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錦織バーディッチを破りQFへ!

バーディッチとの戦いは、軽快で、ダイナミックで、スリリングで、パワーフルで、遊び心のある圭君テニスのすべてが凝縮された試合でした。

最初はバーディッチ側についていた観客もだんだん圭君テニスの魅力に引き込まれていき、Air-Kやベースラインからの見事なドロップショットに大歓声。エンターテイナーNISHIKORIの誕生を思わせるほど、会場は圭君の華麗なテニスに沸き上がりました。プロスポーツはエンターテイメントなのですから、エキサイティングな試合であればあるほど、私たちは魅せられファンになります。圭君は確実に日本のテニス選手の枠から、世界のKeiに飛翔しました。

今日のバーディッチは調子が悪いとは言えませんでしたが、負けそうになると、どうしても勝ちたいという気持ちが強まって、確率の低いショットを選んだり、ミスが増えてくる、いつもの悪い癖が出てしまったようです。

二人のスタッツを比較してみると、以下の点が圭君が優っていることに気づきます。

バーディッチを上回るサーヴの得点率
第1サーヴの入る確率は圭君は54%で、バーディッチの61%よりも低いものの、サーヴの質がよく得点率が高くなっています。
錦織:第1サーヴ77%、第2サーヴ64%
バーディッチ:第1サーヴ66%、第2サーヴ57%

メンタルは圭君のほうが優る
いかにブレークポイントを逃れるかは、まさにメンタルの領域です。ここで圭君は5回ブレークポイントをとられていますが、4回セーヴすることができました。
これはすごいメンタル力です。一方、バーディッチは逆に5回もブレークポイントをとりながら、焦りや緊張で1回しかブレークに成功していません。

第1セットはまさに圭君の粘り根性のテニスで2-5からカムバックをみせてくれました。バーディッチはサーヴもよく、ときにはサーヴ&ヴォレーも混ぜながら、ネットダッシュをはかりますが、圭君のミサイルのようなパッシングショットに合って唖然。それにしても圭君のフォアハンドのクロスはナダルのようにすごいですね。しかしナダルとの違いは、フォア側に振られてしまっても、ナダルほどベースラインから下がってしまわないでリターンできること。そのために相手に時間をあたえず、コーナーを狙ったクロスショットはまずとれないウィナーになってました。

このフォアハンドでバーディッチをブレークして、4-5とスコアを元のイーヴンにもどします。圭君のサーヴです。ここで圭君のサーヴがエース2本(球が相手のラケットに触れない)、サーヴィスウィナーが2本(相手のラケットにボールが触れるがリターンできない)と圭君のサーヴのすごさを物語っていました。

二人ともサーヴがよくゲームをホールドして6-6のタイブレークです。タイブレークは何度もミニブレークが続き予想のつかないゲーム展開でした。しかし圭君の冷静さとメンタルで小差9-7で第1セットを勝ち取りました。

第1セットタイブレーク
錦織 vs バーディッチ
0-1 バーチッチのサーヴから始まります。キックサーヴで圭君はリターンできず。
1-1 バーディッチは圭君の豪速球にリターンできず、大声で叫びます。
2-1 圭君のサーヴィスエースが決まりました!
3-1 バーディッチがダブルフォルト。 彼の例のビビリが出てきました。
4-1 バーディッチは圭君の超特急のフォアハンドに振り遅れてサイドアウト
4-2 圭君のバックハンドのエラーでミニブレークされる
4-3 またもやミニブレークされて、スコアはイーヴンに
5-3 2回もブレークされた圭君は長いラリーの上、バーディッチのミスをさそってミニブレーク成功
5-4 再び長いラリーとなり、バーディッチがサーヴィスゲームをホールド
5-5 圭君の第1サーヴがなかなか入らず、第2サーヴをアタックされてミニブレークされる
6-5 出ました!圭君のフォアハンドのミサイルクロスでミニブレークとなり、セットポイントです。あと1ポイントです。
6-5 しかし冷静さをとりもどしたバーディッチは、スピードをおとしたストロークでラリーを続け、圭君のエラーをさそいます。
6-6 圭君はバックハンドをネットにひっかけエラー。これで2回エラーの連続です。
6-7 今度はバーディッチのセットポイント。これで取られると圭君の負けです。サーヴは圭君です。やりました!サーヴィスウィナーで窮地を逃れました。
7-7 またもや圭君のサーヴです。今度はバーディッチにボディーサーヴを。リターンできずに、今度は圭君がセットポイントをとりました!
8-7 ここでまたバーディッチの悪い癖が出て、ショットはベースラインの外へ。
9-7 ヒヤヒヤするきわどいタイブレークでした。

第1セットの勝利で余裕が出てきた圭君は第2セットは圭君祭りのように賑やかにいろんなショットを見せてくれました。

Air-K
初っ端の1ゲーム目からAir-Kが飛び出し、観客は待ってましたとばかり大喜び。

ドロップショット
2-0では、ベースラインからのむずかしいドロップショットをいとも簡単にやってのけ、これも観客に大受けです。

サーヴ&ヴォレー
4-2でバーディッチのバックハンドにサーヴをいれ、ネットダッシュしてヴォレーできめました。もっとこのS&Vを取り入れてもよいのでは。お見本のごとくきれいでした。

ミラージュショット(これは私が勝ってにつけた名称です)
4-2のデュースのときです。圭君の武器たるフォアハンドのクロスでバーディッチのフォアハンド側のサイドラインぎりぎりに落とします。これは圭君の得意のショットですが、落ちたあとの跳ね返りかたがすごいのです。ものすごいサイドスピンがかかっていて、120度くらいの角度で右の方に飛び去ってしまったのです。よく説明できませんが、とにかくバウンドに異常な角度がついているため、一瞬ボールが消えてしまったかのような錯覚を覚えました。バーディッチも唖然としています。そして何度もボールのコートについた跡を確かめながら信じられないといった顔をしていました。あれは何なんでしょうか。

第2セットはブレークされることもなく、強い圭君を十分楽しませてくれる試合展開で6-3で勝利です。

それにしても、圭君のフォアハンドはベースラインぎりぎりに落ち、相手に攻撃のチャンスを与えません。US Openのときはそのフォアハンドはそれほど確実ではなかったのですが、今日の精度の高いショットは目を見張るものがありました。

あらゆる点で進歩をみせている圭君は、 膝、腰、エネルギーの面で問題がなければ、明日のQFのマテューは問題なくクリアすると思います。十分休みをとってベストコンディションでのぞんでほしいですね。さあ、明日も寝ずにがんばるぞ!

おめでとう!圭君!




投稿者 Tennisnakama  22:41 | コメント(19) | トラックバック(0)

ジョコヴィッチがWCをもらってシドニーへ

錦織:59分で初勝利(錦織 def レイノルズ:6-3, 6-2)
錦織選手がわずが一時間足らずでクウォリファイアーのレイノルズを打倒しました。ストリーミングでは観戦できませんでしたが、スタッツから判断すると、サーヴがますますよくなってきてるようですね。第1サーヴの得点率が83%、第2サーヴが64%というのは、サーヴのよさを物語っています。

リターンでも、第2サーヴのリターンの得点率は67%で、8回のブレークポイントをとっています。しかし、そのうちの半分の4回しかブレークできてないところがもったいなかった。効率よくブレークしていくことがこれからの課題といえるでしょうね。(フェデラーの今日のスコアはよく似た6-2, 6-2で、ブレークポイントは5回、そのうち4回はブレークに成功しています。)

7日(水)はバーディッチと対戦します。ビッグサーヴにビッグフォアハンドのバーディッチにどれだけ迫る事ができるか。
楽しみですね。

ジョコヴィッチ:慌ててシドニー大会にWCで出場
ウィルソンからヘッドにラケットを切り替えて、ブリスベインに登場したジョコヴィッチは、新しいラケットのせいかどうか分かりませんが、リズムがとれずグルビスに6-4, 6-4で初戦で敗退するというアプセットが起こりました。

「僕はパニックに陥ってないよ。オーストラリアン・オープンは僕の最大のゴールだけど、まだ最初の試合だし、あまり悲観的にならないようにしてるんだ。世の終わりじゃないよ。まだ AO までに時間があるからね。」

でもこの後19日のAO(Australian Open)までポッカリと空いてしまったジョコヴィッチは、慌てて12日から始まるシドニー大会に連絡。急遽WCをもらって調整のやりなおしです。しかし、調子がよくなってシドニーで優勝してしまったらどうするのでしょう? そうなると直ぐさま AO となり休む暇なしとなります。それでなくてもスタミナに疑問がもたれるジョコヴィッチですので、激暑に激スケジュール。今年のAOの優勝はきびしいものになるかもしれません。

なぜトッププレーヤーがGS直前の大会に出場する理由が分かりませんが、とにかくこのジョコヴィッチのWCで迷惑するのは、ナルバンディアン、シモン、ツォンガ、ヒューイットガスケなどのシドニー大会のシードプレーヤー達。シード1の選手がWCとは! ますますAOがスリルに満ちてきました。

グルビス:次のポイントしか考えなかったのが勝利に 6-4, 6-4
「昨年はマッチポイントになりながら負けてしまった試合があるけど、それは「勝とう」という気持ちが強くなりすぎていたんだ。今回は、勝ち負けは考えないで、次のポイントだけにフォーカスするようにしたんだ。今日は最後までサーヴに集中できた。」

「今日の試合は勝った試合の中ではベストに入るかもしれないが、最もビューティフルな試合は他の試合だった。負け試合だったけれどね。」

グルビスは昨年シンシナティとフレンチ・オープンでジョコヴィッチと対戦し、いずれも負けていますが、今日の勝利にそれほど興奮することなく、淡々としています。



このインターヴューで、面白いと思った部分を紹介します。
「12才でミュンヘンのテニスアカデミーに行ったけれど、ホームシックには全然かからなかった。」
「ノヴァック(ジョコヴィッチ)は僕より年上でうまかったから、同じアカデミーでもあまり一緒に練習したことはなかった。試合のレベルも違っていたし。今のほうがよく大会で会うよ。」
「特別にアイドルといった選手はいないけど、アガシサフィンフェデラーナダルが好きな選手かな。」
「昨年は膝の怪我やら、いろいろ問題があって結果が出せなかった。今年のゴールは上達すること。ランキングは二の次に考えている。でもマスターズに出たいので、本戦にエントリーできるランキングくらいにはあがりたい。」

ナダル:完全にお手本のテニスでした (ナダル def サントロ:6-0, 6-1)
サントロはいくらマジシャンとはいえ、あのグリグリのトップスピンのきいたナダルのショットは打ち返せませんでした。ナダルは36才の老兵を自由自在に左右前後に振りまくり、好きな様に遊んでいました。でも二人とも和気あいあいとしてとてもよい雰囲気でした。

この試合と対照的だったのは、US Openのサントロvsロディック戦です。サントロは2ヶ月の夏休みをとって完全に練習不足。全くロディックに手も足もでない状態でロディックに臨んだのは、今回のナダル戦と似ています。ロディックは簡単に勝てる状況にあったのですが、豪速サーヴをサントロ目がけて打ちこみました。炸裂するサーヴは危うくサントロの体にぶち当たりそうになり、サントロはムッとしてロディックを睨みつけます。「俺にぶち当てるようなことをしなくても勝てるだろうが!」といわんばかりの怒りのサントロは、次のサーヴをわざとリターンせず険悪なムードに・・・

この二人の態度にテニスファンの意見が真っ二つに分かれました。
「試合なんだから、ルール違反でなければ、勝つためには何をしようが構わない。そんなことで腹を立てるサントロはプロ根性に欠けている。」
「絶対勝てる弱い相手に見せびらかすような危険なサーヴをやって何の得もなし。自分の株を落とすような真似(弱い者を威喝する)は自分にマイナスなだけ。」

ナダルの場合は弄ばれても、友好ムード一杯。この違いはとても面白いと思いました。第1セットは団子。そして第2セットも団子になるかとヒヤヒヤしましたが(これはあまりにも屈辱ですから)、二人のドロップショット合戦のすえ、サントロはスーパードロップショットが決まってニッコリ。思わずネット越しにナダルの握手を求めました。ナダルもニコニコ。まだ試合が終わっていないのに、二人は賞賛の握手をしています。観ていてとても気持ちのよいものでした。

解説者がナダルのことを、”Complete controlled aggression”(完全にコントロールされた攻撃性)といってましたが、この言葉が気に入りました。アグレッションとは、「むやみに攻撃する」といったニュアンスがありますが、「コントロールされた攻撃」というところがナダルの本質だと思います。私のコーチは攻撃できるときは、「Kill them!」と怒鳴ります。しかし「殺ってやる!」という 興奮したaggressionによって、バカ打ちをやったり、凡ミスをやったりしてしまいますよね。理性を失わず絶えず攻撃をかけることは大変むずかしいことだと思います。

ナダルは最初から最後までほとんどのポイントはネットでとっていました。これは無理してネットに行っているわけではなく、オープンコートをつくるのが実に確実でうまいのです。サイドライン近くにガンガン落とす球はサントロにはとても追いつけず残酷でしたが、ナダルにとってネットプレーの最高の練習になりました。

フェデラー:新戦略のネットプレーとは?フェデラースタラーチェ:6-2, 6-2)
フェデラーは自信に満ち、フォアハンドもバックハンドも申し分なく、サイドラインの10cm内にきっちり決まっておりました。この正確なショットのために、unforced errorsも9つと少なく、今までアウトになっていた球も決まってウィナーが26。気持ちのよいテニスでした。

彼の新戦略の一つ、ネットプレーはヴァラエティに富んでいました。以下が気がついた点です。

第1セットの1ゲーム目から、スタラーチェのサーヴィスゲームにもかかわらず、すべてネットダッシュという超攻撃リターンですべてが得点につながりました。

第2セットの3ゲーム目はチップ&チャージのサーヴスリターンでネットダッシュ。しかも意表を突くドロップショットのリターンでポイント獲得。

セリーナ・ウィリアムズの好きなSwinging Volleyを、アプローチショットで2度ばかり使ってウィナーを決めました。ノーバウンドで打つこのスウィンギング・ヴォレーは、ダイナミックな攻撃テニスで私の好きなショットでもあります。

攻撃を目的としたネットダッシュは合計で17回でした。(この中にはドロップショットやショートボールで強いられたネットダッシュは含んでいません)感じとしてはそれほど多いとは思いませんが、13回も成功していますので、成功率は以前にくらべてはるかに上がったと思います。


投稿者 Tennisnakama  13:05 | コメント(8) | トラックバック(0)