2009年03月07日
政治に利用されたデ杯
世界の各地でデ杯が一斉に始まりました。第2日の今日は鈴木/岩渕のダブルスチームですね。これで気持ちよく3勝をあげれば、錦織選手はラバー4に出なくてすみそうです。ではデ杯の第1日目のハイライトをお届けします。
政治に利用されたスウェーデンのデ杯戦
テニスセンターを閉め切って、一般観客無しで対イスラエル戦がスウェーデンのマルモ Malmo市で行われました。これは反イスラエルのデモを恐れたリーパル Reepalu市長の決断ですが、国際批判を真っ向に受けることになりました。デ杯の一般公開禁止令は、安全の保証ができないという判断のもとで決行されましたが、ドイツのシュピーゲル紙によると、それ以上の政治的理由があることが分かり、ITFとテニス選手の怒りをかっています。
1月のローカル新聞に、「個人的には、どんな試合でもイスラエルとは戦うべきでない」という意見を、市長が述べていることが発覚したのです。ITFは今後はマルモ市ではデ杯を行わないことを発表しました。国が何をしようと選手個人にその責任を負わせるのは論外で、私も怒りを覚えます。それにしても、中立の国、スウェーデンでこのような政治差別行為が行われたことは遺憾です。
スペインvsセルビア戦が悪天候でキャンセル
6日からスペインの東海岸のベニドームで行われる予定でしたが、強風のためにキャンセルとなりました。コートがかなり荒れてしまったようで、アウトドアのクレーコートの修復に最低10時間を要するとのこと。明日の土曜から一応シングルスの2試合がまず行われますが、ダブルスを同日に行うのかまだ結論は出ていません。選手たちは来週から始まるインディアンウェルズに出場しなくてはならず、どうしても日曜にはデ杯を終わらせたいという意向もあって、まだ結論がでていないという異常事態に陥りました。
アウトドアでの試合はいつも悪天候の可能性があるわけで、このへんの対応ができていなかったことに驚かされますが、最悪の場合は(悪天候が続いた場合)、デ杯そのものがキャンセルされる事態もありえるそうで、そうなるとデ杯歴史始まって以来の出来事となります。
デ杯の規則では試合は5日間の余裕が与えられているので、火曜日までに5試合をこなさなければならないのですが、問題は来週から始まるインディアンウェルズなのです。話題のナダルとジョコヴィッチの試合はラバー4に予定されていますが、現在の段階では日曜なのか、月曜なのかまだ分かっておりません。
トップ3の抜けたアルジェンチン
アルジェンチンはナルバンディアンをリーダーにオランダと対戦を予定していましたが、3日前にナルバンディアンがヴィールスのために急遽欠場となりパニックに陥りました。デルポトロは最初からデ杯に興味がなく欠場。ナルバンディアンと二人のトッププレーヤーが抜けてしまったアルジェンチンは、No.3のアカスーソにも断られ、やむなくベテランの159位のチェラをラバー1にもってくるなど、苦肉の策で第1日目を迎えました。
トップ選手の欠けたデ杯は明らかに魅力に欠けたものとなり、アルジェンチンはホームゲームにも拘らず、1万4千人収容のスタジアムはわずか1500人の観客で閑散とし寂しいデ杯となりましたが、チェラは4時間におよぶ5セットマッチで1勝目をあげ、モナコも健闘してアルジェンチンに2勝をもたらしました。しかしこのようなデ杯への情熱が薄れてしまったアルジェンチンは、このオランダ戦に勝っても、2ラウンドのチェコまたはフランスにとても勝てるとも思えず、昨年の面影もない衰退ぶりにアルジェンチンの苦悩が浮き彫りになりました。
シモンがバーディッチに敗退
モンフィスが怪我で欠場となりましたが、ガスケをダブルスにまわすほど余裕たっぷりなフランスチームは、シモン、ツォンガ、ガスケ、ロードラと豪華メンバーでチェコと戦うことになりました。最初の試合ラバー1にシモンが出場しましたが、デ杯が初めてというシモンは、第3セットで多くのブレークポイントを得ながらブレークすることができず、サーヴのよいバーディッチに苦戦。バーディッチはデ杯の経験も豊かでホームゲームの利点を生かして、最後までフォーカスが途切れることなくベストなパーフォーマンスで1勝をあげました。
ツォンガはステパネックに快勝してフランス1勝、チェコ1勝のタイとなりました。
デ杯とフェドカップを隔年に
女子のフェドカップはほとんど世界の関心を集めることのないイヴェントになってしまっていますが、デ杯のあり方も再検討を迫る声が高まっています。
ナダルのデ杯への情熱、ロディックとブレークの熱い気持ちはすばらしいと思いますが、デ杯を個人の目標より優先させるトップ選手は少なくなっています。過密なトーナメントのスケジュールをこなすだけでも大変な選手にとって、デ杯の参加は過酷です。フェデラーを責める前に、選手への負担を軽減するための対策を講じるべきだと思います。隔年ごとにデ杯とフェドカップを交替で行えば、関心度も高まり、選手の参加も増えるかもしれません。このアイデアを両組織にアピールしてみたいと思います。
政治に利用されたスウェーデンのデ杯戦
テニスセンターを閉め切って、一般観客無しで対イスラエル戦がスウェーデンのマルモ Malmo市で行われました。これは反イスラエルのデモを恐れたリーパル Reepalu市長の決断ですが、国際批判を真っ向に受けることになりました。デ杯の一般公開禁止令は、安全の保証ができないという判断のもとで決行されましたが、ドイツのシュピーゲル紙によると、それ以上の政治的理由があることが分かり、ITFとテニス選手の怒りをかっています。
1月のローカル新聞に、「個人的には、どんな試合でもイスラエルとは戦うべきでない」という意見を、市長が述べていることが発覚したのです。ITFは今後はマルモ市ではデ杯を行わないことを発表しました。国が何をしようと選手個人にその責任を負わせるのは論外で、私も怒りを覚えます。それにしても、中立の国、スウェーデンでこのような政治差別行為が行われたことは遺憾です。
スペインvsセルビア戦が悪天候でキャンセル
6日からスペインの東海岸のベニドームで行われる予定でしたが、強風のためにキャンセルとなりました。コートがかなり荒れてしまったようで、アウトドアのクレーコートの修復に最低10時間を要するとのこと。明日の土曜から一応シングルスの2試合がまず行われますが、ダブルスを同日に行うのかまだ結論は出ていません。選手たちは来週から始まるインディアンウェルズに出場しなくてはならず、どうしても日曜にはデ杯を終わらせたいという意向もあって、まだ結論がでていないという異常事態に陥りました。
アウトドアでの試合はいつも悪天候の可能性があるわけで、このへんの対応ができていなかったことに驚かされますが、最悪の場合は(悪天候が続いた場合)、デ杯そのものがキャンセルされる事態もありえるそうで、そうなるとデ杯歴史始まって以来の出来事となります。
デ杯の規則では試合は5日間の余裕が与えられているので、火曜日までに5試合をこなさなければならないのですが、問題は来週から始まるインディアンウェルズなのです。話題のナダルとジョコヴィッチの試合はラバー4に予定されていますが、現在の段階では日曜なのか、月曜なのかまだ分かっておりません。
トップ3の抜けたアルジェンチン
アルジェンチンはナルバンディアンをリーダーにオランダと対戦を予定していましたが、3日前にナルバンディアンがヴィールスのために急遽欠場となりパニックに陥りました。デルポトロは最初からデ杯に興味がなく欠場。ナルバンディアンと二人のトッププレーヤーが抜けてしまったアルジェンチンは、No.3のアカスーソにも断られ、やむなくベテランの159位のチェラをラバー1にもってくるなど、苦肉の策で第1日目を迎えました。
トップ選手の欠けたデ杯は明らかに魅力に欠けたものとなり、アルジェンチンはホームゲームにも拘らず、1万4千人収容のスタジアムはわずか1500人の観客で閑散とし寂しいデ杯となりましたが、チェラは4時間におよぶ5セットマッチで1勝目をあげ、モナコも健闘してアルジェンチンに2勝をもたらしました。しかしこのようなデ杯への情熱が薄れてしまったアルジェンチンは、このオランダ戦に勝っても、2ラウンドのチェコまたはフランスにとても勝てるとも思えず、昨年の面影もない衰退ぶりにアルジェンチンの苦悩が浮き彫りになりました。
シモンがバーディッチに敗退
モンフィスが怪我で欠場となりましたが、ガスケをダブルスにまわすほど余裕たっぷりなフランスチームは、シモン、ツォンガ、ガスケ、ロードラと豪華メンバーでチェコと戦うことになりました。最初の試合ラバー1にシモンが出場しましたが、デ杯が初めてというシモンは、第3セットで多くのブレークポイントを得ながらブレークすることができず、サーヴのよいバーディッチに苦戦。バーディッチはデ杯の経験も豊かでホームゲームの利点を生かして、最後までフォーカスが途切れることなくベストなパーフォーマンスで1勝をあげました。
ツォンガはステパネックに快勝してフランス1勝、チェコ1勝のタイとなりました。
デ杯とフェドカップを隔年に
女子のフェドカップはほとんど世界の関心を集めることのないイヴェントになってしまっていますが、デ杯のあり方も再検討を迫る声が高まっています。
ナダルのデ杯への情熱、ロディックとブレークの熱い気持ちはすばらしいと思いますが、デ杯を個人の目標より優先させるトップ選手は少なくなっています。過密なトーナメントのスケジュールをこなすだけでも大変な選手にとって、デ杯の参加は過酷です。フェデラーを責める前に、選手への負担を軽減するための対策を講じるべきだと思います。隔年ごとにデ杯とフェドカップを交替で行えば、関心度も高まり、選手の参加も増えるかもしれません。このアイデアを両組織にアピールしてみたいと思います。
投稿者 Tennisnakama 11:03 | コメント(2)| トラックバック(0)
スウェーデンのデ杯についてですが、ただいま非常に深刻な事態に陥っています。イスラエル戦中止を叫ぶデモで、デ杯の会場近辺は非常に治安が悪い状態になっています。無観客試合もやむおえなかったと思わざるを得ません。下記サイトから今の様子をご覧いただけます。無観客とはいえ試合を決行したことによるデモですので、観客が入っていたらと思うとゾッとします。一応お知らせまで。
http://www.dn.se/webbtv/nyheter/stenkastning-och-raketer-1.815782
今回のStop The Matchのデ杯の阻止運動は大変な騒ぎになりましたね。おっしゃるように、経験の少ないマルモ市では対応できなかったかもしれませんね。このデモについていろいろ調べてみましたが、最左翼グループやネオナチなどの過激なactivistsにハイジャックされた感がありますね。「ユダヤ人を追放せよ」というアラブ人たちの行進で、危うくユダヤ人が殴られそうになっているのをビデオで見ましたが、あの平和なイメージの強いスウェーデンで、あのような暴動デモが起こること自体がことの深刻さを物語っていますね。
それにしても、あの嵐のデモのなか、イスラエルが5セットでラバー5を勝ち取りましたね。イスラエルチームは執念で勝ったようなすざましいデ杯でした。