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エナンに乾杯!

ジュスティーヌ・エナンの突然の引退で、世界が大騒ぎをしていますが、はっきり言ってよくここまで頑張りました、お疲れ様でした、という思いが私には強いのです。

彼女のプレーを何度も目の前で観ましたが、それは息がとまるほどのすごさがありました。私と身長も体重も同じなのに、どこからあの強烈なラケットスピードが生まれ、どこからあの爆発的なストロークを生み出すことができるのか?
7年まえ、ウィンブルドンのファイナルで、衝撃的なあのバックハンドのストロークを観て、ジョンマッケンローが、TV解説で驚きの声を上げたのを覚えています。 

「こんなすごいバックハンドは今までみたことがない!彼女はきっとすごい選手に成長する!」

でもここまでくるには、華奢な体に過大な負担があったに違いありません。あの小柄な体形で、巨大なシャラポヴァやセリーナをなぎ倒していくには、血のにじむような努力と強靭な精神力が必要だったと思います。

「少し疲れました。これ以上戦っていく情熱がなくなっている自分に気がついたのです。」

ジュスティーヌの10才のときの母への誓い「ママ!ローランギャロスできっと優勝してみせる!」の言葉は有名ですが、12才でその母とも死別。そして15才でプロになりましたが、テニスのキャリアについて家族と対立し、17才で家を出ています。それ以来父や兄弟との絶縁状態の中で、ジュスティーヌはまさに孤島の兵士で頑張り続けてきました。ヴィールスで長期間休戦をよぎなくされ、苦難の日々が続いたあと、結婚生活も終止符をうつことになります。昨年の全豪オープンは離婚劇のまっただなかで、神経をすり減らしてしまった彼女は、ついに出場を諦める事態に。

そんな彼女に幸せな笑顔が戻ってきたのは、昨年のフレンチオープンの優勝の時です。

「I love my family with all my heart! この優勝カップは私の家族に捧げます!」

彼女は誇らしげに宣言しました。絶縁状態の7年間、グランドスラムのジュスティーヌの家族席は家族がすわることがなく、彼女はどれほど寂しい思いだったことか。しかし昨年の兄の大事故で、彼女が病院に駆けつけたことをきっかけに家族が和解。初めて家族全員をローランギャロスに招待することができたのです。そして優勝!これほどすばらしいプレゼントはありません。彼女はグランドスラムのタイトルだけでなく、家族の愛も勝ちえたのです。

「このカップは私の家族のもの」

この一言にどれだけ深い彼女の気持ちが込められていた事でしょう。

記者会見のジュスティーヌの表情には、悲しみはありませんでした。(コーチのロドリゲツのほうが感情を押さえるのに大変だったようですが)解放された晴れ晴れとした美しい顔がそこにはありました。

ジュスティーヌは昨年開校したクラブ・ジュスティーヌ・N1(エナンの名前に似てることから名付けられました)のテニススクールと子供病院の基金のために再出発です。引退は同胞のクライスターズの出産に刺激されたという噂もあります。

「これから女として生きていきたい」

いいですね。ファイターのジュスティーヌの第1幕は閉じましたが、これから女性として、妻として、母として人生の第2幕が始まろうとしています。テニスファンとしては寂しいですが、彼女の新しい人生を祝福したいと思います。いつかヒンギスやダヴェンポートのように、カムバックしてくれることを信じて、

A la tienne!(貴女に乾杯!)




投稿者 Tennisnakama  11:02 | コメント(6) | トラックバック(0)