2009年06月20日
ナダルがウィンブルドン欠場
ナダルのウィンブルドン欠場は世界に大きなショックを与えました。
「ウィンブルドンでプレーをしないという決断は、キャリアの中で最もむずかしい決断の一つだった。でもシチュエーションがこの決断を少したやすくしてくれた。ぼくにはこうするしかオプションがなかった。100%でない状態で戦うことはできないのだから。」
膝を試すためにナダルはハーリングトンクラブで木・金の二日間エグジビションを行いましたが、結果は思ったより悪く、ヒューイットに6-4, 6-3で負け、ヴァヴリンカに4-6, 7-6(6), 10-3で敗退してしまいました。
「今の僕はベストではないから、そんなにひどく落ちこんではいないよ。ウィンブルドンのようなトーナメントに出場するときは、勝ちたいからね。今の僕はウィンブルドンに出るには十分でないのだから。」
選手の怪我が年々ふえて選手の欠場が増加しているように思います。ATPの過酷なスケジュールは、いつも見直しが叫ばれながら、改善されるどころかますますトーナメントが増えていく現状です。選手は疲れています。ナダルのような歴史に残る未来の伝説選手たちを短命にしてしまう過密スケジュールに対して、参加義務を軽減するなどのルールの改正はいつ行われるのか? また選手側も、きびしい健康管理の再チェックを行い、怪我の予防に最善を尽くす時期にきているとおもいます。
ナダルは昨年も後半は疲労困憊。酷使でボロボロになってしまった膝によって、ナダルは上海のマスターズカップ、そしてデ杯の優勝決定戦を断念せざるをえませんでした。今年は特に全豪優勝以来、ほとんど勝ちこしてきているナダルには心身を休める期間がありませんでした。全仏の敗退、ウィンブルドン欠場という最悪な事態を起こす兆しはすでに忍び寄ってきていたのです。
いかにナダルが肉体と精神を酷使してきたか!この半年でナダルは11トーナメントに出て51試合も戦っています。
ナダル2009年の試合総数:51試合
1月5日 ドーハ:3試合(QF)
1月19日 全豪:7試合(優勝)
2月9日 ロッテルダム:5試合(決勝)
3月6日 デ杯(対セルビア):2試合
3月12日 インディアンウェルズ:6試合(優勝)
3月25日 マイアミ:4試合(QF)
4月12日 モンテカルロ:5試合(優勝)
4月20日 バルセロナ:5試合(優勝)
4月27日 ローマ:5試合(優勝)
5月10日 マドリッド:5試合(決勝)
5月25日 全仏:4試合(R16)
ではNo.2のフェデラーと比較してみましょう。フェデラーはデ杯、ロッテルダム、バルセロナをスキップして8トーナメントで39試合です。
フェデラー2009年の試合総数:39試合
1月5日 ドーハ:4試合(準決勝)
1月19日 全豪:7試合(決勝)
3月12日 インディアンウェルズ:5試合(準決勝)
3月25日 マイアミ:5試合(準決勝)
4月12日 モンテカルロ:2試合(R16)
4月27日 ローマ:4試合(準決勝)
5月10日 マドリッド:5試合(優勝)
5月25日 全仏:7試合(優勝)
ナダルはフェデラーよりも12試合も多く戦っています。特にクレーシーズンでは、モンテカルロ、バルセロナ、ローマが連続して毎週開かれたため、いずれも優勝してしまったナダルは全く休みをとれず、3週間に15試合をこなさなければならなかったのです。こんな無茶苦茶なスケジュールではロボットでない限り、ダメージがあって当然です。
ナダルはスペインのヒーローであるがために、バルセロナとマドリッドは欠場するわけにはいかなかったのでしょうが、これは明らかに心身のメンテナンスを軽視した無茶な行為でした。スペイン人も事情を話せば理解してくれたはず。若いナダルは自分の体を過信していたと思います。
ソダリングが全仏のナダル戦でみせたパワーテニスが、これからのテニスを象徴していると書きました。ラケット、ストリング、選手の体格などの進化によって、球はますます速く、ますますスピンが増し、ますますパワーがアップしていく明日のテニスを見せつけられました。このままでは体がもたない。もう人間の限界を超してしまうゲーム展開に興奮はするものの、選手生命が若年で終わってしまうスポーツは発展しないとおもいます。
ではいかにすれば選手生命を長く引き延ばすことができるのか?
ジョン・マッケンローが長年にわたってボールを大きくしろ、と叫んできましたが、大きくすることによって、ボールの速度とパワーを落とすことができるので、これも一案だと思います。
あとはコートサーフェスです。ハードコートは体への負担が大きく、膝をすぐ痛めてしまいます。私のプレーしているコロンビア大学のサーフェスはハードですが、クッションが少し入っていてとても足にやさしいのです。特にアメリカは固いハードですので、サーフェスをかえることによって選手の足への負担は軽減されると思います。
ルールを改正する、ボールのサイズを変える、サーフェスを変える、その他にもいろんなアイデアがあると思います。ナダルのこの悲しい決断を無駄にしないためにも、テニス界は真剣に(テニスファンも)選手のウェルネスに取り組んでいかなければないと思います。
「ウィンブルドンでプレーをしないという決断は、キャリアの中で最もむずかしい決断の一つだった。でもシチュエーションがこの決断を少したやすくしてくれた。ぼくにはこうするしかオプションがなかった。100%でない状態で戦うことはできないのだから。」
膝を試すためにナダルはハーリングトンクラブで木・金の二日間エグジビションを行いましたが、結果は思ったより悪く、ヒューイットに6-4, 6-3で負け、ヴァヴリンカに4-6, 7-6(6), 10-3で敗退してしまいました。
「今の僕はベストではないから、そんなにひどく落ちこんではいないよ。ウィンブルドンのようなトーナメントに出場するときは、勝ちたいからね。今の僕はウィンブルドンに出るには十分でないのだから。」
選手の怪我が年々ふえて選手の欠場が増加しているように思います。ATPの過酷なスケジュールは、いつも見直しが叫ばれながら、改善されるどころかますますトーナメントが増えていく現状です。選手は疲れています。ナダルのような歴史に残る未来の伝説選手たちを短命にしてしまう過密スケジュールに対して、参加義務を軽減するなどのルールの改正はいつ行われるのか? また選手側も、きびしい健康管理の再チェックを行い、怪我の予防に最善を尽くす時期にきているとおもいます。
ナダルは昨年も後半は疲労困憊。酷使でボロボロになってしまった膝によって、ナダルは上海のマスターズカップ、そしてデ杯の優勝決定戦を断念せざるをえませんでした。今年は特に全豪優勝以来、ほとんど勝ちこしてきているナダルには心身を休める期間がありませんでした。全仏の敗退、ウィンブルドン欠場という最悪な事態を起こす兆しはすでに忍び寄ってきていたのです。
いかにナダルが肉体と精神を酷使してきたか!この半年でナダルは11トーナメントに出て51試合も戦っています。
ナダル2009年の試合総数:51試合
1月5日 ドーハ:3試合(QF)
1月19日 全豪:7試合(優勝)
2月9日 ロッテルダム:5試合(決勝)
3月6日 デ杯(対セルビア):2試合
3月12日 インディアンウェルズ:6試合(優勝)
3月25日 マイアミ:4試合(QF)
4月12日 モンテカルロ:5試合(優勝)
4月20日 バルセロナ:5試合(優勝)
4月27日 ローマ:5試合(優勝)
5月10日 マドリッド:5試合(決勝)
5月25日 全仏:4試合(R16)
ではNo.2のフェデラーと比較してみましょう。フェデラーはデ杯、ロッテルダム、バルセロナをスキップして8トーナメントで39試合です。
フェデラー2009年の試合総数:39試合
1月5日 ドーハ:4試合(準決勝)
1月19日 全豪:7試合(決勝)
3月12日 インディアンウェルズ:5試合(準決勝)
3月25日 マイアミ:5試合(準決勝)
4月12日 モンテカルロ:2試合(R16)
4月27日 ローマ:4試合(準決勝)
5月10日 マドリッド:5試合(優勝)
5月25日 全仏:7試合(優勝)
ナダルはフェデラーよりも12試合も多く戦っています。特にクレーシーズンでは、モンテカルロ、バルセロナ、ローマが連続して毎週開かれたため、いずれも優勝してしまったナダルは全く休みをとれず、3週間に15試合をこなさなければならなかったのです。こんな無茶苦茶なスケジュールではロボットでない限り、ダメージがあって当然です。
ナダルはスペインのヒーローであるがために、バルセロナとマドリッドは欠場するわけにはいかなかったのでしょうが、これは明らかに心身のメンテナンスを軽視した無茶な行為でした。スペイン人も事情を話せば理解してくれたはず。若いナダルは自分の体を過信していたと思います。
ソダリングが全仏のナダル戦でみせたパワーテニスが、これからのテニスを象徴していると書きました。ラケット、ストリング、選手の体格などの進化によって、球はますます速く、ますますスピンが増し、ますますパワーがアップしていく明日のテニスを見せつけられました。このままでは体がもたない。もう人間の限界を超してしまうゲーム展開に興奮はするものの、選手生命が若年で終わってしまうスポーツは発展しないとおもいます。
ではいかにすれば選手生命を長く引き延ばすことができるのか?
ジョン・マッケンローが長年にわたってボールを大きくしろ、と叫んできましたが、大きくすることによって、ボールの速度とパワーを落とすことができるので、これも一案だと思います。
あとはコートサーフェスです。ハードコートは体への負担が大きく、膝をすぐ痛めてしまいます。私のプレーしているコロンビア大学のサーフェスはハードですが、クッションが少し入っていてとても足にやさしいのです。特にアメリカは固いハードですので、サーフェスをかえることによって選手の足への負担は軽減されると思います。
ルールを改正する、ボールのサイズを変える、サーフェスを変える、その他にもいろんなアイデアがあると思います。ナダルのこの悲しい決断を無駄にしないためにも、テニス界は真剣に(テニスファンも)選手のウェルネスに取り組んでいかなければないと思います。