2008年09月10日
フェデラー、優勝のプレゼント
まずはフェデラーのUS Open5連勝おめでとう! US Openは,4GSの中で競争レベルにおいて、最も難しい大会とされていますので、本当に嬉しく思います。彼の優勝は、テニス界へのフェデラーから大きなプレゼントとなりました。
幾度も述べてきましたが、アメリカがくしゃみをすると、全世界が風邪をひいてしまうテニス界では、アメリカでのテニスの人気がカギとなります。現在アメリカ人のトップスリー選手が存在しないテニスでは、人気を確保していくには、エキサイティングなライヴァリーが必要となってきます。ウィンブルドンのナダルvsフェデラー決勝戦は、そういった意味で多くのテニス素人を魅了するすばらしい試合だっただけに、このライヴァル関係が崩れてしまえば、せっかく得た新しいテニスファンを喪失してしまうだけでなく、古いテニスファンまでテニス離れを招く可能性があります。
オリンピックで金メダルを得たフェデラーですが、やはりここでシングルスのタイトルを取っておかなければ、「フェデラー復活危なし」がいつまでも囁かれることになり、そうなるとフェデラーの自信回復をますます遠ざけるだけでなく、ナダルとのNo.1争いのシナリオが成り立たなくなってしまいます。
マリーが4位にあがることによって、ナダル、フェデラー、ジョコヴィッチ、マリーの4銃士のスリリングなパワー構図ができあがりました。そのあとに、続くデルポトロ、グルビス、チーリーチ(クロアチアではこう呼ばれているそうです)の新しいビッグボーイパワー、無限の可能性を秘めている18才の錦織と、その裾がどんどん広がっていきます。これでテニスがますます面白くなったことは、テニスファンにとって、わくわくさせるグッドニュースなのです。
昨年も同じラグジェリースウィートからフェデラーの決勝戦を観戦しました。昨年はMonoの影響もなく、破竹の勢いでタイトルをとりまくっていたフェデラーでしたから、焦点は人真似で一躍人気者になった3位のジョコヴィッチが、どれだけチャンピオンと互角に戦えるかにありました。あれから一年。この一年はフェデラーの真のチャンピオンが問われた年でした。Monoとの戦い。プレスの止むことのないネガティヴなコメント。「フェデラー時代は終わった」との風潮に一人で闘っていかなければならない孤独な旅だったと思います。
私はフェデラーのファミリー席のすぐ上におりましたので、彼の両親、ミルカ、パートタイムコーチのイゲラスなどの反応が手に取るように伝わってきます。フェデラーのお父さんは、フェデラーがトロフィーを空高くかかげた時、そっと涙をぬぐいました。セレモニーも終わってスタジアムから人々が退場してしまった後も、彼は席に残ったまま去ろうとはしませんでした。息子を助けてやりたいが何もしてやれない。じーっと苦しみを耐え、戦いつづけてやっと手にいれた勝利です。どれだけ誇らしかったことか。 ファンも同じ気持ちだったと思います。
フェデラーの準決勝(対ジョコヴィッチ)の勝因はサーヴでしたが、決勝はフォアハンドだったと思います。今まで何となく自信なさげに打っていたフォアハンドが姿を消し、あの華麗なフェデラー・フォアハンドが戻ってきたのです。これはフェデラーが記者会見で言っていましたが、彼のフットワークの進歩が大きく貢献しています。マリーに大きく振られても、球に追いつきしかもその不利なポジションから攻撃を加えるには、ナダルのようにフィジカルにフィットしていなければなりません。
マリーのウィンブルドン以降の目覚ましい躍進ぶりは、フィジカルトレーニングに重点をおいた厳しいトレーニングの結果と言えます。それにウィンブルドンで5セットでガスケを破った自信が、ジョコヴィッチ(シンシナティ)、ナダル(US Open)を破った自信に輪をかけて、マリーはとてつもない可能性を秘める選手であることを世界に証明しました。
マリーの武器はフェデラー曰く、「ネットプレーができる」「ベースラインからラリーができる」「ベースラインよりも深く下がったデフェンスポジションから攻撃が出来る」、つまり何でもできてしまうプレースタイルです。カウンターパンチャーであったマリーは、アグレッシヴな攻撃を加えることによって、ナダルのように「アグレッシヴ・ディフェンス選手」に成長しました。
フェデラーは、初めてナダルと最初対戦した時は、彼は将来すごい選手になると思った、と述べています。それと同じような印象を、マリーとの初対戦でも受けたそうです。しかしフェデラーは、ジョコヴィッチには感じられなかったと言ったコメントは、ジョコファンにとっては気にかかりますが。
今までフェデラーの不調の原因について、いろいろ私なりに分析をしてきましたが、「自信を持つ」ことの重大さを今さらながら思い知らされました。「オリンピックの金メダルが与えた自信はとても大きかった」と答えています。そしてフィットネスの重要性です。フェデラーは今回は「僕の作戦勝ち」だったと言っています。「相手の作戦を見抜き、その作戦を実行させない作戦」が成功したと述べています。
記者の「ではどんな作戦だったのですか?」の質問に、フェデラーは笑顔で「それを言ってしまっては、今後彼に読まれてしまうのでそれは秘密だよ」と答えていますが、当然ですよね。でもお互いどんな作戦だったのか、興味がありますね。
(フォトストーリー)
夫がスイスから銀のメラメラの十字の入ったTシャツを買ってきてくれたのは、嬉しかったのですが、よく見れば子供用。胸がしめつけられた思いは、フェデラーの勝利が原因だけではなかったのです。スイスの帽子、スイスのTシャツで応援です!
アメリカ人の男の子が手作り(多分お母さんが縫ったのでしょう)のスイスの旗を持参して応援してくれる気持ちはありがたいのですが・・・これってスイスの旗じゃなんです。気がつかれましたか? 下が正しいスイスの国旗です。
アメリカの国旗の中にスイスとイギリスの旗が中央に含まれています。そして戦闘機が飛んでいよいよ決勝戦が始まりました。
マリーとフェデラーが記念撮影。フェデラーはリラックスしてにっこり。マリーは少し緊張しているようです。
フェデラーのダイナミックでリズミカルなフットワークはいつ観ても美しいですね。
それに比べて、マリーは少しflat-footedで重い感じです。
勝利の瞬間です。不調といわれた長い闘いが終わりました。これでやっと世界に証明することができました。「僕はまだ終わっていないのだ」と。肩の荷が降りました。
ミルカもこの歴史的瞬間をとるためにカメラを向けていますが、こんなカメラで大丈夫かな?
幾度も述べてきましたが、アメリカがくしゃみをすると、全世界が風邪をひいてしまうテニス界では、アメリカでのテニスの人気がカギとなります。現在アメリカ人のトップスリー選手が存在しないテニスでは、人気を確保していくには、エキサイティングなライヴァリーが必要となってきます。ウィンブルドンのナダルvsフェデラー決勝戦は、そういった意味で多くのテニス素人を魅了するすばらしい試合だっただけに、このライヴァル関係が崩れてしまえば、せっかく得た新しいテニスファンを喪失してしまうだけでなく、古いテニスファンまでテニス離れを招く可能性があります。
オリンピックで金メダルを得たフェデラーですが、やはりここでシングルスのタイトルを取っておかなければ、「フェデラー復活危なし」がいつまでも囁かれることになり、そうなるとフェデラーの自信回復をますます遠ざけるだけでなく、ナダルとのNo.1争いのシナリオが成り立たなくなってしまいます。
マリーが4位にあがることによって、ナダル、フェデラー、ジョコヴィッチ、マリーの4銃士のスリリングなパワー構図ができあがりました。そのあとに、続くデルポトロ、グルビス、チーリーチ(クロアチアではこう呼ばれているそうです)の新しいビッグボーイパワー、無限の可能性を秘めている18才の錦織と、その裾がどんどん広がっていきます。これでテニスがますます面白くなったことは、テニスファンにとって、わくわくさせるグッドニュースなのです。
昨年も同じラグジェリースウィートからフェデラーの決勝戦を観戦しました。昨年はMonoの影響もなく、破竹の勢いでタイトルをとりまくっていたフェデラーでしたから、焦点は人真似で一躍人気者になった3位のジョコヴィッチが、どれだけチャンピオンと互角に戦えるかにありました。あれから一年。この一年はフェデラーの真のチャンピオンが問われた年でした。Monoとの戦い。プレスの止むことのないネガティヴなコメント。「フェデラー時代は終わった」との風潮に一人で闘っていかなければならない孤独な旅だったと思います。
私はフェデラーのファミリー席のすぐ上におりましたので、彼の両親、ミルカ、パートタイムコーチのイゲラスなどの反応が手に取るように伝わってきます。フェデラーのお父さんは、フェデラーがトロフィーを空高くかかげた時、そっと涙をぬぐいました。セレモニーも終わってスタジアムから人々が退場してしまった後も、彼は席に残ったまま去ろうとはしませんでした。息子を助けてやりたいが何もしてやれない。じーっと苦しみを耐え、戦いつづけてやっと手にいれた勝利です。どれだけ誇らしかったことか。 ファンも同じ気持ちだったと思います。
フェデラーの準決勝(対ジョコヴィッチ)の勝因はサーヴでしたが、決勝はフォアハンドだったと思います。今まで何となく自信なさげに打っていたフォアハンドが姿を消し、あの華麗なフェデラー・フォアハンドが戻ってきたのです。これはフェデラーが記者会見で言っていましたが、彼のフットワークの進歩が大きく貢献しています。マリーに大きく振られても、球に追いつきしかもその不利なポジションから攻撃を加えるには、ナダルのようにフィジカルにフィットしていなければなりません。
マリーのウィンブルドン以降の目覚ましい躍進ぶりは、フィジカルトレーニングに重点をおいた厳しいトレーニングの結果と言えます。それにウィンブルドンで5セットでガスケを破った自信が、ジョコヴィッチ(シンシナティ)、ナダル(US Open)を破った自信に輪をかけて、マリーはとてつもない可能性を秘める選手であることを世界に証明しました。
マリーの武器はフェデラー曰く、「ネットプレーができる」「ベースラインからラリーができる」「ベースラインよりも深く下がったデフェンスポジションから攻撃が出来る」、つまり何でもできてしまうプレースタイルです。カウンターパンチャーであったマリーは、アグレッシヴな攻撃を加えることによって、ナダルのように「アグレッシヴ・ディフェンス選手」に成長しました。
フェデラーは、初めてナダルと最初対戦した時は、彼は将来すごい選手になると思った、と述べています。それと同じような印象を、マリーとの初対戦でも受けたそうです。しかしフェデラーは、ジョコヴィッチには感じられなかったと言ったコメントは、ジョコファンにとっては気にかかりますが。
今までフェデラーの不調の原因について、いろいろ私なりに分析をしてきましたが、「自信を持つ」ことの重大さを今さらながら思い知らされました。「オリンピックの金メダルが与えた自信はとても大きかった」と答えています。そしてフィットネスの重要性です。フェデラーは今回は「僕の作戦勝ち」だったと言っています。「相手の作戦を見抜き、その作戦を実行させない作戦」が成功したと述べています。
記者の「ではどんな作戦だったのですか?」の質問に、フェデラーは笑顔で「それを言ってしまっては、今後彼に読まれてしまうのでそれは秘密だよ」と答えていますが、当然ですよね。でもお互いどんな作戦だったのか、興味がありますね。
(フォトストーリー)
夫がスイスから銀のメラメラの十字の入ったTシャツを買ってきてくれたのは、嬉しかったのですが、よく見れば子供用。胸がしめつけられた思いは、フェデラーの勝利が原因だけではなかったのです。スイスの帽子、スイスのTシャツで応援です!
アメリカ人の男の子が手作り(多分お母さんが縫ったのでしょう)のスイスの旗を持参して応援してくれる気持ちはありがたいのですが・・・これってスイスの旗じゃなんです。気がつかれましたか? 下が正しいスイスの国旗です。
アメリカの国旗の中にスイスとイギリスの旗が中央に含まれています。そして戦闘機が飛んでいよいよ決勝戦が始まりました。
マリーとフェデラーが記念撮影。フェデラーはリラックスしてにっこり。マリーは少し緊張しているようです。
フェデラーのダイナミックでリズミカルなフットワークはいつ観ても美しいですね。
それに比べて、マリーは少しflat-footedで重い感じです。
勝利の瞬間です。不調といわれた長い闘いが終わりました。これでやっと世界に証明することができました。「僕はまだ終わっていないのだ」と。肩の荷が降りました。
ミルカもこの歴史的瞬間をとるためにカメラを向けていますが、こんなカメラで大丈夫かな?
お疲れさまでした。本当によかったですね。
Congratulations, Roger!