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Tennisnakama in New York 世界にテニスの輪を広げたいと願っています。元レポーターのTennisnakamaが、ホットな情報やめずらしい話を、ニューヨークからどんどんお届けします。自由にリンクしてください。(記事はすべて〓tennisnakama.comとなっておりますので、無断掲載はご遠慮ください)

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ナダル報道の微妙な違い

私が2008年からブログを始めたきっかけは、日本に伝えられないテニス情報が多く、少しでも日本のテニスファンのお役に立てれば(そしてテニス会話をしたい)という思いで、一年半にわたってブログを書き続けてきました。その間情報収集をしていて気づいたことは、英語の情報だけではテニス界を知るには不十分で正確をきたさないという事実でした。

特にランキングのトップ100に、スペインは9人、フランスは8人も占めており、スペインやフランスの現地の反応を知るには現地の新聞を読まなければ、偏った情報伝達になることに気づきました。特にナダルに関しては現地新聞は不可欠な情報源となります。公正をきすため、きつい作業なのですが、グーグル翻訳を使いながら母国語のニュースソースにも目を通すようになりました。そこでとても興味深い記事が浮上してきたのです。

今回のナダルのトレーニング開始に対する報道はそのよい例ですので、紹介しながら海外の記事の取り扱いとスペイン人の反応の違い(次回)について述べてみたいと思います。

ニュースソースについて
メディアの報道は、自社の記者が直接取材しないかぎり、ニュースエージェンシーから送られてくるニュースを掲載します。日本では共同通信と時事通信がそれにあたります。海外の大手のスポーツメディアは、アメリカのAP(Associated Press)とフランスのAFP(Agence France Presse)の記事を採用していることが多いのですが、ブログではドイツのDPA(Deutsche Presse Agentur) が情報源となっているところもあります。

さて、今回のナダルのトレーニング開始のニュースで、そのソースによって報道の仕方にいろいろ違いがあることがわかりました。記事の内容に大差がなくても、タイトルのつけ方で大きくニュアンスが違ってくるのです。

ナダルは膝のリハビリを続けながら、この月曜からマヨルカにてトレーニングを開始しましたが、休養期間が長かっただけに、トレーニング後のナダルにどっとスペイン記者がつめかけ、ナダルに質問を投げかけました。その状況は以下のビデオで観ることができます。




ナダルの応答の詳しい内容はスペイン紙のMarcaに掲載されていますが、その内容は主に(A)と(B)に区別することができます。

(A)「現実的に僕がNo.1の座にすぐ戻るのはむずかしいと思う。もし100%の状態で戻れたとしても、約2ヶ月近いブランクがあるので、リズムを取り戻すのがむずかしいからね。No.1やNo.2のナンバーにはあまりこだわってはいないよ。No.2になったからといって特別なことが起こる訳でもないからね。今一番大切なのはPlay wellということ。僕のモチベーションはトーナメントに勝つということなんだ。」

(B)「でも僕には有利な点が一つある。それは僕が23歳だということ。ロジャーは27歳か28歳だからね。レースは終わっていないよ。これから僕はもっとメジャーなタイトルをとっていきたいと願っている。もちろん No.1になれれば言うことはないけれど。」

ここで面白いのはナダルに対する報道の微妙な違いです。

APの報道:『ナダルがトレーニング開始』
ナダルの発言には全く触れず簡単なトレーニングが開始したことについての記事。
http://www.wlaj.com/sports/injury-16361-knee-nadal.html

AFPの報道:『困難なシーズンを控えたナダル
(A)(B)の両方を伝えていますが、(A)を重視したタイトルでナダルの抱える難しさに焦点。
http://bit.ly/RdQOF

DPAの報道:『トレーニングを終えて自信のナダル
AFPと対照的でナダルの希望と自信にあふれた記事となっています。記事の内容はナダルの公式サイトからとったもので、「僕はラケットに触れることができて、そしてトレーニングにカムバックすることができて嬉しい。」というもの。ATPのHPのニュースソースもナダルのサイトです。
http://bit.ly/1mbiB

Marca紙の報道:『ナダルフェデラーより僕の方が有利』
http://www.marca.com/2009/07/20/tenis/1248093428.html

ここで面白いのはスペインの大手のスポーツ紙、 Marcaの上記の報道です。『僕の方がフェデラーより有利』という書き出しで刺激的なタイトルとなっています。(B)を重視したため、フェデラーとの比較に焦点を合わせたようなタイトルです。確かにナダルの発言には間違いないのですが、ナダルファンとっては言ってほしくなかった言葉、フェデラーファンにとっては侮辱的な言葉として、ちょっとした反響を呼びおこしているのです。

この記事のインパクトの大きさは350近いコメントが殺到したことからも伺えますが、コメントを読んでいくうちに、スペイン人のナダルに対する思い、フェデラーに対する思い、スペインの国民性などが浮き彫りにされて、とても興味深く一気に100近くのコメントを翻訳しながら読み切ってしまいました。

スペイン語から英語に翻訳すると、独特の英語になってしまい異常に時間がかかってしまいました。幸いにも今捻挫で外出できないので、この作業ができていますが、いやー、結構しんどかったです。しかし生のスペイン人の気持ちが手に取るように伝わってきて、なかなか面白かったことは事実ですが。

「スペイン人は皆ナダルファン」という安易な構図でははかりしれない複雑で興味深いスペインを、ナダルを通しながら少しでも触れることができれば・・・次回はナダルの発言が投げかけた波紋について書いてみたいと思います。(しかし途中でコケてしまったらお許しください。)

投稿者 Tennisnakama  02:22 | コメント(36) | トラックバック(0)