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ナダルのインジャーリー・タイムアウトについて

nadalwon


http://www.atptennis.com/のホームページ

不思議なハンブルグのマスターズでした。トロフィーを受ける優勝者が浮かない顔をしています。メディアの写真撮影に対しても、ぎこちない笑顔です。もちろん負けたフェデラーの顔が暗いのは分かりますが、ナダルがなぜそれほど嬉しそうに見えないのか。このハンブルグはナダルがまだ制覇していないクレーの重要な大会。是が非でも勝ち取りたかったタイトルのはずです。しかしトロフィー授与式でも、仲良しのフェデラーと会話を交わす様子もなく、居心地わるそうな印象を受けたナダルの態度について、ここでいつもの大胆なTennisnakamaの独断分析を行いたいと思います。どのメディアも書かなかったナダルのインジャリー・タイムアウトについてです。

この決勝戦の勝敗を決定したのは、第1セットのナダルのインジャリー・タイムアウトです。

第1セットのスコアはフェデラーのリードで5-2。フェデラーのアグレッシヴなゲーム展開で、誰の目にも彼の第1セットの勝利が明らかでした。そしてチェンジオーヴァー(コートをチェンジする時)です。ナダルはトレーナーを呼びました。ナダルは右の太ももの後ろを指して、何かトレーナーに訴えています。痛そうです。誰もが彼の右足のマメのひどい状態をTVで見ていますので、これはただ事ではないと思ったはずです。しかも、昨日のジョコヴィッチとの準決勝の壮絶な戦いを観戦した人は、「ナダルが肉離れ?」の最悪の事態を想像したと思います。ナダルのコーチは顔を引き攣らせながら、手を横に切るようにして、「Stop!」のサインをナダルに送っています。「リタイアせよ!」のサインです。ナダルはきっとトレーナーと相談したかったのでしょう。続行してよいものかどうか? 

ナダルは試合を続行することに決めました。しかし試合をみていると、ナダルの足に特別に異常があったとは思えないフットワークです。うーん・・・これでインジャリー・タイムアウトかあ・・・私は別にナダルにいちゃもんをつける気はさらさらありませんが、このインジャーリー・タイムアウトが、どのような場合にとられるべきかについて、ルールの再検討が叫ばれているのは事実。

ナダルは以前にも負けそうになったときに、トレーナーを呼びマッサージを受けたことがあります。これはナダルに限ったことではなく、マッサージによって痛くなってきた体の疲れをほぐし、勝ってる相手のリズムを崩す目的でこのタイムアウトをとる選手が増えてきています。これはインジャリー・タイムアウトのabuseです。インジャーリーの予防はインジャリーではないのですから。

今日の試合は、確かにナダルのフットワークは、昨日のジョコヴィッチとの試合とは比べものにならないほど、スピードに欠けるものがありました。が、果たしてインジャーリー・タイムアウトをとるほどのものであったかどうか? それはナダル自身にしか分からないことです。

インジャリー・タイムアウトの後の結果はご承知の通りです。エンパイアステートビルから急降下するように、突然コントロールを失ったフェデラーは、連続29ポイントをナダルに譲ってしまいました。ケガをしている対戦相手を(しかも相手は仲のよいナダルです)サイドに振ったり、ドロップショットをしたりできなかったフェデラーに痛く同情します。弱っている相手に決定的打撃を与えて、最後のとどめを刺す事ができなかった。それをプロ精神の欠如という人もいるでしょうが、私は彼の困惑したテニスに人間性を感じます。「後味の悪い勝ち方はしたくない」それが彼の首をしめる自殺行為となってしまった・・・

完全にリズムを失ったフェデラーは、かろうじて第2セットを7-6のタイブレークで勝ちとりましたが、もうそれは, too lateだったのです。ナダルの足は、走れば走るほど油がよくまわるエンジンのように、あのスーパーフットワークが戻ってきたからです。ナダルは足の回復とともに、自信も回復しました。この絶対諦めないナダルの態度は立派です。が。。。多分私一人だけでしょうね。素直に喜べないのは。。。(アメリカのメディアはすべて、ナダルに大賛辞をおくっていますので)

「昨日のジョコヴィッチとの試合はきびしかったです。だから今日の試合は、始めの頃はひどかった。そのうち足が痛くなってきて、集中するのがむずかしくなってきました。(インジャーリー・タイムアウトの後は)だんだん痛みが薄れてきて, 少しよくなってきましたが。」

ナダルのフェア精神とスポーツマンシップはよく知られています。それだけに、(あの程度の痛みで?)インジャリー・タイムアウトをとったことによって、フェデラーにあれほどのインパクトを与えてしまったことに、逆に驚きを隠せないのが正直なナダルの心境のような気がするのですが。スカッと喜べない正直な顔をナダルに見た気がします。これは私一人の思い過ぎでしょうか? (以前、フェデラーがトレーナーを呼んで、足首のテーピングをやりなおしてもらったことがあります。対戦相手は忘れましたが、あの時は確かフェデラーがリードしている時でした。)

私は原則として、インジャリー・タイムに反対です。もしケガだと判断すれば、退場するべきです。他のスポーツでは、作戦のためにタイムアウトがあっても、試合を中断するこのようなインジャーリー・タイムアウトはありません。インジャリーはケガなのですから、十分に走れる状態はインジャリーとは呼ばない。もし退場すると決めたら、観客に事情を説明して退場するべきです。

今日は、ポイントをとったときに出るナダルの「Vamos!」がありませんでした。 握りこぶしを上げるいつものガッツポーズもなく、淡々とした何とも不思議なマスターズ決勝でした。

皆さんはインジャーリー・タイムアウトのルールについてどう思われますか?

投稿者 Tennisnakama  08:02 | コメント(23) | トラックバック(0)