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Tennisnakama in New York 世界にテニスの輪を広げたいと願っています。元レポーターのTennisnakamaが、ホットな情報やめずらしい話を、ニューヨークからどんどんお届けします。自由にリンクしてください。(記事はすべて〓tennisnakama.comとなっておりますので、無断掲載はご遠慮ください)

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AIGオープンは会場分散で超不便

今日もまた雨のようですね。
コートが3つのロケーションに分かれて試合が行われるようですが、これってコート間を自由に移動できないので、事実上、以下の3つのロケーションに決めなくてはならず、金返せといいたくなりませんか? それに「ご迷惑をおかけしますが、」といったお客の不便さへの心遣いがありません。
以下は 火曜日のAIGオープンからのお知らせです。今日のお客さんにいたく同情します。

「AIGオープン2008は、本日雨天のため3会場で開催されています。
COURT C は有明コロシアムセンターコート、
COURT 1, COURT2はナショナルトレーニングセンター、
COURT 3, COURT4は慶應大学屋内テニスコートを示しています。
COURT C以外は会場内で観戦・取材をすることはできません。」

今日、JTAの有料会員になりました
アメリカではライヴの無料streaming配信は受けられないと思いましたが、420円寄付のつもりで入会です。10時からテニスしてみます。

以下は日本におけるTV放送予定です
GAORAの放送予定
9月29日(月)
9月30日(火)
10月1日(水)

NHKの放送予定
10月2日(木)準々決勝
10月3日(金)準々決勝
10月4日(土)準決勝
10月5日(日)決勝




投稿者 Tennisnakama  07:27 | コメント(14)| トラックバック(0)

錦織、日清食品と契約

ウォールストリートの株暴落の不安な今日一日でしたが、錦織選手にとっては嬉しいホヤホヤのニュースが入りました。IMGから直接入手です。

nissin



28日に日清食品と契約を交わした 錦織選手は、アディダスのテニスウェアの袖に、写真のようなNissin のロゴのパッチがつけられることになりました。

このパッチは早速火曜日からつけられるということですので、初戦から Nissin のパッチの入った錦織選手に注意してみてください。

錦織選手からのコメントです。

「日本で最も有名な食品会社、日清食品と契約できたことを嬉しく思います。子供の頃からラーメンは大好きでしたし、今は世界をツアーしていますので、日清の麺類を重宝しエンジョイしています。ダイエットはアスリートとしてはとても重要な要素で、テニスプロの成功のカギともいえます。

このたび日清からダイエットや栄養に関するアドヴァイスとサポートをいただけることになりました。彼らの協力とサポートによって、これからますますベターな選手となって世界の人々の励ましとなれるようがんばりたいと思います。」

アメリカでは日清のカップヌードルは、どこのスーパーでも手に入るほど庶民に馴染みの深い食品となっています。契約金のほどはさだかでありませんが、これからどんどん広告に錦織選手が登場してくるのは間違いないことで、彼の人気が一般的になればなるほどテニス界にとってグッドニュースです。新しいパッチをつけて、カップヌードルで元気をつけて頑張ってよい成績をあげてほしいですね。

投稿者 Tennisnakama  05:06 | コメント(3)| トラックバック(0)

AIG 初日、現地レポ

月曜のDay1の現地レポをmw特派員からいただきました。
(コメント欄にいただいたのですが、記事として掲載させていただきました。)

Report by mw

皆様、つたない感想リポ、失礼致しましたm(__)m
29日、の生感想引き続きコメントします。

添田選手vsデリック
大事な最後のあと1Pがどの場面でも取れませんでした。
ラリーはミスしないのにそこからの展開で勝ちパターンへ持ち込めない。
そこが残念な点でした。

☆杉田佑一選手vs鈴木貴男選手
経験の差から、試合巧者の鈴木選手が推し進めていた1セット目。
この流れで2セット目も行くかと思われましたが、緊張の取れた?ビビっていた固さの取れた?杉田選手が、土壇場に追い詰められて、力を発揮しました。
大先輩を向こうに廻した華麗なスルーパス。かっこよかったです!!
将来の可能性を感じさせてくれました。
鈴木貴男選手は、1ショット1ショットに思いがこもっていて、プロとしてのプライドを感じます。
こういう選手は、本当に好感が持てます。さすが、日本選手を引っ張ってきた第一人者ですね。

☆岩渕選手vs李亨沢
なんだか覇気のない、凡庸な試合だったように思います。柔道で言うなら、どちらにも教育的指導。そんな感じです。
ギリギリで勝負しに行き1Pをもぎ取る、という気概が感じられなかったのが残念です。

☆イボ・ミナルvsミーシャ・ズベレフ
雨のおかげで『今日の大一番』という格好になりました。
正直、『これこそプロの試合』と言える、お金を払っても損はない!そんな思いを抱かせる試合でした。
ランキングも似通っていて、文字通り実力伯仲。
どっちも一歩も引かない展開で、見ているこちら側も目が離せません。
前の試合に比べショットもスピード感あるし、きちんと勝つために試合に臨んでいる、その気持ちが表れていました。
そしてどっちに転んでもおかしくない試合。タイブレークもまさに必然。
どちらのプレーにも心から拍手を送りました。
こういう選手ならまた来年も来て盛り上がる試合をして欲しいです。

以上が私の生観戦の率直な感想です。
TVを通してでは伝わりにくい、選手の思い・気合が、実際に見に行くとわかるので、とてもよかったです。

スケジュールがハードなので、毎日毎日見るのは本当にシンドイですね、Tennisnakamaさん。選手も体力勝負ですが、見るほうも体力勝負だとおもいました。

Tennisnakamaより:
mwさん、臨場感あふれるすばらしいレポートの数々をありがとうございました。US Openは炎天下の下で、16のコートをカメラを持って駆け回るのは、いかに大変だったか分かっていただけて嬉しいです。これを10日間やった後はいくらタフなTennisnakamaでもさすがにダウンしましたが。

私のブログは、いわゆるプロとよばれる解説者と一線を引く、テニスファンからの視点を中心とした広場でありたいと思っていますので、まさに私の意図をかなえてくださっているのが、今までの特派員の方々です。テニスを心から愛する気持ちが伝わってきます。

皆さんも大会を観戦されたら、レポよろしくお願いいたします!

投稿者 Tennisnakama  04:26 | コメント(2)| トラックバック(0)

AIG SUNDAY 報告!

嬉しいです!mw特派員がさっそくAIG SUNDAYの現地レポをしてくださいました! 

Report by mw特派員

AIG SUNDAY に行ってきました。

錦織くんのおかげで、ものすごい盛況でした。
(というのが、去年このイベントに来ていない私でもわかるくらい、それくらいの盛り上がりでした。)

つい撮るのを忘れましたが、自由席の開場待ちの列が入口前から裏のスペースまで、そして裏の通りの上の歩道橋まで繋がるほどの、人人人・・・これ皆、錦織くんが見たい!というお目当ての人たちだったとおもいます。(自分を含めて。)

公開練習を始める前のフォトセッションへの報道カメラマンの集まり方も尋常ではありませんでした。去年来た方の話によると、今日の観客数は、去年の決勝準決勝クラスだとおっしゃっていました。

(写真)中村藍子選手とベルギーの選手の公式公開練習前です。

aigsun1



(写真)錦織選手が司会の方の質問に答えているところです。

aignishikori1



他の練習試合の様子は、小雨が降っていたり、試合に夢中だったりして撮りそびれました。

写真でもわかるように、錦織選手の出ているときと出ないときでは、観客席の埋まりぐらいが全然違う!ということでしょうか^^;

錦織選手と添田選手の練習試合は、かなり本気モード。
お互い練習といえど、負けたくない!という負けず嫌いの気概が見えました。お互いの持ち味を出した、良い練習試合だったとおもいます。

確か4ゲームずつのサービスでの練習試合でした。(※練習試合のゲーム数はうろ覚えなので、当てになりません。正確でなくてすみません。)どちらのポイント先行でも8ゲーム目の勝敗により勝利が決まる、という経過で、結果添田選手の勝ち。錦織選手は、今一歩調子がつかめず?というような印象でした。

次に伊達選手と森田あゆみ選手の2ゲームずつのサービスゲームの練習試合。伊達さんの切れ味鋭いきれいなウイニングショットが印象的でした。

そして、スペインチーム(ダビド・フェレール&トミー・ロブレド)vs日本チーム(鈴木貴男&岩渕聡)のダブルスの試合。マスケンさんの解説がとてもおもしろく、いろいろなハプニングがあったり(鈴木選手のサーブが岩淵選手の背中に命中したり、MCの方の呼びかけを受けてフェレールが面白いリアクションをしたりして)、エキシビジョンマッチに相応しい楽しい試合となりました。

aigdoubles1



試合の結果は、2ゲームずつのサービスのあと、タイブレークで日本チームの勝利となりました。フェレール選手は昨年このトーナメントに参加しての勝者ということもあり、有明の雰囲気に溶け込んで、観客席へのサービスもよい感じの対応でした。

残念だったのは、車椅子テニスのオリンピック金メダリスト国枝選手と、ダブルス銅メダリスト斉田選手の試合が国枝選手の肘の怪我のため見られなかったこと。車椅子テニスの認知度を上げる為にも今日この観客数の前でやって欲しかったですね。
もちろん、国枝選手が一番残念だったとは思います。わざわざ斉田選手とともに挨拶に見えてくれて誠意がこもっていました。

こうして生の試合、生の選手の様子を見ていると、TVを通じて自分が持っていたイメージと違うことに気付き、ショットひとつひとつに選手が考えを駆使しながら打っていることがわかります。ミスをした直後の残念そうな表現も生で伝わってきて、より応援も気が入ります。

錦織選手人気で注目を浴びているこのトーナメントの、明日からの大会の盛り上がりに期待したいです!

(Tennisnakamaの読者は全員が特派員だと思っていますので、じゃんじゃん感想を送ってください。)



投稿者 Tennisnakama  04:23 | コメント(12)| トラックバック(0)

次はプロジェクト・ナダルです!

まずはAIG Open9月29日(月)のスケジュールです。
http://aigopen.jp/08/pdf/oop/aigopen08_oop080929r2.pdf

錦織選手が僕のライヴァルと言っていた、ドナルド・ヤング(19才・119位)と、ジェッシー・レヴィン(20才・95位)の二人が出ます。彼らはサム・クェリーに続く未来のアメリカの星ですので注目しましょう。

今年の2月、トップ10のジェームス・ブレイクを破った錦織選手は、世界にセンセーションを巻き起こしましたが、その後に結果を出せないでいたこともあって、一部ではあれは「まぐれ」だったという受けとられ方をされていたことは事実です。しかしUS Openで4位のフェレールを破ったことで、彼が「真の実力」を持つ未来のトップ10の有力候補であることを世界に証明しました。

そこで世界のテニスファンがどのように錦織選手を思っているのか、メディアではなく、テニスファンのブログを探ってみました。

テニス専門のブログはいろいろありますが、Tennis TalkとMens Tennis Forumの二つはメジャーなブログとして知られています。これらのブログで錦織選手の名前が浮上してきました。

9月25日
サイト:menstennisforums.com

peterparkerさんのスレッドです。

Nishikori is now at 69 in the race, so Pretty soon Kei's going to have to go in for a retrofit. I would vote for "Project Nadal".

「錦織はATPレースでは69位だ。だからもうすぐ更新(プロジェクト45のこと)する必要があると思うよ。プロジェクト・ナダルというのはどうだろう?」

http://www.menstennisforums.com/showthread.php?p=7679090&posted=1#post7679090

Tennisnakama:ピーターさんはなかなか錦織選手のことをよく知ってますね。この「プロジェクト・ナダル」とても気に入りました。そうです。圭君の目標は高く、世界No.1のナダルを追いこせです! 上記のサイトをクリックされると、世界中の人からのコメントが寄せられています。私もTennisnakamaで投稿しました。簡単な英語で結構、”I’d vote for “Projct Nadal” とでもコメントしてみましょう。


9月26日

サイト:Tennis Talk

異常に長い名前のobsessedtennisfandisorderさんのスレッドです。

How good is Nishikori?
「錦織選手はどれくらいうまいのか?」

i can't get clips of this guy....nad what would be the description of his game eg..ala Murray or power player or what? Beating Ferrer is really something as Ferrer is a good player.

「この選手(錦織)についてはよく分からないんだ。どんなゲームをするのかね。マリーみたいなのか、それともパワーゲームなのか? フェレールのような強い選手をやっつけたのだから、たいした選手だと思うけど。」

http://tt.tennis-warehouse.com/showthread.php?p=2741291#post2741291

Tennisnakama: このスレッドについて、23のコメントが入っていますが、ほとんどが錦織選手のことをとても褒めています。あるコメンターは「ミニ・フェデラー」だと言ってました。Turning Proさんは、将来はトップ10に入るすごい選手だと褒めています。ぜひ彼らのコメントを読んでみてください。

投稿者 Tennisnakama  00:17 | コメント(4)| トラックバック(0)

錦織のリベンジシナリオ!

AIG Openのドローが発表になりました!

http://aigopen.jp/08/pdf/aigopen08_msm.pdf

64選手が月曜から一週間にわたって戦っていくわけですが、もし錦織選手が決勝までいくと6試合こなさなければなりません。R1(ラウンド1)は、16名のシード選手はバイ(不戦勝)となり、R2から参戦です。錦織選手はシードをもらっておりませんのでR1から。対戦相手はアメリカのロバート・ケンドリックです。

ケンドリックは10才年上の28才。ランキングは102位です。彼の最後の試合はUS OpenのR2のジョコヴィッチ戦で、3セットストレートで負けています。最近のベスト試合は、7月のケンタッキー州のチャレンジャー、レキシントン大会で決勝まで進んでいますが、ATPツアーではR2どまりで結果が出せておりませんので、多分錦織選手は勝ち進むと思います。

US Openで錦織選手の全試合4戦を生観戦しましたが、最初のR1とR2が「これが錦織?」と思うほど、モタモタした試合でした。本人も言ってましたが、ミスが多く調子が出なかったのです。R3のフェレール戦では、人が変わったように、最高の試合を見せてくれましたが。過去の試合をみても、本調子が出るまで時間がかかる選手ですので、R1は要注意です。

去年の AIG Openでは、R1で敗退してしまった圭君です。ホームゲームとあって、それがものすごいプレッシャーになり固くなってしまったと本人も認めています。実力からいえば、ケンドリックに負けませんが、昨年のように自分自身に負けてしまう可能性がR1があります。「絶対勝たねばならない」の気持ちが落とし穴です。ぜひリラックスしてホームゲームを楽しんでほしいと思います。R1をクリアすれば、彼はどんどん進んでいける選手です。

R2では、ラッキーにもシード選手の中で最もランキンキングの低いシード16のガシアロペスと対戦です。これでR2はクリアできます。

相手が大きければ大きいほど燃えるタイプですから、R3のガスケを倒すことも可能でしょう。ここまでくればあと一息でロディックです。そうなると夢のvsロディック決勝が実るかもしれません! これはロディックに痛めつけられた2月のSAP Openのリベンジです。皆さんも覚えていらっしゃるかと思いますが、もう一度あの無念な試合(ロディックの錦織いじめ)を思い出していただきたいと思います。圭君は本当にあのロディックの態度がショックだったと後で述べています。あの口惜しい試合のリベンジの絶好のチャンスです。

詳しい内容は以下の記事に掲載しています。
ロディックの真相!
http://web.me.com/fyorifuji/Tennisnakama/%E9%8C%A6%E7%B9%94%E5%9C%AD/Entries/2008/2/23_%E3%83%AD%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E7%9C%9F%E7%9B%B8%EF%BC%81.html

錦織vsロディック
http://web.me.com/fyorifuji/Tennisnakama/%E9%8C%A6%E7%B9%94%E5%9C%AD/Entries/2008/2/24_%E9%8C%A6%E7%B9%94_vs_%E3%83%AD%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF.html

それではロディック・リベンジのシナリオを書いてみましょう。

錦織選手の対戦相手
R1: ケンドリック
R2: ガシアロペス
R3: ガスケ
QF: ユーズニー
SF: フェレール
F: ロディック

ロディックの対戦相手
R1: バイ(不戦勝)
R2: ツヴェレヴ
R3: メルツアー
QF: ソンガ or モンフィス
SF: ゴンザレス
F: 錦織 

このリベンジ決勝が実現するよう、観戦に行かれる方はしっかりと錦織選手を大声で応援してください。US Openで5セット目でフェレールに勝ったときは、応援のおかげだったと、その応援の重要さを語ってました。(おかげで私は声がカスカスになってしまいましたが)

ここで皆様にお願いです。

AIGに行かれた方、すべてがTennisnakamaの特派員です。写真だけでも、コメントだけでも、記事でも、フォーマットは問いません。今回は、行かれた方で、来週の一週間はページつくりをしてみたいと思います。短くても長くても結構。また何回書かれても結構。

info@tennisnakama.comまで投稿おまちしています。なお、いただいた内容は、同時に以下のサイトに掲載させていただきますのでご了承ください。
tennisnakama.com
keinishikori.net
blog.goo.ne.jp/tennisnakama/


投稿者 Tennisnakama  22:04 | コメント(12)| トラックバック(0)

圭君、ジュニアへ贈る言葉

(前号、[K]-Impactの続きです。トークショーホストは村上武資さんです。)

Report by 種丸

[K]-Impactその2 ~ジュニアへ贈る言葉~ 編

今日は子供達へ向けてのトークになった部分を掲載します。

村「今日はジュニアがいっぱい来てくれてるわけですけど、
彼らくらいの年頃で圭はアメリカに渡ったわけだけれども、
アメリカに行く前や行ってからはどんなことに気を付けながら練習していたのか話してくれる?」

圭「ボクは最初にアメリカに行った時にホームシックって
無かったンですね、すごいそれは親にとっては聞きたくない
ことだろうけど(笑)もうホントにテニスに夢中でテニス
漬けの毎日を過ごして、いつも強くなりたい気持ちが1番
強かった・・その思いがチカラになりましたね」

村「圭は13歳でアメリカ行って、日本とは食や文化の違いがあったと思うけど、そんな中でテニスしてない時間も
あるよね?その時間に学んだことは?」

圭「最初は英語が喋れなくて、でもそんな中で英語の学校に
行って授業受けたり・・ほんとに最初は聴いているだけの中
でも頑張ってました。最初はホントに外人が怖くて・・自分も小さかったンで皆が怖く思えるくらいだった。それに対して今は本当に成長したなと思ってます」

村「2004~5年、本当に3~4年前まで圭はボクと一緒にジュニアデビスカップっていう国別対抗戦でいろんな所に遠征してる時も、圭は決して自分からあまり喋るほうじゃなかったし、自分のことをあまりアピールするほうじゃなかったんだけど、ボクがみてて圭は食事を決してマズイって言った事なかったよね?・・・たぶ ん(笑)ボクらはマズイなぁーって思ったところもいっぱいあったと思うし・・本当に
アメリカってところで絶対、あの・・こんだけ、ね、日本の子供達がいっぱい居ますけど、日本という国はホントに食事も美味いし(圭:そーですね・しみじみw)どこに行っても何でも手に入るし、そんな中で育ってしまうとなかなかそういう感覚を身に付けるのは難しいと思うンだけど、やはり
圭はその中で必死に自分と闘い、自分を育ててきたって事が自分の一番の支えになったと言っていいですかね?」

圭「まぁ、ホントの事言うと日本で暮らしたいし日本でテニスやりたいですけど、やっぱりテニスでトップ選手になるには海外に出て行かないと色々な経験が出来ないと思うし、日本にただ居るだけでは世界は見えてこないと思うので、そういう意味で自分はアメリカに居る訳だし海外で練習を積み重ねる試合だったりとかが1番大 事だと思いますね」

村「なるほど。じゃあ、あと1つコートではどうですか?
圭がこの目の前に座っている年代の子供達がどういう目標を持って、どういう事に気を付けて練習したらいいか教えてあげてくれる?」

圭「ボクは普通の人とは違った感覚でテニスをしていたと思うし(笑)、自分としてもテニスを楽しみたいし、見ている人も楽しんでもらいたいし、自分もテニスが好きなので色々なショットを使ったりとか・・一定のプレーってのが・・あまり、ホントに・・好きじゃない(村:好きじゃない・ハモる♪)(笑)変わった事をやり たいと日々考えてやっていますね」

村「そーだよね、一緒に遠征行って(練習して)もクロスコート(ラリー)やろうっていうと3分くらいで嫌な顔するのね(笑)(圭:ははは)だけど、そっからこんなことやろうって言うと喜んで取り組んでましたね。だけど1つ思ったのが、とにかく練習を始めたら圭はどんなボールでも追いかけていたよね。(圭:そーですね 、はい)それは本当にテニスの基本だと思うのね。ボクと打ち合っているときも少々アウトでも・・ボクがワザとアウトしても・・・ホントはミスったのかもしれないけど(笑)とにかく追いかけてたし、そこからどこにでも打てる体勢を作って、その中で色々なショットを選択してたと思うのだけど、それはやっぱり心掛けていた の?」

圭「やっぱり勝つってのは1番の目標っていうか、まぁ、
1番に置いておかないといけない事だと思うので、その中でガムシャラにプレーをするってのが1番大事だと思うし・・ん~・・・・・(村:出来る事を表現しようとしてた?・ナイス助け船!)・・そーですね、出来る事をやろーと思ってました」

村「是非、参考にしてくださいね、みんな、ね。・・わかった!?下向いてる場合じゃないよ!!いいねっ!!ハイ。」


圭君には元から感覚的にグローバルなものが備わっていたような気になりました。そしてテニスに対して好奇心旺盛。
人が常識と思うことに疑問を持てる、人と違った道筋を好奇心や遊び心で探しあててしまう、そんな気質を備えていたのかもしれないなと強く思うのでした。

kimpact



(Note: 前号の「K-Impact」と今日の「圭君、ジュニアへ贈る言葉」の2編は、netdashさんのブログ、keisnishikori.infoにも掲載されています。)



投稿者 Tennisnakama  23:38 | コメント(9)| トラックバック(0)

[K]-Impact 現地レポです!

種丸さんの名前はすでにテニスブログ界では有名です。いろんなプロ選手とも親しい彼が、有力なコネを使って(?)今回は、圭君のトークショーに引率者として侵入(??)。その模様を詳しくレポートしていただきました!
(最近は皆さんのおかげで楽させてもらってます。Thank you!)

Report by 種丸

今回はお台場にありますホテル日航東京にて開催されたウイルソン主催のイベントについてレポートさせて頂きます。

24日に圭君は凱旋帰国し、一夜明けた25日午前10:30よりこのイベントは開催されました。

題して [K]-Impact

小学生のジュニアプレーヤーを対象とした
錦織圭君のトークショー&サイン・撮影会がその内容です。

まずは軽快な音楽に乗って今年の活躍ぶりをまとめた映像が
スクリーンへ映されました!

そして大きな拍手に迎えられて 圭君が 登場っ!!

とっても爽やかで清々しく、でもどこか照れくさそうな笑顔での入場でした。

席に着き、お相手の村上武資さんとのトークショーが始まりました。

村「圭、おかえりなさい」  

圭「はい」  

村「・・・それだけ?(笑)」「4~5年前まではそっち(小学生の席を指し)に座っててもおかしくなかったよね。そう考えるといまの心境は?」

圭「4~5年前はホントに中学生くらいなので・・信じられないですね」

村「今年を振り返ってみては、どーかな?」

圭「今年1番嬉しかったのはデルレイ優勝で、TOP10選手にも勝てて凄く自信になりましたね」

村「負けた試合については?(USOのデルポトロ戦)」

圭「フェレールに勝って体力的にも精神的にも疲れていたし、勝ったことで満足感もあり、デルポトロ戦では試合に入り込めなかった」

村「圭はフェレールにも勝ったンだから、デルポトロにも勝ちたい気持ちが強かったと思うし、デルポトロからすれば圭には負けられない気持ちが強かったと思うのね。勝ちたいと思う選手はポイントを早く決めようとするよね。逆に負けられないと思う選手はシンプルにやれることをやって、やることが明確になるよね。色々考えすぎて動けなかった部分もあるのかな?」
「そういう意味でGS2大会を振り返るとどうですか?」

圭「B8は修造さんの記録という、記憶があって、修造さんのせいにするわけじゃないけど、大きな壁としてありましたね」

村「修造のせいだね(笑)」

圭「(笑)相手(デルポ)のプレーも良くて、ミスも少なくて、自分が攻めた球もミスしないで返してきたし、相手が2歩くらい上でした」

村「ホントにそー思ってる?」 

圭「はい」 「ウインブルドンが今年1番悔しいですね。GS本戦は勿論凄いことだけど、芝でナダルに競って自信にもなってたし、本当にイイ状態で入れたので・・もしかしたら勝てていた試合だったかもしれないだけに・・棄権してしまった事が悔しくて試合後は誰とも・・親とも話せなかったし・・・」

村「負けた試合から学ぶことは多い筈だよね?課題は見つかった?」

圭「今年は怪我が自分には負担になり、モチベーションが下がったりしたのでやはり体力的なものを強くしたい。勿論、メンタルやテクニック的な・・サーブは世界のTOPと闘えるチカラが付いてないし・・あとちょっとだとは思うけど・・」

と、ここまでは他のインタビューでも答えていたような内容のものでした。つっかえることもなく、スラスラと言えていたので本心を偽り無く喋っていたのでしょう。

緊張した様子も無く楽しそうでしたよ。 ますます高感度UPです(笑)

この日は小学生までの子供達が招かれていたので、この先はジュニアに向けての話に展開が変わっていきます。

招かれたのは33名。中には全小優勝者が居たり、北海道から1人で来た子、大阪から来た子なども居ます。どーいう選択基準かは各箇所で違うと思いますが、ウイルソンの契約コーチ(WAS)やショップ契約しているスクールやクラブに各地のウイルソン担当スタッフが人数枠を与えて選出された子供達なのでしょう。みんなラッキーな子供達ですよ、ホントに。

このあとサインはして貰うわ、写真は2ショットだわ、握手はするわ、帰りにお土産(USOベスト16記念ポスター・来年の圭君のカレンダー・Tennさんも紹介してた本15-0・圭君使用ラケットのフィギア携帯ストラップ・・・・すげ~贅沢っ!!)貰ってるわで・・・(笑) 引率していった俺にはな~んもなしっす(><)

ただ、少し悲しかったのが、緊張していたからか最初から中盤くらいまでの子供達がサインを貰う前と貰ってから写真も撮って貰ったあとにしっかりとしたお礼を声に出して言えていない子供達がいたことです。特に男の子たち。途中でウイルソンスタッフから「しっかりお礼して!」と言われて「はっ」としたかのようにやっていましたけど・・。

圭君も小さい頃に表現が苦手だった経緯もあるので苦笑いして見ていました。後半の子供たちは挨拶も良く、いい笑顔やピースしながらの撮影となりました。

圭君も一人一人に丁寧に笑顔で応えていて「人間力」もあるところをみせてくれていましたよ。

さて、えらく長くなってしまいました。トークショーの続きはまた次にしますね。

いつも楽しませて頂いているTennさんに少しは恩返しできたかな? Taiさんのように写真が載せられないのが残念です。
トークショーの合間の撮影は禁止されてしまったので、誰も居ないステージとか帰り際に撮った少しボケてしまった写真しかありません。そんなもので良ければ別ですけど。

ではでは、また続きを待っていてくださいね。

種丸


投稿者 Tennisnakama  05:05 | コメント(8)| トラックバック(0)

錦織選手の思い出

masaharu-tsuchiya選手から先日メールをいただき、昨年錦織選手とテキサスで一緒だったというお話を伺ったものですから、彼にお願いしてそのときの話を原稿にしていただきました。masaharuさんは「世界一弱いプロテニスプレーヤーのブログ」 http://ameblo.jp/masaharu-tsuchiya/ のウェブマスターでテニスのゲリラ戦士。 ユニークな燃えるmasaharu選手のプロフィールについては上記のブログをご覧になってください。

Report by masaharu-tsuchiya

2007年のテキサスでのフューチャーが3週ありブラウンズビルでは日本人はいなかったのですが、翌週、ハーリンジェンでは日本人を見かけて「ニシキオリ君ですよね」と話しかけたら、「ニシコリです」という返事が返ってきました。錦織選手との会話はこれが最初でした。(笑)

withnishikori



私はオルタネート制度に関しての質問をディレクターにしたかったのですが、私の英語が通じなくて英語を教えてくれたのが彼でした。名前の読み方は間違えましたが、彼のことはもちろん知っていました。第一印象は 優しそうな青年といった感じで、そのときに「プロになろうかどうか考えてます」と悩んでいる様子でした。私は底辺のプロですが、世界的な選手になることを真面目に目指していましたので、心の中では 【なんでアメリカにいる第一シードが迷ってんだ】みたいな感じで彼の言葉を聞いていました。(笑)

選択肢がいろいろあるから迷うのも当然と思いましたが、自分の次男と同い年なので自分の子供と話してるような感じでした。その後試合をビデオに収めましたが、予選会場は整備の悪いデコターフで亀裂や強風もあり、ビデオを撮りながら「エリートは逆境に弱いのか」とかぶつぶつ一人で文句を言ってたと思います。(こわいものしらずですみません)このビデオは非公開で保管してます。

私はそこではサインインできず、4日目で次のマッカランに移動しましたが、そこでまた錦織選手と再会することになりました。彼がN0,1コートでIMGのコーチや仲間と練習していましたので、一緒に入れてもらおうとOKを本人からもらったのですが、タイミングが合わず、私は横のコートで練習することになりました。

http://ameblo.jp/masaharu-tsuchiya/entry-10088644850.html

彼は選手控え室では右足にだけアンクルサポーターをしていました。「サポーターはどこの?」「IMGで貰いました」(たぶんDONJON)そんな会話をした記憶があります。そこでサポーターをデジカメに撮影させてもらい、彼の練習や他の選手の練習を観察してました。

彼は周りの選手とのコミュニケーションもスムーズで、 「やっぱテニスで一流になるにはマイアミにいなきゃだめだ」と確信したのでした。(私はマイアミにいましたので)

記憶は薄れてますが一番の印象は、そつがない選手。まだ優しさが抜けてない選手。全身の筋肉は柔らかく、限りない可能性を彼から感じました。

フェデラーもそうなのですが、 最初に見たときになぜ強いのかわからない。彼と同じような印象を錦織選手から受けました。 私がそう思う選手は大概なぜか凄いのです。やわらかさとタッチのよさ。本番でここというときに強い選手です。おそらくダイナミックさや迫力を強さと勘違いしていた私は、テニスのことをまだ真から理解できていなかったのだと思いますが。

その後マイアミに戻り、知り合ったアメリカの金融関係の友人が、「NISHIKORI」と変な発音でしっかり応援していたのが印象に強く残っています。

私は3ヶ月間の滞在予定でしたが、1ヶ月目でクレジットも止まってしまい、所持金0でしたのであまり移動が出来なかったのですが、ソニーエリクソンオープンのワイルドカード選手権に出場することができましたが、残念ながら敗戦してしまいました。翌日布田涼子ちゃんの試合を応援するため、$4とパンだけで行きましたが、その翌日はバス代もなくて応援に行けませんでした。

とにかく金欠が激しかったものですから、 時々カンパしてもらえたときに食物を買ったりする生活でした。その後 サウスビーチで知り合った日本人女性のテニスファンの方から、「錦織君がグーガとダブルス練習していた」とか「ロジャーと練習していた」という話を聞いたときは、正直【先を越された!】と思ってしまいました。なにしろ2004年にフラッシング・メドーのアーサー・アッシュ・スタジアムでロジャーにPlease hit with meと最初にお願いしたのは自分だったんですから。(笑)

withfederer



毎日エリクソン会場に行っていた友人のレイモンドは、「He is nice.」 と毎日のように私に錦織選手のことを話してくれました。私はなぜ彼がそんなに熱く錦織君のプレイを誉めたのか、
そのときは理解していませんでした。 私はどうやらフューチャーズの試合のイメージで、彼を見てしまっていたのだと思います。 懐の深さは感じましたが、パワー的なものは当時感じられませんでした。しかし漠然とですが、ゆくゆく彼は世界1になれると、なぜかそんな気がしていました。

ですから「錦織選手が世界10に入る可能性がある」と言い出したのは、実は私のほうが松岡さんより先なんです! 


(以下は私のブログで錦織選手について思い出を語ったページです。)
http://blogs.yahoo.co.jp/masaharu_tsuchiya/53648500.html
http://blogs.yahoo.co.jp/masaharu_tsuchiya/MYBLOG/yblog.html?m=lc&sk=1&sv=%B6%D3%BF%A5&p=5



投稿者 Tennisnakama  13:06 | コメント(8)| トラックバック(0)

Wonderful Moments

ニューヨークから車で30分、ハドソン河に面した丘の上に瀟酒な建物があります。そこからマンハッタンが一望できるのですが、あの2つ並んだWTCの高層ビルがなくなってしまった今は、エンパイアステイトビルディングだけががんばって空にむけて背伸びしているようなちょっと寂しいマンハッタンです。

building



午前11時。ぞくぞくゲストが入ってきます。夫の部下のビルは50すぎで再婚です。新妻のエヴァも同じ年頃。職場で結ばれました。二人とも再婚です。成人した娘や息子たちがお祝いに駆けつけました。



花びらを蒔く役目のフラワーガールは、こんなにかわいいお嬢ちゃんでした。

flowergirl



ブライズメイドは新郎のお嬢さんたちです。お父さんの新しい門出に嬉しそう。

buridemaid



結婚式はガーデンで行われました。エヴァの白いウェディングドレスがガーデンの緑の芝に美しいシルエットをつくりだしています。最近はお葬式が多く気持ちが沈みがちになっていましたので、このようなハッピーなイヴェントは嬉しいです。



式の後はランチです。メニューは自分で選択できます。

lunch



ランチが終わっていないのに、ゲストはもう踊り出しました。最初は男性も頑張っていましたが、終わりの頃は女性ばかりが残って踊りまくっていました。ハイヒールを脱ぎ捨てた彼女たちは、とてもパワフルでした。



50代で第2の人生へのスタートを切ったビルとエヴァ。長い祝辞もなく受付もなく。気張らずリラックスした大人のパーティでした。ゲストは個々に彼らに「おめでとう!」を言ってあとはパーティを楽しみます。こんな気楽な楽しいパーティなら何度呼ばれても喜んで行きたいですね。

この記事はビルとエヴァに記念にと約束した私のささやかなプレゼントなのです。お幸せに!

Congratulations!





投稿者 Tennisnakama  23:38 | コメント(5)| トラックバック(0)

ソフトテニスをなぜ学校で?

ソフトテニスの名を初めて知りました。

軟式テニスは知っていましたが、ソフトテニスという名は1992年に軟式テニスから改名されたそうですね。ソフトテニスといっても、アメリカやヨーロッパでは誰も知らないでしょうが、国際化を図っての改名だと思います。このソフトテニスは日本を中心としてアジアに広まったようですが、硬式テニスをもとに日本の環境に合わせて日本がつくったスポーツだとは知りませんでした。日本に硬式テニスが伝えられた19世紀は、ボールを手に入れるのが困難で、安価なゴムボールをかわりに利用するようになったのが始まりとか。それでついでにルールもボールに合ったものに変えてしまおう、ということだったのかもしれません。

私はソフトテニスを習ったことがありませんし、実際観たこともありませんので、ソフトテニスについてはド素人です。しかし、ときどき日本人の中で、「昔は軟式をやってました」という方とプレイすることがあります。そのときにフォームの違いを説明してもらいましたが、確かバックハンドが決定的に違ったように覚えています。つまりフォアもバックも同じ面で打つ、そういう風に聞きました。間違っているかもしれませんが、とにかくかなり硬式テニスと違ったフォームでフォアもバックも打っているのは確かなようです。

ソフトテニス部出身のある女性は、ヴォレー、バックハンド、スマッシュ、などあらゆるフォームの矯正をテニススクールで強いられていました。もう昔から体にしみついてしまっている癖ですからどうしてもなおらない。そうするうちにテニスがつまらなくなって辞めてしまいました。

テニスは西洋で生まれ西洋で発達してきた文化です。柔道をやり辛いからと勝手に変えてしまうことは日本では考えられませんよね。でもテニスは借りてきた文化ですから、日本流に変えてしまうことに何の抵抗もなく、むしろどちらがやり易いか、体に負担がないかに重点がおかれて、ソフトテニスが日本で発展してきたのでしょう。

しかし現代のテニスはテクノロジーのおかげで、小さな子供でも問題なく楽しめるスポーツとなっています。現実に私の息子が7才で始めたときは、子供用のラケットでガンガンと打ちまくって全く手首、肘などに問題はありませんでした。これはきちんとした打ち方をすれば、小さな子供でもまったく問題はないのです。お年寄りでも同じです。私のクラブでは80才の老人がダブルスを楽しんでいますが、彼らはソフトテニスに切り替えるなんて夢にも思っていないはずです。

テニススクールに行かなければ、子供たちはテニスが出来ない、そういう日本事情からは、残念ながらテニス文化は生まれてこないと思います。そしてさらに日本のテニス事情を複雑にしているのが、このソフトテニスです。「硬式テニスだと子供の健康に害を及ぼす危険あり」という考え方は時代錯誤です。もしそうだとしたら、欧米や南米の国々の学校でテニスを習っている子供は大変な危険な目に合っていることになります。

私はここでソフトテニス反対を唱えているのではありません。趣味のサークルなどで大人がソフトテニスを楽しむことは大いに奨励されてよいと思います。アメリカではラケットボールが人気がありますが、これはあくまでもレクレーションとしてのスポーツです。

日本のテニス専門家たちが「なぜ日本から世界的なテニスプレーヤーが生まれないのか?」という問題に真剣に取り組んでいます。しかしその問いかけ以前の重要な問題が議論されていないのです。

「なぜ学校で硬式テニスを教えず、世界に通用しないソフトテニスを教えるのか?」

隠された答えが、単なる学校側の怠慢だとすれば、そのツケを子供たちが払っていることになり悲劇です。

(追記)
私はソフトテニスを否定しておりません。硬式とソフトの共存は大人の段階では全く問題ないと思うのです。しかし選択の余地も持たない子供達に、ソフトテニスが強要されたらどうなるか?と言う視点からこの記事を書いています。一方では世界的な選手が生まれないとこぼしながら、子供は硬式もソフトもどちらでもいいじゃ~んというあいまいな姿勢を言っているのです。子供にソフトを教えるメリット、デメリットをもっと深く議論されてもよいのでないでしょうか。もし日本が何となくソフトテニスを教えているのなら、真剣にテニスをやりたい若者は、錦織選手のようにテニス留学をするしか道は残されていないと思います。

投稿者 Tennisnakama  06:43 | コメント(24)| トラックバック(0)

デ杯準決勝のヒーローたち

お久しぶりです。3日間書かないとまるでヴァケーションに行っていたような気持ちです。書かなかったというより、いそがしくて書けなかったのですが、この週末にいろんなことが起こりました。もちテニスの話です。

まず、デ杯です。ナダルのデ杯の対ロディック戦を録画で観ましたが、パワー、ゲームの組み立て、技術、メンタルなどのすべての点で、ナダルが圧倒的に優れていました。スコアは6-4, 6-0, 6-4でスペインの勝利が決定しました。ロディックは執拗にネットダッシュをして攻めましたが、ナダルのパッシングショットでほとんど抜かれてしまいました。クレーではどんなにサーヴがよくても、サーヴ&ヴォレーはナダルが相手では、自分の首を絞める結果になることを教えてくれたような試合でした。「今日はほぼ完璧なテニスだった」とナダルが言ってましたが、限りなく上達し続ける彼のテニスは、人間の無限の可能性をみるようで感動的でした。

しかも勝った瞬間、普通でしたらワアッと自分のチームに駆けていって喜びを分ち合いますが、ナダルはまずアメリカ側に行って、チームの一人一人に握手を求めました。こんな光景は今まで見た事がありません。ナダルはランキングだけでなく、スポーツマンとしても No. 1であることを世界に証明してくれました。

アルジェンチンがロシアに3-2で勝ち、スペインvsアルジェンチンの決勝が決定しました。

錦織選手を破ったあのデルポトロの大活躍でした。圧倒的な強さでダヴィデンコとアンドレーヴをストレートに打ち破った19才のデルポトロは明日二十歳になります。US Openで練習風景やら、錦織戦を通して彼を間近に観察してきた私ですが、テニスのスケールの大きさ(図体も大きいのですが)、パワフルで確実なショット、サーヴの豪快さ、柔軟なネットプレー、そしてあの大きな体にして驚くべき俊足、と感心することばかりでした。「この青年は将来No.1 になる」そんな予感をさせるに十分な素質にあふれていました。それにとても好青年という感じで、さっそくお気に入りの選手となりました。

デルポトロvsアンドレーヴ戦が勝敗を決めるラバー5でしたので、デルポトロが実質アルジェンチンに勝利をもたらしたことになります。しかし大喜びする観客の前で、彼は何度もナルバンディアンの方を指さしました。「勝利をもたらした貢献者は、僕でなくてナルバンディアンです」と言っているのです。ナルバンディアンはシングルスでは1勝1敗、ダブルスで1敗ですので1勝2敗ですから、私にいわせれば、エッ?冗談!と言いたいところですが、そこは先輩を気遣うやさしいデルポトロ。いい感じです。彼の株がますます上がりました。

東レPPOの決勝戦、サフィーナvsクズネツォヴァを少し観ましたが、気になったのは空席が目立つこと。しかも特等席が空いてましたね。残念です。そしてとても静かでした。私はテニスチャンネルで観たのですが、解説者が気になる事を言ってました。「日本はラインコールがひどいので有名です。5cmくらいアウトしているのに、アウトのコールをしないのです。」5cmとはオーヴァーですが、でもそんなことで有名なんて困りました。AIGオープンまでに何とかトレーニングを積んで、汚名を返上してほしいですね。

投稿者 Tennisnakama  12:11 | コメント(19)| トラックバック(0)

Gaoraのテニス解説

私のブログは、海外からの視点で世界のテニスを伝えることを主な目的としていますので、どうしても日本を海外と比較しなければならない時があります。 しかしただ単に比較したことが、気に入らない読者の方もいて、バッシングされてしまうことが過去に何度もあり、戦々恐々の気持ちで書いています。

今回はテニス報道の違いをTVの解説という点から探ってみたいと思っているのですが、読者の方、特に「あなたはアメリカ大好きの気持ち悪い人ですね」のコメントをくださった方、お手柔らかにお願いします。

さて長い前置きはこれくらいにして、生まれて初めて日本語のテニス解説を聞きました。そしてアメリカやイギリスの解説との違いに驚いたのです。(すでに頬がピクピクしてきた方は、ここで読むのをストップしてください。)

今朝8時半です。東レPPOはニューヨークでは観れないかも、と半分諦めの気持ちでインターネットをサーフしていましたら、出てきました! http://www.justin.tv/zura003 というサイトですが、生放送をstreamingしていたのです。Gaoraの番組がライヴで観る事ができるのです!

私はテニスをアメリカで習い始めましたので、日本のテニスは全く知りません。しかも日本でTVのテニス観戦をしたことが一度もないのです。ですから興奮してコンピューターに食い入るように見始めたのですが・・・

東レPPOは、カネピvsラザーノの対戦で第2セットに入っていました。普段はジョン・マッケンローやジム・クーリエ、ブラッド・ギルバートなどの解説を楽しんでいる私ですが、誰の意見にも左右されずに自分の目で観たいと思ったときは、ヴォリュームをミュートにしてしまいます。しかしボールの音、観客の反応もすべてミュートになってしまうので、手応えのない観戦となってしまうのが難点なのですが、この点コンピューターのstreamingは、カメラだけが回っていることがあり、自分がコート際で観戦しているような臨場感があってもっとも好きな観戦の方法です。

さてこの Gaoraの放送ですが、この解説スタイルは Gaoraだけでなく、Wowowや NHKにも共通するいわゆる「ジャパニーズスタイルの解説」なのだろうなと思いました。

第一印象は、とてもうるさいのです。一つ一つのモーションの後に説明がつきます。 その説明も初歩的なものです。ショットがうまく入れば「すごいですね~!」、入らなければ「どうしたのでしょうね~?」ファーストサーヴが入らなければ、「今、何を考えているのでしょうね。サーヴのフォームのことでしょうか?」などなど。これではせっかくのパーフォーマンスも、過剰なコメントでそのすばらしさが半減してしまいます。

アメリカとイギリスの両国で解説者として活躍するマッケンローは、最も上手い解説者として定評がありますが、解説のタイミングが絶妙です。要点をついた分析は冷静で客観的です。 Gaoraの解説者がよく使う「驚きますね~」「ちょっと考えられませんね~」などの 主観的なコメントはありません。ロッカールームなどの実話も混ぜながら、視聴者の邪魔にならず、鋭い分析をときどき加えて私たちを楽しませてくれます。主役はあくまでも選手であって解説者ではないことをよく心得ています。

耳では聞き流してしまうことでも、活字にすると意外なことを発見するものです。Gaoraのカネピvsラザーノ戦のアナウンサーと解説者(名前は言いません)の会話を記録しましたので、ここで再現してみたいと思います。

(カネピvsラザノは6-4でカネピが第1セットをとりました。第2セットはラザノのサーヴから始まります。)

「ラザノもいろいろやってます。」
「そうですね。気合いが入ってます。」

「このゲームはキープしないといけないですから、力が入っているのでしょうか。」
「あんなに大きくはずれるのは珍しいですね。」

「これはチャンスでした!ラザノはネットにひっかけます!」
「30-30 ひとつ助かったカネピです。」

「先ほどからおかしいですねえ。」
「そうですね。おかしいですねえ。」

「来た!これです!」(ドロップショットに対して)

「球が速すぎましたか!」(ウィナーに対して)

「顔が諦めていませんね。」

「メンタルのゆさぶりをかけています。」
「そうですね。すごいですね。」

「ああ、もったいないポイント!」
「ああ、いい球を打ったのですが。」

「大きな声を上げたラザーノ!」(カモンという言葉に対して)

「思わず唸るほどのすばらしいサーヴです!」
「また唸ってしまいました!」

これってどこが解説なのでしょうね? この二人の会話を聞いてやっぱりミュートボタンを押してしまいました。



投稿者 Tennisnakama  08:27 | コメント(54)| トラックバック(0)

エプロン姿の錦織選手

めずらしい錦織選手の写真を入手しました。エプロン姿の圭君は初々しくてかわいいですね!この写真はIMGから錦織選手のPRに頂いたものです。Taste of Tennisのイヴェントに参加した錦織選手です。

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Photo by Taste of Tennis


US Openの名物の一つに盛り沢山なパーティがあります。その一つに今年で9年目を迎える Taste of Tennisのパーティは、数日前にニューヨーク入りした選手を歓迎するため、8月21日にブティックホテルとして知られるThe W New Yorkで開かれました。このイヴェントは、BNP Paribasがスポンサーで500人のゲストにトップ選手がつくった料理を食べてもらおうという今流行のクッキングパーティです。このトップ選手に選ばれたのは、ロディック、ブレイク、ハース、キーファー、ヒューイットそして錦織選手など、多くの選手が参加しました。選手一人一人にNYでも代表的なシェフがついて一緒に料理をするわけですが、圭君は日本レストランのジャポネのシェフとともに、なにやら串焼きのようなものをつくっていますね。

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Photo by Taste of Tennis



このパーティはチケットを買えば一般の人も参加できるのです。そしてその収益は、NYのフードバンクに寄付されます。慈善事業を何気なくやりながら、多いにパーティを楽しむ、このスピリットこそニューヨーカーですね。以下のビデオにパーティの様子が映っていますが、あなたも来年あたり参加してみませんか? http://www.tasteoftennis.com

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Photo by Taste of Tennis



投稿者 Tennisnakama  09:28 | コメント(12)| トラックバック(0)

AIGを盛り上げよう!

昨夜、米政府の介入によって前代未聞の9兆円にもわたるつなぎ融資が確定したことによって、AIGの倒産は免れました。これで一応世界経済の混乱は一時しのぎに回避することになりましたが、NY株式市場のups and downsが続く事態は楽観視できません。

aigopen

http://aigopen.jp/08/


AIG がスポンサーとなり AIG Openの名称で ジャパン・オープン・テニス選手権(Japan Open Tennis Championships)が2001年から開催されていますが、 AIG との契約期間は2011年までと聞いていますので、昨日の倒産騒ぎのあった AIG のスポンサーシップの行方が心配されます。

通称ジャパンオープンと呼ばれるテニス選手権は1972年田園コロシアムで第1回大会が開催されました。1983年に有明テニスの森公園に会場を移転することによって、大会のランクも上がり、アジアでは初めてATPツアーインターナショナルシリーズゴールド(シングルス48ドロー、ダブルス16ドロー)の大会となりました。

サントリーがスポンサーであった時期は、サントリージャパンオープンと呼ばれ、高額な賞金が保証されトップ選手の招聘が可能になり、サンプラスやクーリエの優勝で黄金期を迎えました。しかしサントリーがスポンサーを降りて以来、多額の賞金額を保証するスポンサーがつかず、賞金額の減少でトップ選手の確保が困難になってきているのが現状です。

(このスポンサー探しの困難は、世界に共通する悩みで、ロンドンのクウィーンズクラブのトーナメントは昨日ようやく新しいスポンサーがみつかりました。来年からアートワではなく、オランダの保険会社のアイゴンAegonとなり、アイゴンチャンピオンシップスとなります。)

選手にどうして日本に来ないのかという質問をすると、必ず返ってくる答えが「遠すぎる」という地理的な問題です。日本は選手にとって地球の裏側という意識が強く、余程の魅力がない限りスキップされてしまうのです。その魅力とは、もちろん賞金額にもよりますが、日本人の心のこもった歓迎、食事、文化なども大きく左右されます。つまり選手がいかに日本をエンジョイするかにもよるのです。ゴロヴァンのインタービューで一番好きな国は?という質問に、迷わず「ジャパン」と言う答えが返ってきたのは嬉しかったですね。

2006年に優勝したフェデラーは、日本のホテルのすばらしさに感激していました。彼の公式サイトにも、いかにハイテックのホテルがすばらしかったのか、を詳しくブログに書いていました。大会から大会へと長い旅に疲れ果ててしまった選手にとっては、日本に来るのは賞金プラスの魅力が必要なのです。

また、高額なチケットを買った観客にとっても、「また来年も来てみたい!」と感じさせる大会の魅力が必要です。できるだけお客さまに楽しんでいただくという主催者のモットーがすみずみまで行き渡った大会、イヴェントが盛り沢山な大会(バンド演奏など)が決定的な役割を果たします。

US Openは毎年記録を更新し、今年は72万人もの観客を魅了しました。毎年この大会を観戦して驚くことは、多くの人がよくテニスを知らない素人であることです。しかも選手などは、フェデラーナダルは知っていても、他の選手はよく知らないという人達によって支えられているのです。テニス人口が減少している昨今、いかにテニス大会を一般の人にも楽しめる魅力のあるものにしていくのが、今後の成功のカギではないでしょうか。

ですから、まず写真撮影は禁止などと時代に逆行する態度はとらず、すばらしいパーフォンマンスに対して、気楽に声をはり上げて応援できるような雰囲気づくりに努力してほしいですね。元プロ選手のTV解説者がよく指摘するように、「日本の観客はとても礼儀正しくて、シーンとしていて不思議な試合だった」と言われないよう、声をだして応援してあげましょう。(多分英語でどういってよいのか分からない、恥ずかしい、というのが原因だと思いますが、日本語で全く問題なし。「ガンバレー!フェレール!」「いいぞ~! ゴンザレス!」で十分気持ちが伝わります。錦織選手の応援だけでなく、がんばっている選手には惜しみない応援を送ってあげたいものです。)

スポーツ大会は主催者だけではなく、参加するすべての人によってつくりあげられる総合エンターテイメントです。今年のAIG Openに行って精一杯盛り上げてきてください。そしてそのレポートもお忘れなく。期待しています。

特派員を募集しています。原稿が苦手とおっしゃる方は写真と簡単なキャプションだけでも結構です。一日に一人ではなく、できれば多くの方に同時参加していただきたいと願っています。

info@tennisnakama.com までメールをお待ちしています。



投稿者 Tennisnakama  00:11 | コメント(6)| トラックバック(0)

AIGが危ない!

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日本のニュースでも大きく取り上げられていると思いますが、NY株の暴落が続き米金融危機が叫ばれる中、リーマンブラザーズの破綻に続き、AIGが倒産の大危機を迎えています。

15日、株が70%超急落 一時、1・25ドルに下落してしまったAIGは、つなぎ融資が得られない場合は、2~3日中に破産申告もあり得る緊急事態に陥りました。
(NYタイムズ:http://dealbook.blogs.nytimes.com/2008/09/16/industry-efforts-to-rescue-of-aig-said-to-falter/index.html?hp

このAIG の大危機に際して、AIG Openを主催する日本テニス協会も神経を尖らせていると思いますが、素朴な疑問をもたれる方も多いと思います。

「AIGが倒産してしまえば、今年のAIG Openはどうなるのか?」
「2011年まで契約しているといわれるAIG Openの今後は?」

今日のアメリカのニュースはこのAIGでもちきりです。それというのもアメリカの最大の保険会社の AIG がこけると、そのチェーンリアクションで世界経済に与える影響が計り知れないからです。すでに職を失ったウォールストリートのエリート族、リーマンブラザーズ社員が、所持品がはいった段ボール箱もってぞくぞく会社を出て行く様子がTVで報道され、今後の経済の動きにニューヨークの街は不安と緊迫につつまれています。 

現在NY16日午後7時の段階では、AIGへの850~900億ドルのブリッジローン(つなぎ融資)について交渉がつづいています。デッドラインが近づいていますので、今夜が山場となりそうです。

予断を許さぬAIGの動きにウォッチです。

投稿者 Tennisnakama  02:01 | コメント(3)| トラックバック(0)

国枝選手、金メダルおめでとう!

国枝慎吾選手は、北京パラリンピックで今日15日、男子車いすテニス部門でシングルス優勝を勝ち取りました。アマーラーン(オランダ)に6-3, 6-0の圧勝でした。しかもダブルスでは銅メダルで日本に2個のメダルをもたらす快挙です!



 「これを機に車いすテニスに注目度が高まれば、やってきたかいがあるなと思います」と喜びを隠せない国枝選手です。不自由な体で世界を転戦することのむずかしさは、想像を絶するほど大変なことだと思います。彼の不屈の精神と、彼を支えてきた多くの人々の温かい声援の勝利です。本当に嬉しく思います。
(国枝慎吾公式ブログ:http://www.tennis-navi.jp/blog/shingo_kunieda/

9歳のときに脊髄腫瘍による下半身麻痺のため車いすの生活となり、11才で車椅子テニスをはじめた国枝選手は、高校時代オランダのキャンプに参加して世界の車いすテニスに目覚め、本格的に現在の丸山弘道コーチのもとでトレーニングを始めました。
(丸山弘道公式ブログ:http://www.tennis-navi.jp/blog/hiromichi_maruyama/

私が最初に国枝選手を観たのは、昨年のUS Openですが、決勝戦ではありませんでしたが、車いすのむずかしさと、巧みに車輪と体をコーディネートして打つテニスの違った面白さに魅せられました。(ボールは2バウンドまで認められます)国枝選手の決勝戦は、何度かテニスチャンネルでも放送されることになり、アメリカでの知名度も上がってきました。しかし今年は残念ながら、北京パラリンピックのために、US Openでは開催されませんでした。

彼がいかに偉大なチャンピオンであるか、ここに列挙してみたいと思います:

シングルス世界no. 1
2位のアマーラーン(オランダ)に1200ポイントをも離しています。

ダブルスでも 世界no. 1
パートナーの斎田選手に100ポイントの差。

2008年シングルス30試合連勝0敗

2008年ダブルスは22勝1敗

スーパーシリーズのタイトル9個の保持者
車いすテニスのグランドスラムにあたるのが、スーパーシリーズと呼ばれる4大会、全豪オープン(メルボルン)、全英オープン(ノッティンガム)、ジャパンオープン (福岡県飯塚市)、全米オープン(サンディエゴ)です。日本のメディアでは、グランドスラムとスーパーシリーズと混同させて報道していますが、車いすテニスではグランドスラムのカテゴリーはありません。

マスターズのタイトル5個の保持者
スーパーシリーズの下にマスターズがあります。ローランギャロス、ウィンブルドン、US Open, アトランタマスターズです。

車いすテニスの歴史はまだ浅く、1976年にアメリカのブラッド・パークスが自らスキー事故で下半身不随になったのをきっかけに、車いすの改良を含め、本格的な競技スポーツとして成立させました。1992年のバルセロナからパラリンピックの公式競技として認められ今日に至っています。プロ、アマチュアを含めて世界で約600人の身障者が車いすテニスに参加しています。トーナメントの数も133と大きく発展してきました。

国枝選手の活躍によって、私たちにも知れわたるようになった車いすテニスですが、国枝選手とともにこれからも熱く応援していきたいと思います。

決勝戦の試合の模様とインタービューは以下のサイトに詳しく載っていますのでご覧ください。

試合の結果
http://www.sanspo.com/sports/photos/080915/spl0809152017003-p3.htm
インタービュー
http://www.sanspo.com/sports/news/080915/spl0809152238005-n1.htm

投稿者 Tennisnakama  00:10 | コメント(5)| トラックバック(0)

多すぎる無駄な空席

まず、旦八さんからのメールを紹介させていただきます。ここで皆さんと共にこの問題について考えていきたいと思います。

from 旦八さん:
今回東レパンパシフィックオープンを観戦に行き伊達さんの素晴らしい勝利を目撃すると主に とても残念な事象を見つけてしまいました。

2日目の観戦記については弊ブログをご覧いただけると幸甚ですが(http://nanaban65.blog103.fc2.com/blog-entry-148.html)目撃した残念な事象につきファンとしてよりたくさんの人に考えていただきたいと思いメールさせていただく 次第です。

もしかしたら私の思い違いかも知れません。もしそうであればご存知の方が説明いただければ それで解明されますのでそれはそれでOKです。

まず一枚目の写真は午前九時ごろ宮村選手とカネピ選手が試合をしているころの会場の写真です。この日は三試合目に伊達選手の試合があるため普段より混んでいました。

toray2




問題は次の写真ですがこれは一枚目と逆サイドから撮ったものです。ケータイでとったのでたいした写真でなくて申し訳ないのですが。。。
これは伊達さんの試合が終わった4試合目の写真です。
確かに伊達さんの試合が終わったあとお客さんがたくさん帰ったことは事実ですがこの写真の後ろに見える観客席は最初から最後までこの状態だった ということをまずはお伝えしたいのです。

toray1



うしろのガラガラの席はいわゆるロイヤルシートと言われ本戦では一番高い席として売り出されます。2番目に高いのは逆側、つまり一枚目の写真で見えるところで、いっぱいになっているのがわかると思います。

ちなみに今日は予選のためすべての席は全席無料でどこに座ってもOK。 ところがこのガラガラの一番いいとこだけは関係者以外立ち入り禁止の席です。要は「お偉いさん」のために確保した席だったのではないかと勘ぐっているのです。しかもその方たちはだれも来ない!ざっとみただけで200席位は優にあるように思います。

この日は伊達選手や先日の圭君の活躍もあり普段より人々の興味を引き、初めて観に来るお客さんも たくさんいたと思います。

そんなときにベストの席を「空気」にしか開放しない主催者(テニス協会?)は何を考えているのでしょう?より多くの方がせっかく選手に身近なところで観戦できる機会を失くしたことに強い憤りを感じるのは
私だけでしょうか?

確かフェドカップも去年の日本選手権も同じだったように思います。

乱筆乱文はご容赦ください。ただしテニスを盛り上げるためにはこれではダメだと感じました。 いかが思われますか?


from Tennisnakama:
旦八さんの貴重な問題提議、ありがとうございました。
予選のレベルで前の席を大量に空席にすることは、ちょっと考えられませんね。しかし本戦ではありえることですので、今回は本戦も含めた「多すぎる無駄な空席」について考えてみたいと思います。

この特等席の空席だらけの事象は、US Openでもよく似た状況で大変残念に思っていました。トーナメントを組織する側としては、関係者に配ってある席だけに、そこを解放する訳にはいかない事情はわかりますが、これは改善する余地が多いにあると思います。コンサートがよい例です。会社などに大量に売った席が空席になっていて、会場の雰囲気が冷えきってしまったコンサートがよくあります。(こちらでは、特に日本人のコンサートに見られます。)

予選では原則に無料なのですから、関係者の席は最前列から2列くらいまでに制限して、あとは一般に解放するべきだと思います。7月のニューポート大会の本戦では、最前列にコーチ陣やプレスが座れるようになっていましたが、その他はすべて解放していました。

US Openの本戦では、スタジアムでないコートでは、前から3列目くらいのベンチまではプレス席でしたが、混んでくるとそのプレス席は1列だけにして、残りの2列を解放しておりました。このように状況によってフレクシブルに対応しておりました。

また関係者で来れない人々のチケットは、当日券にまわすべきです。US Openでは、このベストなチケットが当日に売りに出されるので、それを狙う人も多くやってきます。掘り出し物チケットが放出されば、それもイヴェントを盛り上げる効果となります。空席はイヴェントにとって最大の敵であること。しかもTVに放送されますので、ベストの席が空席だらけであれば、そのイヴェント自体へのイメージにダメージを与えます。「ああ、テニスは人気がないのだなあ」ということになってしまうのです。私はイヴェントプロデューサーもやっておりましたので、イメージ作りは大変重要なエレメントでした。スポーツはエンターテイメント興行です。来ていただけるお客様に喜んでもらえるイヴェントづくりを肝に銘じて、大会づくりに励んでほしいと思います。

では行動の時間です。メールを直接送る人が少ないだけに、メールの効果は絶大です。よりよい大会にするために、意見やリクエストをメールしてみてはどうでしょう。テニスファンが心から楽しめるテニス大会を実現するために、Let's take action!

メールアドレス:
日本テニス協会
mail@jta-tennis.or.jp

Toray Pro Tennis
http://www.dpcity.com/forms/toray_ppo/formmail/をクリックしてください

AIG Open
aigopen@jta-tennis.or.jp

投稿者 Tennisnakama  00:17 | コメント(9)| トラックバック(0)

2008年を振り返って

ちょっと早いのですが4GSが終了したところで、これまでの2008年を振り返ってみたいと思います。

まずナダルファンにとっては、夢のような年でしたね。2個のGSタイトルに金メダルのおまけまでつきました。ゴールデンスラムとまではいきませんでしたが、4年後が楽しみです。

(ゴールデンスラムという言葉は、1988年にシュテフィ・グラフが一年間に4個GSのタイトルとオリンピックの金メダルをとったことから名付けられました。これを正確には、カレンダーイヤー・ゴールデンスラムCalendar Year Golden Slamと呼びますが、これはグラフが最初で最後です。いろんなゴールデンスラムがありますので、説明は次回にまわします。)

それにしても22才のナダルは、テニスの歴史の流れを大きく変える原動力となりました。ウィリアムズ姉妹が女子テニスをパワーテニスに変えてしまったように、男子テニスは、もはやナダルのようなアスレティズムとパワーをもたなければ、トップランキングは不可能になりました。

フェデラーファンにとっては、2008年は最後のグランドスラムのUS Openをフェデラーの優勝で幕を閉じるという、スウィートなハッピーエンドの年となりました。スイスでの彼の評判は、世界の人気に比べてもう一つ芳しくなかったのは、デ杯よりも自分の記録を優先させてきたからですが、オリンピックでダブルスに優勝したフェデラーは、デ杯に出場することを決意しました。金メダル獲得は、今まで味わうことのなかった母国のために戦う誇りと喜びを彼にもたらしたのです。故郷のバーゼルでのパレードは、その彼に対するプレゼントでもあったわけですが、3000人の故郷の人々に温かく迎えられたフェデラーは、ますます意気高揚。昔のフェデラーが帰ってきたというより、個人を超えた崇高な目的に燃える新しいフェデラーの誕生です。

日本のテニスファンにとっては、センセーショナルな錦織選手の登場によって、想像を超すエクサイティングな年となりました。2月にトップ10のブレイクを破り、US Openで4位のフェレールを破った快挙は、まさに夢を見る気持ちに近いものがありました。私はNYに住むおかげで、4度も彼の試合を観戦できたことは、本当に幸せなことでした。「デルポトロのような巨大でパワフルな選手が続出しているプロテニス界で、錦織選手が今後どのように戦っていかなければならないか」その答えはフィジカルの強化と、マレーがデルポトロを打倒した「頭をつかった作戦力」にあると確信しました。

Tennisnakamaにとっては、自己発見の2008年でした。1月に好奇心からウェブサイトとブログを始めて以来、「テニスを書く、撮る、語る」ことに没頭できた幸せな年となりました。まだ自分に残っている情熱を発見できたことは、何よりも嬉しい貴重な体験でした。ただ漠然と始めたオンラインテニスマガジン、Tennisnakama.comでしたが、方向性が見え始めたような気がしています。

Tennisnakama in New Yorkの記事は、親サイトの Tennisnakama.comから転載していますが、 記事に寄せられるコメントが面白く、フィードバックがルアルタイムで戻ってくるので、書きがいがあります。おかげさまでヒット数もコンスタントに増え、毎日の平均は5000を上回るようになりました。ヒット数からは具体的にどれだけの人々に読んでいただいているか分かりませんが、多くの方たちに読んでいただいている責任の重さを感じております。


投稿者 Tennisnakama  20:59 | コメント(17)| トラックバック(0)

検索の威力

インターネットの情報収集の速さには驚かされます。私はブログやウェブサイト(tennisnakama.com)のヒット数を上げる工作は一切しておらず、GoogleやYahooにも登録していないので、検索してもなかなかでてこないはずなのですが、この一週間で二つの出版社から連絡を受けることになりました。朝日新聞が発行している雑誌『AERA』と出版社の実業之日本社からです。

AERA



特に『AERA』の担当記者からは、US Open中、毎日のようによく電話がかかってきました。錦織選手についての取材でしたのでいろいろ協力させていただきましたが、 送られてきた雑誌を読んで、事実と違ったことが報道されていますので、訂正をさせていただきます。(9月15日号、P.75)

「錦織のサインをねだった多くは日本人で、しかも子供が多かった」と言ったにも拘らず、「女性に囲まれサインをせがまれていた」というのは、アメリカ女性にも人気があってほしいという記者の願いであって事実ではありません。もちろん女性もその中に混じっておりましたが、この文章だと女性にモテモテのような印象を受けます。

motemote



テニスをよく知らない記者だったので、錦織選手だけでなく、いろいろテニスについても説明させてもらいましたが、そのお礼としてのTennisnakamaの名を入れるということだったのですが、それが女性とだけしか書かれていなかったのは残念でした。(*マークで下に小さくhttp://tennisnakama.comが載ってましたが)


もう一つは今日入ったメールです。info@tennisnakama.comのほうに 実業之日本社の編集者の方からメールが入っておりました。以下が今日のメールでの会話です。

(実業之日本社)
「『錦織圭 フィフティーン・ラブ』という単行本を出版します、実業之日本社の編集をしております・・・です。

nishibook



今月9/27に上記表題の書籍が発売となります。
詳しくはamazonや弊社HP 
https://www.j-n.co.jp/cgi-bin/product_detail.cgi?code=4-408-45181-9
でご確認いただければと思いますが、錦織選手と親しいテニスジャーナリストの神 仁司氏が、さまざまな角度から続けてきた取材、および本人へのロングインタビューを通して彼の素顔、リアルな考え方がぎっしりと描かれています。

表紙画像等はHPから流用使用していただいてかまいません。

ぜひご紹介のほど、よろしくお願いいたします。」

(Tennisnakama)
「分かりました。さっそく紹介させていただきます。
できれば1冊こちらのほうに送っていただければ、詳しく紹介させていただけると思いますので以下の住所に送っていただけますでしょうか。」

(実業之日本社)
「では見本ができてまいりましたら、お送りさせていただきます。 よろしくお願いいたします。」

ランキング81位で、本が出版されるというのは、正直いって驚きました。(アンディマリーの本、Hitting Backは今年6月に出版されました。しかし彼は4位です。)50位、10位と錦織選手のランキングが上がっていくごとにいろんな錦織本が出版されるかもしれませんね。出版前にサンプル本が届くはずになってますので、ブックレヴューを書きたいと思っています。

この一週間は、検索インターネットの威力を痛感しました。世界はリアルタイムでどんどん縮小されて、ときどきニューヨークにいることを忘れてしまうほど、猛スピードで情報が駆け巡っています。最近検索していて感じるのは、情報が氾濫している割には、正確でためになる情報が少ないということ。情報速攻のエキサイティングな時代ですが、時間との競争で、クウォリティーが犠牲にされてしまっているのが気になる此のごろです。

投稿者 Tennisnakama  13:53 | コメント(18)| トラックバック(0)

アンディ・マリー戦争

「アンディ・マリーは一夜にしてヒーローになった。しかしなったところはアメリカだけだった。」

マリーのUS Openの決勝戦について、イギリスの名門新聞『タイムズ』の記事が、「イギリスはアンディ・マリーを愛せるようになるだろうか?」の題で皮肉たっぷりに書いています。
http://timesonline.typepad.com/sports_commentary/2008/09/will-britain-le.html

なぜ英国人がスコティッシュのアンディによくやった!と褒めてやらないのか?

なぜイングリッシュがアンディを認めたがらないか?

(英語でEnglishは正確に言えば、イングランドに生まれた人をさし、ここではイギリス人と訳すると混乱しますので、イングリッシュと呼びます。いわゆる私たちが言っている英国生まれは、ブリティッシュBritishです。区別をはっきりさせるために、ここでは英国人としました。)

スコットランドとイングランドの関係は、例えれば仲の悪い兄弟のようなもので、英国に住んだ経験がないと、想像するのはむずかしいと思いますが、アンディ・マリーの決勝戦でこの二国の関係が表面化してきました。何しろFirst Warから700年の間に、何度も引き起こしてして来た戦争の傷がまだ癒えないで今日に至っているのですから根が深いのです。

アンディが英国でヒーローになれないのは、この対抗意識からくることも原因ですが、また価値観の違いも浮上してとても興味深いのです。コメントではマリー派、アンチ・マリー派に真っ二つに分かれて喧々囂々。その有様を「マリー戦争」とひやかして書いている私としては、同じ英国人なのだからマリーを応援してやればよいのにと思うのですが、誇り高きイングリッシュにとっては、マリーは受け入れがたいのです。ティム・ヘンマンのような清潔で礼儀正しい選手は誇りに思うが、マリーはパンクみたいでヒゲが汚らしい。マナーがなっていない。態度が大きい。ウィンブルドンのガスケ戦で見せた、勝利の腕こぶのみせびらかしが下品だった。と、いくらでも気に入らないことがあるようです。つまりチャンピオンとしてふさわしくないのです。

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スコティッシュも負けておらず、あの堅苦しいヘンマンの紳士面は気に入らない。それに比べてマリーは正直で面白い。皆がヘンマンになってしまえば、テニスもつまらなくなって誰も見ないだろう、という訳です。

英国ローン協会出身のヘンマンは、ジェントルマンの象徴ですが、アンディはスポイルされたわがままな若造というイメージでこの二人は絶えず比較されてきました。しかし今回は特別に理由があるのです。 アンディが記者会見で、サッカー選手権について質問されたとき、「スコットランドは、他のチームに負けても、イングランドだけには負けてほしくない」と冗談のつもりで言った言葉が一人歩きして、アンディはイギリスのメディアから非難ゴウゴウの集中豪雨にあってしまいました。 実はその前にヘンマンとマリーの間で「サッカー・トラッシュ・トーク」(サーッカーチームのこき下ろし合い)が冗談で交わされていたという背景を知らないプレスは、アンディの軽い冗談を大々的に報道したものですから、イングリッシュはムッときたのは当然です。しかもアンディは昔から、英国のテニスに対して批判的で、そのためにスペインでテニスを修行したのですから、イングリッシュにとってはますます面白くないのです。

「僕はアンディは傲慢で好きでないよ。スコッティッシュだけれど、フェデラーを応援したよ」
「僕はイングリッシュだけれどヘンマンはつまらん。アンディーのファンなんだ」
という裏切り者もぞくぞくでてきて、ブログのマリー戦争は収拾がつかなくなってきました。

このマリー戦争が、単純なスコティッシュvsイングランドの民族対立だけにとどまらないのは、「チャンピオンとはどうあるべきか?」という個人の価値感に深く根ざした問題だからでしょう。

まだ21才のアンディは、今はまだ自分の個性を生かしつつチャンピオンにふさわしい選手になる成長の過渡期です。フェデラーがラケットをコートに投げて怒りを表現することをやめ、言葉の選び方も相手をけなすことなく意見を述べられるようになってくるまでかなりの時間を要しています。

私のブログでも『錦織選手の今後の課題』で、ITOの問題と共にこのチャンピオンとは何かの問題に触れていますが、価値観の違いからいろいろ反響を呼んでしまいました。

しかし「チャンピオンとは?」「ヒーローとは?」の答えはとてもシンプルだと思うのです。時代を超え、国境を超え、ジェネレーションを超えた答えがヒーローなのです。子供は複雑な問題のコアを本能的に見分ける能力があります。子供たちが「彼のようになりたい」と思える選手が、チャンピオンでありヒーローだと思うのです。

          「 正々堂々と戦う正義の味方」

この基本さえ押さえておけば、いろんなヒーローが出現してもよいと思うのですが。


投稿者 Tennisnakama  05:52 | コメント(9)| トラックバック(0)

フェデラー、優勝のプレゼント

まずはフェデラーのUS Open5連勝おめでとう! US Openは,4GSの中で競争レベルにおいて、最も難しい大会とされていますので、本当に嬉しく思います。彼の優勝は、テニス界へのフェデラーから大きなプレゼントとなりました。

幾度も述べてきましたが、アメリカがくしゃみをすると、全世界が風邪をひいてしまうテニス界では、アメリカでのテニスの人気がカギとなります。現在アメリカ人のトップスリー選手が存在しないテニスでは、人気を確保していくには、エキサイティングなライヴァリーが必要となってきます。ウィンブルドンのナダルvsフェデラー決勝戦は、そういった意味で多くのテニス素人を魅了するすばらしい試合だっただけに、このライヴァル関係が崩れてしまえば、せっかく得た新しいテニスファンを喪失してしまうだけでなく、古いテニスファンまでテニス離れを招く可能性があります。

オリンピックで金メダルを得たフェデラーですが、やはりここでシングルスのタイトルを取っておかなければ、「フェデラー復活危なし」がいつまでも囁かれることになり、そうなるとフェデラーの自信回復をますます遠ざけるだけでなく、ナダルとのNo.1争いのシナリオが成り立たなくなってしまいます。

マリーが4位にあがることによって、ナダルフェデラー、ジョコヴィッチ、マリーの4銃士のスリリングなパワー構図ができあがりました。そのあとに、続くデルポトロ、グルビス、チーリーチ(クロアチアではこう呼ばれているそうです)の新しいビッグボーイパワー、無限の可能性を秘めている18才の錦織と、その裾がどんどん広がっていきます。これでテニスがますます面白くなったことは、テニスファンにとって、わくわくさせるグッドニュースなのです。

昨年も同じラグジェリースウィートからフェデラーの決勝戦を観戦しました。昨年はMonoの影響もなく、破竹の勢いでタイトルをとりまくっていたフェデラーでしたから、焦点は人真似で一躍人気者になった3位のジョコヴィッチが、どれだけチャンピオンと互角に戦えるかにありました。あれから一年。この一年はフェデラーの真のチャンピオンが問われた年でした。Monoとの戦い。プレスの止むことのないネガティヴなコメント。「フェデラー時代は終わった」との風潮に一人で闘っていかなければならない孤独な旅だったと思います。

私はフェデラーのファミリー席のすぐ上におりましたので、彼の両親、ミルカ、パートタイムコーチのイゲラスなどの反応が手に取るように伝わってきます。フェデラーのお父さんは、フェデラーがトロフィーを空高くかかげた時、そっと涙をぬぐいました。セレモニーも終わってスタジアムから人々が退場してしまった後も、彼は席に残ったまま去ろうとはしませんでした。息子を助けてやりたいが何もしてやれない。じーっと苦しみを耐え、戦いつづけてやっと手にいれた勝利です。どれだけ誇らしかったことか。 ファンも同じ気持ちだったと思います。

フェデラーの準決勝(対ジョコヴィッチ)の勝因はサーヴでしたが、決勝はフォアハンドだったと思います。今まで何となく自信なさげに打っていたフォアハンドが姿を消し、あの華麗なフェデラー・フォアハンドが戻ってきたのです。これはフェデラーが記者会見で言っていましたが、彼のフットワークの進歩が大きく貢献しています。マリーに大きく振られても、球に追いつきしかもその不利なポジションから攻撃を加えるには、ナダルのようにフィジカルにフィットしていなければなりません。

マリーのウィンブルドン以降の目覚ましい躍進ぶりは、フィジカルトレーニングに重点をおいた厳しいトレーニングの結果と言えます。それにウィンブルドンで5セットでガスケを破った自信が、ジョコヴィッチ(シンシナティ)、ナダル(US Open)を破った自信に輪をかけて、マリーはとてつもない可能性を秘める選手であることを世界に証明しました。

マリーの武器はフェデラー曰く、「ネットプレーができる」「ベースラインからラリーができる」「ベースラインよりも深く下がったデフェンスポジションから攻撃が出来る」、つまり何でもできてしまうプレースタイルです。カウンターパンチャーであったマリーは、アグレッシヴな攻撃を加えることによって、ナダルのように「アグレッシヴ・ディフェンス選手」に成長しました。

フェデラーは、初めてナダルと最初対戦した時は、彼は将来すごい選手になると思った、と述べています。それと同じような印象を、マリーとの初対戦でも受けたそうです。しかしフェデラーは、ジョコヴィッチには感じられなかったと言ったコメントは、ジョコファンにとっては気にかかりますが。

今までフェデラーの不調の原因について、いろいろ私なりに分析をしてきましたが、「自信を持つ」ことの重大さを今さらながら思い知らされました。「オリンピックの金メダルが与えた自信はとても大きかった」と答えています。そしてフィットネスの重要性です。フェデラーは今回は「僕の作戦勝ち」だったと言っています。「相手の作戦を見抜き、その作戦を実行させない作戦」が成功したと述べています。

記者の「ではどんな作戦だったのですか?」の質問に、フェデラーは笑顔で「それを言ってしまっては、今後彼に読まれてしまうのでそれは秘密だよ」と答えていますが、当然ですよね。でもお互いどんな作戦だったのか、興味がありますね。

(フォトストーリー)
夫がスイスから銀のメラメラの十字の入ったTシャツを買ってきてくれたのは、嬉しかったのですが、よく見れば子供用。胸がしめつけられた思いは、フェデラーの勝利が原因だけではなかったのです。スイスの帽子、スイスのTシャツで応援です!

swissshirt



アメリカ人の男の子が手作り(多分お母さんが縫ったのでしょう)のスイスの旗を持参して応援してくれる気持ちはありがたいのですが・・・これってスイスの旗じゃなんです。気がつかれましたか? 下が正しいスイスの国旗です。

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アメリカの国旗の中にスイスとイギリスの旗が中央に含まれています。そして戦闘機が飛んでいよいよ決勝戦が始まりました。

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マリーとフェデラーが記念撮影。フェデラーはリラックスしてにっこり。マリーは少し緊張しているようです。

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フェデラーのダイナミックでリズミカルなフットワークはいつ観ても美しいですね。

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それに比べて、マリーは少しflat-footedで重い感じです。

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勝利の瞬間です。不調といわれた長い闘いが終わりました。これでやっと世界に証明することができました。「僕はまだ終わっていないのだ」と。肩の荷が降りました。

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ミルカもこの歴史的瞬間をとるためにカメラを向けていますが、こんなカメラで大丈夫かな?

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お疲れさまでした。本当によかったですね。

Congratulations, Roger!


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投稿者 Tennisnakama  01:10 | コメント(13)| トラックバック(0)

これがラグジャリー・スウィートです!

昨夜の女子決勝戦は、最高に楽しかったですよ! 試合を観たり、スノークラブ(昨年はキャヴィアでした)を食べたり,シャンペンを飲んだり、まるで我が家の庭がUS Openのような感覚なんです。バルコニーから観戦してもよし、リヴィングルームで観戦してもよし。いくら説明しても分かってもらえないと思いますので、写真でレポートです。

ラグジャリー・スウィートという豪華なバルコニー付きの部屋が与えられるのは、メジャーなスポンサーだけ。そしてそこに招待されるのは、大切なお客様だけというわけで、私は大切なお客様ではありませんが、友達の招待で女子決勝戦に行ってきました。

今日は特別室ですのでジーンズでは行けません。久しぶりにスカートをはいて、友達と7時半でタイムススクエアで待ち合わせです。

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ゆっくりとスウィートのゲストだけにゆるされる豪華なテントとはいいがたいホスピタリティテント(写真をとるのを忘れました)でお食事をしている間に、開会式が始まってしまいました。あわてて係の人に先導されてスウィートへ。

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おおお!すでにヤンコヴィッチとセリーナのウォームアップが始まっているようです。

balcony



すみません!時間切れです!今から私が主催するテニスパーティに出かけなくてはなりません。そしてその後は、昼食会を失礼させてもらって、US Open会場です。でもその合間をぬってこのつづきはアップしますので楽しみに。

ただ今帰宅しました。30分でアップしなければ、決勝戦に間に合わないので大急ぎです。

セリーナとヤンコヴィッチの激しい戦いが展開されます。

serenafore



でもおいしそうなビュッフェがあるので、リヴィングルームの方も気になります。生牡蠣にスノークラブ。

oyster



派手なお寿司です。いろんなコンビネーションが凝っていてなかなかの味でした。

sushi



観客の反応は第1セットはセリーナのほうが6:4の割で応援が多かったのですが、第2セットに入ると、俄然皆ヤンコヴィッチの応援が増えてきました!「なぜ?今までセリーナを応援してたんじゃないの?」ととなりの女性に聞くと、"I wanto to see the 3rd set!"ですって。野球なら、絶対ヤンキーズが大勝してほしい、と思うのがファン心理でしょうが、テニスのファンはテニスを愛する気持ちが強いので、自分の応援している選手には勝ってもらいたいが、ボロ勝ちではつまらない、よい試合が観たい!という気持ちがそうさせるのでしょう。

jankofore



私は一球一球を分析したりするのがすきですので、ついおしゃべりができる、おいしいお料理が食べれる部屋でTV観戦になりがちです。コートが目の前にあるというのに、もったいない!

livingroom



バルコニーに出てみると姉のヴィーナスが私たちのバルコニーのすぐ前に座って妹を応援しています。本当に偉いですね。負けても勝ってもお互いを励まし合う姉妹関係は立派です。彼女の席はファミリー席でお母さんと一緒です。venus



アーサーアッシュの会場にセリーナの喜びの瞬間が映ります。私は大分シャンペンがまわっているので、誰が勝ってもハッピーなのですが、でもアメリカがこけると世界のテニスがこけますので、その意味ではよかったよかった。

serenawon



ああ、そうそう、まだデザートを食べてませんでした。チーズケーキにフルーツです。

cheesecake



もう午前0時。スタジアムの興奮は覚めやらず、そこであの超有名な大金持ちのリチャードブランソン(ヴァージンアトランティック航空、ヴァージンレコードの社長)にバッタリ。「実物のほうがずっとハンサムですね」なんて調子のよいことを言ったら手を握られました。(ヒヒヒ)

virginair



と楽しい一日でしたが、ろくに女子決勝も観戦しなかったふとどきゲストでした。ところでスコアは誰か知ってる?(これ冗談)


投稿者 Tennisnakama  22:07 | コメント(21)| トラックバック(0)

一言所感を

『錦織選手の今後の課題』と『ジョコの教訓』の記事について、皆さんからの熱いご意見をありがとうございました。

この二つの記事の目的は、ITOやバスルームブレークをとったことによって、第3者(メディアとテニスファン)に与える影響を述べることでしたが、それが錦織批判にとられ一部のファンの方に理解してもえらなかったことは遺憾でした。世界的レベルの選手には、メディアのレンズの焦点が違うということを述べたかったのにも拘らず、いくら説明してもそれが一方的に錦織批判と受けとられ、議論にも至りませんでした。

もっとも残念だったのは、こういう風潮の中では、建設的な意見も抹殺される傾向があることです。誤解を生むようなことは一切書けない。例えばフェレールファンにインタービューしたことは割愛しました。それは、錦織ファンを逆なでることになり、私の趣旨を受け止めてもらえないと危惧したからです。錦織選手のよいことを書いていれば安泰ということになれば、私が錦織選手を書く必要がありません。太鼓をたたくブログは山ほどあるでしょうから。

しかし、賛成であろうと、不賛成であろうと、私の記事をきちんと読んでコメントを書いてくださった皆様に心から感謝をいたします。

ジョコヴィッチのブーイングの背景をもっと詳しく書きたかったのですが、テーマからそれるために割愛しました。そのために彼を一方的に批判するような印象を与えてしまったことをお詫びします。ブログは時間との戦いですので、書きたいことが全部書けないことが欠点ですが、その限られた時間とスペースでベストを尽くしていきたいと思います。

今晩の女子シングルの決勝(セリーナ・ウィリアムズvsヤンコヴィッチ)も、明日の男子決勝(ナダルが負けました!でもマリーvsフェデラーですが、フェデラーをしっかり応援してきます!)も特別スウィート席から観戦することができるようになりましたので楽しみにしてください!


(追記)ITOやバスルームブレークを乱用する背景はないかもしれないのに、私が想像で問題提議をしているとのコメントに対して、数多い情報の中から、もっともよく読まれているテニスブログの一つ、Tennis Warehouseのブログを紹介します。今年の9月3日のこのコーナーで熱くその乱用について議論されています。テニス倫理の低下現象がみられる昨今、乱用現象はジュニアの間に特ににみられるようになり、今大きな問題になっています。

http://tt.tennis-warehouse.com/showthread.php?p=2684969


投稿者 Tennisnakama  01:12 | コメント(32)| トラックバック(0)

Go! Magnificent Four!

今朝は男子準決勝が行われる予定ですが、ニューヨークはハリケーン・ハナに襲われて不気味な天候となってきました。

昨夜の雨は上がりましたが、午後からまた雨が降る模様で、試合も一時間くりあげとなって午前11時から始まります。最初はフェデラーvsジョコヴィッチ、その後にナダルvsマリーとなっていますが、雨が降ると、それぞれ日曜の午後1時と4時に延期されます。日曜に予定された決勝は従って月曜の午後5時となってしまいます。

決勝に多分招待していただけるということで、夫はアルプスを下山してまもなくNYに着く予定。いろいろややこしくなってきました。

今年のUS Openはブログの掲載、錦織選手のR16の出場、マネージャーとのミーティングなど、エキサイティングな2週間でした。

地下鉄の駅を降りたところがUS Openの会場となります


gotosite



入場ゲートにウェルカムボーイ

welcome



アーサーアッシュでナダルの試合です

arthurashe



連日30度を超える炎天下で日射病予防(?)のモヒトMojito。ラム酒が頭にまわって暑さを忘れます

mojito



ヴァヴリンカの応援で一緒になったスイスの人達ですが、頼りない応援団でした



さていよいよフェデラーvsジョコヴィッチ戦です

djokobh



USA TVのインタービュー

FedererTV



そのあとに、ナダルvsマリー戦が続きます

nadalover


murrayportrait



それではハリケーンが無事通過してくれることを祈って!
そしてす4人のすばらしい試合を期待して!


Go! Magnificent Four!








投稿者 Tennisnakama  22:15 | コメント(18)| トラックバック(0)

ジョコの教訓

予想されたことが起こりました! 

ジョコヴィッチが昨夜のロディックとの試合でブーイングを受けてしまいました!しかも彼はITO (インジャーリータイムアウト)をとっていないのに、ブーイングはますます大きく会場にこだましていきます。



この事件は昨日私が書いた「錦織の今後の課題」のテーマ、ITOの核心でもあるので、ロディック戦を説明しながら、ITOについて述べていきたいと思います。

日本ではテニスはマイナー化して、世界のテニスの動きがほとんど伝えられておらず、情報は試合の簡単な結果のみというお寒い状況にあります。そこでぜひ、日本のテニスファンに刻々と移り変わる世界のテニスの動向を伝えたいという願いから、ブログを始めました。

ですから、今回のジョコヴィッチの件にしても、TVで観戦された方は、会場のブーイングを理解できずに、ニューヨークはジョコヴィッチに冷たい、といった印象をもたれた方もあるかもしれません。

ジョコヴィッチが先日行った対ロブレド戦のあと、ロブレドの怒った記者会見が発表されました。それは、ジョコヴィッチが腰が痛い、胃が痛いといって、毎回ITOをとったことに不満を訴えるロブレドの抵抗でした。「僕だってどれだけ体中が痛かったか!」しかし彼はITOをとりませんでした。彼の良心のもとに、ルールをアビューズしなかったのです。問題は、ジョコヴィッチです。

ジョコの過去はITOが多すぎるのです。

ITOの問題は、TVの解説者やメディアがよく取り上げる問題ですが、明らかに怪我をした場合、または、これ以上続けると危険な状態におちいると判断した場合以外は、ITOはとるべきでないというスタンスに立っています。特にITO を取った後、コートを何の支障もなく走り回っている選手をみれば、「これはおかしい」と、疑われてしまっても仕方がないのです。

「ITOの常習者」とレッテルを貼られてしまったジョコヴィッチですが、こうなると本当に具合が悪くても、誰からも信用されなくなってしまいます。ロディックは試合の前に、ジョコヴィッチについてこのように答えています。

Q. When asked about his injuries today, mentioning the right ankle as opposed to the left ankle, the other day
今日のジョコヴィッチの(ロブレド戦の)怪我ですが、他の日は左足首といってましたが、今日は右足首だとか・・・

ANDY RODDICK: Isn't it both of them? And a back and a hip?
両方じゃなかったの?それとも背中、それとも腰だっけ?

Q. And when he said there are too many to count.
彼は数えきれないくらいあると言ってましたけど、

ANDY RODDICK: And a cramp.
じゃ、クランプも。

Q. Do you get the sense right now that he is...
彼の調子はどうだと・・・

ANDY RODDICK: Bird flu.
バードフルー

Q. Lot of things. Beijing hangover.
いろんな事が重なった。北京弊害

ANDY RODDICK: Yeah.
まあ、ね。

Q. He's got pretty long list of illness.
彼の病気のリストは長いですね。
ANDY RODDICK: Anthrax. SARS. Common cough and cold.
炭疽菌、SARS, 咳に風邪

この記者会見には笑ってしまいました。ロディックはまったく冗談で答えているのですが、ジョコヴィッチとしては面白くないのは当然です。

これと同じ質問を、ナダルフェデラーにすれば「ジョコは全力を尽くすだろうし、僕も尽くすつもりだ」などと優等生の答えが返ってくるでしょうが、悪ガキ、ロディックはスパイスの効いた応答でメディアやファンを楽しませてくれたのでした。彼が錦織と対戦したあと、「若造にちょっとレッスンをしてやっただけのことさ」というような意味のことを言って、世界のテニスファンから総スカンをうけましたが、確かにこのジョコヴィッチに対する発言は繊細さを欠くものでした。

そういう背景があったものですから、ジョコヴィッチは世界のテニスファンに言いたかったのかもしれません。コートのでの勝利インタービューで放った言葉です。

「アンディは僕が16カ所も怪我をしてると言ったけど、明らかに僕はそうじゃないよ!」

ここで大きなブーイングが会場から起こります。

ブーイングをする観客に向かって、「分かってるんだ。君たちが僕が全部ウソついている(怪我に対して)と思ってるってことは。」

ここでまた大きなブーイング。

「でも、16カ所も怪我しているなんて、言うのはよくないよ」

またブーイング。

これは実に悲しい出来事です。昨年、シャラポヴァやロディックの物真似であれほどニューヨーカーから愛されたジョコヴィッチの姿はどこにもありません。

私が予期した通り、ニューヨークタイムズの記事では、2005年のUS Openのモンフィス戦に言及しながら、厳しいトーンで記事をしめくくっています。

Considering his injury-timeout habits, including against Gael Monfils in 2005, in which he admitted was the only way to win, and against an angered Tommy Robredo in the round of 16 earlier this week, Djokovic might have worn out his welcome with tennis fans.

「2005年にモンフィスと戦った試合で、勝つ手段はタイムアウトしかなかったと言ったジョコヴィッチは、ラウンド16で、タイムアウトをとってロブレドを怒らせてしまった。彼のインジャーリータイムアウトの癖を考えると、ジョコヴィッチに対するテニスファンの歓迎はすり減ってしまったようだ。」

ルールで許されているからと言って安易にITOをとったり、バスルームブレークをとったりすると、後で必ずその選手にしっぺ返しがくるということを忘れてはいけないと思います。ジョコヴィッチは安易に取ったとは思いませんが、とる回数が多いことに問題が潜んでいます。私は、決して錦織選手が安易にITOをとったなどと言っておりません。むしろ、あの足を引き攣った辛い状況でよく戦ったと誇らしく思っています。

ただ、世界のトップ選手になるということは、すべての行動が評価の対象になるということを知ってほしくて、「錦織選手の今後の課題」を書きました。特に世界中が注目するグランドスラムにおいては、16強に入る選手の一挙一動がメディアの話題の対象になるということを念頭にいれておいてほしかったのです。

錦織選手はこれから伸びていく日本のスターです。ですからその星にふさわしく、リタイアやITOを必要としない強靭な体つくりにまず取り組んでほしいと思います。

世界の人々から、「よくやった!すばらしかったよ圭!」と心から拍手をおくられる日がだんだん近づいてきています。次に会ったときは、圭君はまた一段と逞しく成長していることでしょう。

頑張れ、圭君!




投稿者 Tennisnakama  23:52 | コメント(33)| トラックバック(0)

錦織選手の今後の課題

4回戦まで戦い抜いた錦織選手は本当に立派でした。18才でこの偉業です。将来が本当に楽しみです。

しかし今年の成績を見ているとリタイアと、インジャーリータイムアウト(ITO)(メディカルタイムアウトとも呼ばれる)が多いのが心配になってきます。

今年だけでも、マイアミCH(1月)準決勝は棄権、その後は6月のサービトン、ノッティンガム、ウィンブルドンはリタイアです。彼の健康面が最も心配されることはいうまでもありませんが、今回は誰も書かなかった、しかし決して疎かにしてはならない「選手の評価」と言う点について述べてみたいと思います。

まずジョコヴィッチの例をとって話をしたいと思います。

ジョコヴィッチの人気がテニスファンの中でも、選手の中でもイマイチなのは、両親の過激な応援のせいもありますが、重要な試合で負けそうになるとリタイアする数が多く(モンテカルロの対フェデラー戦、デ杯の対ダヴィデンコ戦、ウィンブルドンの対ナダル戦など)、またタイムアウトの取り方が問題になったりして、彼のスポーツマンシップが問われていることが大きく影響しているようです。これは彼のフィットネスの問題と呼吸系の疾患も関わってそうせざるを得ない事情もあるようですが、第3者の目からそうは映らないところが今回私が指摘したい問題点です。

Djoko1



2日の試合でも、呼吸困難に陥ったジョコヴィッチが時間稼ぎにいろいろやったことについて、対戦相手のロブレドが文句を言っています。「僕だって体中が痛くて、足も焼けそうに痛かったのにタイムアウトはとらなかった!」ジョコは 確かに腰を痛めたようでしたが、試合の途中でリストバンドをとりかえにベンチに戻ったり、必要以上に歩き回ったりボールをバウンスさせたりして時間稼ぎをしたことは確かです。その場かぎりだと誰も文句はいいませんが、頻繁にやると、スポーツマンシップを疑われるようになります。

2005年のUS Openで、ジョコヴィッチはITOを2回、バスルームブレークを2回とって、モンフィスに勝ちました。その間モンフィスはじーっと汗をかいたまま座ることになり、体が冷たくなってしまい、完全に調子が崩れてしまったと言っています。試合のあと、観客からジョコヴィッチはブーイングを受けてしまいました。ジョコヴィッチの理由は「あんまり疲れたから」というものでしたが、モンフィスも暑くて疲労困憊していましたが、タイムアウトはとりませんでした。この時ジョコヴィッチは錦織と同じ18才です。誰も疲れるのは変わりません。ここで戦い抜けるほどフィットしているかどうかも、選手にとって大切な条件となります。この試合の汚名はジョコヴィッチに一生ついてまわると思います。ITOの問題になれば、必ずこの対モンフィス戦が引用されるからです。

錦織は4回の試合のなかで、気がついただけでも、錦織はバスルームブレークを3度もとっています。(ショーツが大きすぎる。帽子を取りに行った。ショーツの着替えなど。)そしてITOを2度とりました。

疲労や痛さとの闘いも試合の重要な要素です。毎回ITOやバスルームブレークをとるようになると、ルール違反でなくともジョコヴィッチのように、「ずるい」「またトリックをつかった」と言われ兼ねません。 錦織が対フェレール戦の4セット目の後、ITOをとってトレーナーからマッサージを受けました。そのあと錦織が生き返ったように、ガンガンと打ちまくって5セット目を取り、フェレールに勝ったことは皆さんもご存知だと思います。実際彼はマッサージのあと、気持ちがよくなったと言ってますから、その効果が抜群だったことは確かでしょう。

injury



試合後の記者会見で、錦織のITOについて質問がフェレールにされています。

Q. He called the doctor, trainer. How did you think about it?
彼(錦織)はトレーナーを呼んだけれど、これについてどう思いますか?
DAVID FERRER: I don't think nothing. I am focus on my game and for the next point, no?
I don't think nothing.
何とも思わないよ。自分はゲームに集中して次のポイントのことを考えていたから。
Q. Do you think you should have maybe called the trainer yourself?
自分もトーレーナーを呼ぶべきだったと思わないですか?
DAVID FERRER: No, it's not a problem, no? It's the rules of the game, no? He can call to the training, and he did.
問題はないよ。 no? ルールにあるのだから。 no? 彼はトレーナーを呼ぶことができるのだからそれをやったまでのこと。

フェレールは当たり障りのない答えをしていますが、ここで微妙なのは記者の質問です。
「自分もトーレーナーを呼ぶべきだったと思わないですか?」
こういう質問は今まで聞いたことがありません。何も故障を訴えていないフェレールに、こういう質問をするということは、錦織がマッサージを利用したのだから、フェレールも利用するべきたった、というニュアンスが含まれているような気がします。

錦織は必死で痛さをこらえながら戦ったと思いますが、第3者にとっては、そうは解釈されないことがあるということを念頭にいれておくべきでしょう。特に負けている時のITOは要注意です。「ルールで許されているのだから利用しない手はない」という考え方もありますが、テニスはコンタクトスポーツと比較できないジェントルマンスポーツの伝統があります。勝つためには多少のことは大目に見られる他のスポーツとの一線を画しているのが、このスポーツマンシップを重視する伝統であり、テニスの素晴らしさでもあるわけです。

スポーツマンシップの話になると、いつも引き合いに出されるのがフェデラーです。彼は今までリタイアをしたことがありません。幾ら負けそうになっても、Monoでどんなに疲れていても、彼は試合を放棄しません。彼にはスポーツマンとしての誇りがあるのです。ですから彼は世界中の人々から尊敬され愛されるのだと思います。

ここでATPに提案です。もし選手がITOをとれば、対戦相手の選手にはマーサージを得るチョイスを与えてはどうでしょう。トレーナーにはいつもマッサージ師がついてくるのです。そうすると怪我をしている選手は気兼ねなく、トレーナーの治療を受けられますし、しかも対戦相手は待っている間マッサージが受けられるというフェアなルールです。しかもITOをとると、対戦相手がマッサージによって疲労回復してしまう危険性もあるので、ITOをやたらと取る選手は少なくなってくるはずです。これでいつも問題になるITOの問題は解決です。Good ideaだと思いませんか?

いよいよ圭君の華麗な攻撃的テニスが世界のテニスファンを魅了する日も近づいてきました。その日のために、 圭君には、まずは体力と筋力をつけてリタイアしない、ITOをとらなくてもすむ強靭な体づくりをめざしてほしいと思います。そしてフェデラーのように世界の人々から尊敬され、愛されるような選手に成長してほしいと心から願って止みません。

圭君のサインを求めるファン



投稿者 Tennisnakama  23:52 | コメント(63)| トラックバック(0)

錦織選手のウェブサイトが決まりました! 

錦織選手のウェブサイトはkeinishikori.comに決まりました!

錦織選手のマネージャー、オリヴァーと会ってきました。ドメインについてミーティングです。

今年の2月に錦織選手がジェイムス・ブレイクを破って以来、錦織選手がセンセーショナルに世界のメディアで話題となりましたが、その時期に私やヨハン、そしてnetdashさんたちがファンサイトを立ち上げ、彼を応援しはじめたのでした。

そのへんの事情は私の以下のサイトに詳しく書いていますのでご覧になってください。

http://newyork.blog.tennis365.net/archives/category/6827.html

2月28日
錦織圭 エクスプレス:特報

2月29日
錦織圭のウェブサイト
錦織圭:ドメインの実態を探る
錦織圭のサイト探検の旅

3月2日
錦織圭:今度はスウェーデン!
錦織圭:ハロー、ヨハンさん

3月3日
錦織圭サイトを作ろう!

3月4日
やりました!錦織のファンサイト完成!

私の錦織ファンサイト

http://keinishikori.net


fansite



当初は錦織ファンサイトを作る気はなかったのですが、彼のオフィシャルサイトがなく、情報が全く手にはいらない状況でした。そして驚いたことには、最もオフィシャルにふさわしいドメイン名、keinishikori.comがイギリス人の手にに渡ってしまって、競売にかけられていたのです。(このへんの事情は詳しく上記の記事に書いています。)そこで、好奇心からどのドメイン名が残っているかを調べたところ、keinishikori.net がまだ残っていました。.comのほうが売りに出されていますので、.net も売りに出されないように、私は慌てて圭君のためにこの.netを買い取ったという訳です。せっかく買ったドメインですので、頑張って徹夜作業で錦織のファンサイトを立ち上げました。

しかし、このドメインも、もしIMGのほうから錦織のオフィシャルに使いたいから譲ってほしいと依頼されれば、潔くプレゼントするつもりでおりました。

そこで私の錦織ファンサイトのために、いろいろオリヴァーから情報を得ようとして、彼にコンタクトを取っているうちに、彼から錦織に関するあらゆるドメインを回収したいので、譲ってほしいというメールが入りました。ということは、netdashさんのkeinishikori.info、ヨハンの kei-nishikori.com そしてShuji Asanoさんの keinishikori.org(これは2007年以来更新されていません)の方に、いずれ弁護士の方から連絡が行く予定、という恐ろしいメールです。

はっきり言って理解ができませんでした。売りに出しでいる.comならともかく、私のような広告もとっていない、しかも純粋に圭君を応援しているファンサイトまですべて回収したいから、他のドメイン名をさがしてほしい、という内容です。では私の.netをオフィシャルな錦織サイトに使ってくれのか? でもその気はないのです。普通でしたら、ファンサイトを大切にすると思うのですが。しかし、この5月にアンディ・マリーが彼のファンサイトを著作権侵害(写真を無断使用)で訴えていますし、ファンサイトも微妙な立場にあります。

でもただ単につぶされるとしたら、悲しいですよね。ここまで頑張ってきたのですから。ヨハンも巻き込まれていますので、彼と相談した結果、しばらくそっとしておいて相手の様子を見ようということになりました。

きっと皆さんには、私のブログに全くオリヴァーが登場しなくなったことに不思議に思われた方も多いと思いますが、実はこのような事情があったのです。

この話はIMGから連絡のないまま約4ヶ月が経ちました。しかしいつまでもこのままにしておくわけにもいかず、オリヴァーに連絡をとってUS Openの会場でミーティングを行いました。以下がその内容です。

「ドメインの件はどうなりましたか? もし私のドメインをオフィシャルに使ってくれるのなら、喜んで譲りますが。」

「Don’t worry. We have keinishikori.com now. イギリス人のレスリーと交渉して、手に入れたから心配しなくていいよ。間もなくオフィシャルのサイトを立ち上げるつもりだ。君のサイトで大いにKeiを応援してほしい。こちらのウェブサイトができれば、リンクをつけてくれるとありがたいね。」

「それはよかった。もちろんです。リンクだけでなく、大いに宣伝させてもらいますよ!何かお手伝いすることがあれば言ってください。」

「Thank you. これからもよろしく頼むよ。」

30代くらい、長身で坊主頭のオリヴァーは絶えずブラックベリーでメッセージをチェックしています。それもそのはず1時間後にデルポトロとの試合が始まるのですから。

ということで、いつできるのかはまだ未定ですが、いよいよ錦織ウェブサイトの誕生です!

(それにヨハン、netdashさん、ファンサイトが安泰となりよかったですね!)


投稿者 Tennisnakama  00:14 | コメント(16)| トラックバック(0)

錦織、残念でしたね

錦織選手、ここまで本当によく健闘したと思います!

実は、試合1時間半前に錦織選手のマネージャーのオリヴァーとミーティングをした際に、彼のコンディションを聞いたのです。

「記者会見で体中が痛いと彼は言ってたけれど大丈夫なの?」

「もう全く問題ないよ。若いからね。プラクティスもバッチリやったしベストコンディションだよ」

「フェレールのとき、私たちものすごい応援をやったんですよ」

「今日の試合もよろしく頼むよ。Kei needs it!」

ということで、応援を頼まれて会場に向かいました。今日は友達のご主人が仕事で抜けて4人となりましたが、Tennisnakama応援団はまたもや一般席の前列から2列を得て、応援態勢が整いました。

tennisnakama

左端のカウガールハットが団長です。

小さくて見えない?まあ雰囲気だけでも感じ取ってください。



会場は日本人のカメラマンが総出といった感じで、日本のメディアの力の入れようが伝わってきます。デルポトロは、前の5セットの試合で、ほとんど動けないほど疲れたと言っていましたし、この試合は体のコンディションがよい方が勝つ、そんな気がしていました。(錦織は日本語の記者会見では、メンタルに疲れていたといってましたが、やはりフェレール戦で心身とも使いきってしまったのかも知れません)

しかし二人がコートに現れたときは、あまりにもサイズの違いにびっくり。デルポトロは198cm。錦織は177cm。21cmの違いはまるで大人と子供のようです。体格もデルポトロは、同じノッポのカルロヴィッチに比べて、はるかに強靭で、まるでサフィンをワンサイズ大きくしたよう。これではボクシングに例えると、ヘヴィー級vsライト級です。明らかに力では負けますので、後は相手のミスまちを狙うしかないのでは。強烈なショットでは、錦織のクリエイティヴなショットをする余裕もなさそうな感じがします。祈るような気持ちで第1セット、錦織のサーヴからゲームが開始されました。

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第1ゲームは錦織の第1サーヴが入らなかったにせよ、デルポトロのエラーも手伝って、錦織のフォアハンドのクロスコートのウィナーで錦織が勝ち取りました。なかなか調子のよい出だしです。第2ゲームも、デルポトロが固くなっているようで、なかなかポイントが決められず、デュースの後は、錦織がフォアハンドで決めて、もはやブレーク。得点は3-0と快調。しかし、それ以降は、錦織のジャンピングフォアハンド(ジャンピングする必要のないショット)でミスしたり、せっかく浮いたデルポトロのリターンをネットダッシュしないで、ウィナーを決められなく0-40で第5ゲームをブレークされてしまいました。

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ここからデルポトルは少し気持ちに余裕が出てきたのか、サーヴに威力が出てきました。125マイルはコンスタントに出しています。角度のついたコーナーに突き刺さる弾丸に、錦織は球を返すのがやっと。浮いたボールをすべてネットダッシュで叩かれて、6ゲーム目は0-40でデルポトロの手に。この先は完全にデルポトロのペースで、錦織の挽回の余地を与えず、6-3, 6-4, 6-3でデルポトロが勝利を収めました。

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デルポトロはもともとクレーの選手だけあってラリーの展開に粘があります。ウィナーは確実に取れるまでは急ぎません。かといって球をつないでいるのではなく、どんどん錦織を深いペースのあるショットで追いつめていきます。「バックハンドのクロスにミスがなく、ダウンザラインにもっていけなくてどうしてよいか分からなかった」と錦織が記者会見で言ってるように、フォアに回り込んでいく余裕を与えなかったデルポトロは錦織の攻撃を封じてしまったように見えます。

しかもあの体格で足が速い! 錦織がウィナーになりそうな球をサイドラインに打っても追いつきます。しかも確実に返球してくるので、錦織はどうしても、確率の悪い無理なショットを強いられます。

3回戦のフェレールとの試合では、錦織のフォアハンドが恐ろしくサイドラインに決まっていましたが、今日はオーヴァーヒットが目立ちます。しかもバックハンドがネットにひっかかります。いつものバックハンドで組み立てフォアハンドで決めるパターンが今日はほとんど実らず、焦りがでてきました。

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第2セットでは、錦織はペースを変えたショットをトライしてみますが、デルポトロの猛烈に速くてヘヴィーなストロークでままなりません。二人のラリーの応酬は、あまりにも球が速く、ベースラインぎりぎりに落ち、一瞬の予断もゆるしません。TVの解説者がデルポトロのラリーを観て、「こんな球を打ち返せる選手は見た事がない!」と感嘆の声を上げた理由が分かるような気がします。それにしても錦織もデルポトロに負けていません。もし、錦織の体のコンディションがよければ、フェレールのときのように、5セットマッチまでもっていけたかも知れないと思うと残念です。でもコンディショニングは、技術やメンタルと並ぶビッグスリー要素ですから、今後の錦織の大きな課題ですね。

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私たち応援団は、ギアをフルにアップして、「ニシコリ!ガンバレー!」を繰り返します。すると直ぐ後ろの席から、「Vamos Juan!」と返ってきます。こちらが音頭をとって、「ニ・シ・コ・リ(チャチャチャ)」をやると、敵も我らのエールをかき消すために、「オーレ・オーレ・デルポトロ!」の合唱が入ります。口惜しいのなんのって!

今日の試合は、錦織も記者会見でいってましたが、相当疲れていたみたいですね。フェレールの時は疲れても、球をつなぐことができましたが、デルポトロはそれを許してくれませんでした。敵ながら、ミスのないすばらしいテニスを披露してくれました。彼はインジャーリーがなければ、間もなくトップ5に入る選手になるのは間違いないと思います。力だけではなく、ネットダッシュもタイミングの取り方がうまく、確実に決めていました。それに比べて、錦織のネットダッシュは、タイミングがもう一つで、ほとんど足下に落とされて失敗に終わっています。肝心のときにネットに詰めないで、詰めてはいけないときにやるネットダッシュが気になります。彼の決断が鈍ってきているようです。

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錦織選手がこれからトップ50に入るためには、まず体力作りと筋トレが不可欠。本人も怪我が多いので、これからトレーニングをしっかりやっていくつもりだと記者会見で答えてます。18才の彼には他の選手にはない「贅沢な時間の余裕」があります。それに加えて天才的な勝負師の魂を潜めています。錦織の可能性は無限です。

それにしても、あの華奢な体でよくここまで頑張りました。じっくりと休養をとってください。そしてまたあのエキサイティングな試合を観戦できる日を楽しみにしています。

圭君と共に戦った

4日間のすばらしい思い出をありがとう!


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投稿者 Tennisnakama  00:52 | コメント(24)| トラックバック(0)

対戦相手のデル ポトロとは?

錦織選手の4回戦対戦相手はフアン・マーティン・デルポトロとなりました。月曜の夕方6時30分以降(日本時間火曜の朝7時半以降)に再び会場はアームストロングです。

彼はアルジェンチン人でまだ19才。ランキングは17位。錦織が18才ですから、ティーンエージの対決です。

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デルポトロは2m近くもある大男。練習しているところを見てきましたが、噂通りものすごいサーヴです。いわゆる爆弾が空から降ってくるといった感じで、昨日のシモンとの試合では132マイルを記録しました。しかも2nd サーヴの平均は約100マイルです。

一番恐いのは、彼はずーっと負けていないのです。何とATP Tourで連続4回優勝していて、これはATP始まって以来の最多連続記録だそうです。

ですから、フェレールより恐い相手だと言えます。練習風景も笑顔たっぷりで余裕があります。ある解説者は、ワシントン大会で彼の試合を見て、「こんなすごい選手は見た事無い」と驚嘆したくらいですから恐ろしいですね。

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デルポトロも錦織選手と同様、昨日は5セットマッチをやっています。明日の試合は、いかに早く疲労回復をするかにかかっています。錦織選手は腰痛と足首が心配されますが、面白い試合となりそうですね。


投稿者 Tennisnakama  09:16 | コメント(18)| トラックバック(0)

錦織、応援合戦です!

錦織選手がフェレールに勝ちました!
5セットマッチで6-4 6-4 3-6 2-6 7-5で4回戦進出です!

昨夜は写真やビデオの編集を夜中の3時半にようやく終えると、もう目があけてられなくなってそのままソファにゴロンでした。今日の日曜日は雲ひとつないテニス日和。先週の日曜から毎日7日間、朝から晩まで会場を駆け足で観戦しておりましたので、今日はゆっくりと久しぶりにテレビで観戦です。今フェデラーを観ていますが、調子はまあまあのようですね。早く本調子になってもらわないと、錦織vsフェデラー戦が観れません。(昨夜から急に強気になっています)

錦織vsフェレールはUS Openの歴史を塗り替える大事件となりました。過去最も若いUS Open3回戦の勝利者は17才のビヨン・ボルグで、1973年に3位のアーサー・アッシュを破っています。錦織は2番目に若いそうです。すごいですね。ビヨン・ボルグと比較されるようになりました。しかも、18才で4回戦出場は、サフィンが1998年に優勝して以来の出来事だそうで、あらためて錦織の偉業に驚かされます。

昨日はまさに観客と一心同体となった錦織のファイトでピンチを切り抜けました。その話をしてみたいと思います。これはTennisnakamaスペシャル現地ルポです。

土曜日の試合とあってどの会場も満席です。錦織vsフェレールは2番目に大きいルイ・アームストロングのコートですが、早くからよい席を確保しなくては、写真を撮るどころか座る席もないと判断して、その前のナルバンディアンvsモンフィス戦から観戦することにしました。チェンジ・オーヴァー(コートチェンジのこと)のたびに、観客の出入りができるようになっていますが、まずこのコートに入るだけでも45分くらいは並んだでしょうか。

longline



チェンジオーヴァーごとに、ベターな席へとシートホッピングをしながら、やっと狙っていた席が一席空きました。2時半です。錦織の試合までにまだ2時間半ありますが、これからが一仕事です。友達夫婦と彼女の両親合わせて4席を確保しなければなりません。ほとんど不可能に近い仕事ですが、隣にいた人たちの協力のもとで、私の横に何と4席確保することができました! これで応援態勢が整いました。 彼女の両親が今日、日本からNYに着いたばかり。どうしても錦織を観たい!というご両親に、最上席で観戦してもらえることになりました。

ナルバンディアンのファンの方には申し訳ないのですが、彼のあの出っ腹は何とかしてほしい。足が重い。ドタドタとflat-footed(ベタ足)で暑苦しいです。ミスも多いし、覇気がない。もう中年のおっさんです。ごめんなさいね、ファンの皆さん。でも彼にもっと頑張ってほしいのでつい愚痴がでてしまいます。

モンフィスはいつものプッシャー・スタイルが改善されていません。相変わらずベースラインから3m下がって走りまわっています。いくらすごいショットを打っても、あの遠距離からでは勝てません。そして3度もコートにひっくり返りました。あのプレースタイルを変えない限り、ランキングがあがるどころか、怪我で選手生命が危ぶまれます。

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さて、いよいよ錦織選手がフェレールと入場してきました。あれはあの大きな黒いショーツでは? サイズが合っていればよいのですが。でもときどきヒモをさわってみたりしてますので、やっぱりちょっと大きいのでは?(やっと3セットの後でトイレに行って白に着替えてきました) 

第1セットが始まりました。サーヴは錦織からです。パワフルでコーナーをついたサーヴが入っていきます。それに球の当たりがクリーンでペースのあるディープなストロークがガンガン入り、40-0であっさりと錦織が第1ゲームをとってしまいました。そこには1回戦、2回戦の鈍い感じだった錦織の姿はありません。これがブレイクをやっつけた錦織なのでしょう!それにしてもまるで別人のように、アグレッシヴに攻めていく錦織は、フェレールに追従を許しません。フェレールはサーヴが入らず苦しんでいます。フォアハンドもミスが多く、錦織にフリーポイントをいくつも与えてしまうなど、錦織ペースが続きます.

forehand



錦織は調子がよいのか、得意のフォアハンドでウィナーをとりつづけます。しかもほとんどがサイドライン上なのです。バックハンドで確実につなぎ、フォアハンドでインサイドアウト、もしくはクロスコートのウィナーというパターンでフェレールを翻弄しています。しかしさすが4位のフェレールです。本調子でないにも拘らず、6ゲーム目(2-3)で錦織をブレークしました。しかしすぐ錦織がブレークし直して、大胆なフォアハンドのクロスコートウィナーが決まりました。そしてさらに再び4-4でブレークをしてスコアは5-4です。いよいよ錦織のサーヴです。このサーヴィスゲームをとると第1セットは錦織の勝ちとなりますので、どうしても取ってもらわなければなりません。フェレールの応援は盛んで会場のいたるところから聞こえてきます。でも錦織の名は?

これはまずいです!この肝心なときに錦織への応援が聞こえてこない!日本人が観戦しているにも拘らず、錦織の名前を呼ぶ勇気がないみたいです。

私はカメラ、ビデオ、ノート取りと3人役をこなしていますので、応援もままなりません。でもこの大切なゲームは絶対勝ちとらなけらば。友達夫婦、ご両親を総動員して、エールの打ち合わせを。

Let’s go! Nishikori Let’s go!(チャチャチャ)(3手拍子)
Let’s go! Nishikori Let’s go! (チャチャチャ)
Let’s go! Nishikori Let’s go! (チャチャチャ)

5人の絶叫に近い錦織へのエールがアームストロングの会場にこだましました! 

するとどうでしょう! 何と錦織は、サーヴィスエースを3回連続取ったのです! 応援した私達は思わずその効果に目を白黒。やっぱり応援って大切なのですね。錦織が記者会見でも嬉しいことを言ってました。「応援があったから勝てた」なんてね。でもこれは本当だと思います。あれほど疲れ切った体の元気剤は「錦織頑張れー」の一言です。私たちも彼と一緒に戦っているのですから、もうこうなれば戦友なのです。

私たちの5人の応援団は過激にエール送り続けます。すこしづつですが会場のあっちこっちから「ニシコリ!」「ガンバレー!」の声が聞こえてきました。よし、日本人ものってきた。今度はラテン系でない中立の外国人が応援してくれなければ、絶対数で負けます。まず、後ろの席にいる30代の男女が私たちの応援に参加してくれるようになりました。「どうしてニシコリを応援し始めたの?」と聞いてみると、「彼のゲームはアグレッシヴですばらしい!」とベタほめです「NISHIKO~RI!」と何度もエールを送ってくれました。

フェレール陣も負けてはおりません。私達は一般席の前から2列目でしたが、最前列の若者たちが強烈にVamos Davidと叫んでいます。サーヴをする度にDavidとやるものですから、こちらも間をいれずNishikoriと叫びます。これがデ杯のおもしろさなのでしょうね。会場はフェレール派と錦織派に真っ二つに分かれました!

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第2セットは、第1セットと余り変わらず、相変わらずフェレールのサーヴが今いちで、もたもたしています。しかしさすが4位だけのことがあり、錦織の炸裂するようなフォアハンドにも追いつき、すざましいラリーの応酬です。フェレールは打つたびに、「エイ!」と叫んで全力で打ち返してきますが、 錦織は禅僧のように黙々と打っています。動静の対比が面白いですね。 フェレールはGrinderのニックネーム通り、どんなボールでも食らいついて、ウィナーにさせてもらえません。それでも錦織は、イライラすることなく冷静です。とても18才には見えない落ち着きに、後ろのアメリカ人たちも信じられない!と感嘆しておりました。

2セットが終わると錦織は会場から姿を消しました。エッ?と思っていると、帽子をとってきました。もう外は暗いのでライトがまぶしいのでしょう。

3セット目から少し錦織に力がなくなってきました。あの鋭い叩き込むようなショットはなくなり、つなぎのショットに変わっています。ひょっとして腰痛がでてきたのかも? バナナをかじっています。サーヴも入らなくなってきました。2nd サーヴが76マイルに落ちています。不吉な予感です。フェレールのサーヴがよくなってきているので、このままいけば5セットまでもつれて、ひょっとしたら・・・案の定4セットの後、錦織はトレーナーを呼びました。

injury



痛そうです。でもここで頑張ってもらわねば。後方の席から娘を抱きかかえた日本人のお父さんが最前列に猛烈ダッシュしてきました。もういてもたってもおれないのでしょう。私も飛び出して彼の応援に参加です。錦織のためにデトロイトから飛んできたという彼の家族もすごいですが、私の友達の両親は日本から飛んで来ているのですから、この熱い私達の気持ちを錦織に伝えなければなりません。

チャチャチャ、NI・SHI・KO・RI チャチャチャの3拍子のエールが錦織のオフィシャルエールとなって、(これは2回戦でもやってました)会場は大騒ぎです。
「ダヴィー!」「ニシコリ!」と同時にやるものですから、誰の応援か分からなくなるほどです。ニシコリの応援は多くの中立派が参加してくれて、ますます勢いを増してきました。嬉しくて涙がでます。誰も会場を去る人はいません。

5セット目はマッサージが効いて、錦織に第1セットのあの鋭いショットが戻ってきました。私は応援のために席を飛び出してきたのでノートが取れません。錦織がポイントを取れば、席からジャンプして両手を上げてヴィクトリーサイン、ポイントを取られても、席からジャンプして「がんばれ~! 錦織!」の掛け声です。となりのお父さんの声ももうカラカラです。後ろの席のほとんどの人たちが錦織応援団に参加しました。これほど盛り上がったUS Openは初めてです!




錦織はマッチポイントを何度か繰り返しながら、最後は彼のシグネチャーショットのフォアハンドウィナーで勝利を勝ち得ました。よく頑張り通しました!足も引き攣っているようです。記者会見では、体全部が痛いと言ってましたが、メンタルの強さでよく5セットまで持ち越しました。最後のほうは、もう明らかに省エネテニスで、無駄なところには力を入れず、チャンスがくるまでつなげながら、ウィナーを狙ってました。今までに見られなかった成熟した錦織テニスです。この勝利でデフェンステニスにもきっと自信がついたに違いありません。

次はいよいよ最高潮のデルポトロです。彼は19才。彼の試合を偵察してきましたが、めちゃくちゃに大きくてパワフルです。しかも足が早く恐ろしい相手です。また月曜日張り切って会場の応援を仕切ってこようと思ってます。

おめでとう!圭君


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投稿者 Tennisnakama  04:33 | コメント(14)| トラックバック(0)