンサーであるローレックスが主催者であるにも拘らず、欠場すると発表。ソニーオープンに錦織選手が「ちょっと体調に自信がないから」といって断るようなものです。もちろんこれはフェデラーであるからできるのでしょうが、自分の体調を最優先する信念を貫いたプロフェッショナリズムの真髄をみる思いがしたのです。(結局、大会直前にフェデラーは出場することになりましたが)

Nadalのプライオリティー
彼のファンに対するサーヴィス精神はすばらしいといつも感心してしまいます。大会前のプラクティスの後に群がる百人近いファンの最後の一人まで、丁寧にサインをして、気がつくと彼一人が残っていたということがよくあります。

ファンのために、スペインのために、自分の膝を二の次にして戦ってきたナダルは、自分、ファン、スペインの3者の願いを同時に満たすことが、彼のプライオリティーであったように思います。その3者には順序がつけられない。しかしそれは不可能であることを、今回の膝の故障で学んだのではないでしょうか。

「自分で間違いだったと気づかない限り、いくら忠告しても意味がない。」
ナダルのダイエットのいい加減なことに対するトニーのコメントを思い出します。つまり今回の膝の件でも「本人が自覚しなければ意味がない」トニーはナダルにそのことを知ってもらいたかったのかも知れません。トニーコーチはメディアに2年ほど前に、ナダルの膝はかなり重傷でもう戻れないかもしれないと爆弾発言をしたときがあります。そのときナダルはあわてて別に記者会見を開いて、あれはおじさんの思い過ごしで僕の膝は何でもない、とトニー発言を否定したことがありましたが、この二人のちぐはぐな発言は不可解でした。しかし今から思えば、いくら周りが止めろと忠告しても、自分の体に対する過剰な自信から、ナダルは無理をしてきたのではないかと思います。

Get your priorities straightとよく英語で言いますが、これはプライオリティーをはっきりさせるという意味です。今回の膝の故障はナダルにとっては辛いレッスンだったと思いますが、長い選手生命をたもつためにも、これからは「自分の健康管理」を最優先させてくれると信じます。

二人の試合を観戦できる日を楽しみに、Hopp Roger! (Hoppはpが二つ並びます)、Vamos Rafa!

(訂正のお詫び)
2004年以降は一度もフェデラーがデ杯に出ていないというのは間違いでした。ワールドグループからヨーロッパ/アフリカ・ゾーンに落ちてしまった9月のプレイオフには出ておりました。ワールド・グループに焦点を絞っていましたので、うっかりとプレイオフのことは忘れておりました。大変失礼しました。(汗)


投稿者 Tennisnakama  11:52 | コメント(16)| トラックバック(0)

テニス川柳最終回

金曜から日曜までのわずかな期間でしたが、テニス川柳の企画に参加していただきありがとうございました。200余の作品が寄せられ嬉しい悲鳴をあげながら、3回にわたってその一部を発表させていただきました。

これからもTwitterの方で#tennispoemをつけて、続けていきたいと思います。
http://twitter.com/#search?q=%23tennispoem でテニス川柳のUpdateしますのでご覧ください。

この相手 だけは負かすぞ 彼女連れ korikorio
テニス道とは 敗れることと 見つけたり fresco
いえのなか コートのなかでも 愛フォーメーション 種丸
ブレイクで ブレイクアウト 錦織圭  falstelo
ひるがえる 衣に隠れて 毛並み良し Hammer_K
気分はナダル スマッシュしたら 肩脱臼 nonbirhythm
深い球 打って前進 止まれない kentomo
ラケットの 値段に見合う 腕ほしい shiro_gohan
セリーナの 髪型真似たら 大爆発 tubup
サフィーナの 眉間のシワに 胸痛む tubup
ブレークが ブレイクされた ややこしい mihokok
難球も ロジャーなにげに ぱっしんぐ  mihokok
カルロビッチ ロジャラファマレー 皆別格 mihokok
難球も ロジャーなにげに カウンター  mihokok
ナイスサーブ 入っただけで もう満足  yama333
フェデラーを 生観戦を 夢見つつ  yama333
グリップを まわすくせだけ フェデラー風  yama333
レフティーの サーブ返せる プロはすごい! yama333
イケメンの 勝負は任せて スペインさ! bluetti 
ラファよりも スポットライトの 猫走り bluetti  
ラファの穴 背負って見せよう ベルダスコ bluetti 
怪我を押し 国を背負って 勝ち目指す  bluetti
楽しいな Rafaviviさんと 掛け合い川柳  bluetti
Rafaさんの アイコン変わり なお惹かれ!  bluetti
口に負け ジャンケンに負け 試合負け   bluetti
いい場面 ストリーミングは コマ送り suimu
セット間 うっかり眠り 起きた朝   suimu
負けました!? 皆の熱意と 睡眠時間 pinkrafa
いつ寝るの? 画面見るたび メッセージ pinkrafa
ラファ吼える! 録画ばかりを くり返し  pinkrafa
メンタルが レンタルできりゃ ラファ貸して  pinkrafa  

hal51jpさんからは100以上の川柳をいただいています。短期間にこれだけ多くの川柳がよめるとは、たいした才能です。しかし残念ですが、紙面の関係ですべて紹介できませんが、残りはTwitterをごらんください。
http://twitter.com/#search?q=%23tennispoem

by hal51jp
賞金ない デビスカップは 名誉だけ
フェデラーを ひれ伏せさせるの ミルカだけ
モーレスモ 羨ましいな 怒り肩
傷癒えて 三十路のハース 大暴れ
ブレークが ブレイクしたんだ ややこしい
ヒューイット 嘉門(かもーん)達夫は 知り合いか
クルム伊達 ライジングショットは だてじゃない 
杉山愛 婚期逃して 記録なす 
何したの ロディック再生 ステファンキ 
怒ったの コーチが本気で 打ち返す 
素振りして フォーム矯正 夜の窓
プロテニス 選手になりたや 美人妻
芯食った 今日一サーブが なぜレット
クズネツォワ への字の眉毛 般若顔 
マッケンロー 悪童あらため 好々爺 
四十肩 腕が上がらず アンダーサーブ 
おばちゃまの 技巧派ダブルス あなどれぬ 
初心者に ドロップショットか 空気読め 
フォールトと 言ってはみたけど まじ微妙 
年取って だんだん増えてく サポーター
勝負どこ ダブルフォールト 自己嫌悪 
両手打ち 腰がボキッと 鳴り激痛
ホームラン 野球だったら いいのにね
無茶振りが たまたまエース 大爆笑
1年も ガットが切れない? 練習せい 
この相手 だけは負かすぞ 彼女連れ
素振りして 電球割って ガラス浴び
WOWOWで 柳の解説 あら探し
ラファが好き ほんとはイケ面 みんな好き
取れないよ 当たりそこねの ドロップサーブ
飽きもせず 投稿しては 呆れられ 




投稿者 Tennisnakama  23:18 | コメント(15)| トラックバック(0)

テニス川柳・中間発表(2)

シルバー川柳に刺激されて、テニス川柳の企画を立てたところ、いろんな方から実に想像豊かでユーモラスな川柳を沢山いただいています。これからもテニス川柳は続けていきたいと思いますので、Twitterやブログでいつでも寄稿してください。

さて、中間報告第(2)77作品をお届けします。順序はランダムです。
(なお、才能あふれるhal51jpさんの作品は、寄稿していただいた川柳が圧倒的に多いのでひとまとめにして次回に掲載させていただきます。)

テニス川柳
カモン、来いや、の息子にムカっ (yotsumizo)
ずっとミス ラストポイント のみ決める (mifua)
圭くんの はみパンチェック ついしちゃう (ゆっく)
アウトでも ストレス発散 スマッシュ練習 (lovesally)
負けたのは メンタル弱さ ほんとかな? (nana)
2位ならば いいじゃんナダル ノースリで (michiking)
1セット らくらく取ると 後怖い? (bananan877)
はげた芝 つわものたちが 夢のあと (bananan877)
録画機器 買い換えたのに ラファ不在 (bananan877)
アリアスに クリックスタイン バセットか (falstelo)
アガシの子 いつかは親を 超えるかな (falstelo)
汗だくで 化粧崩れが 気になりて (falstelo)
この一球は 無二の一球なり by修造 (falstelo)
雨降るな 屋根が付いたら 雨よ降れ (Suimu)
ごくたまに 魔球打ちます フレームで (mifua)
ドロップは 予期せぬときしか できません (kentomo)
明日こそ 足腰使った テニスしたい (kentomo)
伊達さんと 同じラケット 使ってます 気持ちだけは チャレンジャー (kentomo)
フェデラーに カップ取られて もらい泣き (Rafavivi)
マッケンロー 昔悪童 今賢老  (Rafavivi)
ロディックの 頑張りすぎで 遅刻をし (ちどり)
ロディックに あやかりたいと やせがえる (ちどり)
ロディックに 勇気づけられ 三浪生 (ちどり)
ラファなくて 何のおのれが 全米かな (ちどり)
ラファのため 戦術を練る ちどりかな (ちどり)
スコアだけでは わからないドラマ そこにあり (sanchi34)
もうやめて 心臓に悪いよ でも観たい (sanchi34)
時止まり たまらない刹那 マッチポイント (sanchi34)
記憶には 敗者が残った 名勝負 (sanchi34)
このマッチョ お寿司の力だ 参ったか (sanchi34)
青い空 きらめく芝に 白ウエア (sanchi34)
世界一 美しい緑 芝の色 (sanchi34)
トロフィーよ うらやましいぞ キスされたい (sanchi34)
パパ取るよ ロンドン五輪 金メダル (sanchi34)
引き締まる サーブの静寂 心地良い (sanchi34)
時差ボケだ 日本時間に 戻れない (sanchi34)
起こされた 鮮やかなショット 魅せられて (sanchi34)
受け取るが やはり洗濯 リストバンド (sanchi34)
額には 一筋の髪 光る汗 (sanchi34)
ライン際 ジャッジでわかる ひととなり (with-rafa)
チャンスボール 作ったつもりも 敵三人(with-rafa)
まだ辞めぬ いつかは ラファとダブルスを (with-rafa)
負け試合 いつも心に ラファエルを  (with-rafa)
シルステア チャクペターゼに ハンチェコバ (koriorio)
キリレンコ ウォズニアッキに ハンチェコバ (koriorio)
向こうより 広いぞネットのこちら側 (koriorio)
ラケットの かわりにボール 叩きつけ (mihokok)
ラファを見て 亭主の顔見て ロジャー見て (mihokok)
ロジャー見て 旦那の顔見て 鏡見る (mihokok)  
バークレー 行きたし軽やか 我が財布 (mihokok)
ラファよりも スポットライトの 猫走り  (bluetti)
ラファの穴 背負って見せよう ベルダスコ  (bluetti)  
怪我を押し 国を背負って 勝ち目指す (bluetti)  
イケメンの 勝負は任せて スペインさ! (bluetti)  
楽しみだ twitterひらくと テニ川柳 (bluetti)
姉妹での 勝負のあやは 気の強さ (らふぁらふぁ)   
イメージは ナダルかロジャー 足もつれ (らふぁらふぁ)
ロディックよ そのひたむきさ むくわれる (らふぁらふぁ) 
テニスだと 時間に遅れる ことはなし (ponsuke)
仕事では なるはずもない 腱鞘炎 (ponsuke)  
テニスだと 時間に遅れる ことはなし (ponsuke)
仕事では なるはずもない 腱鞘炎  (ponsuke)
仲間だと 信じた私が バカだった  (ponsuke)
走っても 走っても走っても 走っても (ponsuke)
海外に 行ってもないのに 時差ボケさ (ponsuke)
ファンサイト 自動翻訳 意味不明  (ponsuke)
この際だ 英語フランス語 スペイン語 (ponsuke)
ナダル君 あなたのバモースが 見たいのよ (ponsuke)
オーライ!と 言ってもかまえる パートナー (pinkrafa)
汗の量 超えて補給の ビールかな?!  (pinkrafa)
メンタルが レンタルできりゃ ラファ貸して♪ (pinkrafa)
ビデオみて 人の振り見て 己見ず?! (pinkrafa)
くるくると まわしてみたい グリップを (pinkrafa)
相手見て コース狙って ボール見ず(空振り!?)(pinkrafa)

英語でSenryuをつくってみました。

after drenched in sweat
commended as a good fighter
finally hot flash worth something (tennisnakama)

これを訳して狂歌にすると:
「汗だくで 健闘したねと 褒められて やっとほてりの 益にホクホク」

(解説: hot flashとは更年期障害のほてりのことで、コートで走りまわらなくても汗だくになっている中年女性をよくみかけます。)

投稿者 Tennisnakama  04:42 | コメント(6)| トラックバック(0)

テニス川柳・中間発表(1)

テニス川柳を!の呼びかけにどっと作品がすでに150点以上集まりました。この企画はコンテストではありませんので、いただいた川柳はすべて公開させていただくという方針で、今日はとりあえずその一部のテニス川柳をご紹介します。

順序はランダムです。何作も寄稿してくださった方々は残りは2部でご紹介したいと思います。それにしても皆さん、才能ありますね。では大いに笑ってテニス川柳をお楽しみください。

なおまだ日曜まで募集していますので、どんどんチャレンジしてください。

テニス川柳

ジョコビッチ、人の真似ならチャンピオン (shundora)
リターンエース、ほんとはただの、振り遅れ (mifua)
ワイドにエース ほんとはセンター狙ったが (koriorio)
チャレンジ!と 言いたくなるような相手のジャッジ (koriorio)
ボレーなら、重なり合えるの 貴方と私 (aibabachan)
フォーメーション なんで当るの 貴方のお尻 (aibabachan)
ラケットの かわりにタオル 叩きつけ (mihokok)
ラファを見て 亭主の顔見て ロジャー見て (mihokok)
来世こそ ロジャー様とと 夢みても 英独仏とも 会話出来ず (mihokok)
力み過ぎ チャンスボールが ホームラン (Suimu)
調子乗り ネットに出ては パスされる (Suimu)
だんごなど 誰も言わぬか 今ベーグル (falstelo)
フィジカルが カギになります 観る側も (kdmytk)
キャリアなら「フェデラー」にも勝つ!!へぼテニス  (たき)
ウィンブルドン 賞金いくらと 娘が皮算用 (AtagoYama)
たんざくに 娘はテニス選手と 願をかけ (AtagoYama)
昔レンドル 今フェデラー どんなに似てても腕同じ  (AtagoYama)
友人の 寛容さにも きりがあり  (asanokaoru)
試合中 普段と違う プレイなり (beachmonkie)
試合中 外野の声に 耳ダンボ  (bluetti)
ドロップショット 姑息な技は 人をみて  (bluetti)
そりゃないよ ラケットの方向と 玉の行方  (bluetti)
2セット目 取られた!しまった! わたしのせい?  (bluetti & rafavivi)
いつまでも 観ていたいけど 明日がつらい (tubup)
同い年 ダテの二の腕は しまってる  (tubup)
全米に そなえてテレビも デジタル化!?  (tubup)
うん、うん 生返事後悔 観戦後 (sanchi34)
ドロップショット ハイご苦労さん ほくそ笑む  (sanchi34)
耳ふさぎ パソコン閉じて いざ録画  (sanchi34)
ライスコの 数字だけでも ドキドキし  (sanchi34)
ウザイけど あ・え・てWOWOW 癖になる  (sanchi34)
気になるよ ファミリーボックス 美人度が  (sanchi34)
さわやかな 試合後の握手 ジェントルマン  (sanchi34)
炎天下 手首のとこだけ 白くなり (hiroki71)
うなり声 だけはプロの 選手並み  (hal51jp)
渾身の ツイストサーブで 腰痛め  (hal51jp)
ランニング ショットで壁に 体当たり  (hal51jp)
ダブルスで 相棒直撃 マイサーブ  (hal51jp)
コーチ泣く 球出しレッスン 股間直撃 (hal51jp)
ロブあがり スマッシュ空振り アウトでほっ  (hal51jp)
ナダル萌え パンツの食い込み 直す癖 (hal51jp)
股間抜き 試して睾丸 強打する (hal51jp)
サンプラス ちりちり御髪(おぐし)ゴマイナス  (hal51jp)
ファンキーで ステキなコーチ ステファンキ (Rafavivi)
愚作なら 任せておいて テニス川柳 (Rafavivi)
ラファナダル ああラファナダル ラファナダル  (Rafavivi)
ラファナダル あなたのせいで 夫婦不和 (Rafavivi)
サーブよし アプローチよし ボレーでミス (takeshou)
スピンロブ 打ったつもりが 足下へ   (takeshou)
ウィリアムス 姉妹のつもりで 膝痛め  (ariri0902)
Fed の真似 ball 見続け 相手見ず  (TAROger)
やめてくれ、ラケット使うの、布団タタキ  (juntomasa)
ラファデフォで やる気喪失 家事手抜き (pinkrafa)
サービスは エースかダブリ 運まかせ   (pinkrafa)
ロブあげて、逃れたつもりが おとなりに (asanokaoru)
ライジング あげたつもりが おとなりに (asanokaoru)
無理するな 何度も夫に 念押され  (asanokaoru)
リサ・ボンダー バンジにバセット テメシュバリ (falstelo)
エドバーグ いつのまにやら エドベリも (falstelo)
届くはず イメージ先行 球は先  (falstelo)
シングルス 五球ほど振られ 息あがる  (falstelo)
男子より 「雄」叫び似合う 女子セレナ (m_ito)
プレーより 気になるダスコの ニューヘア  (m_ito)
屋根付けた ウィンブルドンに カラっ梅雨  (らふぁらふぁ)
我が王子 ナダルの居ない グラスコート  (らふぁらふぁ)
そんなはず ないとつぶやく、ビデオ見て  (anan)
ナイスカバー、やっぱりスカすと 分かってた?  (anan)
前日に 作戦練るも  技量なし (nana)
この時期は 誰もがなりきる フェデラーに  (nana)  
いいですねー ほめられるのは 素振りだけ (masumint)
ナイスアレー 打った自分が 驚いて  (masumint)
仕掛けては 策に溺れて ミスをする (pinkrafa)
待ち受けの ラファの写真に 話しかけ  (pinkrafa)
ロブあげて 球あがらずに 顎あがる  (pinkrafa)
ダビデンコ 尻に敷かれて 屁も出んこ (Rafavivi)
空振りの、ダンクスマッシュ、照れ笑い (tennisnakama)
糞! Shit!, Schei〓e! Merde! の捨て台詞 (tennisnakama)
(くそ! シット! シャイゼ! メルデ!の捨て台詞)
20-year marriage,
thought we lost our love game,
it came back with 0-40.     (tennisnakama)

  
投稿者 Tennisnakama  12:17 | コメント(5)| トラックバック(0)

テニス川柳にチャレンジしませんか?

日本には敬老の日というのがあったのですね。なかなかいいですね。世界にも広げていただきたいコンセプトです。

さてTwitterで、この敬老の日にちなんで、全国有料老人ホーム協会が募集する「シルバー川柳」コンテストなるものを知りました。

過去8年間の入選作品を読んで身につまされながら爆笑してしまいました。

すらすらと嘘が言えますボケてない (静岡県 78 歳男性)
夫より三歩前行く老後かな (和歌山県 59 歳女性)
おんぶした子をリストラでまた背負い (福岡県 78 歳男性)
徘徊と噂されて散歩を止め (高知県 68 歳男性)
妻が書く老後の計画俺イナイ (宮崎県 42 歳女性)
体力が落ちても押せる横車 (静岡県 80 歳男性)
健康に粗食が合うと手抜き妻 (埼玉県 62 歳男性)
飲め飲めと差し出されるのは薬だけ (愛知県 19 歳女性)
「愛してる」じじの返事は「馬鹿言うな」 (東京都 77 歳女性)
聞くたびに話が違う「若い頃」 (神奈川県 64 歳男性)
年金にボーナス無いのと孫が聞き (埼玉県66歳男性)
あちこちの骨が鳴るなり古希古希と (千葉県 71 歳男性)
千の風きいて買おうか迷う墓 (北海道 46 歳女性)
転んでは泣いてた子が言う「転ぶなよ」 (京都府 44 歳女性)
驚いた(惚)ホれると(惚)ボけるは同じ文字 (静岡県 82 歳男性)
あの世ではお友達よと妻が言い (石川県 64 歳男性)
来世も一緒になろうと犬に言い (神奈川県 56 歳女性)

楽しいですね。そこで思いついたのが「テニス川柳」

このコメント欄に傑作、駄作、単作、乱作、発作でも何でも結構。テニス川柳を書いてみませんか? 

Get out of your comfort zone! の精神で何事も挑戦です。

締め切りは日曜日です。 楽しみにしてますよ♪♪ 




投稿者 Tennisnakama  14:12 | コメント(10)| トラックバック(0)

ラリー・ステファンキ

ラリー・ステファンキは元アメリカンフットボールのQBのジョン・ブローディ(義理の兄)のアドヴァイスを座右の銘にしています。

“Get out of your comfort zone.” 「自分の心地よいゾーンから出なくてはならない」

「カンフォート・ゾーンを出てみなければ、真の自分のテニスのレベルは分からない。ロシアに行く。ヨーロッパに行く。アフリカに行ってみる。いろんなところで劣悪ボールを打って、凸凹のコートでプレーして、ひどいアンパイアのもとで戦って初めて、自分がどれだけプレーできるのか分かってくる。アメリカのジュニアは適切なアドヴァイスを受けていないように思う。ソフトすぎるんだ。」

ロディックのコーチになった直後、2009年1月にニューヨークタイムズでステファンキはこのように語っています。
http://www.nytimes.com/2009/01/19/sports/tennis/19stefanki.html

ジョン・マッケンロー(米)、カフェルニコフ(ロシア)、リオス(チリ)、ビヨークマン(スウェーデン)、ヘンマン(英)、ゴンザレス(チリ)と世界各国の選手を育てあげたステファンキは、厳しい環境で必死にトレーニングをしてきた選手たちと共に歩んできました。

ロディックは確かにステファンキがコーチに就任して以来、プレースタイルが変わりました。それだけでなくコートでの態度も大きく変わりました。自分の得意でないテニスに挑戦する。彼の変化のカギは、この“Get out of your comfort zone.”ではなかったかと思うのです。

コーチのインタービューを見つけるのは至難の技ですが、ウィンブルドン決勝の二日前に行われたコーチ・ステファンキのインタービューが見つかりましたのでご紹介します。

2009年7月3日準決勝ロディックvsマレー戦の直後に行われたインタービューで、ステファンキの素顔を知るめずらしいインタービューとなっています。
insidetennis.comのインタービューより要約
http://www.insidetennis.com/2009/07/world-exclusive-larry-stefanki-interview/

Larry Stefanki
Q: これからフェデラーとの決勝ですが、フェデラーとの対戦記録は2勝18敗ですね。
ステファンキ:今まで20回対戦していて、この試合が21回目になるから、1から始まる新しいスタートと考えればいい。アンディがロジャーと最後にウィンブルドンで戦ったのは2005年で、これはとっくの昔の話だ。だから今回は全く新しい00の対戦成績と考えてフレッシュなスタートだ。

Q:アンディのコーチイングは最もやりがいがありますか?
ステファンキ: Yes, yes.

Q: 彼はよい生徒ですか?
ステファンキ: よい生徒だ。頑固だけれどね。チャンピオンとしての素質に恵まれている。彼がチャンピオンとなるのに時間がかかっているが、今そのページを一枚一枚めくりながらたどり着こうとしているところだ。アンディーはよくいうことを聞くし、よく吸収している。彼のテニスは健全だし、彼を観ているのは楽しいよ。こういったことが大切なんだ。

Q: アンディは冷静でパニックになることがなくなりましたね。
ステファンキ:これはよく彼に話してることなんだ。今まで38のGSの試合に出ているのに、まるで初めて出るような感じじゃないか、ってね。ベストサーヴァーなんだから、コートに出たらもっと自由な気持ちでエンジョイするべきだ。もっと体をゆったりとリラックスさせてね。誰もがミスをする。でもアンディーは自分に厳しすぎるんだ。でもこの数ヶ月でアンディーの態度は変わったよ。

Q: トム・ストーは今日のアンディをみて喜んでいるでしょうね。(Tom Stowはステファンキに、テニスの基本を徹底して教えた伝説のコーチ)
ステファンキ:いろいろ技術的な弱点はあるけれど、僕はあまり技術的なことはアンディには言っていない。細かいことよりもテニスの基本である「思考のプロセス」に焦点をあわせてきた。

皆が彼のバックハンドがまずいと言っているが、7ヶ月間バックハンドのリターンを練習したおかげで、ずいぶんとリターンゲームがよくなった。新しいバックハンドをマスターするために、筋肉が記憶するまで何度も打つ必要があった。球が200kmくらいの速さでやってくるので、考えている時間はないからね。マッスルメモリーにたよるしかないんだ。

トム・ストーはいつもテニスは効率だと強調していた。つまり下半身はアンカーなんだ。もしアンカーがふらついていたら、次の球は打てない。アンディはそのことを今まで考えたこともなかったらしい。でも彼はとても賢いから、効率よいテニスをしようとしている。

Q: 彼は今までのすべての経験が実って期待できそうですね。
ステファンキ:アンディはデ杯で勝って、GSも優勝している。彼はすばらしい選手で今までの経験が実ってこようとしている。それにリラックスできるようにもなった。コートの中では昔のロディックはなく成熟した選手の姿がある。僕はそんなロディックをとても誇りに思っているよ。彼は今まで何年もメディアやファンのハイプの渦中にあって冷静になれなかった。でも僕は何度も彼に言い聞かせた。
「自分にとって静かで心が安まるスペースを見つけなければならない。そしてそれに身をまかせることだ。」

Q: マレーとの準決勝では、ブレークポイントをセーヴして、一段とステップアップしたようですが。
ステファンキ:バックハンドのリターンがフォアハンドよりもよくて、かなりこれで救われた。

あとはボディーサーヴ(サーヴが速くて身をかわすことがむずかしい)。今までは両サイドに47%のサーヴでボディーサーヴが6%しかなかった。20%くらいボディーめがけたサーヴをやってネットダッシュするべきだ。そしてあとはヴォレーだ。最初は苦手なヴォレーでも打っていれば好きになる。そうすればヴォレーを打ちたくなってくるものだ。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


このインタービューはフェデラーとの決勝の前に行われたものです。ロディックはステファンキの期待に応えて、決勝ではバックハンドのダウンザラインでウィナーをとりまくり、ボディーサーヴをガンガン打ってフェデラーのリターンゲームを撹乱しました。フットワークも軽く、スウィングもコンパクトでシャープさが増しました。

ロディックの最も大きな変化は、あの冷静で落ち着いた態度です。決勝戦ではロディックはまるで修行僧のようでもありました。

今まで幾人ものコーチのもとで、何度もトライしたにも拘らず実践できなかった数々のことが、どうしてステファンキのもとで、すべてが突然形をなしてきたのでしょうか? 私はその答えはブルックリンだと思うのです。

ロディックを変えた人たち:ブルック(妻ブルックリン)
私たちは何かと言えばすぐ技術や作戦に勝因を求め、心の支え、無条件のサポートの大きさを忘れがちです。サンプラスが勝てない辛い2年間を経て14個のタイトルをとることができたのも、献身的な愛情を捧げつづけた愛妻ブリジットの存在があったからです。フェデラーもミルカの献身的なサポートがあってこそ、15のタイトルの偉業を成し遂げられたのです。

恋愛、婚約、結婚によって、ロディックが大人になりました。あのバッドボーイから成熟した男に成長したロディックは、初めてテニスというスポーツが分かりかけてきたのではないでしょうか。

「僕は負けても悲しくないよ。多くの人たちの夢を僕は生きるているのだから。」

ステファンキの説くテニスの基本「思考のプロセス」を理解し始めたロディックに、ぜひ彼の夢を実現させてほしいとおもいます。

Go Andy!




投稿者 Tennisnakama  23:37 | コメント(14)| トラックバック(0)

ロディックを変えた人たち:ステファンキ

ここでロディックの今までのランキングを振り返ってみたいと思います。

2003年8月
US Openに優勝(ロディックは当時4位)

2003年11月
初めて1位に。しかし9週間後に2位へ落ちる。

2004年2006年 
2位から3位へ

2006年6月26日
ジミー・コナーズをコーチに雇う
しかしランキングは下降線をたどり、3位から6位へ

2008年3月
コナーズ辞任。デ杯キャプテンのパトリック・マッケンローがアドヴァイザーになるが、しばらくコーチ無しとなる。

2008年12月
ラリー・ステファンキがコーチに就任
このときのロディックは9位にまで転落。

2009年7月現在
ウィンブルドン決勝、惜しくもフェデラーに敗れる
現在のランキング6位

ジミー・コナーズは、ロディックのフルタイムのコーチとしてツアーに参加することに最初から躊躇していました。家族と共に過ごす時間が少なくなってしまうからです。一方ロディックの方もフルタイムでツアーを共にまわってもらわなければ、肝心な試合のときのアドヴァイスがもらえません。このように二人の要求が噛み合ず、22ヶ月続いたコナーズのコーチングは2008年3月に友好関係を保ちながら終止符を打ちました。

ロディックはすでに26歳。彼の夢はグランドスラムのタイトル。しかし2008年の5月以来肩の故障で、シンシナティのマスターズも棄権せざるをえなくなり、ランキングも最悪9位まで転落してしまいました。

このときに、婚約者だったブルックリン・デッカーに正直に打ち明けて相談しました。「このままタイトルをとれないで、駄目になっていくかもしれない。でも僕はもう一度トライしてみたい。それでもいいかい?」

ブルックリンはスーパモデルです。彼女のキャリアもあります。しかし一線で活躍するブルックリンはロディックの気持ちが痛いほど理解できました。「よし、やろう!」ロディックは彼女の大きな愛に支えられて、もう一度新しいコーチを迎えてやり直すことに決心したのです。

その頃、ラリー・ステファンキ(51歳、アメリカ人)は、チリの選手のフェルナンド・ゴンザレスのコーチとして、大きな成果をあげていました。しかしロディックがステファンキにアプローチしているのを知ったゴンザレスは、ステファンキにとっても大きなチャンスとなると分かっていましたので、快くステファンキをロディックに譲ったのでした。

ステファンキは選手時代のベストのランキングが35位の転々と小規模のツアーをまわるいわゆるジャーニーマンの選手でした。しかし同世代で友だちのジョン・マッケンローのコーチをし始めて以来コーチングに目覚め、カフェルニコフとマルセル・リオスの二人をNo.1にすることに成功。今では世界のコーチのベスト10に入る名コーチに数えられています。

さて、ステファンキがロディックのコーチに就任したのは2008年12月。ロディックが変わった! 約7ヶ月間に何がロディックに起こったのでしょうか? 

ロディックがステファンキに会ったときに宣言しました。
「I’m all yours!」「僕は何でも言うことを聞きます!」

ステファンキはさっそく命令しました。
「それじゃ、さっそく15ポンド減らしてもらおうか。」
当時は200ポンド以上のヘヴィー級だったロディックは慌てて抗議しました。
「そんな!それは無理ですよ。僕が痩せていた21歳のときの体重なんだから。」
しかしステファンキはそしらぬ顔で言いました。
「だから君は21歳のときにUS Openで優勝できたんだよ。」

ウィンブルドン準決勝で、アンダードッグだったロディックがマレーに勝ち、決勝ではフェデラーに5セットのフルセットまで迫りました。私たちにとっては意外なロディックの活躍でしたが、ステファンキにとってはトレーニングの当然な結果だったようです。

ではどのようなトレーニングだったのでしょうか?

次回はマレー戦直後に行われたステファンキのインタービューを紹介したいと思います。

投稿者 Tennisnakama  10:30 | コメント(11)| トラックバック(0)

ロディックが変わった!コナーズ時代

ウィンブルドン決勝で5セットの死闘のバトルを展開、フェデラーに最後までブレークを取らせなかったロディックは世界のテニスファンに感動を与えました。

ロディックが強くなった!

軽いフットワーク、過激なオフェンス、華麗なネットプレー、前後左右をフルに使った立体的テニス、相手に予測させない意外なショットメイキング・・・そして最も驚いたのは、ミスをしてもパニックに陥らない冷静な態度。この新しいロディックに世界は新鮮なショックを受けました。今回はロディックがどのように進化していったのか? 前コーチのコナーズと現コーチのステファンキの二編にわけて、ロディックについて迫ってみたいと思います。

コナーズ時代のRoddick
2年前のUS Openで、ロディックのコーチであったジミー・コナーズのとなりにすわって観戦したことがありましたが、このときのロディックと今年の決勝で見たロディックは全くの別人でした。

ロディックのテニスは、サーヴを基本にした一面的なゲームが弱点とされていました。彼の武器である爆発的なサーヴも、最近は選手が慣れてきたせいもあって威力が薄れ、サーヴィスゲームだけでは勝てなくなってきていました。
重いフットワーク、予期されやすいショットメイキング、貧しいネットプレー・・・ロディクのテニスには改善される余地が山積していたのです。

今まで両手バックのトップスピンしか打てなかったロディックに、コナーズが片手バックハンドを徹底的に叩き込みました。しかしフェデラーのように、このバックハンドスライスをアプローチショットまで使いこなすことはできず、ネットプレーは未完全のまま。ネットダッシュのタイミングや立つポジションが悪くパッシングショットで抜かれてしまう。宿題を多く残しながら、コナーズはスケジュールの関係でロディックのコーチを辞任してしまいました。

2年前の試合で観たロディックは、ポイントごとにコナーズを見上げて、彼の承認を得てるようなところがありました。絶えずコーチボックスを気にしてプレーしていますので、勝っていても自信がないような印象を受けます。しかもうまくいかなかったときは怒鳴り散らしたり、アンパイアに食いついたり、あまり紳士的とはいえない態度で正直言って、コート内のロディックは私は好きではありませんでした。

コートの外では、現役の選手の中では最も慈善事業に積極的に参加した一人として、彼の貢献度は高く評価されてきました。エルトン・ジョンがロディックの結婚式になぜパーフォーマンスをやってくれたか? それは長年エルトンジョンのファンドレイジングのイヴェントに参加して協力してきたからです。ロディックの独特のスパイスのきいたジョークは面白く、テニス界にカラーを与える貴重な存在で、私はコート外のロディックには好感を抱いていました。

コナーズがロディックに与えた影響は、バックハンドスライスの他に観客を取り込む技術です。コナーズのテニスの面白さの一つに、観客に向かってけしかけるショーマンシップがあります。会場を自分の味方にする。この技ではコナーズの右に出る者がおりません。ときどき調子にのったツォンガが客席に向かって、呼びかけていますが、ツォンガはコナーズに比べれば子供のレベルです。

観客に話かけるのはよいのですが、集中力が途切れます。しかもアンパイアにケチをつけることが多くなりました。錦織選手が初めてロディックと対戦した時のロディックの態度は最たるものでした。子供のような年齢の錦織選手に対して、脅す、ケチをつける、そしてアンパイアにくってかかる。あの試合を観て私は煮え返るように腹が立ちました。ロディックは元No.1の選手です。元チャンピオンの醜態をみて、テニスファンはロディックに痛く失望しまた怒りを覚え、ロディックバッシングがブログで行われたことは言うまでもありません。

コートの外では明るい好青年のロディックが、コートの中ではなぜバッドボーイに豹変するのか? バッドボーイと呼ばれたコナーズのコーチのもとで、ロディックはミニコナーズになってしまったような印象を受けたのです。

あの錦織選手とのサンホゼの試合から一年5ヶ月が経ちました。

(次回はステファンキをコーチに迎えて、ロディックがどのように変化していったか? ロディックの進化について述べてみたいと思います。)


投稿者 Tennisnakama  01:12 | コメント(6)| トラックバック(0)

タイトル15の意味

冬期オリンピック開催地で避暑地として有名なLake Placidから昨夜マンハッタンに戻ってきました。

夫はハイキング、息子と私はゴルフを目的に木曜から日曜までの4日間を楽しく過ごすことが目的だったのですが・・・連日豪雨、風、冷気という最悪の天候。しかしせっかく休日をとり6時間ドライヴしてきたのですから、我々3人はそれぞれの目的を果たすために決行。びしょびしょで震えながらのゴルフは、ストレスがたまる一方で、二日目は途中の12ホールで断念してしまいました。

皮肉なことに、私たちがいなかったニューヨークは晴天に恵まれ、最高の天気だったとか。

フェデラーおめでとう!
フェデラーが15のタイトルを獲得しちゃいましたね!  ATPはホームページ一面を使って祝辞のデザインでなかなかしゃれたことをしています。

federer15

ATP ホームページ



私たちはホテルで観戦をしましたが、芝のテニスらしく、二人のエースを合わせると何と77。 決勝にふさわしい試合でしたが、ラリーが少なくて、ちょっぴりエースがうらめしくもありました。

フェデラーは最後までロディックのサーヴィスゲームをブレークすることができず、どうしてよいのか分からない、といった感じのリターンゲームでしたが、辛抱強くチャンスを待ってここぞというチャンスを逃さずポイントへ。さすがフェデラーでした。しかし勝敗はどちらに転んでもおかしくない試合だっただけに、ロディックにとっては断腸の思いだったでしょうに。彼の無念な気持ちをおもうと胸が熱くなります。

あれほど大変だったタイトル14に比べて、以外にあっさりと15の記録が破られてしまいました。今回のタイトル15は全仏のような盛り上がりに欠けましたが、No.1に返り咲き、赤ちゃんの誕生も間近に控えて、フェデラーはまさに世界一の幸せ男ですね。

サンプラスの気持ち
決勝に駆けつけたサンプラスの心中は複雑なものがあったと思います。

ウィンブルドンといえばサンプラス。1993年以来、1996年を除いて毎年優勝を勝ち取ってきたサンプラスは、 圧倒的な強さで芝の王者を誇ってきました。クレーで言えば、無敵のナダルのような存在だったのです。フェデラーは今回の優勝で、ウィンブルドンは6タイトルとなりますが、サンプラスの7タイトルの最多の記録はまだ破られていません。

サンプラスは2001年にフェデラーに敗れて以来、ウィンブルドンのタイトルはなく、引退した2002年にはランキング145位の無名の選手に2回戦で敗退するという屈辱を味わいました。ナダルがフレンチオープンで2回戦で敗れることを想像していただければ、彼の屈辱の大きさが理解していただけると思いますが、その苦い思い出があるだけに、今まで招待を受けても頑としてウィンブルドンには戻ろうとしませんでした。しかし自己の記録を破るかもしれないフェデラーのために、サンプラスはカリフォルニアから飛んできたのです。

サンプラスのとなりにはロッド・レイヴァー。そしてその隣にビヨン・ボルグ。ジェネレーションを代表する王者たちが並ぶあのロイヤルボックスに、いつかはフェデラーも座る日が来るのですね。その世代交替の日まで、歴史に残る名試合を堪能できる私たちは本当にラッキーです。

無念、ロディックの涙
今年のロディックは、フェデラーに勝てるほどの力量とメンタルの強さを見せながら、またもや優勝のチャンスを逃してしまいました。新しいコーチ、ステファンキのもとで、減量し、トレーニングに励み、目を見張るように強くなったロディックだっただけに残念でした。私は別にロディックのファンではありませんが、やはり今回は彼に勝たせてあげたかった。

2003年にフェレロを破ってUS Openに優勝したロディックは弱冠21歳。ファッションもトレンディーでまるでロック歌手のようにクールなロディックは一躍スーパスターになりました。しかしアメリカの期待を一身に背負ったロディックは、いつまでたっても2度目のGSタイトルをとることもできず、ファンは失望して彼を見放してしまったのです。

「アメリカは今まで偉大な選手を生んできているから、サンプラスやアガシのような選手でないと満足できないんだ。トップ10では駄目なんだよ。」

「僕は肩の具合がよくなくてどうしようかと迷っていた。 焦りもあったし、完治しないうちから試合に出てみたが結果は最悪だった。そのときブルックリン(今の妻)に正直に打ち明けたんだ。このまま駄目になるかもしれないけど、それでもいいかいって。」

ロディックはブルックリンの愛に支えられて、肩の治療に全力をそそぎ、新しいコーチのもとで、もう一度テニスに賭けることにしたのです。決勝戦にみせたあのファイターのロディックに多くのテニスファンは感動したと思います。全仏で肉ばなれの足を引きずりながら、アンダーサーヴでレンデルをやぶり、どんなに不可能な状況でも決して諦めることなく、ついにエドバーグを破って優勝してしまったマイケル・チャンを思い出します。(結局GSタイトルは全仏の一つだけでしたが、チャンが全世界に与えた感動は計り知れなく、テニス殿堂入りを果たしました。)

どんな球でも必死に追いかけるロディック。セットを落としても落胆せず、ひたすらフェデラーに向かって攻めていくロディック。転んでも立ち、フェデラーのウィナー(107)とエース(50)の嵐に果敢に戦う姿は崇高でさえありました。

最後には無念の涙をチラッと見せましたが、あとはサンプラスに「記録を破られないようにがんばったんだけど、ごめん」とユーモアをとばして観客を笑わせたロディック。負けてグタグタ文句を言ったり、口惜しくて泣いたりする敗者のことをSore Loserと呼びますが、ロディックフェデラーを讃え、サンプラスにも配慮する真のチャンピオンでした。

もしも・・・
単純に私たちはタイトル数だけで選手を評価しがちです。しかしもしフェデラーが存在しなければ・・・と仮定すると、どれだけ多くの選手たちが彼の15個のタイトルをシェアできたか? 彼の同時代の選手はある意味で不運でした。

もしもフェデラーがいなければ・・・
ロディックは4回もフェデラーから優勝を逃しています。もしフェデラーがいなければ・・・あと1つや2つはとれていたかもしれません。
2004年 Wimbledon
2005年 Wimbledon
2006年 全米
2009年 Wimbledon

もしもナダルがいなければ・・・
ロディックにとってフェデラーがタイトルの厚い壁であったように、フェデラーにとってはナダルが大きな障害でした。過去5回もフェデラーは決勝でナダルに優勝を譲っています。もしナダルがいなければ・・・以下のタイトルはフェデラーのものになっていたかもしれません。そうするとすでにタイトルは20となります。
2006年 全仏
2007年  全仏
2008年  全仏
2008年 Wimbledon
2009年 全豪

今回のナダルの2度のGS欠場は、「もしもナダルがいなければ・・・」のシナリオが現実に起こってしまったのです。

タイトル15は健康管理の勝利
全仏に続き、ウィンブルドンのドローは、大きな壁であったナダルの欠場によってフェデラーに有利に働いたことは事実です。かといってフェデラーの勝利をラッキーだったということで片付けてはならないと思います。今まで大きな怪我もなく故障もなく、健康管理を徹底させたフェデラーであったからこそ、この機会を有利に導く事ができたのです。フェデラーの15タイトルの偉業は、技、メンタル、作戦、体力、サポート集団の総合力の勝利であるとともに、健康管理の勝利であったと思います。

それにしてもナダルのいないテニスは寂しいですね。

投稿者 Tennisnakama  02:38 | コメント(35)| トラックバック(0)

スポーツ観戦にみる日本

信じられないことを平気でやるのが、ネットワークという怪物放送局。NBCはかたくなにフェデラーの試合にこだわり、ついに生放送をやらずに録画を流したのです。ちょっと考えられないことですが、ライヴで母国選手のロディックが戦っているというのに、NBCはもうすでに終わってしまっているフェデラーvsカーロヴィッチを放送しました。あの試合はサーヴィスゲームのつまらないゲームで、フェデラーの熱狂的なファンならまだしも、今日の試合のハイライトであるロディックvsヒューイット戦を全く無視するなんて! 

ロディックでは視聴率は稼げない。フェデラーナダルでなくては!」
 
多分テニスのわからぬプログラミングの担当者のアイデアなのでしょう。全くテニスファンをバカにした放送に激怒しながら、仕方なくストリーミングを探していると、でてきました。WOWOWの放送が出てきたのです。

という訳で以下の3試合を同時に観戦することにしました。
TV:アメリカ解説でフェデラーvsカーロヴィッチ戦 (録画)
WOWOW:日本語解説でロディックvsヒューイット戦(ライヴ)
BBC:イギリス解説でマレーvsフェレロ戦(ライヴ)

しかし画面は観れても音は3試合など同時に聞けるわけがなく、適当にオンにしたりオフにしたりしながら観戦していましたが、3カ国放送を観ていて面白いことに気づきました。アメリカとイギリスとの違いはほとんどなく、解説のスタイルも似ていますが、日本語解説は全く異質なのです。

アメリカとイギリスの解説は、マッケンロー、ナヴラティロヴァ、ヘンマン、ベッカーなどの往年の伝説的な選手が解説していますので、お国柄というより、彼らの経験に基づいた話が聞き所となります。つまり語り手の豊富な知識とパーソナリティで視聴者を惹き付けていくのです。試合の面白さを倍増するための解説なのですから、当時の話、選手のエピソード、作戦の分析などをたくみにブレンドしながら解説してくれます。冗談をとばしながら試合の邪魔にならないように、タイミングよくコメントが付け加えられます。マッケンローなどは脱線のエキスパートで、あっちこっちに話が飛びますが、それがかえってトーナメントを身近にしてくれるのです。

日本では解説者にGSや世界のトップで活躍した経験が欠けるため、どうしても感覚が私たちに近くなっていると感じました。つまりインサイダーではないので、立場が私たちと同じ観客になってしまっているのです。それは解説というよりも感想に近い感覚です。それに感嘆詞がやたらと多いことに気づきました。

「今のはすごいかったですね!」
「いや見事でした!」
「さすがです!」

傑作だったのは、ロディックのエースの度に、「入ったア!」の歓声。(誰がみても入ったのは分かります)

またヒューイットに対して、「今日はヒューイットはワーッといいませんね」(ワーってカモーンのこと?)

この前のロディックvsメルツァー戦でも面白い会話をやってました。

アナウンサー:ロディックのボールを判定するラインマンは大変でしょうね。
解説者:そうですね。ボールが速くてよくみえないでしょうね。(こんな当たり前のことは私でも言わない)

しかし、他の解説者は、別の試合で丁寧に作戦や技術を説明してくれていたように記憶していますので、一概にこのスタイルの実況放送ばかりとは言えないようですが、それにしても固い。ワイワイと言いたい放題で、ジョークをはさみながら、楽しませることに徹して編成されたテニス番組を見慣れている私にとっては、ちょっと息苦しいのです。

解説の話から外れますが、日本をよく知るあるアメリカ人から質問されたことがあります。

「野球などはものすごく楽しく応援団と一緒に観戦するのに、テニスの応援はなぜあんなにおとなしくなってしまうのか?」

私はこのように答えました。
「日本は組織社会ですので、組織されたものに乗っかってやればどんな応援だってできます。大声をあげることなんて平チャラです。でも他の誰もがやらなかったら、恥ずかしくてできない。つまり個人単位の任意行動はむずかしいです。」

面白いエピソードをご紹介しますね。もう4年ほど前の話ですが、ヤンキーズの観戦に来た日本の観光客グループの隣に座ったことがありました。びっくりしたのが全員がゆかた姿。子供も赤ちゃんも家族全員がまるで盆踊りのようにゆかた姿なのです。そしてアルファベットでM、A、T、S、U、Iと書いた団扇をそれぞれふりながら、黄色い声でま・つ・いと応援しています。周りもすざましい彼らの応援ぶりにあっけにとられていました。まさに「皆で一緒にやると怖くない!」

かと思うと毎年おとなしい日本人がたくさんUS Openにやってきます。特に昨年は錦織選手の出場に、日本人がどっと観戦に押しかけました。でも圭君がせっかく戦っているのに、皆シーンとしています。これはいかん!さっそく応援団長を買って出て、周りに座っていた観客を総動員して、Let’s go NISHIKORI! の音頭をとりました。そうするとどうでしょう。結構皆のってきてくれます。対フェレール戦で5セットまでもつれ込んだときは、もう絶叫にちかい必死の応援で、恥や外聞を書き捨てて盛り上がりました。誰かが音頭をとってくれれば、熱狂しちゃうこともできるのです。でも一人じゃできない。

「あの応援があったから勝てたんです。」嬉しいことを圭君が記者会見で言ってくれました。私もスポーツ観戦の醍醐味を圭君のおかげで味わうことができました。ありがとう!今年も圭君を精一杯応援しますよう!


話がいろいろ飛んでしまいましたが、今日のTwitterの一部をお届けします。

【Dog Fight】
乱戦模様の泥試合のことをDog Fightといいますが、レイトン犬とアンディー犬は最後まで諦めず、彼らが本当の犬だったら、血を流して息を絶えるまで戦うんでしょうね。5セットは今44で2犬どちらも譲らず。

【タッチは母親から】
マレーはスペインに行くまでは、母親のコーチのもとで女性テニス(ソフトなタッチ)を習得。これが彼の武器となっていることは明らかで、今日のパワーテニスへのアンチテーゼとして面白い。「勝利の陰に女あり」アンディーvsアンディーの勝敗は?ヒューイットの予想はAMの勝利

【避暑を選んだイギリス人?】
不思議なことに、フェデラーの試合は超満員だったセンターコートがマレーのときには3分の2くらいに減ってしまいました。考えられないことですが、イギリス人は熱くて蒸し暑いのに弱いのだそうで、とても2試合を続けてみてられないとか。それにしても意外に冷たい。

【マレー def フェレロ
第2セットの2度目のブレークで完全にモメンタムがマレーにシフト。そこから立ち上がれなかったフェレロにストレートで快勝したマレーは、「今日は昨日の屋根つきのコートのときと違って、サーフェスが速かったので助かったよ。サーヴがよく決まったからね。」

【敗者の言葉】
ハースに負けたジョコヴィッチ:ハースがもの凄くアグレッシヴにくるのは分かっていたけど、大切なときにステップアップして攻められなかった。固くなってしまったんだ。もしハースのサーヴがよければ、SFのフェデラー戦もいい線いけると思うよ。ハースは芝ではパーフェクトな選手だよ

ハース def ジョコヴィッチ】体のほとんどを故障させ、辛い長い期間テニスができなかったハース。特に2002年の肩はカムバックが危ぶまれるほどのケガだっただけに、ハースへの激励の応援は熱いものがありました。ハーレですでにジョコを破っているだけに自信はあったとか。31歳であっぱれ

【敗者の言葉】
フェデラーに負けたカーロヴィッチ:フェデラーのリターンは信じられないくらいすごかった。いくら僕が作戦を変えるとかして頑張ったとしても駄目だね。彼は誰よりもうまい。それだけのことなんだ。

フェデラー def カーロヴィッチ】
「彼はつまらない選手じゃない?」(パターンが同じカーロヴィッチをさして)「そんなことないよ。彼のヴォレーとの組み合わせのテニスは観戦するのはエキサイティングだよ。今日は実によい試合だった。」とフェデラーは3セットストレート勝ちで大満足。




投稿者 Tennisnakama  12:23 | コメント(22)| トラックバック(0)

孤高の勇士 ヴァヴリンカのすべて

ウィンブルドン4回戦、マレーとヴァヴリンカの試合は、5セットにもつれこみ4時間にのぼる激戦となりました。マレーがポイントをおさめるごとに会場の観客は総立ち。拍手と声援の嵐に、ヴァヴリンカはまるでイギリス孤島に流された一匹兵士のようでした。

ウィンブルドン優勝の73年の悲願を前に、イギリス人の熱狂的な応援は、センターコートにこだまして会場が割れんばかり。母国の期待に応えてマレーは、プレッシャーにもめげず、2-6, 6-3, 6-3, 5-7, 6-3で勝利をおさめました。

若干22歳になったばかりのマレーのメンタルの強さは驚くべきものがありますが、最後まで四面楚歌のイギリス孤島で雄々しく戦って敗れたヴァヴリンカは、彼の華麗なバックハンドとともに、多くのテニスファンに感動を与えました。フェデラーの後継者と言われながら、いつもフェデラーのシャドーを歩いてきた男。あのはにかんだような笑顔の童顔のヴァヴリンカに、今日はスポットライトを当ててみたいと思います。

Stanislas Wawrinka スタニスラス・ヴァヴリンカ

年齢と国籍
1985年3月28日生まれの24歳。スイス人。ランキングは現在18位。ベストは9位。

母国語
スイスのフランス語圏のローザンヌに生まれ、母国語はフランス語。スイスドイツ語は話せないので、フェデラーとはフランス語でコミュニケート。

名前の呼び方
母親はスイス人だが、ポーランド系のドイツ人を父にもち、Wawrinkaをドイツ語読みにしてヴァヴリンカと発音する。(ドイツ語ではWがVの発音になります)
ニックネームは、名前を簡略してStanスタン。

家族
Wolfram父 とIsabelle母はバイオダイナミックの農園に携わり、ハンディキャップの子供たちに農作を教えている。 兄はテニスのコーチ。二人の妹がいる。

居住地
ローザンヌから16km離れたSaint-Barth〓lemy

学校
プログレッシヴな教育で知られるルドルフ・シュタイナー・スクールを卒業。(卒業後15歳からテニスに専念)「他人を批判することなく平和を愛す」教育精神が影響しているためか、いつも穏やかな人柄でしられる。

得意なショット
「現役の中では、最もパワフルでベストな片手バックハンドの持ち主」とマッケンローが絶賛。

金メダル
2008年の北京オリンピックで、フェデラーとダブルスを組んで金メダルを獲得したのは有名な話。

ガールフレンド
4年間付き合っている10歳年上のIlham Vuilloudと同居中。彼女はTSR放送局のアナウンサー。

wawrinkafriend

Photo by blick.ch



趣味
ゴーカートに夢中。対戦相手だったマレーも皮肉なことにゴーカートクレージー。



投稿者 Tennisnakama  05:24 | コメント(11)| トラックバック(0)