2009年04月27日
ナダルがまた優勝です!
やっぱりナダルが優勝しましたね。
ナダル def フェレール:6-2, 7-5
前回のモンテカルロでも私の書き出しは同じく、「やっぱりナダルが優勝しましたね。」なんです。こうやって当分「やっぱりナダルが・・・」と書き続けていくのでしょうか。
バルセロナ大会は今年でナダルの5年連続優勝となります。これでATPのタイトルは全部で35。今年に入って、全豪、インディアンウェルズ、モンテカルロ、バルセロナの4優勝です。これから全仏までクレーが続きますが、クレーは勝って当然となってしまったナダルですので、彼にかかる重圧は言葉では表現できないほど大きなものがあると思います。
周囲の期待だけでなく、自分の期待にも押しつぶされることなく勝ち続けられるのは、トニーコーチの「勝敗は気にするな。全力を尽くすことだけを考えろ。」という精神が貫き通されているからだと思いますが、これは言うは易し行うは難し。ジョコヴィッチが思ったほど結果が出せずにいるのは、プレッシャーに負けてしまっているとよく言われていますが、これは当たっていると思います。
ローマ入りをしたジョコヴィッチが昨日コメントしていました。
「ナダルはローマ大会では本命。でも彼はどのサーフェスでも本命だけれどね。」
全豪、ウィンブルドンにも優勝したナダルは、クレーキングではなく正真正銘のキングであると、他の選手も認めてしまっているようです。準決勝でダヴィデンコが「ナダルと戦うことで自分のレベルが分かる」と言ってます。トップ選手の間では、ナダルは倒す対象ではなく、ベンチマークとなってしまった感があります。
ナダルが8月18日に1位に輝いて以来8ヶ月以上がたちますが、2位のフェデラーとの差はすでに5000ポイント近くになっています。圧倒的な強さです。しかし試合を観ていると圧倒的にナダルが強いという印象をあまり受けないのはなぜでしょうか。(これは私だけが抱く印象なのかもしれませんが)
フェデラーやサンプラスの全盛時は圧倒的に強いというイメージがありました。それはプレースタイルの違いからくる印象の違いではないかと思うのですが。フェデラーやサンプラスは、サーヴが強くエースを10以上とっていました。攻めのテニスで王手をとるテンポが速いので、圧倒的に強い印象を受けたのかもしれません。
ナダルのサーヴはエースもせいぜい2本止まりで、彼らのサーヴに比べて威力が落ちます。プレースタイルはディフェンスを軸に攻めのチャンスを狙います。相手を徐々にコートの外に追いやり、最後にしとめるやり方ですのでラリーを続けることが基本となります。最近はアグレッシヴになったとはいえ、ミスの少ない堅実攻撃で駒をすすめていきます。相手の甘いボールはすかさず叩いてウィナーをとりますが、相手を追いつめてミスをさそっていくテニスです。
今日のフェレールとの試合は第1セットはナダルはブレークされたものの、すぐさまブレークしなおして、いつものナダルの強さをみせ楽勝しました。問題は第2セットです。フェレールが捨て身の攻撃でギアを全開し、ミスを恐れずサイドライン、ベースラインを狙ったリスクの多いショットでポイントを獲得していきます。このアグレッシヴなフェレールの攻撃(ワイドにナダルを振って、ネットダッシュしてヴォレーで決めるパターンが効果的)によって、ナダルはディフェンスにならざるをえず、2度もブレークされてしまいます。しかしナダルがすごいのは、ブレークされればすぐブレークしなおせる力です。結局2度ブレークされましたが2度ともブレークしなおして、スコアは2-2のイーヴンに。
第5ゲーム(2-2)から両選手ともサーヴィスゲームをホールドしながら、猛烈なラリーの応酬で第11ゲーム(5-5)まで互角のテニスが展開されます。しかしフェレールの限界はここまででした。彼は自身の100%以上のテニスをしていますので、続くわけがありません。リスクの多いショットがいつまでも決まるわけがなく、ミスが増えていきます。
このパターンは準決勝のダヴィデンコと同じです。ナダルは8割の力でテニスをしていますので、相手がギアアップしてきても、対抗できる余裕があります。自分のギアを上げていきながら、ナダルはひたすらブレークできるチャンスを狙います。対戦相手の多くはこのプレッシャーに負けてしまい、勝ち急ぎのミスを続け自滅となってしまっています。
サンプラスが無敵を誇っていた時代によく語っていたのは、「アガシというライヴァルがいたから、ぼくのゲームは向上することができた。」この言葉は意味深いものがあります。いつも向上をめざすナダルは、その意味でもフェデラーを必要としていると思います。フェデラーも「僕のライヴァルはナダルだ」と公言したように、自分を高めるにはナダルが必要なのです。
フェデラーは夏の赤ちゃん誕生で、彼の人生のプライオリティーをアジャストしなければなりません。テニス人生にファミリー人生が加わりバランスのとれたライフスタイルをとることが必要になってくるからです。赤ちゃん誕生はキャリアの上ではマイナスという見方がテニス界の一般的な見方ですが(赤ちゃん誕生で成功した選手がほとんどいないため)、そのジンクスを破ってほしいと思います。
「僕は今真剣にトレーニングに取り組んでいる。」と言っているように、フェデラーはローマ大会にそなえて毎日トレーナーと4時間トレーニングを行っています。
赤ちゃんこそが、誰もが与えることができなかった大きなモティヴェイションになって、新生フェデラーが登場するかもしれません。
世紀のライバルはやはりナダルとフェデラーなのですから、フェデラーにがんばってもらわなければ。
ナダル def フェレール:6-2, 7-5
前回のモンテカルロでも私の書き出しは同じく、「やっぱりナダルが優勝しましたね。」なんです。こうやって当分「やっぱりナダルが・・・」と書き続けていくのでしょうか。
バルセロナ大会は今年でナダルの5年連続優勝となります。これでATPのタイトルは全部で35。今年に入って、全豪、インディアンウェルズ、モンテカルロ、バルセロナの4優勝です。これから全仏までクレーが続きますが、クレーは勝って当然となってしまったナダルですので、彼にかかる重圧は言葉では表現できないほど大きなものがあると思います。
周囲の期待だけでなく、自分の期待にも押しつぶされることなく勝ち続けられるのは、トニーコーチの「勝敗は気にするな。全力を尽くすことだけを考えろ。」という精神が貫き通されているからだと思いますが、これは言うは易し行うは難し。ジョコヴィッチが思ったほど結果が出せずにいるのは、プレッシャーに負けてしまっているとよく言われていますが、これは当たっていると思います。
ローマ入りをしたジョコヴィッチが昨日コメントしていました。
「ナダルはローマ大会では本命。でも彼はどのサーフェスでも本命だけれどね。」
全豪、ウィンブルドンにも優勝したナダルは、クレーキングではなく正真正銘のキングであると、他の選手も認めてしまっているようです。準決勝でダヴィデンコが「ナダルと戦うことで自分のレベルが分かる」と言ってます。トップ選手の間では、ナダルは倒す対象ではなく、ベンチマークとなってしまった感があります。
ナダルが8月18日に1位に輝いて以来8ヶ月以上がたちますが、2位のフェデラーとの差はすでに5000ポイント近くになっています。圧倒的な強さです。しかし試合を観ていると圧倒的にナダルが強いという印象をあまり受けないのはなぜでしょうか。(これは私だけが抱く印象なのかもしれませんが)
フェデラーやサンプラスの全盛時は圧倒的に強いというイメージがありました。それはプレースタイルの違いからくる印象の違いではないかと思うのですが。フェデラーやサンプラスは、サーヴが強くエースを10以上とっていました。攻めのテニスで王手をとるテンポが速いので、圧倒的に強い印象を受けたのかもしれません。
ナダルのサーヴはエースもせいぜい2本止まりで、彼らのサーヴに比べて威力が落ちます。プレースタイルはディフェンスを軸に攻めのチャンスを狙います。相手を徐々にコートの外に追いやり、最後にしとめるやり方ですのでラリーを続けることが基本となります。最近はアグレッシヴになったとはいえ、ミスの少ない堅実攻撃で駒をすすめていきます。相手の甘いボールはすかさず叩いてウィナーをとりますが、相手を追いつめてミスをさそっていくテニスです。
今日のフェレールとの試合は第1セットはナダルはブレークされたものの、すぐさまブレークしなおして、いつものナダルの強さをみせ楽勝しました。問題は第2セットです。フェレールが捨て身の攻撃でギアを全開し、ミスを恐れずサイドライン、ベースラインを狙ったリスクの多いショットでポイントを獲得していきます。このアグレッシヴなフェレールの攻撃(ワイドにナダルを振って、ネットダッシュしてヴォレーで決めるパターンが効果的)によって、ナダルはディフェンスにならざるをえず、2度もブレークされてしまいます。しかしナダルがすごいのは、ブレークされればすぐブレークしなおせる力です。結局2度ブレークされましたが2度ともブレークしなおして、スコアは2-2のイーヴンに。
第5ゲーム(2-2)から両選手ともサーヴィスゲームをホールドしながら、猛烈なラリーの応酬で第11ゲーム(5-5)まで互角のテニスが展開されます。しかしフェレールの限界はここまででした。彼は自身の100%以上のテニスをしていますので、続くわけがありません。リスクの多いショットがいつまでも決まるわけがなく、ミスが増えていきます。
このパターンは準決勝のダヴィデンコと同じです。ナダルは8割の力でテニスをしていますので、相手がギアアップしてきても、対抗できる余裕があります。自分のギアを上げていきながら、ナダルはひたすらブレークできるチャンスを狙います。対戦相手の多くはこのプレッシャーに負けてしまい、勝ち急ぎのミスを続け自滅となってしまっています。
サンプラスが無敵を誇っていた時代によく語っていたのは、「アガシというライヴァルがいたから、ぼくのゲームは向上することができた。」この言葉は意味深いものがあります。いつも向上をめざすナダルは、その意味でもフェデラーを必要としていると思います。フェデラーも「僕のライヴァルはナダルだ」と公言したように、自分を高めるにはナダルが必要なのです。
フェデラーは夏の赤ちゃん誕生で、彼の人生のプライオリティーをアジャストしなければなりません。テニス人生にファミリー人生が加わりバランスのとれたライフスタイルをとることが必要になってくるからです。赤ちゃん誕生はキャリアの上ではマイナスという見方がテニス界の一般的な見方ですが(赤ちゃん誕生で成功した選手がほとんどいないため)、そのジンクスを破ってほしいと思います。
「僕は今真剣にトレーニングに取り組んでいる。」と言っているように、フェデラーはローマ大会にそなえて毎日トレーナーと4時間トレーニングを行っています。
赤ちゃんこそが、誰もが与えることができなかった大きなモティヴェイションになって、新生フェデラーが登場するかもしれません。
世紀のライバルはやはりナダルとフェデラーなのですから、フェデラーにがんばってもらわなければ。
We miss you, Roger!