2009年07月29日
知られざるジョコヴィッチの素顔
ジョコヴィッチのファンサイトはドイツ、フランス、スイスといろいろありますが、スイスのファンサイトがよく出来ていることは前回の記事で書きました。しかも6月にスタートしたばかりの新サイトです。
http://www.novakdjokovic.ch/
そのサイトからジョコヴィッチのインターヴュー記事の情報を手に入れることができたので、ウェブマスターに感謝のコメントを残しました。これは私がいつもやっていることで、礼儀とでもいいましょうか。そうすると数時間後に彼から下記のメールが飛びこんできました。
Hi...
It's nice to hear that Nole has fans in Japan too...
The website is my big passion. I really thank you for the kind of nice words.
Maybe you can translate me what you have written at your blog about my page...
best regards
Zdravko
簡単に訳しますと、「ノーレのファンが日本にいることを知って嬉しい。ウェブサイトは僕のパッションです。褒めていただいてありがとう。僕のHPについて、もしあなたのブログに書かれたとしたら・・・翻訳して教えてください。」
彼の名前は Zdravko 名前から彼はスイスに住むセルビア人に違いないとピーンときたのです。スイスでこれほどしっかりしたジョコヴィッチのファンサイトをつくるのは、セルビア関係の人に違いないと。
昨夜早速 Zdravkoに返事を書きました。(舌を噛みそうな名前です)
「ひょっとしてあなたはセルビア出身ですか?そうであればセルビア語が読めますか? ジョコヴィッチの資料集めで苦労していますので、もしセルビアに関することでおもしろい情報があれば教えてください。ちなみに私の夫はバーゼル出身のスイス人です。」
彼からまた返事。
「そうです。僕はスイスのルッチェルン住むセルビア人です。ルッチェルンはバーゼルから一時間のところです。セルビア語は完璧に読めますよ。もし何かぼくでお手伝いできることがあれば言ってください。ところで8月31日にUS Openをみるためニューヨークに行きます。会えるとよいですね。」
ルッチェルンですか。子供が小さいときは毎年そこにある交通博物館によく行ったものです。飛行機から各種の電車まで展示されていて、スケールの大きな博物館で息子は一日中そこで遊んでました。
そうそう一年前、Tennistalkをやり始めたスウェーデンのヨハンにも会いました。私に日本語版をやってほしいという話でしたが、やはり私は自分の記事が書きたいのでお断りしてしまいましたが。また、ひょんなことから自分のサイトをもっているオーストラリアの選手と知り合いときどき交信しています。このようにインターネットのおかげでテニスの輪がどんどん世界に広がっていきます。一瞬のうちに地球のどこでもコネクトしてしまうのですから、ますますその魅力にどっぷりと浸ってしまいそうです。もう溺れる寸前ですが(笑)。
前置きが長くなってしまいましたが、本題のジョコヴィッチの話に戻ります。
ジョコヴィッチが英字のメディアに出てこない、と思っていたらドイツやスイスの雑誌・新聞にインターヴュー記事が出ていることがわかりました。
彼はジュニアのときに単身ドイツへテニス留学していますので、彼のドイツ語は達者です。しかし彼の英語も流暢で、英字メディアには出てこない理由は、決して彼が英語が苦手なのが理由ではなくて、今まで彼の発言が散々叩かれてきましたので、英米メディアへのアレルギーがあるのかもしれません。
2008年のドイツの大会でのインターヴューではジョコヴィッチはあご髭をはやしています。彼のドイツ語はなかなか達者です。
それでは昨日のドイツ誌Tennis Magazinのインターヴューの続きです。
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview
Tennis Magazin 2009年7月15日
Q:何が人生で最も大切なことですか?
ジョコ: 自分の心の平和を保つこと。そして自分の周囲の人たちに対して忠実で正直であること。もし仮に僕がGSタイトル20個とってNo.1となったとしたら、それはすばらしいことだけど、でも人生それだけじゃないからね。30歳になってキャリアが終わってしまうとしたら、それからどうする?
Q:じゃテニスの他に何かやりたいことでも? ステージに向いているってマッケンローが言ってましたけど。
ジョコ: そうかもしれない。僕は4歳のころから歌ったり、踊ったりすることが好きで、よく皆の前でエンターテインしてきたからね。僕にはいろんな興味があるから、後のことなど分からないよ。
(前に、ジョコのマイケル・ジャクソンのスリラーを紹介しましたが、彼ってなかなか芸達者で感心しました。)
Q:昨年のUS Openでロディックを批判したことは賢明だと思いますか?
ジョコ:多分やっちゃいけないことだったんだろうけど。僕は思ったことをそのまま隠さず言ってしまうから。鏡に映っている僕の姿が僕のありのままの姿なんだ。ピュアなんだよ。
Q:今まで道化者だったり、ショーマンだったりするジョコヴィッチは最近おとなしくなったようですが?
ジョコ: 僕は人を楽しませようとすることは前と変わらないけれど、僕の国や、ファン、そしてメディアのプレッシャーがあるからね。ほんと、疲れてしまったよ。僕には「試合をわざと放棄する選手」として定評があるみたいだけれど、傷ついているんだ。そんなことは決してありえないのに。
Q:テニスには娯楽性が必要ですか?
ジョコ:今のテニス選手には面白いキャラクターが少なすぎるよ。ツォンガやマレーがいるとしても、もっと多く出てきてもよいはずだ。いつもフェデラーvsナダルのライヴァルはよくないと思う。もっといろんな選手が削り合って戦えばファンにとっても面白いし、マーケティングにもプラスになる。
Q:昨年はコソヴォについて政治的な発言をしていましたけど?
ジョコ:セルビアのような小さな国から、トップ選手が出てくることをメディアは受け入れたくないのだと思う。僕のようにエネルギーに溢れていて、正直な人間をね。思っていることをスパッと言ってしまうし。僕はこの一年半の間、コソヴォの独立についてコメントをしてきた。でも自分が同じ境遇にない限りなかなか理解してもらえないことがわかったよ。この反セルビア感情は西欧のメディアだけだけど、もう僕はこれからコソヴォのことについては発言をしないことに決めたんだ。アスリートが政治的発言をすること自体、よくないことに気がついた。僕のプライオリティーはテニスなんだから。
(注釈)
この最後の>反セルビア感情は西欧のメディアだけだ<の下りのコメントには、セルビアから大量に移民がヨーロッパに流出し、社会問題になっているという背景があります。そのために治安が悪化したり、犯罪率が増えるというネガティヴがイメージがあるのです。しかもセルビア人は熱狂的な愛国心をスポーツイヴェントなどに誇示し、ときどき暴力事件などに発展することがあり、地元の反感も招いているようにも思えます。
このジョコヴィッチの発言は興味がありますので、 Zdravkoにメールを送って彼の感想を聞いてみたいと思います。
では5月のインターヴューになりますが、ドイツ誌Blickのインターヴューから、一部をひろってみました。
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview
Blick 2009年5月28日
Q: 最近のテニスは生真面目な選手が多くなりましたね?
ジョコ: 1520年前はマッケンロー、ベッカー、ナスターゼ、コナーズなんかがいてとても面白かったのに、今はキャラクターが少なすぎるよ。彼らはチャンピオンだけではなくて、観客を沸き立たせることを知っている。観客とどうコネクトしていくかは、とても大切なことだと思う。
Q:だから人の分まで努力してるのですか?
ジョコ: テニスは自分を売ることも大切だけれど、テニスというスポーツ自体も面白くしていかなければならないと思う。切符を買ってくださるお客さんに喜んでいただいてポピュラーにしていかなければならない。最終的にはビジネスなのだから、皆で盛り立てていくべきだと思うよ。
Q:ガールフレンドのエレナさんとはあまり公共の場では一緒のところをみかけませんが?
ジョコ:僕たちが知り合って3年半になるけど、彼女はその間に学校を卒業し、今は働いている。でも週に56日は働かなくちゃならないからなかなか一緒に過ごすときがないんだ。僕たちはモナコに住んでいるけど、わざと一目を避けてるんじゃないよ。
(二人はイタリアで休暇を楽しんだばかり。沢山の写真がこのサイトでみれます。)
http://bit.ly/17Nt2e
Q:フェデラーがガールフレンドと結婚しましたが、結婚の予定など?
ジョコ:そんなまだまだ先の話だよ。ロジャーは78歳も年上なんだから。
Q:いや、まだ5歳しか違いませんよ。
ジョコ:5歳? でも彼の方が年上だよ。エレナと僕は今の状態が気に入っているんだ。彼女は野心家でキャリアを積みたいと願ってる。家族が大切だから、もちろんいずれは誰かと結婚して子供をつくると思うけど。
(おかしいのは、ジョコヴィッチにとってはフェデラーはずいぶん年上に映っていること。これは多分フェデラーが圧倒的に強い期間が長かったので、ずーっと年上のような印象をもっていたのではないでしょうか。最近のナダルの発言にもありましたが、フェデラーが年をとっているような印象ですが、まだまだ若くフェデラー時代はこれからも続いていくことを忘れてもらっては困ります。)
(あとはもう一つ気になったことは、Vielleicht jemand, der in deine Fussstapfen tritt.のコメントです。この jemandの言葉が気になります。これは結婚する相手が誰かという意味でエレナとは限らないのです。ジョコヴィッチがドイツ語でインターヴューしたのか、英語を翻訳したのか分かりませんが、ちょっと微妙な発言です。)
(訂正)どうしても翻訳された英語では彼の発言がつじつまが合わないので、しっかりとドイツ語で読んでみました。彼のあいまいな表現でわかりづらいのですが、どうやらジョコがいいたかったのは、この誰かというのは結婚する相手ではなくて、”子供”という意味のようです。つまりいずれは結婚して、フットステップとなる子供をつくり・・・というような意味だと思います。ですから今のガールフレンドとの結婚を前提にしているように思います。微妙なニュアンスとなると、グーグルの翻訳の限界があるようです。失礼しました。
最後はスイスのバーゼル新聞でおなじみのBasler Zeitungです。
Basler Zeitung 4月4日
Q:弟たちはお兄さん(ジョコ)のようにテニスの才能があると思いますか?
ジョコ:二人とも将来有望だ。二人ともプロ選手になるため必死でがんばっているよ。上のマルコは今バルセロナでトレーニングしていて、下のジョーディアは僕の通っていたミュンヘンのピリッチのアカデミーにいる。
Q:二人にとってはお兄さんから得るところが大きいでしょうね?
ジョコ:もちろん直接助けられるところは全面的にサポートしているけれど、マイナス面もある。二人に対するプレッシャーが大きい点だ。特にセルビアでは皆が注目しているからね。でももうすぐ僕を負かすようになると思うけど。(笑)
さて8月からモントリオールで久しぶりのジョコヴィッチの姿が観られますが、予定されていたサフィンとのエグジビションマッチもやめてしまって、ウォーミングアップなしのマスターズとなるところが気になります。
フィットネスとメンタルの問題はジョコヴィッチの最大の課題です。
「メディカル・タイムアウトをとりすぎる」という汚名を返上するため(試合の途中で息切れになることが多く、時間稼ぎのためにトレーナーを呼ぶという批判が多い)、ジョコヴィッチは新しくフィジオを迎えて、真剣にフィットネスの向上に取り組みはじめました。マレーとロディックはフィジカルトレーニングの強化によってランキングを上げてきた選手です。特に熱さに弱いジョコヴィッチにとっては、これからのUS Openシリーズは彼のフィットネスが試されるときとなります。
マドリッドの激戦の末、ナダルに最終的には負けてしまったジョコヴィッチは、メンタルの問題もこれからの大きな課題として真剣に取り組んでいかなければなりません。ときどきあっさりと負けてしまったときなどは、彼のメンタルは大丈夫なのか?と首をかしげたくなるような態度があることも確かです。
このあっさりしているととれる印象は、多分彼の体調に自信がないところから来ているかもしれません。「僕には健康であるということが最も大切なことなんだ。無理をして害を与えたくない。」試合中 よく肩で息をしていて、時には呼吸困難なようにもみえるときがあります。昔、鼻の手術をして呼吸をしやすくしたと聞いています。このようなハンディを克服しながら、果たしてフェデラー、ナダル、マレーと対等に5セットマッチが戦えるのか?
ジョコヴィッチのキャラクターはテニス界にとって貴重です。ときにはおどけたりジョークを言って笑わせてくるエンターテイナー。無表情のフェデラーのような選手ばかりではつまりません。コートにドラマを展開してくれる数少ないエンターテイナーとして、モントリオールではどのようなパーフォーマンスを演じてくれるでしょうか?
http://www.novakdjokovic.ch/
そのサイトからジョコヴィッチのインターヴュー記事の情報を手に入れることができたので、ウェブマスターに感謝のコメントを残しました。これは私がいつもやっていることで、礼儀とでもいいましょうか。そうすると数時間後に彼から下記のメールが飛びこんできました。
Hi...
It's nice to hear that Nole has fans in Japan too...
The website is my big passion. I really thank you for the kind of nice words.
Maybe you can translate me what you have written at your blog about my page...
best regards
Zdravko
簡単に訳しますと、「ノーレのファンが日本にいることを知って嬉しい。ウェブサイトは僕のパッションです。褒めていただいてありがとう。僕のHPについて、もしあなたのブログに書かれたとしたら・・・翻訳して教えてください。」
彼の名前は Zdravko 名前から彼はスイスに住むセルビア人に違いないとピーンときたのです。スイスでこれほどしっかりしたジョコヴィッチのファンサイトをつくるのは、セルビア関係の人に違いないと。
昨夜早速 Zdravkoに返事を書きました。(舌を噛みそうな名前です)
「ひょっとしてあなたはセルビア出身ですか?そうであればセルビア語が読めますか? ジョコヴィッチの資料集めで苦労していますので、もしセルビアに関することでおもしろい情報があれば教えてください。ちなみに私の夫はバーゼル出身のスイス人です。」
彼からまた返事。
「そうです。僕はスイスのルッチェルン住むセルビア人です。ルッチェルンはバーゼルから一時間のところです。セルビア語は完璧に読めますよ。もし何かぼくでお手伝いできることがあれば言ってください。ところで8月31日にUS Openをみるためニューヨークに行きます。会えるとよいですね。」
ルッチェルンですか。子供が小さいときは毎年そこにある交通博物館によく行ったものです。飛行機から各種の電車まで展示されていて、スケールの大きな博物館で息子は一日中そこで遊んでました。
そうそう一年前、Tennistalkをやり始めたスウェーデンのヨハンにも会いました。私に日本語版をやってほしいという話でしたが、やはり私は自分の記事が書きたいのでお断りしてしまいましたが。また、ひょんなことから自分のサイトをもっているオーストラリアの選手と知り合いときどき交信しています。このようにインターネットのおかげでテニスの輪がどんどん世界に広がっていきます。一瞬のうちに地球のどこでもコネクトしてしまうのですから、ますますその魅力にどっぷりと浸ってしまいそうです。もう溺れる寸前ですが(笑)。
前置きが長くなってしまいましたが、本題のジョコヴィッチの話に戻ります。
ジョコヴィッチが英字のメディアに出てこない、と思っていたらドイツやスイスの雑誌・新聞にインターヴュー記事が出ていることがわかりました。
彼はジュニアのときに単身ドイツへテニス留学していますので、彼のドイツ語は達者です。しかし彼の英語も流暢で、英字メディアには出てこない理由は、決して彼が英語が苦手なのが理由ではなくて、今まで彼の発言が散々叩かれてきましたので、英米メディアへのアレルギーがあるのかもしれません。
2008年のドイツの大会でのインターヴューではジョコヴィッチはあご髭をはやしています。彼のドイツ語はなかなか達者です。
それでは昨日のドイツ誌Tennis Magazinのインターヴューの続きです。
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview
Tennis Magazin 2009年7月15日
Q:何が人生で最も大切なことですか?
ジョコ: 自分の心の平和を保つこと。そして自分の周囲の人たちに対して忠実で正直であること。もし仮に僕がGSタイトル20個とってNo.1となったとしたら、それはすばらしいことだけど、でも人生それだけじゃないからね。30歳になってキャリアが終わってしまうとしたら、それからどうする?
Q:じゃテニスの他に何かやりたいことでも? ステージに向いているってマッケンローが言ってましたけど。
ジョコ: そうかもしれない。僕は4歳のころから歌ったり、踊ったりすることが好きで、よく皆の前でエンターテインしてきたからね。僕にはいろんな興味があるから、後のことなど分からないよ。
(前に、ジョコのマイケル・ジャクソンのスリラーを紹介しましたが、彼ってなかなか芸達者で感心しました。)
Q:昨年のUS Openでロディックを批判したことは賢明だと思いますか?
ジョコ:多分やっちゃいけないことだったんだろうけど。僕は思ったことをそのまま隠さず言ってしまうから。鏡に映っている僕の姿が僕のありのままの姿なんだ。ピュアなんだよ。
Q:今まで道化者だったり、ショーマンだったりするジョコヴィッチは最近おとなしくなったようですが?
ジョコ: 僕は人を楽しませようとすることは前と変わらないけれど、僕の国や、ファン、そしてメディアのプレッシャーがあるからね。ほんと、疲れてしまったよ。僕には「試合をわざと放棄する選手」として定評があるみたいだけれど、傷ついているんだ。そんなことは決してありえないのに。
Q:テニスには娯楽性が必要ですか?
ジョコ:今のテニス選手には面白いキャラクターが少なすぎるよ。ツォンガやマレーがいるとしても、もっと多く出てきてもよいはずだ。いつもフェデラーvsナダルのライヴァルはよくないと思う。もっといろんな選手が削り合って戦えばファンにとっても面白いし、マーケティングにもプラスになる。
Q:昨年はコソヴォについて政治的な発言をしていましたけど?
ジョコ:セルビアのような小さな国から、トップ選手が出てくることをメディアは受け入れたくないのだと思う。僕のようにエネルギーに溢れていて、正直な人間をね。思っていることをスパッと言ってしまうし。僕はこの一年半の間、コソヴォの独立についてコメントをしてきた。でも自分が同じ境遇にない限りなかなか理解してもらえないことがわかったよ。この反セルビア感情は西欧のメディアだけだけど、もう僕はこれからコソヴォのことについては発言をしないことに決めたんだ。アスリートが政治的発言をすること自体、よくないことに気がついた。僕のプライオリティーはテニスなんだから。
(注釈)
この最後の>反セルビア感情は西欧のメディアだけだ<の下りのコメントには、セルビアから大量に移民がヨーロッパに流出し、社会問題になっているという背景があります。そのために治安が悪化したり、犯罪率が増えるというネガティヴがイメージがあるのです。しかもセルビア人は熱狂的な愛国心をスポーツイヴェントなどに誇示し、ときどき暴力事件などに発展することがあり、地元の反感も招いているようにも思えます。
このジョコヴィッチの発言は興味がありますので、 Zdravkoにメールを送って彼の感想を聞いてみたいと思います。
では5月のインターヴューになりますが、ドイツ誌Blickのインターヴューから、一部をひろってみました。
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview
Blick 2009年5月28日
Q: 最近のテニスは生真面目な選手が多くなりましたね?
ジョコ: 1520年前はマッケンロー、ベッカー、ナスターゼ、コナーズなんかがいてとても面白かったのに、今はキャラクターが少なすぎるよ。彼らはチャンピオンだけではなくて、観客を沸き立たせることを知っている。観客とどうコネクトしていくかは、とても大切なことだと思う。
Q:だから人の分まで努力してるのですか?
ジョコ: テニスは自分を売ることも大切だけれど、テニスというスポーツ自体も面白くしていかなければならないと思う。切符を買ってくださるお客さんに喜んでいただいてポピュラーにしていかなければならない。最終的にはビジネスなのだから、皆で盛り立てていくべきだと思うよ。
Q:ガールフレンドのエレナさんとはあまり公共の場では一緒のところをみかけませんが?
ジョコ:僕たちが知り合って3年半になるけど、彼女はその間に学校を卒業し、今は働いている。でも週に56日は働かなくちゃならないからなかなか一緒に過ごすときがないんだ。僕たちはモナコに住んでいるけど、わざと一目を避けてるんじゃないよ。
(二人はイタリアで休暇を楽しんだばかり。沢山の写真がこのサイトでみれます。)
http://bit.ly/17Nt2e
Q:フェデラーがガールフレンドと結婚しましたが、結婚の予定など?
ジョコ:そんなまだまだ先の話だよ。ロジャーは78歳も年上なんだから。
Q:いや、まだ5歳しか違いませんよ。
ジョコ:5歳? でも彼の方が年上だよ。エレナと僕は今の状態が気に入っているんだ。彼女は野心家でキャリアを積みたいと願ってる。家族が大切だから、もちろんいずれは誰かと結婚して子供をつくると思うけど。
(おかしいのは、ジョコヴィッチにとってはフェデラーはずいぶん年上に映っていること。これは多分フェデラーが圧倒的に強い期間が長かったので、ずーっと年上のような印象をもっていたのではないでしょうか。最近のナダルの発言にもありましたが、フェデラーが年をとっているような印象ですが、まだまだ若くフェデラー時代はこれからも続いていくことを忘れてもらっては困ります。)
(あとはもう一つ気になったことは、Vielleicht jemand, der in deine Fussstapfen tritt.のコメントです。この jemandの言葉が気になります。これは結婚する相手が誰かという意味でエレナとは限らないのです。ジョコヴィッチがドイツ語でインターヴューしたのか、英語を翻訳したのか分かりませんが、ちょっと微妙な発言です。)
(訂正)どうしても翻訳された英語では彼の発言がつじつまが合わないので、しっかりとドイツ語で読んでみました。彼のあいまいな表現でわかりづらいのですが、どうやらジョコがいいたかったのは、この誰かというのは結婚する相手ではなくて、”子供”という意味のようです。つまりいずれは結婚して、フットステップとなる子供をつくり・・・というような意味だと思います。ですから今のガールフレンドとの結婚を前提にしているように思います。微妙なニュアンスとなると、グーグルの翻訳の限界があるようです。失礼しました。
最後はスイスのバーゼル新聞でおなじみのBasler Zeitungです。
Basler Zeitung 4月4日
Q:弟たちはお兄さん(ジョコ)のようにテニスの才能があると思いますか?
ジョコ:二人とも将来有望だ。二人ともプロ選手になるため必死でがんばっているよ。上のマルコは今バルセロナでトレーニングしていて、下のジョーディアは僕の通っていたミュンヘンのピリッチのアカデミーにいる。
Q:二人にとってはお兄さんから得るところが大きいでしょうね?
ジョコ:もちろん直接助けられるところは全面的にサポートしているけれど、マイナス面もある。二人に対するプレッシャーが大きい点だ。特にセルビアでは皆が注目しているからね。でももうすぐ僕を負かすようになると思うけど。(笑)
さて8月からモントリオールで久しぶりのジョコヴィッチの姿が観られますが、予定されていたサフィンとのエグジビションマッチもやめてしまって、ウォーミングアップなしのマスターズとなるところが気になります。
フィットネスとメンタルの問題はジョコヴィッチの最大の課題です。
「メディカル・タイムアウトをとりすぎる」という汚名を返上するため(試合の途中で息切れになることが多く、時間稼ぎのためにトレーナーを呼ぶという批判が多い)、ジョコヴィッチは新しくフィジオを迎えて、真剣にフィットネスの向上に取り組みはじめました。マレーとロディックはフィジカルトレーニングの強化によってランキングを上げてきた選手です。特に熱さに弱いジョコヴィッチにとっては、これからのUS Openシリーズは彼のフィットネスが試されるときとなります。
マドリッドの激戦の末、ナダルに最終的には負けてしまったジョコヴィッチは、メンタルの問題もこれからの大きな課題として真剣に取り組んでいかなければなりません。ときどきあっさりと負けてしまったときなどは、彼のメンタルは大丈夫なのか?と首をかしげたくなるような態度があることも確かです。
このあっさりしているととれる印象は、多分彼の体調に自信がないところから来ているかもしれません。「僕には健康であるということが最も大切なことなんだ。無理をして害を与えたくない。」試合中 よく肩で息をしていて、時には呼吸困難なようにもみえるときがあります。昔、鼻の手術をして呼吸をしやすくしたと聞いています。このようなハンディを克服しながら、果たしてフェデラー、ナダル、マレーと対等に5セットマッチが戦えるのか?
ジョコヴィッチのキャラクターはテニス界にとって貴重です。ときにはおどけたりジョークを言って笑わせてくるエンターテイナー。無表情のフェデラーのような選手ばかりではつまりません。コートにドラマを展開してくれる数少ないエンターテイナーとして、モントリオールではどのようなパーフォーマンスを演じてくれるでしょうか?
投稿者 Tennisnakama 00:13 | コメント(17)| トラックバック(0)
でも私はジョコビッチの彼女の美しさが一番気になりました^^
癒してくれる彼女のプライベート写真まで凄いです!ありがとうございました。インタビュー記事の中で「 自分の心の平和を保つこと」「疲れてしまった」なんかとても印象的な言葉で重みがありますよね。今はフィジカル面をupしてるのはこれからが楽しみですよね。マレーが良い例ですごく強くなりましたからね。ハードコートシーズン期待しちゃって良いのでしょうかジョコ!しちゃいますね~。貴重な情報本当にありがとうございました。絶対知りえない情報ばかりで楽しかったです。ありがとう。
ただジョコビッチにはプレーで魅せてもらいたいな・・・
フェデラーナダルのようにプレーで沸かせる事が出来ればもっと人気も出てくるだろうに。
本業:ものまね 趣味:テニス にならないよう祈っています。
ジョコを深く掘り下げていただいたこの記事はとても嬉しかったです。
私は結構ジョコビッチ好きですよ。いろんな批判もプレッシャーもあるでしょうけれど、個性のあるプレイヤーの一人として魅力を感じます。コソボやセルビア...あの忌まわしい戦争については沢山の本やニュースソースを手繰り寄せても、何が事実だったのか判断は難しいと思います。宗教と民族対立と西欧の介入でズタズタにされたのは女性と子供・老人だったわけで、ジョコもその被害者であり当事者なのですもの。
おらがチーム・名古屋グランパスエイトのピクシーことストイコビッチ監督も、制裁のために西欧でプレー出来なくて、それで日本でプレーすることになったわけで、グランパスエイトのサポーターの中には、ジョコという選手を知った時、私のように彼に同情・理解の念はわきやすいのかもしれません。
今回の記事はいろんなことを考えさせてくれて感謝しています。ありがとうございます。
人を楽しませようとする気持の中には、その人の良心の現れが半分と、もう半分は他人から理解されたい・愛されたいという切なる思いはないでしょうか。
辛いこともポジティブにするには、笑えない時に笑ってみせる小さな勇気、笑顔のない人に笑顔を与えたいと思う小さな思いやりがあるとするなら、私はジョコがスリラーをあれほど徹底的にやってみせる心の中は、他人が思うほど平穏でないような気もするのです。
そう考えるとジョコというのはとても努力家で徹底的な人であるような気もします。
フェデラーファンですが、もし友達になれるとしたら、私はナダルやフェデラーよりジョコと友達になりたい、そう思わせる不思議な魅力のあるプレイヤーです。
でもジョコのテニスは面白い、性格的にムラガ多いのかも知れませんが、それも個性と(マッケンローの悪童ぶりを思いだすと・・・本当に試合観てて面白かった)周りが受け入れられる程、彼もこれから実績を積んでいけるといいですよね。ロディックもテニス以外、発言では頭の回転のよさを感じますし、tennisnakamaさんのおっしゃるように、いろんなタイプの選手がいてそれも楽しめます。そして何より各の個性が発揮出来る「テニス」を観られるといいなあ。・・・それにしてもtennisnakamaさん、多角的にいろいろな選手の情報収集を本当にありがとうございます。(tennistalk氏のtwitterも読んでいます)ブログを読めば読むほどGSレベルの大会を生の眼で観たくなります。来年はUSO、絶対に観に行くぞっ!!
ジョコビッチも素敵な青年なのでしょうね。私もいい加減な記事に惑わされずに、これからはジョコビッチにもエールを送りたいと思います。本当にプロ選手って、みんな懸命に頑張ってますよね!!
ここで訂正があります。ブルーの文字のとこをみていただきたいのですが、英語に訳した文を読むとどうしても、ジョコヴィッチが”結婚は誰かとすると思う”というような意味になっていて、これは現在同居している彼女に対してずいぶんと失礼な話だと思っていました。どうしても気になるので、じっくりとドイツ語で読み返してみたのです。(昔はドイツ語の方が英語よりできた時代があったのですが、最近はさびだらけですが) そうすると何となく彼の言っている意味が分かってきました。ジョコヴィッチもあまり上手だと言えないドイツ語で答えていますので、やっぱりどこかで誤解が生まれてくるのですね。
ちなみに我が家は、夫と私は二人の外国語の英語でコミュニケートしてますので、誤解ばっかり。でも二人ともお互いの言っていることをちゃんと聞いてないのであまり影響なし。
期待以上の記事、堪能させていただきました。ありがとうございます!皆さんのコメントも楽しいです。
mixiのテニスコミュでもジョコは面白い青年、という評が多い (物真似の才能や、記事にも出ている、エンターテイメントを重視する姿勢のせいかも) ように思うのですが、わたしにはどうもそうは見えず、アグレッシブさとナイーブさが絡み合った傷つきやすい性格で、大きな野心と不安を抱えて上昇しようと懸命にもがいている、ように思えていました。
マレーも、その点では似通ったものを感じます。
フェデラーをはるかに年上の、いわばもう過去の人、と位置づける姿勢は、尊敬しすぎない (メンタルで押されない) ためには有効で、絶対にトップを取ってやるんだ!という強い意志の裏返しともとれます。
空腹な狼より、おなかいっぱいで上機嫌のライオンや、狩りのとき以外は実に愛らしいパンサーのほうが好きなわたしではありますが、多様であってこそ楽しい!し、弟を勝たせるためにダブルスにエントリーしている姿には心打たれるものがあるので(負けたみたいですが。。)、話題作りのためのパッシングなどに乗せられないよう、見守っていきたいです。
これからもいろいろな選手の情報、分析を楽しみにしています。
かなり、ジョコビッチの人なりが解ってきました。セルビアというなかなかシビアな問題を抱えた自国からのプレッシャー。それをはねのけようともがく一人の若者の疲労感。またそんな国であるからこその家族間の強い絆。テニス界への熱い思い。
彼の心の葛藤を垣間見たようで、本当に愛すべき青年だと感じました。
正直すぎて誤解を生むことも多いのでしょうが、温かく見守りたい気持ちになります。
フィジカル面やメンタルな部分をもっともっと鍛えて、本来彼に与えられている、テニスの才能を私たちに見せてくれることを期待しています。(そして、面白いパフォーマンスにも期待!!)
「ちなみに我が家は、夫と私は二人の外国語の英語でコミュニケートしてますので、誤解ばっかり。でも二人ともお互いの言っていることをちゃんと聞いてないのであまり影響なし。」
には、心底ニンマリしました。
母国語で話しているはずの我が家でも同じです(笑)
ジョコヴィッチの記事、とても興味深く読ませてもらいました。想像してた通りなところもあったり、意外なところもあったり‥。とても若いのにテニスをビジネスとして冷静にとらえてながらも、とっても熱い気持ちを持っているところ、家族を想う心、国を想う心‥本人も言っているように、包み隠さない、ありのままの姿を私たちに素直に見せてくれているのだと思います。そういう彼にとても好感を持ちます。
試合中劣勢になった時に、時々見せるフッとしたあきらめの様な表情は、その冷静にとらえている部分が顔を出しているのかなと、思ったりします。それをうまくコントロールできるようになったら、きっともっともっと強くなるのでしょうね。そうなったときは他を寄せ付けない強さの選手になるような気がして、ちょっと怖くもあり、すごく楽しみでもあります。
こうしてご紹介されたジョコビッチの言葉に接してみますと、今まで例のものまねや、インタビューの受け答えに笑っていた私自身が、大変単純な人間に思えてきます。あのものまねは、彼が言っているように単に人を楽しませよう、テニスの世界にキャラクターがいないから、自分が道化者になんていうものではない、ただの"お笑い”ではない ”泣き笑い”なのではないか と思えてくるのです。
しかし敢えて生意気なことを言わせて頂けるなら、ここでいわゆる西欧諸国に対する反感、屈折した
思いは共感できるものがある、テニス界の”キャラクター不足”とかビジネス性ということもその通りでしょう、でも、あなたは試合で勝たなければならないのだよ、そしてこんな成績で終わっては一番くやしいのはあなたのはずだ(すみません、ちどりは何様かと言われそうですがーー)と言いたい。
真のメンターが必要な時期にあると思います。
この記事がアップされるのを待って♪♪と読んだのですが、読み終わったら複雑な気持ちになりコメントできませんでした。
「人生でもっとも大切な事は?」「自分の心の平和を保つこと」・・・。これは印象的な言葉です。様々な思いがこの言葉に集約されているように思えました。ちどりさんがおっしゃる「泣き笑い」を私も感じたのかもしれません。フェデラーやナダルが支持されるのは、彼らが優等生だからではなくコートに感動を残してくれるから。テニスプレーヤーなんですもん。コート外ではなくまずはプレーで惹きつけて下さい。ジョコにはそれができるのに。コートで素晴らしいプレーを、そして彼らしい明るく楽しいキャラクターを期待しています。「ビジネス」なんて言い方は22歳の青年には無理をしているように思えました。