2009年05月12日
ドーピング問題:ガスケのコケイン使用について
ドーピングのルールが今年から改正になり、ドーピングテストのために、毎日の居所を知らせなければならなくなってから、選手の反対も多く(ナダル、クズネツォヴァなど)ルールの見直しが叫ばれてきている現状を、『新アンチ・ドーピングルールの波紋』で紹介しました。
今回はフランスのプリンスと呼ばれているリシャール・ガスケRichard Gasquetが、3月に行ったテストで、尿検査のサンプルAとBの両方の結果がコケイン使用と判定され、テニスのトーナメント出場が禁止されてしまいました。このニュースは世界に大きなショックを与え、新たにアンチ・ドーピングのルールに対して波紋を投げかけることになりました。
ガスケ自身はコケインの使用を否定して、LABで行った髪の毛のテストではコケイン使用が認められないことを理由に、無実を主張していますが、どのようにこれから弁護士を雇って戦っていくのか、今後の動向が注目されます。
ガスケのケースは、無実だと訴えながら、ついに証明できないでテニスを止めてしまったヒンギスのケースと酷似していて胸が痛みます。なぜヒンギスが途中で止めてしまったのか?これは弁護士を雇い、多額な弁護士料金(何千万円という額)を払って、長い年月をかけて法廷で争わなくてはならず、精神的ストレスも大変なものがあることを彼女自身が過去の経験(イタリアのテニスシューズ会社を訴えたケース)でいやというほど味わっているからです。もちろんヒンギスがコケインをやったのかもしれませんが、私としては、ドーピングテストの厳しさを知りすぎているトップクラスの選手が、選手生命のリスクをかけてまでコケインをやることは、自殺行為で非現実的だと思うのです。
ではサンプルの判定に間違いの可能性はあるのでしょうか?
サンプルAとBで確認された結果をくつがえすのは、大変むずかしいのですが、他のラボでテストをやり直すことを要求することもできます。しかしもし結果が同じく黒と判定されれば、この尿のサンプルがガスケのものでないこと、または誰かがサンプルに故意に異物を混ぜたこと、などを立証しなくてはならず、ほとんど無実を証明することが不可能になります。
コリアのケース
アルジェンチンのコリアが今年27歳で引退しましたが、2005年にドーピングテストでステロイドの使用ありと判定され、トーナメント出場が7ヶ月停止されました。しかし彼は飲んだ健康ドリンクに混じっていたものが原因だとして、そのドリンク会社を訴え、2年間の法廷での闘争の結果示談となりました。体の故障も引退の原因でしたが、このドーピング違反の争いで精神的ダーメージが多く、引退の大きな原因になりました。
クズネツォヴァのケース
2005年、クズネツォヴァはベルギーのエクジビションで Ephedrine がみつかり黒と判定し、「クズネツォヴァがドーピング」のニュースが世界に流れました。彼女はそのとき風邪をひいていて、飲んだ風邪薬の中に含まれていたものですが、WTAのトーナメント中ではないので、Ephedrineはドーピングに適用されないとし、クズネツォヴァが無実であることが立証されました。
カニアスのケース
2005年アカプルコ大会で、カニアスのサンプルからhydrochlorothiazideが含まれていて黒と判定され、2年の出場停止が下されました。しかしこの物質は調査の結果、トーナメントドクターからもらった風邪薬に含まれていたことが判明。しかしルールには薬の中に含まれる物質を知っておくのは選手の責任として、法廷で争った結果、停止期間は15ヶ月に軽減されましたが、カニアスはこの出場停止で、弁護士料8千万円やスポンサーの収入の激減で何億円というダメージを受けました。当時ランキングが12位のカニアスでしたが、 出場停止処分のためランキングは514位まで下がってしまいました。
1984年にスポーツ調停裁判所Court of Arbitration for Sportがスイスのローザンヌに設立されて以来、持ち込まれたケースは約800件もあるそうです。
これらケースの中には、風邪薬のようにちょっとした選手の不注意や、気づかず飲んだドリンクに入っていたケースもあり、そのために選手生命を絶たれてれてしった選手もあると思います。クリーンなスポーツ界確立のために、このような厳しいアンチ・ドーピングルールの中で戦っている選手たちに、大きな拍手をおくりたいと思います。
(追記)
これからガスケはまず60日間の間にhearingを受けます。この間は無実であろうと出場禁止です。ですからフレンチオープンの出場は不可能になりました。hearingの結果下された判決が黒だとすれば、2年間の出場禁止となります。彼がこの検査を受けたときは、肩の故障でマイアミ大会を欠場していています。これはあくまでも私の推理ですが、そのときに飲んだ薬に含まれていた可能性もあると思います。しかしもしその疑いがあるなら、ガスケはそれを実証しなくてはならず、これから猛烈な勢いで彼は無実を証明するために、証拠収集に奔走しなければなりません。ガスケ自身は全力を尽くして無実を証明したいと言っていますので、祈る気持ちで見守りたいと思います。
今回はフランスのプリンスと呼ばれているリシャール・ガスケRichard Gasquetが、3月に行ったテストで、尿検査のサンプルAとBの両方の結果がコケイン使用と判定され、テニスのトーナメント出場が禁止されてしまいました。このニュースは世界に大きなショックを与え、新たにアンチ・ドーピングのルールに対して波紋を投げかけることになりました。
ガスケ自身はコケインの使用を否定して、LABで行った髪の毛のテストではコケイン使用が認められないことを理由に、無実を主張していますが、どのようにこれから弁護士を雇って戦っていくのか、今後の動向が注目されます。
ガスケのケースは、無実だと訴えながら、ついに証明できないでテニスを止めてしまったヒンギスのケースと酷似していて胸が痛みます。なぜヒンギスが途中で止めてしまったのか?これは弁護士を雇い、多額な弁護士料金(何千万円という額)を払って、長い年月をかけて法廷で争わなくてはならず、精神的ストレスも大変なものがあることを彼女自身が過去の経験(イタリアのテニスシューズ会社を訴えたケース)でいやというほど味わっているからです。もちろんヒンギスがコケインをやったのかもしれませんが、私としては、ドーピングテストの厳しさを知りすぎているトップクラスの選手が、選手生命のリスクをかけてまでコケインをやることは、自殺行為で非現実的だと思うのです。
ではサンプルの判定に間違いの可能性はあるのでしょうか?
サンプルAとBで確認された結果をくつがえすのは、大変むずかしいのですが、他のラボでテストをやり直すことを要求することもできます。しかしもし結果が同じく黒と判定されれば、この尿のサンプルがガスケのものでないこと、または誰かがサンプルに故意に異物を混ぜたこと、などを立証しなくてはならず、ほとんど無実を証明することが不可能になります。
コリアのケース
アルジェンチンのコリアが今年27歳で引退しましたが、2005年にドーピングテストでステロイドの使用ありと判定され、トーナメント出場が7ヶ月停止されました。しかし彼は飲んだ健康ドリンクに混じっていたものが原因だとして、そのドリンク会社を訴え、2年間の法廷での闘争の結果示談となりました。体の故障も引退の原因でしたが、このドーピング違反の争いで精神的ダーメージが多く、引退の大きな原因になりました。
クズネツォヴァのケース
2005年、クズネツォヴァはベルギーのエクジビションで Ephedrine がみつかり黒と判定し、「クズネツォヴァがドーピング」のニュースが世界に流れました。彼女はそのとき風邪をひいていて、飲んだ風邪薬の中に含まれていたものですが、WTAのトーナメント中ではないので、Ephedrineはドーピングに適用されないとし、クズネツォヴァが無実であることが立証されました。
カニアスのケース
2005年アカプルコ大会で、カニアスのサンプルからhydrochlorothiazideが含まれていて黒と判定され、2年の出場停止が下されました。しかしこの物質は調査の結果、トーナメントドクターからもらった風邪薬に含まれていたことが判明。しかしルールには薬の中に含まれる物質を知っておくのは選手の責任として、法廷で争った結果、停止期間は15ヶ月に軽減されましたが、カニアスはこの出場停止で、弁護士料8千万円やスポンサーの収入の激減で何億円というダメージを受けました。当時ランキングが12位のカニアスでしたが、 出場停止処分のためランキングは514位まで下がってしまいました。
1984年にスポーツ調停裁判所Court of Arbitration for Sportがスイスのローザンヌに設立されて以来、持ち込まれたケースは約800件もあるそうです。
これらケースの中には、風邪薬のようにちょっとした選手の不注意や、気づかず飲んだドリンクに入っていたケースもあり、そのために選手生命を絶たれてれてしった選手もあると思います。クリーンなスポーツ界確立のために、このような厳しいアンチ・ドーピングルールの中で戦っている選手たちに、大きな拍手をおくりたいと思います。
(追記)
これからガスケはまず60日間の間にhearingを受けます。この間は無実であろうと出場禁止です。ですからフレンチオープンの出場は不可能になりました。hearingの結果下された判決が黒だとすれば、2年間の出場禁止となります。彼がこの検査を受けたときは、肩の故障でマイアミ大会を欠場していています。これはあくまでも私の推理ですが、そのときに飲んだ薬に含まれていた可能性もあると思います。しかしもしその疑いがあるなら、ガスケはそれを実証しなくてはならず、これから猛烈な勢いで彼は無実を証明するために、証拠収集に奔走しなければなりません。ガスケ自身は全力を尽くして無実を証明したいと言っていますので、祈る気持ちで見守りたいと思います。
投稿者 Tennisnakama 23:25 | コメント(28)| トラックバック(0)
もしガスケに黒の判決がでれば、彼にとって立ち上がれない決定的打撃を受けることになります。2年間の禁止だけでなく、スター選手であっただけに、あまりの屈辱さに耐えきれずヒンギスのように引退しまう可能性が大ですね。悲しいことですが。
去年のウィンブルドンの対マレー戦で2ゲーム先取からひっくり返されての敗戦以降、マレーの大活躍に反して、今ひとつ精彩を欠いていたので、心配していました。
事実に反するならば無実をどうか証明して、早く戻って来て欲しい。フランス勢トップのスター選手として、また彼の活躍を見たい・・・ただそれだけです。
ガスケの事件はヒンギスに続く悲劇です。もしもガスケが無実と分かっても、傷ついた評判はもとには戻りません。
コケインのドラッグテストについて調べてみましたが、コケインと断定するのは、benzoylecgonineが尿に含まれているかどうかで判定するのですが、コカの葉が入ったティーを飲んだ場合とか、肝臓、腎臓、糖尿病などを患っている人とかからも検出されることがあるそうです。バクテリアの感染をなおすAmoxicillinなどがbenzoylecgonineをうむ引き金となることもあるらしく、確率としては99%判定できるが、1%の間違いもあるということです。ガスケがこの1%に属していることを願うばかりです。
ガスケは今のマレーの位置にいてもおかしくない選手・・・。今年はぜひ頑張って欲しいと思ってました。ガスケの今の心境を考えると、なんと言ったらいいのか判りません。選手の日常生活の大変さを改めて考えさせられました。1%の間違いにに属している事を願います。そしてそれが証明される事を祈ってます。
素人考えで的外れかもしれませんが、錦織のウィンブルドンへのワイルドカードでの本戦インの可能性ってないんですかね・・?
ドーピングが報じられると多くの場合私たちはドーピングをしたと疑われている人の無実よりも、ドーピングを判定した機関を信用してしまう傾向にないですかね。確かに科学は事実を見極めるのに有効な手段だと思いますが、これくらい禁止物質が多く、tennisnakamaさんがおっしゃっているように根拠があるのか効力があるのか考えさせられる物も検出項目に入ると、私はいつかスポーツの振興にブレーキがかかる気もするのですが... マスコミは選手を疑うのが先で、判定機関を疑わないですもの。ガスケが無実だとしたらマスコミはその名誉回復に尽くすかというと可能性はゼロに等しいし... ホントにこんなことでいいのかなぁ。
錦織選手がクウィーンズクラブのWCをもらいましたよ!
クマ太郎さん、
もう少し現実的なアンチ・ドーピングのルール改正を願っています。これでは選手がかわいそう。
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