2009年05月19日
錦織選手の全仏欠場に思う
今回の錦織選手の全仏欠場はさぞかし圭君にとって辛い決断だったと思います。それにしても彼の肘は長引いていますね。1月のニュージーランドのオークランドのフェレーロ戦でリタイアして以来、なかなか復帰できないのは、やはり最初の無理がたたっていたのではないかと思います。
オークランドの前に、オーストラリアのブリスベインで、マチューと対戦したときに、この右肘の痛みで圭君はメディカル・タイムアウトをとってマッサージを受けています。このときかなり痛そうな顔をしていましたが、途中棄権することなくがんばりました。しかし一週間後の初戦のフェレーロ戦で痛みが激化し、第1セットの途中3-5でリタイアしてしまいました。
オークランド以降も腕が痛いといいながら全豪に出場。2月にサンホゼとメンフィス、3月にデ杯とインディアンウェルズと完治しないまま、だましだましで試合に出て、当然の結果でサンホゼ以外はすべて初戦で敗退。デ杯には一勝をあげましたが、「腕がパンパンになって痛い」という彼のコメントに正直いって驚きました。ここまで悪くなっているのになぜ?
選手と怪我は切っても切り離すことができない因果な関係にあるのですから、選手の怪我の予防について、テニス界がもっと真剣に対応する時期にきているのではないかと思います。
IMGではスポーツメディシンの専門分野を設けているにも拘らず、ボレテリの選手は怪我が多いです。トミー・ハース、テイラー・デント、マリア・シャラポヴァなど看板選手が長期の怪我でテニスから離れていました。あの巨大なIMGだから安心なのではなく、巨大だから細かい個人のケアができていないのかもしれません。
昨日カムバックしたシャラポヴァは昨年の夏以来ですので、ほぼ一年近くのブランクを強いられました。彼女の肩の痛みはかなり前から具合がよくなく、無理をしながら試合をした期間が長過ぎたことが決定的だったように思います。シャラポヴァは医者の誤診で肩の治療が長引いてしまったと医者のせいにしていますが、試合が出来なくなるほどの重傷になるまで、どうして真剣に対処しなかったのか。これはシャラポヴァ本人だけではなく、彼女のチームの責任が問われてよいと思います。
選手にとって具合が悪くても断りきれない状況がいろいろあると思います。例えばナダルのマドリッドの出場。本人にとっては出たくない理由はいろいろあっても、スペインのヒーローが首都マドリッドのマスターズをスキップすることは、やはり許されないこと。毎週のように大会があり、しかも優勝してしまうと日曜まで試合をこなさなければならず、これで体に故障が起きない訳がありません。案の定、膝が痛くなってメディカル・タイムアウトをとりましたが、かなり痛そうな顔をしていました。
周囲からくるプレッシャー・・・
本人の試合に出たいという願望・・・
試合を楽しみにしているファンの要望に応えたいという気持ち・・・
収入が途絶えてしまう不安・・・
故障があってもつい無理をしてしまう複雑な背景があります。しかし怪我の予防を常にプライオリティーにおけば、今回の圭君やシャラポヴァのような事態はある程度免れたはず。
息子もトップのトーナメント選手を育てるクラブに属して、トレーニングを受けてきましたが、多少の痛みがあっても、「めそめそするな!」といったマッチョ的な態度で聞いてもらえないことが多かったのを覚えています。私自身テニスでは肩と膝の手術を受けていますので、どこまでプッシュしてよいのか、どこで止めるべきかが分っていますので、危ないと思えば、コーチにお願いしてトレーニングを一時中止してもらったことがあります。しかし本人はなかなか言えない雰囲気なのです。このような「ちょっとくらいの痛みは誰でもある」が当たり前になってしまっている環境の中では、つい無理をしてしまうと思います。
私はジュニアサッカーチームのコーチになるためにトレーニングを受けたときに(ビリチームを受け持って3年後には優勝させましたよ。これ関係ないですが。)、ウォーミングアップの仕方がいかにプロ選手の間でも間違って行われているかを知らされました。最先端のテクニックでやっていると私たちは思いがちですが、実は結構いい加減なトレーニングをやっている選手が多いということも知りました。
アガシは試合前にウォームアップをやらないことでも有名です。サフィンの練習を見学しましたが、ウォームアップゼロでした。マレーはちょっとだけ。きっちりとウォームアップをやっている選手をあまりみたことはありません。
ジョン・マッケンローがNYのクラブでときどき会いますが、たったの一時間の練習に、ストレッチを練習前後にしっかりと15分づつ行っているのには感心しました。練習相手のデ杯のキャプテンの弟のパトリックは、さっさと着替えておりましたが。
数多くのプロの選手は怪我のために引退を余儀なくされているのですから、怪我の予防には、怪我の原因に対して正確な知識をもつことがまず先決問題。プログラムを組む、セミナーを開くなど、選手やコーチを教育して行く必要があると思います。
圭君にとって今年は厳しい試練の年となりましたが、無理をせず、我慢の子でインジャリーフリーの強靭な体づくりに専念してほしいと思います。
オークランドの前に、オーストラリアのブリスベインで、マチューと対戦したときに、この右肘の痛みで圭君はメディカル・タイムアウトをとってマッサージを受けています。このときかなり痛そうな顔をしていましたが、途中棄権することなくがんばりました。しかし一週間後の初戦のフェレーロ戦で痛みが激化し、第1セットの途中3-5でリタイアしてしまいました。
オークランド以降も腕が痛いといいながら全豪に出場。2月にサンホゼとメンフィス、3月にデ杯とインディアンウェルズと完治しないまま、だましだましで試合に出て、当然の結果でサンホゼ以外はすべて初戦で敗退。デ杯には一勝をあげましたが、「腕がパンパンになって痛い」という彼のコメントに正直いって驚きました。ここまで悪くなっているのになぜ?
選手と怪我は切っても切り離すことができない因果な関係にあるのですから、選手の怪我の予防について、テニス界がもっと真剣に対応する時期にきているのではないかと思います。
IMGではスポーツメディシンの専門分野を設けているにも拘らず、ボレテリの選手は怪我が多いです。トミー・ハース、テイラー・デント、マリア・シャラポヴァなど看板選手が長期の怪我でテニスから離れていました。あの巨大なIMGだから安心なのではなく、巨大だから細かい個人のケアができていないのかもしれません。
昨日カムバックしたシャラポヴァは昨年の夏以来ですので、ほぼ一年近くのブランクを強いられました。彼女の肩の痛みはかなり前から具合がよくなく、無理をしながら試合をした期間が長過ぎたことが決定的だったように思います。シャラポヴァは医者の誤診で肩の治療が長引いてしまったと医者のせいにしていますが、試合が出来なくなるほどの重傷になるまで、どうして真剣に対処しなかったのか。これはシャラポヴァ本人だけではなく、彼女のチームの責任が問われてよいと思います。
選手にとって具合が悪くても断りきれない状況がいろいろあると思います。例えばナダルのマドリッドの出場。本人にとっては出たくない理由はいろいろあっても、スペインのヒーローが首都マドリッドのマスターズをスキップすることは、やはり許されないこと。毎週のように大会があり、しかも優勝してしまうと日曜まで試合をこなさなければならず、これで体に故障が起きない訳がありません。案の定、膝が痛くなってメディカル・タイムアウトをとりましたが、かなり痛そうな顔をしていました。
周囲からくるプレッシャー・・・
本人の試合に出たいという願望・・・
試合を楽しみにしているファンの要望に応えたいという気持ち・・・
収入が途絶えてしまう不安・・・
故障があってもつい無理をしてしまう複雑な背景があります。しかし怪我の予防を常にプライオリティーにおけば、今回の圭君やシャラポヴァのような事態はある程度免れたはず。
息子もトップのトーナメント選手を育てるクラブに属して、トレーニングを受けてきましたが、多少の痛みがあっても、「めそめそするな!」といったマッチョ的な態度で聞いてもらえないことが多かったのを覚えています。私自身テニスでは肩と膝の手術を受けていますので、どこまでプッシュしてよいのか、どこで止めるべきかが分っていますので、危ないと思えば、コーチにお願いしてトレーニングを一時中止してもらったことがあります。しかし本人はなかなか言えない雰囲気なのです。このような「ちょっとくらいの痛みは誰でもある」が当たり前になってしまっている環境の中では、つい無理をしてしまうと思います。
私はジュニアサッカーチームのコーチになるためにトレーニングを受けたときに(ビリチームを受け持って3年後には優勝させましたよ。これ関係ないですが。)、ウォーミングアップの仕方がいかにプロ選手の間でも間違って行われているかを知らされました。最先端のテクニックでやっていると私たちは思いがちですが、実は結構いい加減なトレーニングをやっている選手が多いということも知りました。
アガシは試合前にウォームアップをやらないことでも有名です。サフィンの練習を見学しましたが、ウォームアップゼロでした。マレーはちょっとだけ。きっちりとウォームアップをやっている選手をあまりみたことはありません。
ジョン・マッケンローがNYのクラブでときどき会いますが、たったの一時間の練習に、ストレッチを練習前後にしっかりと15分づつ行っているのには感心しました。練習相手のデ杯のキャプテンの弟のパトリックは、さっさと着替えておりましたが。
数多くのプロの選手は怪我のために引退を余儀なくされているのですから、怪我の予防には、怪我の原因に対して正確な知識をもつことがまず先決問題。プログラムを組む、セミナーを開くなど、選手やコーチを教育して行く必要があると思います。
圭君にとって今年は厳しい試練の年となりましたが、無理をせず、我慢の子でインジャリーフリーの強靭な体づくりに専念してほしいと思います。