2009年11月27日
デルポトロがフェデラーを打倒
ロンドンファイナルズのフェデラーvsデルポトロの試合は最高に面白い試合となりました。試合の内容だけでなく、刻々とATPのルールが変わっていって、一体誰が最後の二人に残りSFに進めるのかわからない。フェデラーが1セットをとるとフェデラーのSFは確保、とまでは分かっているのですがその後が分からない。デルポは? マリーは?この二人も実は試合が終わってもしばらく20分くらいは、どちらがSFに進めるのか分からなかったらしく、本当に人騒がせな複雑怪奇なルールでした。
フェデラー、デルポトロ、マリーのSF進出のドラマは以下のように展開されました。
まずはSF進出のルールです。
勝利のマッチ数:3人ともタイの2勝1敗
フェデラー:マリーとベルダスコに勝利。デルポトロに敗北。
デルポトロ:フェデラーとベルダスコに勝利。マリーに敗北。
マリー:デルポトロとベルダスコに勝利。フェデラーに敗北。
次は勝ったセット数:3人ともタイ
フェデラー:5セット勝 4セット敗
デルポトロ:5セット勝 4セット敗
マリー:5セット勝 4セット敗
次はゲームの勝率(勝ったゲーム数ではありません)
フェデラー:44ゲーム勝 40ゲーム敗 勝率52.38%
デルポトロ:45ゲーム勝 43ゲーム敗 勝率51.13%
マリー:44ゲーム勝 43ゲーム敗 勝率50.57%
ということで、勝率がわずかにデルポトロより劣るマリーがSFレースから脱落してしまいました。
ここで注目したいのは、もしデルポトロが第3セットを1ゲームブレークされていたら? 彼の勝敗は45勝44敗となり、勝率は50.56% そうするとわずか0.01%の小差でマリーがSF進出となっていたのです。
この可能性があったのは第3セットの第7ゲーム。スコアは3-3。デルポのサーヴです。少し疲れが出てきたようでデルポにエラーがつづき15-40でブレークポイントをむかえてしまいます。しかもなかなかデルポの1stサーヴが入りません。ここでブレークポイントをフェデラーにとられていたら?しかし炸裂するロケット弾を打ち放ち、デルポはブレークを逃れることができたのでした。
フェデラーは1セットをとればSFに進出できることが分かっていましたので、第3セットは気を許してしまったところがあったかもしれません。
「マリーには気の毒なことになった。混乱していたからね。(ATPがルールを何度か途中で変更)試合が終わったときも、デルポトロがSFにいけるのかどうか分からなくて、ネットで握手するときに彼に聞いたんだ。君はいけるの?ってね。彼は多分行けないと思うって言ってたくらいだったから。」
TVの解説者もマリーなのかデルポなのかはっきりわからず、今計算機で計算している最中です、みたいな話で慌てていましたし、結果が分かるまではスリル満点でした。
マリーはベルダスコとの試合中に、アンパイアのジェリー・アームストロングに歩み寄って「ゲームの勝利数なのか、それとも%なのか」とルールについて聞いています。くるくるとルールが変更になり、誰もがよく分からないまま試合をやっていたようで、ちょっと気の毒になってしまいました。
デルポが勝ったあともしばらくはデルポかマリーのどちらかが分からず、マリーはついにTwitterで助けをもとめました。これってマリーには気の毒ですが笑っちゃいますよね。
Anyone know what's going on?? I think I'm audi but the rules aren't worded too well
「誰か何が起こっているのか知っていたら教えて?僕は外れたと思うんだけど、ルールがうまく説明されていないんだ」。
さて今日のフェデラーvsデルポトロ戦ですが、最大の注目は何といってもデルポトロの脅威的な進化だと思います。US Openで優勝したときよりも、デルポはさらに強くなりました。今日はほとんど欠陥の見られないテニスでした。アグレッシヴに攻めながらディフェンスが固く崩れない。冷静に感情をコントロールできるメンタル。しかも56%と低い1stサーヴの確率にもかかわらず、サーヴィスゲームをホールドできるサーヴィスのクウォリティーの高さが印象的でした。
フェデラーとデルポは今年だけでも5回対戦しています。最初は全豪オープンでデルポがダブルベーグルをもらった屈辱の試合でした。全仏では5セットのフルセットの戦いで、チョーキングしなければ勝てたかもしれない試合でした。この試合で自信を得たデルポは全米の決勝では見事フェデラーを破って優勝。デルポは今日の試合に勝つには、全米よりももっとうまくプレーしなければフェデラーに勝つことができない、と語っていましたが、まさに今までの中でベストなテニスを披露してくれました。
デルポトロ vs フェデラー
全豪: 3-6, 0-6, 0-6
マドリッド:3-6, 4-6
全仏:6-3, 6-7, 6-2, 1-6, 4-6
全米:3-6, 7-6(5), 4-6, 7-6(4), 6-2
ロンドン:6-2, 6-7, 6-3
今日の試合をTwitterで実況。以下がその主な内容です。
Del Potro def Federer: 6-2, 6-7, 6-3
フェデラーにはUS Openのリヴェンジという気持ちはなく(これは本人の言葉)リラックスしたもの。デルポトロはまだまだアルジェンチンの期待が大きく、どうしても緊張してしまうかも。いかにデルポがフリーに思い切ったスウィングができるか。もしデルポがリラックスできればフェデラーは苦戦。
第1セット:
第1ゲーム(0-0)フェデのサーヴ:
エースやダブルフォルトやらとまだサーヴが決まらないフェデ。あれっ?ネットの近くにきて、ポトンとヴォレーをしようとしてネットにかけてしまいました。こんなヘマをやってしまうところは笑えます。しかしすでにBPです。
デルポは得意のフォアのインサイドアウトでフェデのバックを攻めますが、予期できるショットなだけにそれほど効果なし。クロスばかりでなく、ヴァリエーションを増やしてダウンザラインにも打っています。フェデは振られてロング。デルポがループボールでブレーク成功しました。
第2ゲーム(0-1)デルポのサーヴ:
すでにフェデをブレークしたデルポは、ルースなショットでエラー。気を許してしまうと危ない。しかしエースで気を引き締め直しました。デルポのパワーにフェデは押され気味です。フェデはネットでヴォレーで処理。フェデもパワーショットで返球するがブレークできません。
第3ゲーム(0-2)フェデのサーヴ:
40-0 デルポに1ポイントも与えることなくサーヴィスゲームをホールド。フェデのサーヴが安定してきました。
第4ゲーム(1-2)デルポのサーヴ:
フェデはスライスでデルポをネットへ寄せ、パッシングショットが成功。デルポのサーヴがフェデのボディーに。フェデはリターンができません。長いラリーがつづきます。デルポのバックハンドは確実でフェデがエラーをしてしまいます。ラリーをしてはフェデに不利になるほどデルポのショットは安定しています。
第5ゲーム(1-3)フェデのサーヴ:
デルポのパワーに対抗してフェデもハードショットを試みるがタイミングが合いません。デルポの見事なバックハンドクロスのウィナーで3040のBP フェデラーがまたブレークされました!
第6ゲーム(1-4)デルポのサーヴ:
デルポは甘いショットがなく、フェデに速攻の機会を与えません。デルポのパワーにフェデの作戦が麻痺。フェデはさらにアグレッシヴに攻めなければブレークできない。ネットダッシュするフェデにロブ。またもやデルポのトップスピンのロブがフェデの頭上を超えました。デルポの冷静な試合運びです。
第7ゲーム(1-5)フェデのサーヴ:
デルポは爆発的なパワーで攻めまくります。失ってもよいゲームだけに恐いものなしのデルポのテニス。Delpo is on fire! しかしフェデも絶対ホールドしなければならないサーヴィスゲーム。スーパショットでホールドしました。
第8ゲーム(2-5)デルポのサーヴ:
エース!デルポは意外に固くない!フェデはスライスで攻めるが効果なし。しかしデルポの大きなフォアのエラーがでました。やはり勝利を気にしている? サーヴィスウィナーでセットポイント。またサーヴィスウィナーで第1セットをとりました!
デルポのテニスはみちがえるほどヴァラエティーに富んだショットが打てるようになっています。サーヴは43%と低いですが質が高くフェデがなかなかリターンできないでいます。フェデラーはまだエースがとれていません。
第2セット
第1ゲーム(0-0)フェデのサーヴ:
炸裂するデルポのフォアのインサイドアウトのウィナーです。ソダーリングやゴンザレスのフォアよりもすごい。3040でフェデがまたもやBP ラッキーにもネットにひっかかってポトン。フェデラーは幸運にもブレークを免れました。しかし危なかった!
第2ゲーム(1-0)フェデがスライスを2度つづけたあとフォアのウィナーを打とうとしましたがネットしてしまいました。デルポは自由に振り切ってバックハンドのウィナー。フェデのピッチが上がってきました。速いペスのラリー。デルポのスライス+ウィナーのコンビネーションが決まっています。デルポはスライスを効果的に使っています。これは進歩。
第3ゲーム(1-1)フェデのサーヴ:
40-0 最後はエース。圧倒的なサーヴの強さです。
第4ゲーム(2-1)デルポのサーヴ:
デルポのめずらしいダブルフォルト。少し疲れが出てきたのか、サーヴが入らず、フットワークも鈍い? と思えばエース。最後はサーヴィスウィナーでデルポはサーヴィスゲームをホールドしました。ここでデルポはラケットを替えます。
第5ゲーム(2-2)フェデのサーヴ:
フェデはネットダッシュしますが、デルポはコーナーをつくパーフェクトなパッシンショットでウィナーをとりました。フェデの2ndサーヴのリターンエースをデルポは狙ういますがネット。しかしこれほどアグレッシヴなデルポを観るのは初めてです。
第6ゲーム(3-2)デルポのサーヴ:
もう絶対とれないデルポのフォアのインサイドアウトのウィナー!限りなくパワフルでフラットです。狙いすぎてワイドやロングになっても気にせず攻めまくるデルポはオフェンスプレーヤーに生まれ変わりました。
第7ゲーム(3-3)フェデのサーヴ:
フェデのサーヴは揺るぐことなく400 最後はエースで決めました。
第8ゲーム(4-3)フェデが左右に振られるとクリーンにカウンターできないでミスしてしまう。40-0の強いサーヴィスゲームでデルポのサーヴィスゲームも安泰。サーヴィス合戦が続いています。
第9ゲーム(4-4)二人のサーヴィスゲームは揺るぐことなくブレークされる気配がなし。タイブレークへの可能性が大きくなってきました。
第10ゲーム(5-4)デルポのビッグサーヴ。フェデがスライスでデルポをネットに呼び寄せる作戦が、フェデのエラーで失敗。
第11ゲーム(5-5)フェデのサーヴ:
フェデがまたもや400で圧倒的なサーヴィスゲーム。デルポはリターンエースを狙って一発勝負にでるがリターンできません。この一か八かのリターンを400リターンというとマッケンローが言ってました。私もよく使います。絶対に成功しませんが。
第12ゲーム(6-5)デルポのサーヴ:
フェデのエラーが少なくなってきました。その分きわどいところを攻めてきます。デルポのスーパアングルヴォレーが決まりました。見事です。デルポのヴォレーも随分うまくなりました。
タイブレーク:デルポは普段やらないことをしてエラーです。バックのダウンザラインが失敗。タイブレークは得意でないことはやらないのがゴールデンルール。フェデはネットダッシュしました。しかしデルポのパッシンショットのウィナーで3-1とデルポがリード。
デルポの集中力が俄然アップ。エース。4-2とデルポがリード。 フェデはフォアのダウンザライン。パーフェクトなウィナー。デルポはリターンエースを狙って失敗しますが、すばらしいパッシンショットでウィナーをとりました。5-4 しかしデルポはヴォレーに失敗。5-5
デルポが少し弱気のフォアのミス。勝利を目の前に落ち着いていたデルポが急にチョーキング(固くなる)しはじめました。セットポイントをフェデが獲得して第2セットをフェデがとりました!
第3セット
第6ゲーム(2-3)二人のサーヴィスゲームの展開がつづきました。フェデのストロークが安定し始め、エラーが少なくなってきています。徐々に調子を上げてくるフェデに冷静さをどれだけ保ことができるか? デルポのメンタルが試されるセット。
第7ゲーム(3-3)デルポのサーヴ:
デルポのフットワークが遅く、フォーカスが途切れ気味になってきました。エラーが続きます。ガス欠気味?15-40でBPです。デルポのサーヴが入らない。しかしデルポのロケット弾炸裂しました。デルポはあやうくブレークされそうになりましたが、ゲームをホールド。
第8ゲーム(3-4)フェデのサーヴ:
フェデが0-30でダブルフォルト。0-40ですでにブレークポイントとなってしまいました。フェデが勝ち急ぎの訳の分からないパニックのフォアのエラー。大きくワイドにそれてブレークされてしまいました!こんなにあっさりとブレークされてしまうとは!
第9ゲーム(3-5)デルポのサーヴ:
デルポの見事なパッシンショットでフェデの側を抜けていきます。しかし勝利を目前にデルポは落ち着きがなくイージーミスでネット。30-30 2ndサーヴがライン上に。ガッツのあるデルポ。マッチポイント!エースです!デルポの見事な勝利です!
参考資料
http://www.reuters.com/article/sportsNews/idUSTRE5AP3HN20091127?pageNumber=1&virtualBrandChannel=11617
フェデラー、デルポトロ、マリーのSF進出のドラマは以下のように展開されました。
まずはSF進出のルールです。
勝利のマッチ数:3人ともタイの2勝1敗
フェデラー:マリーとベルダスコに勝利。デルポトロに敗北。
デルポトロ:フェデラーとベルダスコに勝利。マリーに敗北。
マリー:デルポトロとベルダスコに勝利。フェデラーに敗北。
次は勝ったセット数:3人ともタイ
フェデラー:5セット勝 4セット敗
デルポトロ:5セット勝 4セット敗
マリー:5セット勝 4セット敗
次はゲームの勝率(勝ったゲーム数ではありません)
フェデラー:44ゲーム勝 40ゲーム敗 勝率52.38%
デルポトロ:45ゲーム勝 43ゲーム敗 勝率51.13%
マリー:44ゲーム勝 43ゲーム敗 勝率50.57%
ということで、勝率がわずかにデルポトロより劣るマリーがSFレースから脱落してしまいました。
ここで注目したいのは、もしデルポトロが第3セットを1ゲームブレークされていたら? 彼の勝敗は45勝44敗となり、勝率は50.56% そうするとわずか0.01%の小差でマリーがSF進出となっていたのです。
この可能性があったのは第3セットの第7ゲーム。スコアは3-3。デルポのサーヴです。少し疲れが出てきたようでデルポにエラーがつづき15-40でブレークポイントをむかえてしまいます。しかもなかなかデルポの1stサーヴが入りません。ここでブレークポイントをフェデラーにとられていたら?しかし炸裂するロケット弾を打ち放ち、デルポはブレークを逃れることができたのでした。
フェデラーは1セットをとればSFに進出できることが分かっていましたので、第3セットは気を許してしまったところがあったかもしれません。
「マリーには気の毒なことになった。混乱していたからね。(ATPがルールを何度か途中で変更)試合が終わったときも、デルポトロがSFにいけるのかどうか分からなくて、ネットで握手するときに彼に聞いたんだ。君はいけるの?ってね。彼は多分行けないと思うって言ってたくらいだったから。」
TVの解説者もマリーなのかデルポなのかはっきりわからず、今計算機で計算している最中です、みたいな話で慌てていましたし、結果が分かるまではスリル満点でした。
マリーはベルダスコとの試合中に、アンパイアのジェリー・アームストロングに歩み寄って「ゲームの勝利数なのか、それとも%なのか」とルールについて聞いています。くるくるとルールが変更になり、誰もがよく分からないまま試合をやっていたようで、ちょっと気の毒になってしまいました。
デルポが勝ったあともしばらくはデルポかマリーのどちらかが分からず、マリーはついにTwitterで助けをもとめました。これってマリーには気の毒ですが笑っちゃいますよね。
Anyone know what's going on?? I think I'm audi but the rules aren't worded too well
「誰か何が起こっているのか知っていたら教えて?僕は外れたと思うんだけど、ルールがうまく説明されていないんだ」。
さて今日のフェデラーvsデルポトロ戦ですが、最大の注目は何といってもデルポトロの脅威的な進化だと思います。US Openで優勝したときよりも、デルポはさらに強くなりました。今日はほとんど欠陥の見られないテニスでした。アグレッシヴに攻めながらディフェンスが固く崩れない。冷静に感情をコントロールできるメンタル。しかも56%と低い1stサーヴの確率にもかかわらず、サーヴィスゲームをホールドできるサーヴィスのクウォリティーの高さが印象的でした。
フェデラーとデルポは今年だけでも5回対戦しています。最初は全豪オープンでデルポがダブルベーグルをもらった屈辱の試合でした。全仏では5セットのフルセットの戦いで、チョーキングしなければ勝てたかもしれない試合でした。この試合で自信を得たデルポは全米の決勝では見事フェデラーを破って優勝。デルポは今日の試合に勝つには、全米よりももっとうまくプレーしなければフェデラーに勝つことができない、と語っていましたが、まさに今までの中でベストなテニスを披露してくれました。
デルポトロ vs フェデラー
全豪: 3-6, 0-6, 0-6
マドリッド:3-6, 4-6
全仏:6-3, 6-7, 6-2, 1-6, 4-6
全米:3-6, 7-6(5), 4-6, 7-6(4), 6-2
ロンドン:6-2, 6-7, 6-3
今日の試合をTwitterで実況。以下がその主な内容です。
Del Potro def Federer: 6-2, 6-7, 6-3
フェデラーにはUS Openのリヴェンジという気持ちはなく(これは本人の言葉)リラックスしたもの。デルポトロはまだまだアルジェンチンの期待が大きく、どうしても緊張してしまうかも。いかにデルポがフリーに思い切ったスウィングができるか。もしデルポがリラックスできればフェデラーは苦戦。
第1セット:
第1ゲーム(0-0)フェデのサーヴ:
エースやダブルフォルトやらとまだサーヴが決まらないフェデ。あれっ?ネットの近くにきて、ポトンとヴォレーをしようとしてネットにかけてしまいました。こんなヘマをやってしまうところは笑えます。しかしすでにBPです。
デルポは得意のフォアのインサイドアウトでフェデのバックを攻めますが、予期できるショットなだけにそれほど効果なし。クロスばかりでなく、ヴァリエーションを増やしてダウンザラインにも打っています。フェデは振られてロング。デルポがループボールでブレーク成功しました。
第2ゲーム(0-1)デルポのサーヴ:
すでにフェデをブレークしたデルポは、ルースなショットでエラー。気を許してしまうと危ない。しかしエースで気を引き締め直しました。デルポのパワーにフェデは押され気味です。フェデはネットでヴォレーで処理。フェデもパワーショットで返球するがブレークできません。
第3ゲーム(0-2)フェデのサーヴ:
40-0 デルポに1ポイントも与えることなくサーヴィスゲームをホールド。フェデのサーヴが安定してきました。
第4ゲーム(1-2)デルポのサーヴ:
フェデはスライスでデルポをネットへ寄せ、パッシングショットが成功。デルポのサーヴがフェデのボディーに。フェデはリターンができません。長いラリーがつづきます。デルポのバックハンドは確実でフェデがエラーをしてしまいます。ラリーをしてはフェデに不利になるほどデルポのショットは安定しています。
第5ゲーム(1-3)フェデのサーヴ:
デルポのパワーに対抗してフェデもハードショットを試みるがタイミングが合いません。デルポの見事なバックハンドクロスのウィナーで3040のBP フェデラーがまたブレークされました!
第6ゲーム(1-4)デルポのサーヴ:
デルポは甘いショットがなく、フェデに速攻の機会を与えません。デルポのパワーにフェデの作戦が麻痺。フェデはさらにアグレッシヴに攻めなければブレークできない。ネットダッシュするフェデにロブ。またもやデルポのトップスピンのロブがフェデの頭上を超えました。デルポの冷静な試合運びです。
第7ゲーム(1-5)フェデのサーヴ:
デルポは爆発的なパワーで攻めまくります。失ってもよいゲームだけに恐いものなしのデルポのテニス。Delpo is on fire! しかしフェデも絶対ホールドしなければならないサーヴィスゲーム。スーパショットでホールドしました。
第8ゲーム(2-5)デルポのサーヴ:
エース!デルポは意外に固くない!フェデはスライスで攻めるが効果なし。しかしデルポの大きなフォアのエラーがでました。やはり勝利を気にしている? サーヴィスウィナーでセットポイント。またサーヴィスウィナーで第1セットをとりました!
デルポのテニスはみちがえるほどヴァラエティーに富んだショットが打てるようになっています。サーヴは43%と低いですが質が高くフェデがなかなかリターンできないでいます。フェデラーはまだエースがとれていません。
第2セット
第1ゲーム(0-0)フェデのサーヴ:
炸裂するデルポのフォアのインサイドアウトのウィナーです。ソダーリングやゴンザレスのフォアよりもすごい。3040でフェデがまたもやBP ラッキーにもネットにひっかかってポトン。フェデラーは幸運にもブレークを免れました。しかし危なかった!
第2ゲーム(1-0)フェデがスライスを2度つづけたあとフォアのウィナーを打とうとしましたがネットしてしまいました。デルポは自由に振り切ってバックハンドのウィナー。フェデのピッチが上がってきました。速いペスのラリー。デルポのスライス+ウィナーのコンビネーションが決まっています。デルポはスライスを効果的に使っています。これは進歩。
第3ゲーム(1-1)フェデのサーヴ:
40-0 最後はエース。圧倒的なサーヴの強さです。
第4ゲーム(2-1)デルポのサーヴ:
デルポのめずらしいダブルフォルト。少し疲れが出てきたのか、サーヴが入らず、フットワークも鈍い? と思えばエース。最後はサーヴィスウィナーでデルポはサーヴィスゲームをホールドしました。ここでデルポはラケットを替えます。
第5ゲーム(2-2)フェデのサーヴ:
フェデはネットダッシュしますが、デルポはコーナーをつくパーフェクトなパッシンショットでウィナーをとりました。フェデの2ndサーヴのリターンエースをデルポは狙ういますがネット。しかしこれほどアグレッシヴなデルポを観るのは初めてです。
第6ゲーム(3-2)デルポのサーヴ:
もう絶対とれないデルポのフォアのインサイドアウトのウィナー!限りなくパワフルでフラットです。狙いすぎてワイドやロングになっても気にせず攻めまくるデルポはオフェンスプレーヤーに生まれ変わりました。
第7ゲーム(3-3)フェデのサーヴ:
フェデのサーヴは揺るぐことなく400 最後はエースで決めました。
第8ゲーム(4-3)フェデが左右に振られるとクリーンにカウンターできないでミスしてしまう。40-0の強いサーヴィスゲームでデルポのサーヴィスゲームも安泰。サーヴィス合戦が続いています。
第9ゲーム(4-4)二人のサーヴィスゲームは揺るぐことなくブレークされる気配がなし。タイブレークへの可能性が大きくなってきました。
第10ゲーム(5-4)デルポのビッグサーヴ。フェデがスライスでデルポをネットに呼び寄せる作戦が、フェデのエラーで失敗。
第11ゲーム(5-5)フェデのサーヴ:
フェデがまたもや400で圧倒的なサーヴィスゲーム。デルポはリターンエースを狙って一発勝負にでるがリターンできません。この一か八かのリターンを400リターンというとマッケンローが言ってました。私もよく使います。絶対に成功しませんが。
第12ゲーム(6-5)デルポのサーヴ:
フェデのエラーが少なくなってきました。その分きわどいところを攻めてきます。デルポのスーパアングルヴォレーが決まりました。見事です。デルポのヴォレーも随分うまくなりました。
タイブレーク:デルポは普段やらないことをしてエラーです。バックのダウンザラインが失敗。タイブレークは得意でないことはやらないのがゴールデンルール。フェデはネットダッシュしました。しかしデルポのパッシンショットのウィナーで3-1とデルポがリード。
デルポの集中力が俄然アップ。エース。4-2とデルポがリード。 フェデはフォアのダウンザライン。パーフェクトなウィナー。デルポはリターンエースを狙って失敗しますが、すばらしいパッシンショットでウィナーをとりました。5-4 しかしデルポはヴォレーに失敗。5-5
デルポが少し弱気のフォアのミス。勝利を目の前に落ち着いていたデルポが急にチョーキング(固くなる)しはじめました。セットポイントをフェデが獲得して第2セットをフェデがとりました!
第3セット
第6ゲーム(2-3)二人のサーヴィスゲームの展開がつづきました。フェデのストロークが安定し始め、エラーが少なくなってきています。徐々に調子を上げてくるフェデに冷静さをどれだけ保ことができるか? デルポのメンタルが試されるセット。
第7ゲーム(3-3)デルポのサーヴ:
デルポのフットワークが遅く、フォーカスが途切れ気味になってきました。エラーが続きます。ガス欠気味?15-40でBPです。デルポのサーヴが入らない。しかしデルポのロケット弾炸裂しました。デルポはあやうくブレークされそうになりましたが、ゲームをホールド。
第8ゲーム(3-4)フェデのサーヴ:
フェデが0-30でダブルフォルト。0-40ですでにブレークポイントとなってしまいました。フェデが勝ち急ぎの訳の分からないパニックのフォアのエラー。大きくワイドにそれてブレークされてしまいました!こんなにあっさりとブレークされてしまうとは!
第9ゲーム(3-5)デルポのサーヴ:
デルポの見事なパッシンショットでフェデの側を抜けていきます。しかし勝利を目前にデルポは落ち着きがなくイージーミスでネット。30-30 2ndサーヴがライン上に。ガッツのあるデルポ。マッチポイント!エースです!デルポの見事な勝利です!
参考資料
http://www.reuters.com/article/sportsNews/idUSTRE5AP3HN20091127?pageNumber=1&virtualBrandChannel=11617
2009年11月27日
ナダルがファンにごめんなさい
昨日ロンドンファイナルズでナダルは2連敗してしまいました。「ごめんなさい。失望させてしまって・・・」一週間に2度も続けてまけてしまうなんて、口惜しさで一杯なはずなのに、それでもファンへのいたわりの気持ちを忘れないでファンに謝るナダル。涙ぐましいくらい好青年です。
イギリス紙のタイムズに、ダヴィデンコ戦についてナダルは以下のように語っています。
http://timesonline.typepad.com/rafael_nadal/2009/11/sorry-if-ive-let-you-down-but-i-gave-it-my-best-shot.html
「もしがっかりしたらごめんなさい。でも僕はベストを尽くして戦ったのです。
残念ながら日曜日に残るチャンスはとても少なくなってしまった、というか不可能になってしまいました。今日また負けてしまって、一週間に二度続けて負けたというのは変な感じです。
今日は昨日よりうまくプレーできたと思ったのですが・・・アグレッシヴで、絶対に勝ちたいという気持ちは強かったのですが、ダヴィデンコのようなトッププレーに勝つことができませんでした。
明日はいつものように2時にコートに入って練習します。大切なことはプラクティスを続けること。そして金曜日に備えて準備をすること。その後はデ杯の決勝に向けて準備をすること。
今の僕はハッピーでないけれどでもそれほど失望はしていません。今日の試合では後半は頑張れたし、3セットにもっていけるチャンスもありました。
ファンの皆さん、ごめんなさい。でもロンドンで僕を応援してくれるファンが多いのを知ってとても嬉しいです。世界中からロンドンにやってきてくれたファンの皆さんに感謝しています。ありがとう。」
フェデラーが昨年ボロボロに負けていた頃を思い出します。「フェデラーはこのまま終わってしまうのか!?」誰もが一度はフェデラーのカムバックを疑ったことのあるあの辛い時期にフェデラーは言い続けてきました。「これは本当の自分ではない。」
ロンドンのファイナルズでみせたナダルのテニスは、まさに一年前のフェデラーでした。「今の僕は本当の自分ではない」ナダルはインタービューでこういいたかったのでしょう。
自信のなさを露呈してしまったナダルは、第1セットを1-6で完敗しましたが、第2セットから猛然と攻撃を開始しました。残念ながらタイブレークで破れてしまいましたが、試合の内容はそれほど悪いものではなかったと思います。ナダルに自信が少し生まれてきたように思います。
ナダルは12月のデ杯の決勝に向けて調整中という感じがします。デ杯では絶対に負けられない。母国スペインのためにも。もしデ杯でナダルが負けてスペインが優勝を失ってしまったら? これは考えただけでも恐ろしいことです。半年くらいは立ち上がれない致命的な打撃をナダルが受けてしまうかもしれません。個人の勝敗のレベルではなく、国のために戦うことの恐ろしさがここにあります。
金曜のジョコヴィッチ戦はその意味でも、デ杯への最終準備になる試合。ソダーリング戦では、ガス欠であっけなく第2セットを落としてしまったジョコヴィッチでしたが、ナダル戦では全力で攻撃をしてくるはずです。
「自信がでてくれば元来の自分にもどれるはず」フェデラーが実証したように、自信というものがいかに大きなファクターであるのか! それを最も痛感しているのはナダル本人です。ソダーリングには敗北したものの、まだまだ自信に満ちあふれるジョコヴィッチに、ナダルがいかに対抗していけるのか?
以下はナダルvsダヴィデンコのTwitterの実況解説です。
Davydenko def Nadal: 6-1, 7-6(4)
いよいよナダルvsダヴィデンコが始まります。ナダルはダヴィデンコのオンザライズライズのショットにいかに対応できるか?
二人の対戦成績はナダルはハードでは1勝3敗。ナダルはかなりダヴィへの苦手意識があります。しかも最後は上海でストレートに負けてしまったナダル。あのスピンの強いショートボールは絶対打てません。フラットが打てなければできるだけ深く。そしてサーヴでチープポイントをとること。ダヴィデンコはジョコヴィッチに負けたとはいえ、最好調といえるハイレベルのテニスを見せています。果たして・・・
第1セット:
第1ゲーム(0-0)ダヴィのサーヴ:
ダヴィはまずエース。ナダルのバックハンドのフラットのクロスが出ました!昔観たあのウィナーです!ダヴィはダブルフォルトでデュース。ナダルはフォアがロングでしたがディープでなかなかよい感じです。
第2ゲーム(0-1)ナダルのサーヴ:
ナダルの2つのエラーで0-30。しかしワイドにエースです。このワイドサーヴはリターン不可能。ダヴィはセンターから角度をつけてバックハンドでコーナーへウィナー。ナダルの不意をつきました。30-40のBP(ブレークポイント) ナダルがネットに。
第3ゲーム(0-2)ダヴィのサーヴ:
ナダルのショットがネットしてブレークされてしまいました。ダヴィはまたフォアのインサイドアウトでウィナーです。このパターンが続きます。ナダルは動こうともしない。どうした? ダヴィがネットでアングルヴォレー。またダヴィはネットでドライヴヴォレー。
第4ゲーム(0-3)ナダルのサーヴ:
ダヴィはアグレッシヴにナダルをネットで攻めます。決してヴォレーがうまい選手ではないのですが(両手のバックハンドヴォレーをするプロはめずらしい)、この作戦は効果ありナダルに時間を与えません。しかしナダルはダヴィを左右に振り始め、チャンスを待ってハードヒットでフォアのウィナー3本!ブレークされても強気で、ナダルはパワーゲームでゲームをホールドしました。
第5ゲーム(1-3)ダヴィのサーヴ:
やっとナダルらしくなったゲーム。しかしコートポジションがまだ下がりすぎ。ダヴィがネットへ。そして得意のドライヴヴォレー。またネットで今度はアングルヴォレー。ダヴィのヴォレーがすばらしい!こんなにうまかったっけ、とびっくり。それにしてもアグレッシヴな攻撃テニスです。
第6ゲーム(1-4)ナダルのサーヴ:
また出ました!ダヴィのフォアのインサイドアウトのウィナー。あのセンター気味のポジションから打つこのウィナーは、ナダルには予測できません。ナダルは呆然とみているだけ。ダヴィは2ndを狙ってリターンエースです。限りなくアグレッシヴなダヴィに040でナダルは大ピンチ。
ナダルが不調なのではなく、ナダルの弱点を攻め抜いたダヴィの作戦で第1セットを勝ち取りとりました。
第2セット:
第1ゲーム(0-0)ナダルのサーヴ:
なぜこんなときにスライスを? ナダルはバックのスライスが多すぎます。弱気になっている証拠。ダヴィはワイドなアングルショットを繰り返し、ナダルはコート中を走りまわりますがとれない。やっとゲームをナダルはホールドしました。(英語ではkeepという言葉を使わず、holdを使います。)
第2ゲーム(1-0)ダヴィのサーヴ:
ダヴィが自信満々でサイドラインを狙ってアタック。わずかにアウトしましたが、このアグレッシヴな攻撃はナダルに大きなプレッシャーを与え、ナダルもきわどいショットを狙わなくてはならず、ナダルのエラーが増えています。
第3ゲーム(1-1)ナダルのサーヴ:
ナダルのフォアのエラーで30-40のBP どうもナダルの急ぎすぎのエラーが増えてきています。ダヴィのフォアのショートクロスがワイドに決まりました!ナダルがとれない! このショットはナダルが昔やっていたショットです。そのショットをダヴィが見事にやってみせました。ナダルのフォアのダウンザラインが入りません。これも昔のナダルならウィナーになっていた得意のショットです。
何度もデュースを繰り返しています。ナダルの体の動きが軽くなり、ショットにパワーが。ナダルがサーヴィスウィナーをとってゲームをホールドしました。
第4ゲーム(2-1)ダヴィのサーヴ:
またダヴィの得意のウィナー。前進しながらフォアのインサイドアウト。しかもアングル。まさにスーパショット。しかしナダルも負けじで緊張するラリーの展開です。
ダヴィデンコは50%をコートの中で打っているのに対し、ナダルは14%がコート内。これだけでもダヴィがどれだけアグレッシヴかが分かります。
第5ゲーム(2-2)ナダルのサーヴ:
ナダルはダヴィの過激なフォアのショートクロスがとれない。ダヴィはナダルを左右にふるだけでなく、アングルショットでポイントを獲得。ナダルはまたもや1540のBP このアングルのショットはダヴィのdeadly weapon。ナダルがフォアをロングしてブレークを許してしまいました。
第6ゲーム(2-3)ダヴィのサーヴ:
ダヴィはダウンザラインでコート全面を使ったテニスをしています。しかもネットダッシュのタイミングが絶妙にうまい。ダヴィのエラーでナダルの初めてのBP しかしナダルのワイドのエラーでデュースに。なかなかナダルはブレークできません。
第7ゲーム(2-4)ナダルのサーヴ:
ナダルがやっとコート内にステップインしてバックハンドでクロスのウィナー。こんなショットは前にいくらでもやっていたのに・・・
第8ゲーム(3-4)ダヴィのサーヴ:
ここでナダルがブレークしなければ状況は悪くなる一方。ナダルのスライスをダヴィはネット。出ました!ナダルのフォアのバギーウィップのダウンザラインのウィナーです!だんだん思い切って振り切れるようになったナダル。ダヴィがロングで、ナダルがブレークしました。
第9ゲーム(4-4)ナダルのサーヴ:
ダヴィをブレークしたナダルはエネルギーと自信が戻ってきました。Swing freely モメンタムがナダルへシフトしました。ダヴィは元気がない。ダヴィはプレッシャーでエラーが続発。ナダルは40-0でゲームをホールドしました。
第10ゲーム(5-4)ダヴィのサーヴ:
ナダルが拳を上げてVamos!これでなくてはナダルではありません。果たしてダヴィがリズムに乗ったナダルを崩すことができるか? あくまでもアグレッシヴにナダルのフォアを攻めるダヴィ。
第11ゲーム(5-5)ナダルのサーヴ:
まるでマシーンのような正確さのダヴィのフォアのクロスに、ナダルはカウンターにエラーが。ナダルがダブルフォルト。15-40のBPとなってしまいました。ナダルのフォアがまたネットに。どうもフォアに迷いがあります。思い切り振れていない。またもやナダルはブレークされてしまいました。
第12ゲーム(5-6)ダヴィのサーヴ:
ナダルがよくセンターに返球しますが、ショットが甘くダヴィに狙われています。ダヴィはフォアのインサイドアウトでウィナー。このパターンが多すぎます。しかしナダルのリターンエース。アグレッシヴなナダル。1540大声を上げて叫ぶナダルはダヴィをブレークしました。
タイブレーク:ブレークバックが繰り返される不思議なゲーム展開でタイブレークをむかえました。ダヴィの得意なフォアのクロスがアウト。かなりダヴィは緊張しています。ナダルもウィナー狙いがネットして2-2。
相手のエラーでポイントをとるゲームは二人が固い証拠。必死のラリーがつづきます!ナダルの浮いた球をダヴィがスマッシュ。3-3
ダヴィはナダルをコートに出して上がった球をまたスマッシュです。3-5
永遠につづくかと思われる長い緊迫のラリー。ダヴィがネットダッシュしました。しかしダヴィの両手のバックヴォレーがネットに。両手はまずい。しかしダヴィのサーヴィスウィナーでマッチポイント! 4-6
ダヴィは最後に十八番、センターからのフォアのインサイドアウトでウィナー!ナダルは何度このパターンでポイントを取られたことか!
無念のナダルですが、負けてもサインをちゃんとやっています。偉いですね。ナダルは多くの課題を残しましたが、第2セットでは徐々に昔のナダルに戻りつつあります。金曜のジョコヴィッチ戦では、自信を取り戻しつつあるナダルがどのようなテニスをみせてくれるか? 大いに期待したいと思います。
イギリス紙のタイムズに、ダヴィデンコ戦についてナダルは以下のように語っています。
http://timesonline.typepad.com/rafael_nadal/2009/11/sorry-if-ive-let-you-down-but-i-gave-it-my-best-shot.html
「もしがっかりしたらごめんなさい。でも僕はベストを尽くして戦ったのです。
残念ながら日曜日に残るチャンスはとても少なくなってしまった、というか不可能になってしまいました。今日また負けてしまって、一週間に二度続けて負けたというのは変な感じです。
今日は昨日よりうまくプレーできたと思ったのですが・・・アグレッシヴで、絶対に勝ちたいという気持ちは強かったのですが、ダヴィデンコのようなトッププレーに勝つことができませんでした。
明日はいつものように2時にコートに入って練習します。大切なことはプラクティスを続けること。そして金曜日に備えて準備をすること。その後はデ杯の決勝に向けて準備をすること。
今の僕はハッピーでないけれどでもそれほど失望はしていません。今日の試合では後半は頑張れたし、3セットにもっていけるチャンスもありました。
ファンの皆さん、ごめんなさい。でもロンドンで僕を応援してくれるファンが多いのを知ってとても嬉しいです。世界中からロンドンにやってきてくれたファンの皆さんに感謝しています。ありがとう。」
フェデラーが昨年ボロボロに負けていた頃を思い出します。「フェデラーはこのまま終わってしまうのか!?」誰もが一度はフェデラーのカムバックを疑ったことのあるあの辛い時期にフェデラーは言い続けてきました。「これは本当の自分ではない。」
ロンドンのファイナルズでみせたナダルのテニスは、まさに一年前のフェデラーでした。「今の僕は本当の自分ではない」ナダルはインタービューでこういいたかったのでしょう。
自信のなさを露呈してしまったナダルは、第1セットを1-6で完敗しましたが、第2セットから猛然と攻撃を開始しました。残念ながらタイブレークで破れてしまいましたが、試合の内容はそれほど悪いものではなかったと思います。ナダルに自信が少し生まれてきたように思います。
ナダルは12月のデ杯の決勝に向けて調整中という感じがします。デ杯では絶対に負けられない。母国スペインのためにも。もしデ杯でナダルが負けてスペインが優勝を失ってしまったら? これは考えただけでも恐ろしいことです。半年くらいは立ち上がれない致命的な打撃をナダルが受けてしまうかもしれません。個人の勝敗のレベルではなく、国のために戦うことの恐ろしさがここにあります。
金曜のジョコヴィッチ戦はその意味でも、デ杯への最終準備になる試合。ソダーリング戦では、ガス欠であっけなく第2セットを落としてしまったジョコヴィッチでしたが、ナダル戦では全力で攻撃をしてくるはずです。
「自信がでてくれば元来の自分にもどれるはず」フェデラーが実証したように、自信というものがいかに大きなファクターであるのか! それを最も痛感しているのはナダル本人です。ソダーリングには敗北したものの、まだまだ自信に満ちあふれるジョコヴィッチに、ナダルがいかに対抗していけるのか?
以下はナダルvsダヴィデンコのTwitterの実況解説です。
Davydenko def Nadal: 6-1, 7-6(4)
いよいよナダルvsダヴィデンコが始まります。ナダルはダヴィデンコのオンザライズライズのショットにいかに対応できるか?
二人の対戦成績はナダルはハードでは1勝3敗。ナダルはかなりダヴィへの苦手意識があります。しかも最後は上海でストレートに負けてしまったナダル。あのスピンの強いショートボールは絶対打てません。フラットが打てなければできるだけ深く。そしてサーヴでチープポイントをとること。ダヴィデンコはジョコヴィッチに負けたとはいえ、最好調といえるハイレベルのテニスを見せています。果たして・・・
第1セット:
第1ゲーム(0-0)ダヴィのサーヴ:
ダヴィはまずエース。ナダルのバックハンドのフラットのクロスが出ました!昔観たあのウィナーです!ダヴィはダブルフォルトでデュース。ナダルはフォアがロングでしたがディープでなかなかよい感じです。
第2ゲーム(0-1)ナダルのサーヴ:
ナダルの2つのエラーで0-30。しかしワイドにエースです。このワイドサーヴはリターン不可能。ダヴィはセンターから角度をつけてバックハンドでコーナーへウィナー。ナダルの不意をつきました。30-40のBP(ブレークポイント) ナダルがネットに。
第3ゲーム(0-2)ダヴィのサーヴ:
ナダルのショットがネットしてブレークされてしまいました。ダヴィはまたフォアのインサイドアウトでウィナーです。このパターンが続きます。ナダルは動こうともしない。どうした? ダヴィがネットでアングルヴォレー。またダヴィはネットでドライヴヴォレー。
第4ゲーム(0-3)ナダルのサーヴ:
ダヴィはアグレッシヴにナダルをネットで攻めます。決してヴォレーがうまい選手ではないのですが(両手のバックハンドヴォレーをするプロはめずらしい)、この作戦は効果ありナダルに時間を与えません。しかしナダルはダヴィを左右に振り始め、チャンスを待ってハードヒットでフォアのウィナー3本!ブレークされても強気で、ナダルはパワーゲームでゲームをホールドしました。
第5ゲーム(1-3)ダヴィのサーヴ:
やっとナダルらしくなったゲーム。しかしコートポジションがまだ下がりすぎ。ダヴィがネットへ。そして得意のドライヴヴォレー。またネットで今度はアングルヴォレー。ダヴィのヴォレーがすばらしい!こんなにうまかったっけ、とびっくり。それにしてもアグレッシヴな攻撃テニスです。
第6ゲーム(1-4)ナダルのサーヴ:
また出ました!ダヴィのフォアのインサイドアウトのウィナー。あのセンター気味のポジションから打つこのウィナーは、ナダルには予測できません。ナダルは呆然とみているだけ。ダヴィは2ndを狙ってリターンエースです。限りなくアグレッシヴなダヴィに040でナダルは大ピンチ。
ナダルが不調なのではなく、ナダルの弱点を攻め抜いたダヴィの作戦で第1セットを勝ち取りとりました。
第2セット:
第1ゲーム(0-0)ナダルのサーヴ:
なぜこんなときにスライスを? ナダルはバックのスライスが多すぎます。弱気になっている証拠。ダヴィはワイドなアングルショットを繰り返し、ナダルはコート中を走りまわりますがとれない。やっとゲームをナダルはホールドしました。(英語ではkeepという言葉を使わず、holdを使います。)
第2ゲーム(1-0)ダヴィのサーヴ:
ダヴィが自信満々でサイドラインを狙ってアタック。わずかにアウトしましたが、このアグレッシヴな攻撃はナダルに大きなプレッシャーを与え、ナダルもきわどいショットを狙わなくてはならず、ナダルのエラーが増えています。
第3ゲーム(1-1)ナダルのサーヴ:
ナダルのフォアのエラーで30-40のBP どうもナダルの急ぎすぎのエラーが増えてきています。ダヴィのフォアのショートクロスがワイドに決まりました!ナダルがとれない! このショットはナダルが昔やっていたショットです。そのショットをダヴィが見事にやってみせました。ナダルのフォアのダウンザラインが入りません。これも昔のナダルならウィナーになっていた得意のショットです。
何度もデュースを繰り返しています。ナダルの体の動きが軽くなり、ショットにパワーが。ナダルがサーヴィスウィナーをとってゲームをホールドしました。
第4ゲーム(2-1)ダヴィのサーヴ:
またダヴィの得意のウィナー。前進しながらフォアのインサイドアウト。しかもアングル。まさにスーパショット。しかしナダルも負けじで緊張するラリーの展開です。
ダヴィデンコは50%をコートの中で打っているのに対し、ナダルは14%がコート内。これだけでもダヴィがどれだけアグレッシヴかが分かります。
第5ゲーム(2-2)ナダルのサーヴ:
ナダルはダヴィの過激なフォアのショートクロスがとれない。ダヴィはナダルを左右にふるだけでなく、アングルショットでポイントを獲得。ナダルはまたもや1540のBP このアングルのショットはダヴィのdeadly weapon。ナダルがフォアをロングしてブレークを許してしまいました。
第6ゲーム(2-3)ダヴィのサーヴ:
ダヴィはダウンザラインでコート全面を使ったテニスをしています。しかもネットダッシュのタイミングが絶妙にうまい。ダヴィのエラーでナダルの初めてのBP しかしナダルのワイドのエラーでデュースに。なかなかナダルはブレークできません。
第7ゲーム(2-4)ナダルのサーヴ:
ナダルがやっとコート内にステップインしてバックハンドでクロスのウィナー。こんなショットは前にいくらでもやっていたのに・・・
第8ゲーム(3-4)ダヴィのサーヴ:
ここでナダルがブレークしなければ状況は悪くなる一方。ナダルのスライスをダヴィはネット。出ました!ナダルのフォアのバギーウィップのダウンザラインのウィナーです!だんだん思い切って振り切れるようになったナダル。ダヴィがロングで、ナダルがブレークしました。
第9ゲーム(4-4)ナダルのサーヴ:
ダヴィをブレークしたナダルはエネルギーと自信が戻ってきました。Swing freely モメンタムがナダルへシフトしました。ダヴィは元気がない。ダヴィはプレッシャーでエラーが続発。ナダルは40-0でゲームをホールドしました。
第10ゲーム(5-4)ダヴィのサーヴ:
ナダルが拳を上げてVamos!これでなくてはナダルではありません。果たしてダヴィがリズムに乗ったナダルを崩すことができるか? あくまでもアグレッシヴにナダルのフォアを攻めるダヴィ。
第11ゲーム(5-5)ナダルのサーヴ:
まるでマシーンのような正確さのダヴィのフォアのクロスに、ナダルはカウンターにエラーが。ナダルがダブルフォルト。15-40のBPとなってしまいました。ナダルのフォアがまたネットに。どうもフォアに迷いがあります。思い切り振れていない。またもやナダルはブレークされてしまいました。
第12ゲーム(5-6)ダヴィのサーヴ:
ナダルがよくセンターに返球しますが、ショットが甘くダヴィに狙われています。ダヴィはフォアのインサイドアウトでウィナー。このパターンが多すぎます。しかしナダルのリターンエース。アグレッシヴなナダル。1540大声を上げて叫ぶナダルはダヴィをブレークしました。
タイブレーク:ブレークバックが繰り返される不思議なゲーム展開でタイブレークをむかえました。ダヴィの得意なフォアのクロスがアウト。かなりダヴィは緊張しています。ナダルもウィナー狙いがネットして2-2。
相手のエラーでポイントをとるゲームは二人が固い証拠。必死のラリーがつづきます!ナダルの浮いた球をダヴィがスマッシュ。3-3
ダヴィはナダルをコートに出して上がった球をまたスマッシュです。3-5
永遠につづくかと思われる長い緊迫のラリー。ダヴィがネットダッシュしました。しかしダヴィの両手のバックヴォレーがネットに。両手はまずい。しかしダヴィのサーヴィスウィナーでマッチポイント! 4-6
ダヴィは最後に十八番、センターからのフォアのインサイドアウトでウィナー!ナダルは何度このパターンでポイントを取られたことか!
無念のナダルですが、負けてもサインをちゃんとやっています。偉いですね。ナダルは多くの課題を残しましたが、第2セットでは徐々に昔のナダルに戻りつつあります。金曜のジョコヴィッチ戦では、自信を取り戻しつつあるナダルがどのようなテニスをみせてくれるか? 大いに期待したいと思います。