2009年08月24日
フェデラーがシンシナティ優勝!
シンシナティ・マスターズ決勝 2009年8月23日
Federer def Djokovic: 6-1, 7-5
フェデラーの強さはジョコヴィッチを寄せつけませんでした。フェデラーはこれでマスターズシリーズ優勝は16度目となり、最多のアガシの17優勝にあと一つと迫りました。
ジョコヴィッチの問題は技術的なものよりもメンタルだと思います。
2007年 カナダマスターズ(ジョコが優勝)
2008年 オーストラリアン・オープン(ジョコが優勝)
ジョコの対フェデラー戦の過去の成績は4勝7敗ですが、上記の2試合を除き11試合中9試合は第1セットを落としています。特に今年の2試合(マイアミとローマ)でフェデラーに勝っているにも拘らず、第1セットを落としています。
フェデラーに対しては特にゲーム展開が速いので、受けるプレッシャーが大きくつい無理なショットをしてしまう。これが最近のジョコのパターンでした。今年のマイアミのインターヴューで、以下のように語っています。
I also knew that I was always starting matches against him quite impatiently and playing more aggressive than I needed to
・・・(フェデラーがアグレッシヴなので)マッチの始めはいつも、自分は勝ち急ぎをして必要以上にアグレッシヴになってしまう・・・
このようにジョコ自身分かっていながら、ローマ大会でも同じようにナーヴァスになって第1セットを落としました。
第1セット
今試合は「勝ち急がず辛抱強くチャンスを待つ」作戦だったように思いますが、ちょっとゆっくりしているうちに、ガンガンとフェデラーに打ち込まれてしまって、危うくベーグルで第1セットを落とすところでした。フェデラーがボールをネットにひっかけてくれてやっとジョコは最初のサーヴィスゲームをホールドすることができ、嬉しそうにラケットを振って観客の応援に応えていましたが、これで大分緊張感がほぐれたようでした。
第2セット
ベーグルを逃れたジョコは堅さがほぐれ、しかもフェデラーのいつもの集中力の途切れをうまく利用して、第2ゲームですでにフェデラーをブレーク。今までのフェデラーでしたら、イライラしてますますエラーを続発させるところですが、全仏以降のフェデラーは自信に溢れ、第4ゲームのサーヴィスゲームは、エース2本、サーヴィスウィナー2本(ラケットに触れるがリターン不可能なサーヴ)の40-0でジョコヴィッチにメッセージを送ります。このように圧倒的なサーヴの強さを誇示されるとジョコでなくとも大きなプレッシャーです。
予測した通り、その勢いでフェデラーはジョコをすぐブレークしなおしてしまったのですが、ジョコにとってせっかくの立ち直りのチャンスをくじかれ、なかなかフェデラーをブレークすることができずに5-5に。ジョコのサーヴです。フェデラーは思いきってウィナーを狙ってきます。3度目のデュースで、ジョコはドロップショットを試みますが失敗。ブレークポイントへ。フェデラーはジョコの2ndサーヴィスを狙ってリターンエースをとり、ブレークに成功しました。フェデラーにはサーヴィスゲームをとれる絶対的な自信がありますから、このようなリスキーなウィナー狙いがリターンゲームでできるのです。
この時点で勝敗は決まりました。サーヴのよいフェデラーは、快適に40-0でサーヴィスゲームをホールドして、チャンピオンシップポイントを迎えます。もうジョコにはなすすべがなく、2ndサーヴをネットして7-5でフェデラーに優勝が決まりました。
フェデラーはいつものように、ネットプレーもミックスしたヴァラエティーにとんだテニスを披露してくれました。なかなか優勝できなかった全仏前とは違い、華麗なヴォレーが復活してきました。目線がしっかりと定まり、ネットプレーにコミットしているため、ネットダッシュのフットワークがすばらしい。
ここで特筆したいのは、フェデラーのリターンゲームです。リターンで得たポイントはフェデラーが39、ジョコヴィッチがわずかの17です。これはフェデラーのサーヴがいかにリターンしづらく、またフェデラーのリターンがすばらしいかを物語っています。これだけリターンのポイントを取られれば、対戦相手は、サーヴィスゲームをホールドするために無理をしたショットを強いられ、エラーを重ねてしまいます。今試合も典型的なフェデラーのウィニングレシピで勝利を遂げました。
「第2セットでようやくリズムを得られたので、このままいけると思ったんだが。ロジャーはどんどん僕のサーヴィスゲームにすごいプレッシャーをかけてくる。ロジャーと戦うとき、1stサーヴが入らなければ、ほとんど勝つチャンスはないよ。」
では1stサーヴをいれれば少しは勝てる見込みはあるのか? 答えはNo。1stサーヴの確率No.1のべルダスコ(73%)やNo.3のロディック(70%)は、フェデラーに勝てていません。フェデラー自身の1stサーヴの確率は63%でNo.23ですのでそれほど高くはありません。
問題はクオリティーです。予期できない。サーヴの種類が豊富。プレースメントがよい。強烈なスピン。パワーとスピード。この5要素をそなえたクオリティーの高いサーヴでなければ、フェデラーにブレークされてしまいます。さあ、US Openではこのトップ4はどのような対フェデラー作戦を展開してくれるでしょうか。楽しみですね。
Federer def Djokovic: 6-1, 7-5
フェデラーの強さはジョコヴィッチを寄せつけませんでした。フェデラーはこれでマスターズシリーズ優勝は16度目となり、最多のアガシの17優勝にあと一つと迫りました。
ジョコヴィッチの問題は技術的なものよりもメンタルだと思います。
2007年 カナダマスターズ(ジョコが優勝)
2008年 オーストラリアン・オープン(ジョコが優勝)
ジョコの対フェデラー戦の過去の成績は4勝7敗ですが、上記の2試合を除き11試合中9試合は第1セットを落としています。特に今年の2試合(マイアミとローマ)でフェデラーに勝っているにも拘らず、第1セットを落としています。
フェデラーに対しては特にゲーム展開が速いので、受けるプレッシャーが大きくつい無理なショットをしてしまう。これが最近のジョコのパターンでした。今年のマイアミのインターヴューで、以下のように語っています。
I also knew that I was always starting matches against him quite impatiently and playing more aggressive than I needed to
・・・(フェデラーがアグレッシヴなので)マッチの始めはいつも、自分は勝ち急ぎをして必要以上にアグレッシヴになってしまう・・・
このようにジョコ自身分かっていながら、ローマ大会でも同じようにナーヴァスになって第1セットを落としました。
第1セット
今試合は「勝ち急がず辛抱強くチャンスを待つ」作戦だったように思いますが、ちょっとゆっくりしているうちに、ガンガンとフェデラーに打ち込まれてしまって、危うくベーグルで第1セットを落とすところでした。フェデラーがボールをネットにひっかけてくれてやっとジョコは最初のサーヴィスゲームをホールドすることができ、嬉しそうにラケットを振って観客の応援に応えていましたが、これで大分緊張感がほぐれたようでした。
第2セット
ベーグルを逃れたジョコは堅さがほぐれ、しかもフェデラーのいつもの集中力の途切れをうまく利用して、第2ゲームですでにフェデラーをブレーク。今までのフェデラーでしたら、イライラしてますますエラーを続発させるところですが、全仏以降のフェデラーは自信に溢れ、第4ゲームのサーヴィスゲームは、エース2本、サーヴィスウィナー2本(ラケットに触れるがリターン不可能なサーヴ)の40-0でジョコヴィッチにメッセージを送ります。このように圧倒的なサーヴの強さを誇示されるとジョコでなくとも大きなプレッシャーです。
予測した通り、その勢いでフェデラーはジョコをすぐブレークしなおしてしまったのですが、ジョコにとってせっかくの立ち直りのチャンスをくじかれ、なかなかフェデラーをブレークすることができずに5-5に。ジョコのサーヴです。フェデラーは思いきってウィナーを狙ってきます。3度目のデュースで、ジョコはドロップショットを試みますが失敗。ブレークポイントへ。フェデラーはジョコの2ndサーヴィスを狙ってリターンエースをとり、ブレークに成功しました。フェデラーにはサーヴィスゲームをとれる絶対的な自信がありますから、このようなリスキーなウィナー狙いがリターンゲームでできるのです。
この時点で勝敗は決まりました。サーヴのよいフェデラーは、快適に40-0でサーヴィスゲームをホールドして、チャンピオンシップポイントを迎えます。もうジョコにはなすすべがなく、2ndサーヴをネットして7-5でフェデラーに優勝が決まりました。
フェデラーはいつものように、ネットプレーもミックスしたヴァラエティーにとんだテニスを披露してくれました。なかなか優勝できなかった全仏前とは違い、華麗なヴォレーが復活してきました。目線がしっかりと定まり、ネットプレーにコミットしているため、ネットダッシュのフットワークがすばらしい。
ここで特筆したいのは、フェデラーのリターンゲームです。リターンで得たポイントはフェデラーが39、ジョコヴィッチがわずかの17です。これはフェデラーのサーヴがいかにリターンしづらく、またフェデラーのリターンがすばらしいかを物語っています。これだけリターンのポイントを取られれば、対戦相手は、サーヴィスゲームをホールドするために無理をしたショットを強いられ、エラーを重ねてしまいます。今試合も典型的なフェデラーのウィニングレシピで勝利を遂げました。
「第2セットでようやくリズムを得られたので、このままいけると思ったんだが。ロジャーはどんどん僕のサーヴィスゲームにすごいプレッシャーをかけてくる。ロジャーと戦うとき、1stサーヴが入らなければ、ほとんど勝つチャンスはないよ。」
では1stサーヴをいれれば少しは勝てる見込みはあるのか? 答えはNo。1stサーヴの確率No.1のべルダスコ(73%)やNo.3のロディック(70%)は、フェデラーに勝てていません。フェデラー自身の1stサーヴの確率は63%でNo.23ですのでそれほど高くはありません。
問題はクオリティーです。予期できない。サーヴの種類が豊富。プレースメントがよい。強烈なスピン。パワーとスピード。この5要素をそなえたクオリティーの高いサーヴでなければ、フェデラーにブレークされてしまいます。さあ、US Openではこのトップ4はどのような対フェデラー作戦を展開してくれるでしょうか。楽しみですね。