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Tennisnakama in New York 世界にテニスの輪を広げたいと願っています。元レポーターのTennisnakamaが、ホットな情報やめずらしい話を、ニューヨークからどんどんお届けします。自由にリンクしてください。(記事はすべて〓tennisnakama.comとなっておりますので、無断掲載はご遠慮ください)

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ジョコの教訓

予想されたことが起こりました! 

ジョコヴィッチが昨夜のロディックとの試合でブーイングを受けてしまいました!しかも彼はITO (インジャーリータイムアウト)をとっていないのに、ブーイングはますます大きく会場にこだましていきます。



この事件は昨日私が書いた「錦織の今後の課題」のテーマ、ITOの核心でもあるので、ロディック戦を説明しながら、ITOについて述べていきたいと思います。

日本ではテニスはマイナー化して、世界のテニスの動きがほとんど伝えられておらず、情報は試合の簡単な結果のみというお寒い状況にあります。そこでぜひ、日本のテニスファンに刻々と移り変わる世界のテニスの動向を伝えたいという願いから、ブログを始めました。

ですから、今回のジョコヴィッチの件にしても、TVで観戦された方は、会場のブーイングを理解できずに、ニューヨークはジョコヴィッチに冷たい、といった印象をもたれた方もあるかもしれません。

ジョコヴィッチが先日行った対ロブレド戦のあと、ロブレドの怒った記者会見が発表されました。それは、ジョコヴィッチが腰が痛い、胃が痛いといって、毎回ITOをとったことに不満を訴えるロブレドの抵抗でした。「僕だってどれだけ体中が痛かったか!」しかし彼はITOをとりませんでした。彼の良心のもとに、ルールをアビューズしなかったのです。問題は、ジョコヴィッチです。

ジョコの過去はITOが多すぎるのです。

ITOの問題は、TVの解説者やメディアがよく取り上げる問題ですが、明らかに怪我をした場合、または、これ以上続けると危険な状態におちいると判断した場合以外は、ITOはとるべきでないというスタンスに立っています。特にITO を取った後、コートを何の支障もなく走り回っている選手をみれば、「これはおかしい」と、疑われてしまっても仕方がないのです。

「ITOの常習者」とレッテルを貼られてしまったジョコヴィッチですが、こうなると本当に具合が悪くても、誰からも信用されなくなってしまいます。ロディックは試合の前に、ジョコヴィッチについてこのように答えています。

Q. When asked about his injuries today, mentioning the right ankle as opposed to the left ankle, the other day
今日のジョコヴィッチの(ロブレド戦の)怪我ですが、他の日は左足首といってましたが、今日は右足首だとか・・・

ANDY RODDICK: Isn't it both of them? And a back and a hip?
両方じゃなかったの?それとも背中、それとも腰だっけ?

Q. And when he said there are too many to count.
彼は数えきれないくらいあると言ってましたけど、

ANDY RODDICK: And a cramp.
じゃ、クランプも。

Q. Do you get the sense right now that he is...
彼の調子はどうだと・・・

ANDY RODDICK: Bird flu.
バードフルー

Q. Lot of things. Beijing hangover.
いろんな事が重なった。北京弊害

ANDY RODDICK: Yeah.
まあ、ね。

Q. He's got pretty long list of illness.
彼の病気のリストは長いですね。
ANDY RODDICK: Anthrax. SARS. Common cough and cold.
炭疽菌、SARS, 咳に風邪

この記者会見には笑ってしまいました。ロディックはまったく冗談で答えているのですが、ジョコヴィッチとしては面白くないのは当然です。

これと同じ質問を、ナダルフェデラーにすれば「ジョコは全力を尽くすだろうし、僕も尽くすつもりだ」などと優等生の答えが返ってくるでしょうが、悪ガキ、ロディックはスパイスの効いた応答でメディアやファンを楽しませてくれたのでした。彼が錦織と対戦したあと、「若造にちょっとレッスンをしてやっただけのことさ」というような意味のことを言って、世界のテニスファンから総スカンをうけましたが、確かにこのジョコヴィッチに対する発言は繊細さを欠くものでした。

そういう背景があったものですから、ジョコヴィッチは世界のテニスファンに言いたかったのかもしれません。コートのでの勝利インタービューで放った言葉です。

「アンディは僕が16カ所も怪我をしてると言ったけど、明らかに僕はそうじゃないよ!」

ここで大きなブーイングが会場から起こります。

ブーイングをする観客に向かって、「分かってるんだ。君たちが僕が全部ウソついている(怪我に対して)と思ってるってことは。」

ここでまた大きなブーイング。

「でも、16カ所も怪我しているなんて、言うのはよくないよ」

またブーイング。

これは実に悲しい出来事です。昨年、シャラポヴァやロディックの物真似であれほどニューヨーカーから愛されたジョコヴィッチの姿はどこにもありません。

私が予期した通り、ニューヨークタイムズの記事では、2005年のUS Openのモンフィス戦に言及しながら、厳しいトーンで記事をしめくくっています。

Considering his injury-timeout habits, including against Gael Monfils in 2005, in which he admitted was the only way to win, and against an angered Tommy Robredo in the round of 16 earlier this week, Djokovic might have worn out his welcome with tennis fans.

「2005年にモンフィスと戦った試合で、勝つ手段はタイムアウトしかなかったと言ったジョコヴィッチは、ラウンド16で、タイムアウトをとってロブレドを怒らせてしまった。彼のインジャーリータイムアウトの癖を考えると、ジョコヴィッチに対するテニスファンの歓迎はすり減ってしまったようだ。」

ルールで許されているからと言って安易にITOをとったり、バスルームブレークをとったりすると、後で必ずその選手にしっぺ返しがくるということを忘れてはいけないと思います。ジョコヴィッチは安易に取ったとは思いませんが、とる回数が多いことに問題が潜んでいます。私は、決して錦織選手が安易にITOをとったなどと言っておりません。むしろ、あの足を引き攣った辛い状況でよく戦ったと誇らしく思っています。

ただ、世界のトップ選手になるということは、すべての行動が評価の対象になるということを知ってほしくて、「錦織選手の今後の課題」を書きました。特に世界中が注目するグランドスラムにおいては、16強に入る選手の一挙一動がメディアの話題の対象になるということを念頭にいれておいてほしかったのです。

錦織選手はこれから伸びていく日本のスターです。ですからその星にふさわしく、リタイアやITOを必要としない強靭な体つくりにまず取り組んでほしいと思います。

世界の人々から、「よくやった!すばらしかったよ圭!」と心から拍手をおくられる日がだんだん近づいてきています。次に会ったときは、圭君はまた一段と逞しく成長していることでしょう。

頑張れ、圭君!




投稿者 Tennisnakama  23:52 | コメント(33) | トラックバック(0)