2008年07月04日
燃え尽きないためには
ウィンブルドンの女子決勝戦が決まりました。またあのウィリアムズ姉妹か! 確かにこういうネガティヴな反応もありますね。
もし、あの華奢で健気な(ウィンブルドンの賞金をすべて故郷と中国テニス協会に寄付すると宣言)ジェンジーが勝ったとしたら、北京オリンピックを前に世界にセンセーションを起こしたかもしれません。でも私はウィリアムズ姉妹の決勝戦は、テニス選手のバーンアウトについて考えるよい機会を与えてくれたと思っています。
ジュスティーン・エナンの突然の引退表明で、新たに問題になったのが、バーンアウトの問題です。燃え尽き症候群。この不名誉なパイオニアはビヨン・ボルグ。11のグランドスラムのタイトルを持つ彼は、24才のときにすでに試合に興味をなくし、26才で突如引退して世界を驚かせました。当時はバーンアウトなどの病名もなく、人々は理解に苦しむばかり。しかし、その後、アガシ、カプリアティ、ヒンギスなど、幼児のときからテニスの天才教育を強いられ、テニスしか知らない人生をおくってきた選手たちに共通する現象が見られるようになりました。
「テニスに興味を失った」「他のことをやってみたい」
人間の貴重な成長過程をすべてテニスに注いできたのですから、それに対する弊害が出てきて当然だと思います。シャラポヴァやジョコヴィッチは若いときから、一家を背負って働き続けています。これは異常です。
では、フェデラーやナダルはどうでしょうか? 彼らは裕福な家庭に育っていて、未来に選択の余地がありました。フェデラーがテニスのプロになりたいと言ったとき、父親は反対したくらいですから、テニスをしなくてもよかった環境にあります。サフィンは今だに、「サッカーをやりたかったのにやらせてもらえなかった」という思いが尾を引いています。ナダルは、テニスばかりやる危険性をよくわきまえていて、時間に余裕ができると、好きなフィッシングに出かけて、精神のバランスをとるように心がけています。
ではウィリアムズ姉妹の場合はどうでしょうか。コーチでもある父親のリチャードは賢明な選択を娘たちにさせました。試合の出場を最低限にとどめ、あとは趣味や仕事に精を出すことを勧めました。テニスが本職なのか、ファンッションが本職なのか、役者が本職なのか? 最初は「テニスを真面目にやれ」と非難されたこともありましたが、この余裕のある生活が、彼女たちに息の長い選手生活を可能にしているは明らか。反対にシャラポヴァ、イヴァノヴィッチ、ヤンコヴィッチには肉体だけではなく、精神的な「疲れ」が敗退の原因だとみる見方が主流を占めています。「いつ引退するか分からないわ」とうそぶきながら、着実にタイトルを獲得していく28才のヴィーナスと26才のセリーナからは、バーンアウトという言葉は存在しないのかもしれません。
今日の選手の最大の課題は肉体と精神管理です。錦織選手は13才からアメリカに単身留学をして5年になります。家族のいない毎日の生活は寂しくて辛いときもあるでしょう。テニスに明け暮れ、結果を出していかなければならない厳しい生活のなかで、圭くんがバーンアウトになってしまわないよう、プロジェクト45チームは、細心の配慮を行ってほしいと思います。
もし、あの華奢で健気な(ウィンブルドンの賞金をすべて故郷と中国テニス協会に寄付すると宣言)ジェンジーが勝ったとしたら、北京オリンピックを前に世界にセンセーションを起こしたかもしれません。でも私はウィリアムズ姉妹の決勝戦は、テニス選手のバーンアウトについて考えるよい機会を与えてくれたと思っています。
ジュスティーン・エナンの突然の引退表明で、新たに問題になったのが、バーンアウトの問題です。燃え尽き症候群。この不名誉なパイオニアはビヨン・ボルグ。11のグランドスラムのタイトルを持つ彼は、24才のときにすでに試合に興味をなくし、26才で突如引退して世界を驚かせました。当時はバーンアウトなどの病名もなく、人々は理解に苦しむばかり。しかし、その後、アガシ、カプリアティ、ヒンギスなど、幼児のときからテニスの天才教育を強いられ、テニスしか知らない人生をおくってきた選手たちに共通する現象が見られるようになりました。
「テニスに興味を失った」「他のことをやってみたい」
人間の貴重な成長過程をすべてテニスに注いできたのですから、それに対する弊害が出てきて当然だと思います。シャラポヴァやジョコヴィッチは若いときから、一家を背負って働き続けています。これは異常です。
では、フェデラーやナダルはどうでしょうか? 彼らは裕福な家庭に育っていて、未来に選択の余地がありました。フェデラーがテニスのプロになりたいと言ったとき、父親は反対したくらいですから、テニスをしなくてもよかった環境にあります。サフィンは今だに、「サッカーをやりたかったのにやらせてもらえなかった」という思いが尾を引いています。ナダルは、テニスばかりやる危険性をよくわきまえていて、時間に余裕ができると、好きなフィッシングに出かけて、精神のバランスをとるように心がけています。
ではウィリアムズ姉妹の場合はどうでしょうか。コーチでもある父親のリチャードは賢明な選択を娘たちにさせました。試合の出場を最低限にとどめ、あとは趣味や仕事に精を出すことを勧めました。テニスが本職なのか、ファンッションが本職なのか、役者が本職なのか? 最初は「テニスを真面目にやれ」と非難されたこともありましたが、この余裕のある生活が、彼女たちに息の長い選手生活を可能にしているは明らか。反対にシャラポヴァ、イヴァノヴィッチ、ヤンコヴィッチには肉体だけではなく、精神的な「疲れ」が敗退の原因だとみる見方が主流を占めています。「いつ引退するか分からないわ」とうそぶきながら、着実にタイトルを獲得していく28才のヴィーナスと26才のセリーナからは、バーンアウトという言葉は存在しないのかもしれません。
今日の選手の最大の課題は肉体と精神管理です。錦織選手は13才からアメリカに単身留学をして5年になります。家族のいない毎日の生活は寂しくて辛いときもあるでしょう。テニスに明け暮れ、結果を出していかなければならない厳しい生活のなかで、圭くんがバーンアウトになってしまわないよう、プロジェクト45チームは、細心の配慮を行ってほしいと思います。