2008年12月06日
ナダル特集(2)インタービュー編
alalaさんのご厚意でナダルのインタービューを2回にわけて掲載します。世界No.1のテニスのあり方は人生論にも通じるものがあり、大変興味深いものがあります。
インタービュー記事の前に、 昨日(12月4日)オーストラリアで行われたトーナメントの出来事を紹介します。この事件はナダルの生き方と比較して大変興味のあるテーマだと思うからです。
皆さんは 今年のオーストラリア・オープン・ジュニアで優勝したバーナード・トミック Bernard Tomicを覚えていらっしゃいますか?16才のトミックは、現在ジュニアランキング3位、ATPランキングは775位。ヒューイット以来のオーストラリアの未来のスターとして騒がれているあのトミックです。(トミックのホームページ:http://www.bernardtomic.com/about-bernard)
昨日の試合でトミックは、オーストラリアのマトセヴィッチMatosevic に2-6, 1-3で負け試合が濃厚になってきたときに、アンパイアからウォーニングを受けてしまいました。コーチの父が、アンパイアにマトセヴィッチのフットコールがされていないと抗議し、コードヴァイオレーションを受けたのです。それを不満にトミックは試合を放棄してしまったのです。
この行為はスポーツマンシップに欠けると批判され、トミックが狙っていたブリスベイン、全豪オープンのワイルドカードがあやしくなってきました。多分父のジョン・トミックはあらゆる手段を講じて勝つことを息子に教えてきたのでしょう。負けそうになっているのは、ラインマンが不公平だからだ・・・責任の転化はいくらでもできます。
トミックがいくら才能にあふれた選手であっても、このような価値観のもとでは果たして世界のトップ選手として活躍していけるでしょうか? エレーナ・ドキッチやマリー・ピアースの父たちの異常な行いはあまりにも有名な話です。親が多くの才能のある子供をつぶすテニス界にあって、ナダルの父やトニーコーチの話は、子育てのバイブルといえます。
2008年10月L’Equipe紙のインタービュー (1)
翻訳:alala特派員
無人島で一年過ごした人がいるとしましょう。その人が帰ってきて、ロジャー・フェデラーが世界第一位の座を明け渡したということを知りました。さて、その人に何が起こったかどう説明しますか
ええ~!(笑)わからないなあ…まあやってみましょう。常に頂点にいるということは本当に大変です。この4~5シーズン、フェデラーはありえないくらいすごかった。その間、彼は一年に3つもグランド・スラムのタイトルを勝っていたんです。信じられないですよ。でも、それは精神的にかなり消耗します。何人かの人が言っているように、今年だって彼のパフォーマンスは悪くなかった。でも、2004年から07年の彼からすれば物足りなかったでしょう。(笑)むしろこの04年から07年に彼が成し遂げた偉業の数々がありえないものだったといったほうがいいでしょう。
つまり、あなたがナンバー1になれたのは、フェデラーがいつもより調子があがらなかったからだということですか?
いえいえ、そうは言ってません。僕は今年、自分のキャリアの中でも最高の一年を過ごしたと思っていますよ。最高のレベルに達することができたと思います。自分のしたことによるものだとは思っていますが、もしもフェデラーがいつものように一年に3つのグランド・スラムで優勝していたら、自分がナンバー1に上るのは難しかっただろう、ということです。
ナンバー1にランクされるに至るまでに、ここが分かれ目だったと思う重要な瞬間はいつでしたか?
年間を通して、どの瞬間も重要です。1月にシーズンが始まり11月まで続く中で、全ての試合の結果が重要性を持っています。まあ、ウィンブルドンはもちろん重要な分かれ目でした。あれを勝てたときに、ナンバー1も夢じゃないと思えるようになったんです。
シーズン始めはなかなか調子がよさそうでしたが、一方で負けるときには大敗を喫した。安定しなかったのはなぜですか?
確かにおっしゃるとおりですね。最初の3ヶ月はひどい負け試合もありました。メルボルンでのツォンガ戦、チェンナイでのユーズニー戦、マイアミでのダヴィデンコ戦、ドバイでのロディック戦、ロッテルダムでのセッピ戦。シーズン始めの問題は、大会全体を通しては悪くはないのに、負けるときにはひどい負け方をしたということです。まだそれほど自信が持てていなかったのでしょう。だからここというところで自分自身を超えるプレイができなかった。大会に勝つには、必要なところで自分の実力を超えるプレイができなくてはなりません。どんな大会にも、妙に調子のいい選手がいて、勝ち残るにはその選手たちを倒さなくてはならない。今年の最初のうちは、そういう選手たちに勝つことができなくて、家に戻ってはむしゃくしゃしていました。勝った試合だって、それほど良い出来だとは思えなかった。ものすごい試合を勝てる状態になかったということです。何とか負けないでいることができた、という感じでした。
その状態に変化があったのはいつですか?
これははっきり答えられます。インディアン・ウェルズの大会です。大会そのものは優勝できなかったけれど、ふたつの重要な勝利がありました。ツォンガ戦とブレイク戦です。このとき、自分を超えることができました。そしてその直後のマイアミで僕は確信を持つことができました。まあ、決勝では全然だめでしたけど。でも、その後からスタートした、という感じです。モンテ・カルロ、バルセロナ、ハンブルグ、ローラン・ギャロス…どんどん調子があがりました。信じられないくらいでした。
グランド・スラムでタイトルを取っていないのは、あとオーストラリアン・オープンとUSオープンですね。どちらの方が可能性が高いと思いますか?
両方ですね。どちらも同じです。どちらの大会でも準決勝まで行きましたし、遠くはないなと思っています。でも確かにコンディション的にはオーストラリアの方が自分には有利かもしれません。暑さとか、一年のうちの季節とか…。
あなたはそのメンタルの強さを高く評価され、また他の選手たちからは恐れられています。他の選手で同じくらいメンタルの強さを持っていると思う人は誰ですか?
大会で優勝するような選手はみんな精神的に強いですよ。でも、誰かひとりをあげるとすれば、それはフェデラーですね。彼は技術的にほかの選手に抜きん出ていますが、同じくらいすごい球を打つ選手もいなくはない。彼が強いのはその精神なんです。もし彼があのメンタルの強さを持っていなかったら、彼がどんなに才能を持っていたとしても、あのような偉業はなしとげられていないでしょう。ここ、という大事な場面で彼がどんなことができるか!本当にすごいですよ。
ナンバー1になってから、プレッシャーは感じていますか?
実を言うと…感じていないんです。プレッシャーを感じるかどうかは、自分がどんな目標を持っているかによるんじゃないでしょうか。僕の目標は変わらないんです。それは、進歩していくこと。ナンバー1になり、もしそこにとどまりたかったら、とにかく進歩し少しでも上達すること。それしかありません。だから、ナンバー2だったときと目標は変わらないんです。コートに入ったら、昨日だって今日だって、「僕はナンバー1だ」なんて自分に言い聞かせたりしません。ナンバー2だろうとナンバー50だろうと、勝つことだけが目標なんです。
では、日常生活ではどうですか?何か変化を感じますか?
ないですね。たとえば、朝起きるときに、「僕は世界ナンバー1だ」なんて思ったりしません。それはナンバー2だったときに「すごいや、僕はナンバー2なんだ」と思わなかったのと同じことです。朝起きたときに僕が知っていること、それは今日もコートに行って練習するっていうことだけです。本当にクリアでシンプルなこと。本当にそう思っているんですよ。もちろん、ナンバー1にはとどまりたいです。そのために戦いますよ。
あなたは右利きだけれど、テニスのときは左手を使います。時々は遊びで右手を使ってテニスしたりすることもあるんですか?
右手で?いえいえ!ありませんよ。右手だけでテニスをしたことはないです。一度もありません。以前はフォアもバックも両手で打っていました。だから右手だけだとコントロールできないんです。右手が使えないのはテニスだけですね。ゴルフのときは右利きだし。あ!忘れてた。サッカーの時は左利きです。
ガスケ、ツォンガ、シモン、モンフィス、この4人のフランス選手のポテンシャルをランクづけるとしたら?
わかりません。みんな全く違うタイプの選手ですし。ツォンガとシモンは今年活躍しましたね。シモンは今まであまり知られていなかったかもしれませんが、彼のボールコントロールは素晴らしい。ほかの3人に比べてシモンのポテンシャルが低いと思っている人もいるかもしれませんけど、すべてを持ち合わせている人なんていない。要は試合で自分の持っているものを最大限に使えるかです。シモンはとても頭のいい選手で、このままいけば、トップ選手のひとりになるでしょう。ツォンガはサーブがすごい。フィジカルも彼は並外れてますよ。スピードもあるし爆発力もある。それにものすごく強烈なフォアハンドも持っている。彼が調子のいいときは、どんな選手でも負かすことができるでしょう。オーストラリアン・オープンの決勝に残った男です。さらに上まで行けるでしょう。モンフィスはむらのある選手でしたが、今ではもう違います。このまま進歩していけば、偉業をなしとげるでしょう。ガスケのことは小さいときからよく知ってます。僕の大好きな選手です。彼は何だってできるんです。ヴォレー、スライス、あの有名なバック・ハンド…。
ファブリス・サントーロは彼のコンピューターに、他の選手たちに関する何百というデータを持っています。あなたは試合にのぞむとき、どのような準備をするのですか?
(からかうように、トニーの方を振り返り)もちろん、トニーは必要な情報を全て、コンピュータの中に持ってますよ。そうだよね、トニー?(トニーは吹き出し、「僕はアンテル(Untel)が右利きか左利きかも知らないよ」と言う)まじめな話、試合の前、トニーはいつも同じことを言うんです。「良いプレイをしろ。少なくとも良いプレイをしようとしろ(相変わらずラファエルは少しばかりおじをからかった様子)。自分のできることをやれ。それでうまくいかないときは、自分で解決しろ」ってね。もちろんこの選手にはバックが有効だとか、別の選手にはフォアが有効だとか、そういうことも考えていますが、基本的には自分が何をするかということに集中します。僕は僕のプレイをするのみです。だから、特定の選手を困らせるために、サーヴィス・アンド・ヴォレーで行こうというようなことは、たとえ有効だとしてもあまり考えません。みんなそれぞれひとつは強みとなる点がある。まあ、フェデラーだけは例外で、強みがいくつもあるわけですが。彼は本当に豊富な引き出しを持っています。僕の場合は相手のフォアとバックへと、少しでもいい場所に球を打ち込むことに専念します。
今年一番印象に残った選手は誰ですか?
アンディ・マリーです。ここ数ヶ月で彼は、誰が相手であれ、大きなトーナメントでも勝てるのだということを証明しました。すごい才能です。本当にすべて揃っている。攻撃的な球も、ゆっくりした球も、いとも簡単に打つんです。それから、デルポトロもいますね。彼は離陸した!という感じですね(と、言いながらポンと強く手を叩く)。なかなか試合に勝てない選手だったけど、今では無敵の男になりました。チリッチとグルビスもいます。すごくいい選手たちですよ!でも彼らはまだ最後の一段を越えていない、という感じかな。ものすごい球を打ちますよ。いつか自分たちのプレイを構成できるようになったら、こんなに手ごわい相手もいないでしょうね。
インタービュー記事の前に、 昨日(12月4日)オーストラリアで行われたトーナメントの出来事を紹介します。この事件はナダルの生き方と比較して大変興味のあるテーマだと思うからです。
皆さんは 今年のオーストラリア・オープン・ジュニアで優勝したバーナード・トミック Bernard Tomicを覚えていらっしゃいますか?16才のトミックは、現在ジュニアランキング3位、ATPランキングは775位。ヒューイット以来のオーストラリアの未来のスターとして騒がれているあのトミックです。(トミックのホームページ:http://www.bernardtomic.com/about-bernard)
昨日の試合でトミックは、オーストラリアのマトセヴィッチMatosevic に2-6, 1-3で負け試合が濃厚になってきたときに、アンパイアからウォーニングを受けてしまいました。コーチの父が、アンパイアにマトセヴィッチのフットコールがされていないと抗議し、コードヴァイオレーションを受けたのです。それを不満にトミックは試合を放棄してしまったのです。
この行為はスポーツマンシップに欠けると批判され、トミックが狙っていたブリスベイン、全豪オープンのワイルドカードがあやしくなってきました。多分父のジョン・トミックはあらゆる手段を講じて勝つことを息子に教えてきたのでしょう。負けそうになっているのは、ラインマンが不公平だからだ・・・責任の転化はいくらでもできます。
トミックがいくら才能にあふれた選手であっても、このような価値観のもとでは果たして世界のトップ選手として活躍していけるでしょうか? エレーナ・ドキッチやマリー・ピアースの父たちの異常な行いはあまりにも有名な話です。親が多くの才能のある子供をつぶすテニス界にあって、ナダルの父やトニーコーチの話は、子育てのバイブルといえます。
2008年10月L’Equipe紙のインタービュー (1)
翻訳:alala特派員
無人島で一年過ごした人がいるとしましょう。その人が帰ってきて、ロジャー・フェデラーが世界第一位の座を明け渡したということを知りました。さて、その人に何が起こったかどう説明しますか
ええ~!(笑)わからないなあ…まあやってみましょう。常に頂点にいるということは本当に大変です。この4~5シーズン、フェデラーはありえないくらいすごかった。その間、彼は一年に3つもグランド・スラムのタイトルを勝っていたんです。信じられないですよ。でも、それは精神的にかなり消耗します。何人かの人が言っているように、今年だって彼のパフォーマンスは悪くなかった。でも、2004年から07年の彼からすれば物足りなかったでしょう。(笑)むしろこの04年から07年に彼が成し遂げた偉業の数々がありえないものだったといったほうがいいでしょう。
つまり、あなたがナンバー1になれたのは、フェデラーがいつもより調子があがらなかったからだということですか?
いえいえ、そうは言ってません。僕は今年、自分のキャリアの中でも最高の一年を過ごしたと思っていますよ。最高のレベルに達することができたと思います。自分のしたことによるものだとは思っていますが、もしもフェデラーがいつものように一年に3つのグランド・スラムで優勝していたら、自分がナンバー1に上るのは難しかっただろう、ということです。
ナンバー1にランクされるに至るまでに、ここが分かれ目だったと思う重要な瞬間はいつでしたか?
年間を通して、どの瞬間も重要です。1月にシーズンが始まり11月まで続く中で、全ての試合の結果が重要性を持っています。まあ、ウィンブルドンはもちろん重要な分かれ目でした。あれを勝てたときに、ナンバー1も夢じゃないと思えるようになったんです。
シーズン始めはなかなか調子がよさそうでしたが、一方で負けるときには大敗を喫した。安定しなかったのはなぜですか?
確かにおっしゃるとおりですね。最初の3ヶ月はひどい負け試合もありました。メルボルンでのツォンガ戦、チェンナイでのユーズニー戦、マイアミでのダヴィデンコ戦、ドバイでのロディック戦、ロッテルダムでのセッピ戦。シーズン始めの問題は、大会全体を通しては悪くはないのに、負けるときにはひどい負け方をしたということです。まだそれほど自信が持てていなかったのでしょう。だからここというところで自分自身を超えるプレイができなかった。大会に勝つには、必要なところで自分の実力を超えるプレイができなくてはなりません。どんな大会にも、妙に調子のいい選手がいて、勝ち残るにはその選手たちを倒さなくてはならない。今年の最初のうちは、そういう選手たちに勝つことができなくて、家に戻ってはむしゃくしゃしていました。勝った試合だって、それほど良い出来だとは思えなかった。ものすごい試合を勝てる状態になかったということです。何とか負けないでいることができた、という感じでした。
その状態に変化があったのはいつですか?
これははっきり答えられます。インディアン・ウェルズの大会です。大会そのものは優勝できなかったけれど、ふたつの重要な勝利がありました。ツォンガ戦とブレイク戦です。このとき、自分を超えることができました。そしてその直後のマイアミで僕は確信を持つことができました。まあ、決勝では全然だめでしたけど。でも、その後からスタートした、という感じです。モンテ・カルロ、バルセロナ、ハンブルグ、ローラン・ギャロス…どんどん調子があがりました。信じられないくらいでした。
グランド・スラムでタイトルを取っていないのは、あとオーストラリアン・オープンとUSオープンですね。どちらの方が可能性が高いと思いますか?
両方ですね。どちらも同じです。どちらの大会でも準決勝まで行きましたし、遠くはないなと思っています。でも確かにコンディション的にはオーストラリアの方が自分には有利かもしれません。暑さとか、一年のうちの季節とか…。
あなたはそのメンタルの強さを高く評価され、また他の選手たちからは恐れられています。他の選手で同じくらいメンタルの強さを持っていると思う人は誰ですか?
大会で優勝するような選手はみんな精神的に強いですよ。でも、誰かひとりをあげるとすれば、それはフェデラーですね。彼は技術的にほかの選手に抜きん出ていますが、同じくらいすごい球を打つ選手もいなくはない。彼が強いのはその精神なんです。もし彼があのメンタルの強さを持っていなかったら、彼がどんなに才能を持っていたとしても、あのような偉業はなしとげられていないでしょう。ここ、という大事な場面で彼がどんなことができるか!本当にすごいですよ。
ナンバー1になってから、プレッシャーは感じていますか?
実を言うと…感じていないんです。プレッシャーを感じるかどうかは、自分がどんな目標を持っているかによるんじゃないでしょうか。僕の目標は変わらないんです。それは、進歩していくこと。ナンバー1になり、もしそこにとどまりたかったら、とにかく進歩し少しでも上達すること。それしかありません。だから、ナンバー2だったときと目標は変わらないんです。コートに入ったら、昨日だって今日だって、「僕はナンバー1だ」なんて自分に言い聞かせたりしません。ナンバー2だろうとナンバー50だろうと、勝つことだけが目標なんです。
では、日常生活ではどうですか?何か変化を感じますか?
ないですね。たとえば、朝起きるときに、「僕は世界ナンバー1だ」なんて思ったりしません。それはナンバー2だったときに「すごいや、僕はナンバー2なんだ」と思わなかったのと同じことです。朝起きたときに僕が知っていること、それは今日もコートに行って練習するっていうことだけです。本当にクリアでシンプルなこと。本当にそう思っているんですよ。もちろん、ナンバー1にはとどまりたいです。そのために戦いますよ。
あなたは右利きだけれど、テニスのときは左手を使います。時々は遊びで右手を使ってテニスしたりすることもあるんですか?
右手で?いえいえ!ありませんよ。右手だけでテニスをしたことはないです。一度もありません。以前はフォアもバックも両手で打っていました。だから右手だけだとコントロールできないんです。右手が使えないのはテニスだけですね。ゴルフのときは右利きだし。あ!忘れてた。サッカーの時は左利きです。
ガスケ、ツォンガ、シモン、モンフィス、この4人のフランス選手のポテンシャルをランクづけるとしたら?
わかりません。みんな全く違うタイプの選手ですし。ツォンガとシモンは今年活躍しましたね。シモンは今まであまり知られていなかったかもしれませんが、彼のボールコントロールは素晴らしい。ほかの3人に比べてシモンのポテンシャルが低いと思っている人もいるかもしれませんけど、すべてを持ち合わせている人なんていない。要は試合で自分の持っているものを最大限に使えるかです。シモンはとても頭のいい選手で、このままいけば、トップ選手のひとりになるでしょう。ツォンガはサーブがすごい。フィジカルも彼は並外れてますよ。スピードもあるし爆発力もある。それにものすごく強烈なフォアハンドも持っている。彼が調子のいいときは、どんな選手でも負かすことができるでしょう。オーストラリアン・オープンの決勝に残った男です。さらに上まで行けるでしょう。モンフィスはむらのある選手でしたが、今ではもう違います。このまま進歩していけば、偉業をなしとげるでしょう。ガスケのことは小さいときからよく知ってます。僕の大好きな選手です。彼は何だってできるんです。ヴォレー、スライス、あの有名なバック・ハンド…。
ファブリス・サントーロは彼のコンピューターに、他の選手たちに関する何百というデータを持っています。あなたは試合にのぞむとき、どのような準備をするのですか?
(からかうように、トニーの方を振り返り)もちろん、トニーは必要な情報を全て、コンピュータの中に持ってますよ。そうだよね、トニー?(トニーは吹き出し、「僕はアンテル(Untel)が右利きか左利きかも知らないよ」と言う)まじめな話、試合の前、トニーはいつも同じことを言うんです。「良いプレイをしろ。少なくとも良いプレイをしようとしろ(相変わらずラファエルは少しばかりおじをからかった様子)。自分のできることをやれ。それでうまくいかないときは、自分で解決しろ」ってね。もちろんこの選手にはバックが有効だとか、別の選手にはフォアが有効だとか、そういうことも考えていますが、基本的には自分が何をするかということに集中します。僕は僕のプレイをするのみです。だから、特定の選手を困らせるために、サーヴィス・アンド・ヴォレーで行こうというようなことは、たとえ有効だとしてもあまり考えません。みんなそれぞれひとつは強みとなる点がある。まあ、フェデラーだけは例外で、強みがいくつもあるわけですが。彼は本当に豊富な引き出しを持っています。僕の場合は相手のフォアとバックへと、少しでもいい場所に球を打ち込むことに専念します。
今年一番印象に残った選手は誰ですか?
アンディ・マリーです。ここ数ヶ月で彼は、誰が相手であれ、大きなトーナメントでも勝てるのだということを証明しました。すごい才能です。本当にすべて揃っている。攻撃的な球も、ゆっくりした球も、いとも簡単に打つんです。それから、デルポトロもいますね。彼は離陸した!という感じですね(と、言いながらポンと強く手を叩く)。なかなか試合に勝てない選手だったけど、今では無敵の男になりました。チリッチとグルビスもいます。すごくいい選手たちですよ!でも彼らはまだ最後の一段を越えていない、という感じかな。ものすごい球を打ちますよ。いつか自分たちのプレイを構成できるようになったら、こんなに手ごわい相手もいないでしょうね。
投稿者 Tennisnakama 01:16 | コメント(8)| トラックバック(0)
全体的に、答えるのが難しそうな質問が多いように感じますが・・・!
ラファの言葉からも、フェデラーのメンタルがいかに強く、強みとなる引き出しを豊富に持っているかがよくわかります。
勝つために「進歩していく」といういつも変わらぬ自分の目標を持ち続け、ナンバー1でも、ナンバー2でも、ナンバー50でもそれは同じで、コートへ行って練習するだけ・・・どんな時でも自分の中で変わらぬ信念みたいなものを持っているんですね。
本当にトニーおじさんとラファはいい関係にありますよね。コーチとして、もちろんアドバイスはいろいろとするんだろうけど、自分のできることを精一杯やって、それでうまくいかないときは、自分で解決しろ・・・って突き放したような言い方をしても、それはラファという一人の人間をすごく尊重しているからこそ言える言葉だと思います。幼い頃から逆境を乗り越えることを教えてきた。。。それが生かされているんですね。このことは、Tennisnakamaさんが、記事の最初に書かれていることに、すごく関係していると思います。世間でも子供の才能を親が潰してしまうという例を見かけますが、時には親としても本人が決断し実行した結果を恐れず、それを受け入れてそっと見守ることも大事ですね。
alalaさん、ラファのすご~く素朴なところがよalalaさんの翻訳で、よくわかります!
なんだか、私なんかは日常忘れてしまっている、「とてもシンプルなんだけどすごく大事なこと」を彼は決して忘れることなく持ち続けているんだろうな。。なかなかできないことだと思う。それに家族やファンはもちろん、一緒に戦ってる選手たちのこともすごく想っているのが感じられました。
alalaさんありがとうです。次回のも楽しみにしています(^-^)
いつも大好きなテニスの話題で楽しませていただいてます。
今はインターネットによって様々な情報を得ることができますが、語学が得意ではない私は海外の記事の内容などはこういった日本語のサイトが頼みの綱。今回はalalaさんのおかげでフランスの記事を読むことができて、とても感謝しています。
インタビューからラファとトニさん、家族とのいい関係が伝わってきて心洗われます。
見ているこっちの方が先に根負けしてしまいそうなほどの試合を何度も勝ちあがり、ついにNo.1にまで上りつめたラファの強さの理由が、エピソードやラファのものの考え方一つ一つに感じられて、とても感動しました。
そして、↑alalaさんの見た光景にも、また感動(笑)
子は親の背中を見て育つ、じゃないですけど、子供の頃からずーっとトニさんのこんな言動を見て育ってきたから、今のラファがあるんですね。
もはや、テニス選手としてだけでなく、人間的に尊敬しています。(全然私より、歳下ですケド(^^;))
読んでいてフェデラーのインタビューと同じ印象を受けました。
他の選手に対して冷静で公平、良い事は良いと言い、そう思わない事は言わない。 自分の事も冷静に判っていて、ライバルであるフェデラー(逆はナダルですね)に対して敬意を持ち、実力を認めつつ闘志を燃やしている。スポーツマンとして誇りを持っている・・・。2人ともNo.1の器なんです。やはりそれ以外の選手とは現時点では違う気がします。子供に対して温かいのも同じですね(これは他の選手も同じなのかな?)。。。 ベルシーでの試合のとき、フェデラーがベンチに水を置いた少女に「メルシー」って言ってたんです。こんな緊迫した試合中でも言えるんだなって。当たり前の事かもしれないけど とても嬉しかった。 ナダルとフェデラーは全く違うタイプのプレーヤーなのに人間性の芯が同じなのでしょう。だから観ていて気持ちがいい。そんな2人がライバル関係である時代に立ちえるとは私たちは幸せなファンです。そしてライバルである2人もきっと幸せ。
09年もがんばれ~ ラファ&ロジャー 応援しているよ!! alalaさん!次回も期待(*^_^*)
p.composeさん、私は家族以外にラファはフェデラーのことを相当お手本として尊敬していると思います。こうやって選手同士がライバルとして、好敵手として尊敬しあう姿は美しいですよね。そのふたりを目の当たりにできる幸せ。私もバンバンに感じてます!
おじさんであるトニーとの良好な関係も伝わってきて、微笑ましいですね。
常に自分自身と戦っている・・・・。
TVの画面から受けた私の印象は間違っていなかったとおもいました。
武士道が似合う男だなぁ~、らふぁ♪