2008年08月10日
ナダルの故郷を訪ねて(2)
Tennisnakama特派員, Tai記者のマヨルカ島から現地レポート第2弾です。
Report and photos by Tai
マナコールってどうやって行くんだろう・・・海外旅行者のバイブル「地球の歩き方」にも書いていないので自分で調べるしかないのですが、何と有難いことにパルマの中央駅からマナコール行きの列車が出ていました。所要時間はぴったり1時間、切符代はたったの2.4ユーロです。良かった!!
車窓から眺めるマヨルカ島は、いわゆるリゾート地ではありませんでした。海岸沿いの繁華街と、島の各所に点在する美しい村々を除けば、マヨルカ島は岩や赤土ばかりの乾燥地帯で、オリーブやアーモンドの木がぽつぽつと立ち並ぶだけの荒れ野が広がります。マナコールに近づいても、景色はあまり変わりません。ナダルってこんな所で練習して、世界一になったの!?・・・そんなことを考えているうちに、列車は最終駅マナコールへ到着。マヨルカ島第2の街マナコールは、砂漠に突然現れたオアシスのように、ちゃんとした街で、ちょっと安心。それでも、パルマに比べれば本当に小さな街です。駅前に止まっているタクシーだって、たったの1台!このタクシーを逃せば次はいつ見つかるか分かりません。慌てて運転手と交渉です。片言のスペイン語で「ナダルのテニスクラブ(Club de Tenis Manacor)に行きたい」と伝えてみたところ、理解してくれて、ちゃんと連れて行ってくれそうです。良かった!!
車で走ること10分、道路の脇で突然止まり、「ここだ」と言われます。「えっ、もう着いたの?」と思って右を見ると、ありました!一度だけ写真で見たことのある、薄いオレンジ色の建物が輝いています。案ずるより産むが易し・・・遠路遥々とうとうマナコールテニスクラブまで来てしまいました。
(写真:テニスクラブの入り口)
ナダル本人は居ないと分かっていても、心臓はドキドキします。おそるおそるテニスクラブに足を踏み入れてみたところ、おっ・・・目の前のジュニア用練習コートで、ビーチサンダル履きのおじさんが5歳くらいの男の子とテニスをしています。う~ん、このおじさん、どう見てもトニーおじさんに見える。う~ん、ナダルは北京だけど、トニーおじさんはマヨルカ・・・ありえない話ではないと思って混乱していると、傍に居た可愛い女の子がかぶっている帽子にはTony Nadalと書いてあるではありませんか。その上、その女の子がサンダルおじさんに向かって「パパ~!!」と叫びました。どうやら本物のトニーおじさんのようです。トニーおじさん、こちらを見て訪問客に気づいたようで、Hola!(スペイン語で「やあ」)と明るく挨拶をしてくれました。その後、トニーおじさんとしばし歓談です。トニーおじさんに「北京には行かないの?」と質問すると、笑って、「ほら、この子たちの面倒を見ないといけないんだ」とのこと。パパの足元には可愛い子どもたちが群がっています。パパはラファと一緒に世界を転戦しているわけですから、トニーおじさんの子どもたちは日ごろきっと寂しい思いをしているのでしょう。今日のトニーは、ナダルのコーチではなくて、普通の優しいパパでした。
(写真:トニーと一緒に)
ラファはマナコールテニスクラブについて、「自分を特別扱いしないでくれる場所」と言っています。確かに、テニスクラブに足を踏み入れても、ラファのポスターが3枚貼られている以外は、彼の存在をアピールものは何もありません。そもそもクレーコートが5面あるだけの小さなテニスクラブ、こんなテニスクラブで世界一の選手が育ったというのが本当に驚きです。でも、厚意に甘えて入れてもらった支配人室で見つけたのは、ラファの小さい頃からの写真と新聞記事の数々・・・きっとたくさんの人がラファを温かく見守ってきたのでしょう。そして、第2のラファを目指して、今日もこのクラブでは多くのジュニアがバボラのラケットを振り回し、靴を赤く染めて頑張っています。
(写真:ナダルのクラブ)
ラファエル・ナダルが4歳のときから通い続け、今も暇さえあれば戻ってくる彼の原点とも言うべきテニスクラブを見て、トニーおじさんの家族と触れ合えた今回のショートトリップは、どんなに完璧に計画された今までの旅行よりも感動的で素晴らしかったです。20年後にまた訪問してみたい・・・きっとそのときは、ビーチサンダルを履いたラファが子どもたちにテニスを教えていることでしょう。
Report and photos by Tai
マナコールってどうやって行くんだろう・・・海外旅行者のバイブル「地球の歩き方」にも書いていないので自分で調べるしかないのですが、何と有難いことにパルマの中央駅からマナコール行きの列車が出ていました。所要時間はぴったり1時間、切符代はたったの2.4ユーロです。良かった!!
車窓から眺めるマヨルカ島は、いわゆるリゾート地ではありませんでした。海岸沿いの繁華街と、島の各所に点在する美しい村々を除けば、マヨルカ島は岩や赤土ばかりの乾燥地帯で、オリーブやアーモンドの木がぽつぽつと立ち並ぶだけの荒れ野が広がります。マナコールに近づいても、景色はあまり変わりません。ナダルってこんな所で練習して、世界一になったの!?・・・そんなことを考えているうちに、列車は最終駅マナコールへ到着。マヨルカ島第2の街マナコールは、砂漠に突然現れたオアシスのように、ちゃんとした街で、ちょっと安心。それでも、パルマに比べれば本当に小さな街です。駅前に止まっているタクシーだって、たったの1台!このタクシーを逃せば次はいつ見つかるか分かりません。慌てて運転手と交渉です。片言のスペイン語で「ナダルのテニスクラブ(Club de Tenis Manacor)に行きたい」と伝えてみたところ、理解してくれて、ちゃんと連れて行ってくれそうです。良かった!!
車で走ること10分、道路の脇で突然止まり、「ここだ」と言われます。「えっ、もう着いたの?」と思って右を見ると、ありました!一度だけ写真で見たことのある、薄いオレンジ色の建物が輝いています。案ずるより産むが易し・・・遠路遥々とうとうマナコールテニスクラブまで来てしまいました。
(写真:テニスクラブの入り口)
ナダル本人は居ないと分かっていても、心臓はドキドキします。おそるおそるテニスクラブに足を踏み入れてみたところ、おっ・・・目の前のジュニア用練習コートで、ビーチサンダル履きのおじさんが5歳くらいの男の子とテニスをしています。う~ん、このおじさん、どう見てもトニーおじさんに見える。う~ん、ナダルは北京だけど、トニーおじさんはマヨルカ・・・ありえない話ではないと思って混乱していると、傍に居た可愛い女の子がかぶっている帽子にはTony Nadalと書いてあるではありませんか。その上、その女の子がサンダルおじさんに向かって「パパ~!!」と叫びました。どうやら本物のトニーおじさんのようです。トニーおじさん、こちらを見て訪問客に気づいたようで、Hola!(スペイン語で「やあ」)と明るく挨拶をしてくれました。その後、トニーおじさんとしばし歓談です。トニーおじさんに「北京には行かないの?」と質問すると、笑って、「ほら、この子たちの面倒を見ないといけないんだ」とのこと。パパの足元には可愛い子どもたちが群がっています。パパはラファと一緒に世界を転戦しているわけですから、トニーおじさんの子どもたちは日ごろきっと寂しい思いをしているのでしょう。今日のトニーは、ナダルのコーチではなくて、普通の優しいパパでした。
(写真:トニーと一緒に)
ラファはマナコールテニスクラブについて、「自分を特別扱いしないでくれる場所」と言っています。確かに、テニスクラブに足を踏み入れても、ラファのポスターが3枚貼られている以外は、彼の存在をアピールものは何もありません。そもそもクレーコートが5面あるだけの小さなテニスクラブ、こんなテニスクラブで世界一の選手が育ったというのが本当に驚きです。でも、厚意に甘えて入れてもらった支配人室で見つけたのは、ラファの小さい頃からの写真と新聞記事の数々・・・きっとたくさんの人がラファを温かく見守ってきたのでしょう。そして、第2のラファを目指して、今日もこのクラブでは多くのジュニアがバボラのラケットを振り回し、靴を赤く染めて頑張っています。
(写真:ナダルのクラブ)
ラファエル・ナダルが4歳のときから通い続け、今も暇さえあれば戻ってくる彼の原点とも言うべきテニスクラブを見て、トニーおじさんの家族と触れ合えた今回のショートトリップは、どんなに完璧に計画された今までの旅行よりも感動的で素晴らしかったです。20年後にまた訪問してみたい・・・きっとそのときは、ビーチサンダルを履いたラファが子どもたちにテニスを教えていることでしょう。
投稿者 Tennisnakama 00:57 | コメント(10)| トラックバック(0)
ありがとうございました。Tai記者に大拍手です!!!
テニスコートの雰囲気が素朴そのもの。ナダルがここで育ち、ここを大事にしている気持ちが伝わっている旅行記でした。ありがとうございます。空の青さが心に焼き付いて離れません。
マヨルカはいろんな雰囲気をもった島なんですね。こうして育った土地を知る機会があると また身近に感じて プレイを観るのが楽しくなりますね。ナダルはのびのび育ったんだろうなぁ・・。
また次回(今度はどこかなー)レポートを期待しています。 日本もゆっくり楽しんでくださいね。
パルマとマナコールの間の車中からの眺めの描写も見事!
素晴らしいレポート、ありがとうございました~!
『感動したっ!』 ←(・・・かなり古い・・・? 笑)
マヨルカ島もモチロンですが、
Toni おじさん、ステキですねぇ~。
ますますファンになっちゃいます。(ラファの次に。hehehe)
私もいつかマヨルカ島に行ってみたくなりました。
記事を紹介して下さった Tennisnakama さんにも感謝です!
お二人ともありがとうございました!
今回も素晴しいレポでした! Tennさん同様、脱帽です。
日本ではAIGに行くのかな? 逢えたりしてね♪
20年後のラファはサンダル履いてJr指導・・・目に浮かぶ現実感!!
でもまだ現役でプレーしてたりして(汗) あ、フェデとシニアツアーの中心にいるかもね(笑)
20年後のTaiさんのレポも楽しみに待ちTaiです(オヤジギャグな種爺・種爺は生きてるか?)
さ、皆さん、オリンピックのテニス競技も始まりますよ!
おおいに楽しみましょう!!
Taiさんのレポート、最高でした!
大好きなナダルのふるさと、一度見てみたいと思ったけど、なかなかマヨルカまで足を伸ばせないなーって思ってました。Taiさんの文章も素敵ですね。世界ナンバーワンプレイヤーに登りつめたラファが、こんな暖かな環境と家族に支えられているっていうことが本当によくわかり、感激しました。ラファが、ますます魅力的に見えてきます!