2008年08月12日
錦織:オリンピックにお別れです
2時間48分にもわたってシュトラーと死闘の戦いを続けた錦織選手は、残念ながら4-6, 7-6(5), 3-6で負けてしまいましたね。私は生憎と外出しなくてはならず、ライヴスコアによる観戦は、3セットの0-2まででしたが、すでにこの時点でブレークされてしまった圭君に、一抹の不安はありました。
0-5から驚くべき逆転劇を演じて7-6で第2セットを勝ち取った圭君にしては、第3セットはガス欠か?とも思わせるスタートでしたが、帰宅してみるとやはり悪い予感が的中していました。腹筋痛なのか腰痛なのかはっきりしませんが、痛みを我慢しての第3セットだったようです。心配ですね。腰痛は持病という噂も耳にしていますし、これで二つの持病を抱えてしまうことになると要注意です。
シャラポヴァは十代のときから肩の痛みを抱えながら試合に出てきましたが、ついにモントリオール大会で肩の痛みが再発、rotator cuff(回旋腱版)の損傷で3ヶ月のリハビリです。私もこの怪我で手術をし、テニスに復帰するまで半年以上かかりました。圭君の腹筋や腰が現在どのような状態なのか分かりませんが、シャラポヴァの二の舞にならないよう、十分なリハビリと筋肉トレーニングを重ねてほしいと思います。
観戦しないでスタッツだけで彼の試合を分析するのは危険ですが、第2セットまでスタッツを記録していましたので、気になった点を上げてみたいと思います。このライブスコアはポイントが掲示されないので、デュースで勝ったのか、40-0で勝ったのか分からないので分析は至難の技ですがトライしてみます。
サーヴについて
シュトラーは第1セットの前半の93%の第1サーヴの得点率が第2セットになると67%まで下がってきています。第1サーヴの確率はシュトラー59%から50%に落ちたのに反して、錦織は43%から60%に上がっています。第2セットはシュトラーのサーヴ力が落ち、錦織が上がってきたことがわかります。
第1セット
3-4 錦織のサーヴ (シュトラーにブレークされる)
お互いサーヴをキープしながら、錦織のサーヴでゲームカウントは錦織 vs シュトラー3-4です。シュトラーは第1サーヴの得点率が93%で、ほぼブレーク不可能な数字です。それに比べて錦織は67%と低く、彼の第1サーヴでゲームを守りきれなかったことを示しています。UE (Unforced Error)は、錦織が15、シュトラーが16で変わりませんが、Winnerが錦織が4、シュトラーが8となっていることから、サーヴが弱くて最後は叩かれてしまった感じがします。
ブレークポイントについて
第1セット
3-5 シュトラーのサーヴ(錦織にブレークされる)
8ゲーム目でブレークされた錦織は、直ぐさま9ゲーム目でシュトラーをブレークし直しました。これが錦織の初めてのブレークポイント取得ですが、今まで2度のチャンスを逃しています。ブレークポイントをいかに取るかが勝敗のカギとなりますが、シュトラーはこれまで6回もブレークのチャンスを得ています。ということは、錦織が6回もプレークポイントの危機に瀕したことになります。これは錦織のサーヴィスゲームの弱さを示していて、このままではいつブレークされてもおかしくない状態といえます。
第1セット
4-5 錦織のサーヴ(シュトラーにブレークされる)
やはりブレークポイントを錦織は取られました。シュトラーは7回のプレークチャンスで2回ブレークしました。
第2セット
ここで注意したいのは、「なぜ錦織が奇跡的なブレークを果たせたか」という点です。第2セットの0-5までの一方的なゲーム展開をしたシュトラーですが、彼の第1サーヴの得点率は87%からブレークされた1-5では、77%と落ちています。UE (Unforced Error)は二人とも変わりなく多く27(錦織)と29(シュトラー)です。ウィナーも変わらず、13(錦織)と14(シュトラー)です。
シュトラーのサーヴの威力が落ちてきたチャンスを逃さず、錦織はしっかりと得点に結びつけたメンタルの強さが、第2セットの勝利につながったようです。
「いかにブレークするか」「いかにブレークされないか」は試合に勝つ基本です。前者は「メンタル力」、後者は「サーヴ力」が不可欠です。ずーっと以前からTennisnakamaが叫び続けてきたスローガン、「テニスはS & M (Serve & Mental)」で圭君の今後の活躍を期待しましょう!
8月11日(月曜)の主な試合の結果です。
ビッグアプセットはアンディ・マリーです。ランキング77位の台湾のルーに敗れてしまいました! 次にフェレールがティプサレヴィッチに敗れたました。また残念だったのは、杉山愛がハンチュコヴァに敗退したこと。森田あゆみはDay 3に延期となりました。
Day Games
ナダル def スタラーチェ(イタリア) 6-2 3-6 6-2
セリーナ・ウィリアムズ def ゴヴァルソヴァ(ベラリウス) 6-3 6-1
フェデラー def ツルスノフ 6-4 6-2
サフィーナ def サンタンジェロ(イタリア) 6-3 7-6 (1)
ハンチュコヴァ def 杉山愛 6-2 7-5
ティプサレヴィッチ def フェレール 7-6 (8) 6-2
ナルバンディアン def ゼン(中国) 6-2 6-1
Night Games
ヴィーナス・ウィリアムズ def バクジンスキー(スイス) 6-3 6-2
ジョコヴィッチ def ジネプリ 6-4 6-4
ルー(台湾)def マリー 7-6 (5) 6-4
フェデラー/ヴァヴリンカ def ボレリ/セピ(イタリア) 7-5 6-1
ナダル/ロブレド def ビヨークマン/ソダーリン 6-3 6-3
シュトラー def 錦織圭 6-4 6-7(5) 6-4
以下はDay 3に延期です
ダヴィデンコ/アンドレーヴ vs ブレイク/クェリー
マリー兄弟 vs ネスター/ニーメヤー
森田あゆみ vs エラコヴィッチ(ニュージーランド)
0-5から驚くべき逆転劇を演じて7-6で第2セットを勝ち取った圭君にしては、第3セットはガス欠か?とも思わせるスタートでしたが、帰宅してみるとやはり悪い予感が的中していました。腹筋痛なのか腰痛なのかはっきりしませんが、痛みを我慢しての第3セットだったようです。心配ですね。腰痛は持病という噂も耳にしていますし、これで二つの持病を抱えてしまうことになると要注意です。
シャラポヴァは十代のときから肩の痛みを抱えながら試合に出てきましたが、ついにモントリオール大会で肩の痛みが再発、rotator cuff(回旋腱版)の損傷で3ヶ月のリハビリです。私もこの怪我で手術をし、テニスに復帰するまで半年以上かかりました。圭君の腹筋や腰が現在どのような状態なのか分かりませんが、シャラポヴァの二の舞にならないよう、十分なリハビリと筋肉トレーニングを重ねてほしいと思います。
観戦しないでスタッツだけで彼の試合を分析するのは危険ですが、第2セットまでスタッツを記録していましたので、気になった点を上げてみたいと思います。このライブスコアはポイントが掲示されないので、デュースで勝ったのか、40-0で勝ったのか分からないので分析は至難の技ですがトライしてみます。
サーヴについて
シュトラーは第1セットの前半の93%の第1サーヴの得点率が第2セットになると67%まで下がってきています。第1サーヴの確率はシュトラー59%から50%に落ちたのに反して、錦織は43%から60%に上がっています。第2セットはシュトラーのサーヴ力が落ち、錦織が上がってきたことがわかります。
第1セット
3-4 錦織のサーヴ (シュトラーにブレークされる)
お互いサーヴをキープしながら、錦織のサーヴでゲームカウントは錦織 vs シュトラー3-4です。シュトラーは第1サーヴの得点率が93%で、ほぼブレーク不可能な数字です。それに比べて錦織は67%と低く、彼の第1サーヴでゲームを守りきれなかったことを示しています。UE (Unforced Error)は、錦織が15、シュトラーが16で変わりませんが、Winnerが錦織が4、シュトラーが8となっていることから、サーヴが弱くて最後は叩かれてしまった感じがします。
ブレークポイントについて
第1セット
3-5 シュトラーのサーヴ(錦織にブレークされる)
8ゲーム目でブレークされた錦織は、直ぐさま9ゲーム目でシュトラーをブレークし直しました。これが錦織の初めてのブレークポイント取得ですが、今まで2度のチャンスを逃しています。ブレークポイントをいかに取るかが勝敗のカギとなりますが、シュトラーはこれまで6回もブレークのチャンスを得ています。ということは、錦織が6回もプレークポイントの危機に瀕したことになります。これは錦織のサーヴィスゲームの弱さを示していて、このままではいつブレークされてもおかしくない状態といえます。
第1セット
4-5 錦織のサーヴ(シュトラーにブレークされる)
やはりブレークポイントを錦織は取られました。シュトラーは7回のプレークチャンスで2回ブレークしました。
第2セット
ここで注意したいのは、「なぜ錦織が奇跡的なブレークを果たせたか」という点です。第2セットの0-5までの一方的なゲーム展開をしたシュトラーですが、彼の第1サーヴの得点率は87%からブレークされた1-5では、77%と落ちています。UE (Unforced Error)は二人とも変わりなく多く27(錦織)と29(シュトラー)です。ウィナーも変わらず、13(錦織)と14(シュトラー)です。
シュトラーのサーヴの威力が落ちてきたチャンスを逃さず、錦織はしっかりと得点に結びつけたメンタルの強さが、第2セットの勝利につながったようです。
「いかにブレークするか」「いかにブレークされないか」は試合に勝つ基本です。前者は「メンタル力」、後者は「サーヴ力」が不可欠です。ずーっと以前からTennisnakamaが叫び続けてきたスローガン、「テニスはS & M (Serve & Mental)」で圭君の今後の活躍を期待しましょう!
8月11日(月曜)の主な試合の結果です。
ビッグアプセットはアンディ・マリーです。ランキング77位の台湾のルーに敗れてしまいました! 次にフェレールがティプサレヴィッチに敗れたました。また残念だったのは、杉山愛がハンチュコヴァに敗退したこと。森田あゆみはDay 3に延期となりました。
Day Games
ナダル def スタラーチェ(イタリア) 6-2 3-6 6-2
セリーナ・ウィリアムズ def ゴヴァルソヴァ(ベラリウス) 6-3 6-1
フェデラー def ツルスノフ 6-4 6-2
サフィーナ def サンタンジェロ(イタリア) 6-3 7-6 (1)
ハンチュコヴァ def 杉山愛 6-2 7-5
ティプサレヴィッチ def フェレール 7-6 (8) 6-2
ナルバンディアン def ゼン(中国) 6-2 6-1
Night Games
ヴィーナス・ウィリアムズ def バクジンスキー(スイス) 6-3 6-2
ジョコヴィッチ def ジネプリ 6-4 6-4
ルー(台湾)def マリー 7-6 (5) 6-4
フェデラー/ヴァヴリンカ def ボレリ/セピ(イタリア) 7-5 6-1
ナダル/ロブレド def ビヨークマン/ソダーリン 6-3 6-3
シュトラー def 錦織圭 6-4 6-7(5) 6-4
以下はDay 3に延期です
ダヴィデンコ/アンドレーヴ vs ブレイク/クェリー
マリー兄弟 vs ネスター/ニーメヤー
森田あゆみ vs エラコヴィッチ(ニュージーランド)
投稿者 Tennisnakama 04:31 | コメント(8)| トラックバック(0)
シンシナティの再放送をやっと見たんだけど、決勝戦ではティプちゃんとダブルスパートナーのジモンチッチが応援に来てました。
ティプちゃん?ですか。彼って真っ黒なサングラスをして試合してましたよ。(北京はそんなに晴れてないのに。このあたりが彼の面白いところですね。)第2セットはすばらしかったです。
旦八さん、
毎日飲み食いにおいそがしそうで羨ましい。テニスを知らない記者がプレスパスをしてうろうろしているのはアメリカでも同じです。ニューポートに行ったとき、ディレクターから「テニスのルールは・・・」と説明が始まったので、逆に「テニスを知らない記者が書くんですか?」と聞いてしまいました。でもタッチラインはおもしろいですね。テニスでも同じですよ。ジャックナイフやデッドゾーンのように日本人だけが使っている用語はきりがないですね。日本人に分かればよいといわれればそれまでですが、でもそんな造語を正式用語として世界で使ってしまうと恥をかきます。できればちゃんとした用語と人名を使ってほしいですね。
ちょっとしたストレス発散てとこでしょうか。
ジャックナイフも和製用語なのですね。知りませんでした。スポーツに限らず日本人にとって和製英語の壁って意外に高くて聞くときはわかるんですがしゃべるときに時々ぐっとつっかえることがあります。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/special/beijing/tennis/text/comment/200808120005-spnavi.html
最後のやり取りの意味は、再度しばらく治療と練習に専念するということでしょうか?
あと、ジェンジーをテイケツ
ジョコビッチをヨコビッチ
いろいろ、決まりがあるようです。
情報ありがとうございました。さっそくインタービュー読ませていただきました。第2セットでの大逆転は、「このままでは帰れない」気持ちで成し遂げたのですね。でもこの「絶対勝ち取る」信念を第3セットまで持ち込めなかったのでしょうね。ほっとした気の弛みと言ってましたが、腰の痛みも邪魔をしたのでしょうね。でもこの「絶対勝つ」という信念が最初の第1セットから最後の第3セットまで貫けるようになると、錦織選手はすばらしい選手に成長するでしょうね。持病の腰痛の完治と、あとはメンタルですか。
ゆとびっちさん、
最初、日本のテニス雑誌を読んでびっくりしたのです。テニス用語と選手名がデタラメ。そのためにもTennisnakama 辞典を作ろうかなと思って始めましたが、なかなかはかどりませんが、これからも気がついた段階で記事にしていきたいと思います。
せめて第2セットだけでも録画でこの目で・・・と思うのは私だけでしょうか。
体を頑丈にしてサーブを強化して、最高に強い錦織になって欲しいですね。