2008年10月17日
ジョコヴィッチが惜敗!
今日(マドリッドマスターズ:ラウンド3)はさすが観戦疲れです。これほど見たい試合が盛り沢山の大会もめずらしいですね。マドリッドの最高の日でした。
*ジョコヴィッチvsカーロヴィッチ:6-7(4), 6-7(5)
ジョコヴィッチがあの巨人男のカーロヴィッチにタイブレークで惜敗してしまいました。
カーロヴィッチは今年フェデラーをシンシナティで破っていますし、ナダルはクイーンズクラブで3セットすべてタイブレークという接戦のあと辛勝しています。とにかく誰もが対戦相手として嫌がる選手No.1なのですから、ジョコヴィッチもついていませんでした。
US Openでカーロヴィッチの練習を目の当たりに観察しましたが、側に来るとまるでジャックと豆の木の巨人のように空に顔があるような感じでした。何しろ208cmもあるのですから、サーヴはミサイルが空から地に突き刺さる感じで落ちてきます。あのサーヴは言葉では表現できません。しかもスピンが激しくかかっているために、落ちたあとのバウンスがまたおそろしく高い。それにスライスサーヴも得意で、コートから逃げていくような強烈スライスは全くジョコヴィッチもお手上げでした。
カーロヴィッチはこの試合で過去1318目のエースを放ち、エースだけで試合に勝っているようなものですから、今日の試合も典型的なカーロヴィッチの試合だったと言えます。サーヴィスゲームだけをキープしてタイブレークにもっていかれると、彼のサーヴで負けてしまうのです。ですから、彼は自分のサーヴだけを心配していればよいことになります。その証拠に最初の1ゲーム目のサーヴはカーロヴィッチでしたが、40-0ですべてエースをとったにも拘らず、まだサーヴをしようとして観客の笑いを誘いました。つまりゲームカウントを忘れるほど、サーヴに集中していたのです。
エースを21本、ウィナーを40もとったカーロヴィッチが勝つのは仕方のない試合でした。
*ナダル vs ガスケ: 6-4, 6-2
第1回戦の対グルビス戦で腰を痛めたナダルでしたが、今日の試合はトレーナーを呼ぶこともなく、ガスケに追随をゆるさず王者の貫禄を見せました。
ガスケのサーヴから始まりましたが、ナダルのリターンの伸びがよく、ベースラインぎりぎりに落ちるのを見て,今日のナダルは調子がとてもよさそうな予感がしました。あれよあれよと言う間にガスケを積極的に攻め、40-0でナダルがすでにブレークです。今までに見られなかったアグレッシヴなナダルの攻撃でガスケにプレッシャーを与えます。
しかしガスケはさすが天才と呼ばれるだけあって、球のペースを変えながらナダルのエラーを誘い、ブレークポイントです。ナダルは2度のブレークポイントを逃れますが、お互い4ゲームまでブレークポントを取り合う緊張した試合展開を繰り広げました。ガスケはお得意のバックハンドのクロスでウィナーをとりながら、サーヴィスエースも手伝ってナダルを追い込みましたが、なかなかナダルをブレークすることができません。
結局第1ゲームのブレークが祟って、ガスケは挽回できず第1セットはナダルが勝ち取りました。
第2セットは再びガスケのサーヴから始まりましたが、2度にわたるブレークポイントを切り抜けましたが、ガスケのミスが目立ちます。ナダルはお得意のフォアハンドのクロスで攻めながら、down-the-lineでポイントを取っていく理想的な試合運びを展開します。ガスケを左右に揺すぶりながら、フォアとバックのdown-the-lineでウィナーをとるという、コートを広く使った戦略が見事です。しかもブレークポイントになってもサーヴィスウィナー(日本ではタッチエースと呼んでいますが)がとれるようになり、サーヴの進歩の著しいナダルは、ますます恐ろしい存在になっていくようです。
「今日はよい試合ができたと思う。でもガスケは普段よりエラーが多かった。特にバックハンドのエラーが多かった。」
ナダルは記者会見で、エラーの原因はナダルだということを知っていながら、きっちりとガスケをかばっているところも好感がもてます。
*フェデラー def ソンガ: 6-4, 6-1
この二人は今まで対戦したことがないというのも不思議ですが、二人ともall-court-playerですので、予想通りいろんなショットを駆使した面白い試合となりました。
フェデラーは記者会で述べています。「彼にできるだけ多くのプレッシャーをかけようと思った。それができるコンディションだった。ボクシングでいったらノックアウトかな。そのチャンスを狙っていた。」とは恐ろしい自信です。
フェデラーはまず初対面のソンガの様子を見るという作戦はとらず、初っ端からアグレッシヴにネットに詰めてきます。ラリーも今までのように、ペースを変えながらチャンスをつくるのではなく、すべてのショットがウィナーになるようなパワフルで、ラインぎりぎりを狙った超オフェンスです。しかもサーヴの調子がよく、3ゲーム目は、フェデラーはエース2本、サーヴィスウィナー2本と(日本ではタッチエース)、ソンガがボールに触れたのはたったの2回という完全なサーヴィスゲームを見せてくれました。
しかしソンガも彼のテニスのベストに近いパーフォーマンスで、なかなかブレークを許しません。第5ゲームの2-2のときは、40-15のブレークチャンスをソンガがつかみましたが、フェデラーがベースラインに一歩前に入って打ち込むアグレッシヴなフォアハンドのインサイドアウトが次々に決まり、ブレークチャンスを逃してしまったのは痛手でした。
ソンガの敗北の原因はまずダブルフォルトです。第1セットのセットポイントに2度続けてダブルフォルトをしてセットを落としてしまいました。しかも第2セットもダブルフォルトが続き、合計5回もダルルフォルトしています。フェデラーの肝心なときにエースが打てるメンタルと、ダブルフォルトを続けてしまうメンタルの差が歴然と試合に出ていました。
ソンガは第2セットからデフェンス気味になり、ベースラインからかなり下がったところで打っています。こうなるとますますフェデラーのアタックが冴えてきます。フェデラーの勝因を考えてみました。
(1)ボールをかなり早めに打っているため、ソンガに対応の時間を与えない。
(2)FH(フォアハンド)もBH(バックハンド)も、ベースラインぎりぎりに落ち、ソンガに前に出るチャンスを与えない。
(3) 第1サーヴの得点率は81%と圧倒的なサーヴ力で、しかも第2サーヴはエースをとれるほどの威力があり、ブレークチャンスを与えない。
フェデラーが不調だった今年は、なかなか彼のスーパーショットをみることができませんでしたが、フットワークのよさで、今日は久しぶりにフェデラー節が登場しファンを楽しませてくれました。フェデラーのアタックに始まり、アタックに終わった試合でした。。
*デルポトロ vs ナルバンディア:6-4, 6-2
デルポ(デルポトロ)はナルビー(Nalbyはナルバンディアンのニックネーム)と対戦するのはこれで2度目です。最初は去年の同じくマドリッドで6-2, 6-4でデルポが負けています。デルポは20才、ナルビーは26才。アルジェンチンでスターだったナルビーのような選手になりたいと憧れていたデルポです。ヒーローのナルビーに勝ったということがどれほど大きな自信を彼に与えたことでしょう。今日対戦するフェデラーがまじに危ないと思います。絶対見逃せない試合です!
昨年のチャンピオンだったナルビーは好調で、これがデルポでなければ勝っている試合でした。ここでデルポの武器を並べてみます。ボレテリ氏は一つだけの武器ではダメだと言っていましたが、デルポは数えきれないほどの武器をそなえています。
(1)深いボールが打てる(彼ほどコンスタントにベースライン近くに深く打てる選手は見た事がありません)
(2)爆発的なフォアハンドと、両手バックハンドのインサイドアウトはウィナーとなる強力な武器。
(3)ポイントに直接関係するような重大なときに、サーヴィスエースが打て、負けそうになっても最後まで諦めないメンタルの持ち主
(4)2m近い長身からうちこまれる爆弾サーヴ
(5)All-court-playerでネットプレーがうまい
(6)長身の割にフットワークがすぐれ、とにかく足が速い
(7)性格がよくプロ根性がある(これって誰も指摘しませんが、とても大切なことだと思います)
デルポトロvsフェデラーは、日本時間の夜11時です。午前さまの試合でなくてよかったですね。
〓tennisnakama.com
*ジョコヴィッチvsカーロヴィッチ:6-7(4), 6-7(5)
ジョコヴィッチがあの巨人男のカーロヴィッチにタイブレークで惜敗してしまいました。
カーロヴィッチは今年フェデラーをシンシナティで破っていますし、ナダルはクイーンズクラブで3セットすべてタイブレークという接戦のあと辛勝しています。とにかく誰もが対戦相手として嫌がる選手No.1なのですから、ジョコヴィッチもついていませんでした。
US Openでカーロヴィッチの練習を目の当たりに観察しましたが、側に来るとまるでジャックと豆の木の巨人のように空に顔があるような感じでした。何しろ208cmもあるのですから、サーヴはミサイルが空から地に突き刺さる感じで落ちてきます。あのサーヴは言葉では表現できません。しかもスピンが激しくかかっているために、落ちたあとのバウンスがまたおそろしく高い。それにスライスサーヴも得意で、コートから逃げていくような強烈スライスは全くジョコヴィッチもお手上げでした。
カーロヴィッチはこの試合で過去1318目のエースを放ち、エースだけで試合に勝っているようなものですから、今日の試合も典型的なカーロヴィッチの試合だったと言えます。サーヴィスゲームだけをキープしてタイブレークにもっていかれると、彼のサーヴで負けてしまうのです。ですから、彼は自分のサーヴだけを心配していればよいことになります。その証拠に最初の1ゲーム目のサーヴはカーロヴィッチでしたが、40-0ですべてエースをとったにも拘らず、まだサーヴをしようとして観客の笑いを誘いました。つまりゲームカウントを忘れるほど、サーヴに集中していたのです。
エースを21本、ウィナーを40もとったカーロヴィッチが勝つのは仕方のない試合でした。
*ナダル vs ガスケ: 6-4, 6-2
第1回戦の対グルビス戦で腰を痛めたナダルでしたが、今日の試合はトレーナーを呼ぶこともなく、ガスケに追随をゆるさず王者の貫禄を見せました。
ガスケのサーヴから始まりましたが、ナダルのリターンの伸びがよく、ベースラインぎりぎりに落ちるのを見て,今日のナダルは調子がとてもよさそうな予感がしました。あれよあれよと言う間にガスケを積極的に攻め、40-0でナダルがすでにブレークです。今までに見られなかったアグレッシヴなナダルの攻撃でガスケにプレッシャーを与えます。
しかしガスケはさすが天才と呼ばれるだけあって、球のペースを変えながらナダルのエラーを誘い、ブレークポイントです。ナダルは2度のブレークポイントを逃れますが、お互い4ゲームまでブレークポントを取り合う緊張した試合展開を繰り広げました。ガスケはお得意のバックハンドのクロスでウィナーをとりながら、サーヴィスエースも手伝ってナダルを追い込みましたが、なかなかナダルをブレークすることができません。
結局第1ゲームのブレークが祟って、ガスケは挽回できず第1セットはナダルが勝ち取りました。
第2セットは再びガスケのサーヴから始まりましたが、2度にわたるブレークポイントを切り抜けましたが、ガスケのミスが目立ちます。ナダルはお得意のフォアハンドのクロスで攻めながら、down-the-lineでポイントを取っていく理想的な試合運びを展開します。ガスケを左右に揺すぶりながら、フォアとバックのdown-the-lineでウィナーをとるという、コートを広く使った戦略が見事です。しかもブレークポイントになってもサーヴィスウィナー(日本ではタッチエースと呼んでいますが)がとれるようになり、サーヴの進歩の著しいナダルは、ますます恐ろしい存在になっていくようです。
「今日はよい試合ができたと思う。でもガスケは普段よりエラーが多かった。特にバックハンドのエラーが多かった。」
ナダルは記者会見で、エラーの原因はナダルだということを知っていながら、きっちりとガスケをかばっているところも好感がもてます。
*フェデラー def ソンガ: 6-4, 6-1
この二人は今まで対戦したことがないというのも不思議ですが、二人ともall-court-playerですので、予想通りいろんなショットを駆使した面白い試合となりました。
フェデラーは記者会で述べています。「彼にできるだけ多くのプレッシャーをかけようと思った。それができるコンディションだった。ボクシングでいったらノックアウトかな。そのチャンスを狙っていた。」とは恐ろしい自信です。
フェデラーはまず初対面のソンガの様子を見るという作戦はとらず、初っ端からアグレッシヴにネットに詰めてきます。ラリーも今までのように、ペースを変えながらチャンスをつくるのではなく、すべてのショットがウィナーになるようなパワフルで、ラインぎりぎりを狙った超オフェンスです。しかもサーヴの調子がよく、3ゲーム目は、フェデラーはエース2本、サーヴィスウィナー2本と(日本ではタッチエース)、ソンガがボールに触れたのはたったの2回という完全なサーヴィスゲームを見せてくれました。
しかしソンガも彼のテニスのベストに近いパーフォーマンスで、なかなかブレークを許しません。第5ゲームの2-2のときは、40-15のブレークチャンスをソンガがつかみましたが、フェデラーがベースラインに一歩前に入って打ち込むアグレッシヴなフォアハンドのインサイドアウトが次々に決まり、ブレークチャンスを逃してしまったのは痛手でした。
ソンガの敗北の原因はまずダブルフォルトです。第1セットのセットポイントに2度続けてダブルフォルトをしてセットを落としてしまいました。しかも第2セットもダブルフォルトが続き、合計5回もダルルフォルトしています。フェデラーの肝心なときにエースが打てるメンタルと、ダブルフォルトを続けてしまうメンタルの差が歴然と試合に出ていました。
ソンガは第2セットからデフェンス気味になり、ベースラインからかなり下がったところで打っています。こうなるとますますフェデラーのアタックが冴えてきます。フェデラーの勝因を考えてみました。
(1)ボールをかなり早めに打っているため、ソンガに対応の時間を与えない。
(2)FH(フォアハンド)もBH(バックハンド)も、ベースラインぎりぎりに落ち、ソンガに前に出るチャンスを与えない。
(3) 第1サーヴの得点率は81%と圧倒的なサーヴ力で、しかも第2サーヴはエースをとれるほどの威力があり、ブレークチャンスを与えない。
フェデラーが不調だった今年は、なかなか彼のスーパーショットをみることができませんでしたが、フットワークのよさで、今日は久しぶりにフェデラー節が登場しファンを楽しませてくれました。フェデラーのアタックに始まり、アタックに終わった試合でした。。
*デルポトロ vs ナルバンディア:6-4, 6-2
デルポ(デルポトロ)はナルビー(Nalbyはナルバンディアンのニックネーム)と対戦するのはこれで2度目です。最初は去年の同じくマドリッドで6-2, 6-4でデルポが負けています。デルポは20才、ナルビーは26才。アルジェンチンでスターだったナルビーのような選手になりたいと憧れていたデルポです。ヒーローのナルビーに勝ったということがどれほど大きな自信を彼に与えたことでしょう。今日対戦するフェデラーがまじに危ないと思います。絶対見逃せない試合です!
昨年のチャンピオンだったナルビーは好調で、これがデルポでなければ勝っている試合でした。ここでデルポの武器を並べてみます。ボレテリ氏は一つだけの武器ではダメだと言っていましたが、デルポは数えきれないほどの武器をそなえています。
(1)深いボールが打てる(彼ほどコンスタントにベースライン近くに深く打てる選手は見た事がありません)
(2)爆発的なフォアハンドと、両手バックハンドのインサイドアウトはウィナーとなる強力な武器。
(3)ポイントに直接関係するような重大なときに、サーヴィスエースが打て、負けそうになっても最後まで諦めないメンタルの持ち主
(4)2m近い長身からうちこまれる爆弾サーヴ
(5)All-court-playerでネットプレーがうまい
(6)長身の割にフットワークがすぐれ、とにかく足が速い
(7)性格がよくプロ根性がある(これって誰も指摘しませんが、とても大切なことだと思います)
デルポトロvsフェデラーは、日本時間の夜11時です。午前さまの試合でなくてよかったですね。