2008年07月24日
フェデラーは大丈夫か!?
トロントのマスターズ、ロジャーズカップで大変なことが起きました。もうご存知だと思いますが、フェデラーが初戦で敗退です。正確にいえば、1回戦がByeでしたので、2回戦で敗退となるのですが、ライヴ放送で観戦していて、我が目を疑いました。夫はショックで寝込んでしまうし、私も書く気がしなくて・・・夜中の3時になってしまいました。
確かにジエス・シモン(仏)は先週、インディアナポリスで優勝しているだけあって自信に溢れ、ショットも安定し、フットワークもナダルばりの速さで球をとりまくり、きっとやりにくい相手だったのでしょう・・・それにしても、3セット目は、半分試合を捨ててしまったような感じのエラーが続出して、観るに耐えない試合でした。記事の後半でフェデラーの試合について述べてみたいと思います。
ロジャーズカップ:Day 3(テニスチャンネルで放送)
4時まで雨が降って、今日の試合は諦めていたのですが、5時ごろから空が晴れ出し、ナダルvsレヴィーンの試合が始まりました。左利きのジェッシー・レヴィーンは、ナダル対策としてフェデラーがわざわざドバイまで招待して練習相手をつとめたあのレヴィーンです。この左利き同士の試合で最初ナダルは、もたつき4ゲーム目でブレークされてしまい、1-4のスコアでヒヤヒヤしましたが、そこから1ゲームも落とすことなく、6-4で第1セットをとりました。このあたりがさすがグランドスラム・チャンピオンです。最初は思うように打てないといった感じで中途半端なショットが多く、レヴィーンのアグレッシヴなテニスに押され気味でしたが、それでもすぐブレークしなおしてから、リズムを取り戻して、2セット目は、完全にナダルのペースとなり、6-4, 6-2で勝利をおさめました。レヴィーンは、ベースラインから下がることなく、on-the-riseで叩くように打ってくるので、ナダルとしては嫌な相手だったと思います。(ダヴィデンコに似ています)
「ウィンブルドンの後、あまり練習をしていなかったので、1回戦はむずかしかった。これからもハードコートのテニスを向上させて、調子をあげていきたい。」といつもの熱心なナダルの言葉でした。
フェデラーvsシモンの試合は夜7時半から始まりました。
フェデラーは快調の滑り出し。どんどんネットにダッシュしてウィナーを決めていきます。夕食時でしたし、ちゃんと観れませんでしたが、第1セットは問題なく6-4で勝ちましたので、安心しきっておりました。
ところが第2セットからは、エラーが目立ってきました。ベースラインぎりぎりのボールを打っています。これは相手をベースラインの後ろに止めて、相手のオフェンスに釘をさす意味では有効なのですが、とてもリスキーな打ち方です。どんな天才でも毎回ラインぎりぎりは不可能です。それにシモンはどんなボールを打たれても返してしまう恐るべき足の持ち主です。普通ならウィナーとなるコーナーショットやアングルショットでも、すべてボールが返ってくるのです。だんだんフェデラーが苛ついてきました。
フェデラーvsシモンのゲームは2-3でフェデラーのサーヴとなりました。ラリーが続きます。フェデラーがシモンを左右に振っても、全部きっちり返してきます。
シモンは完全なカウンターパンチャーです。フェデラーのミス待ちといったディフェンステニスを展開して、フェデラーがいらいらしてきました。そしてウィナーを打ち損なって、ブレークポイントに。フェデラーはサーヴ&ヴォレーを試みましたが、シモンのディンクショット(急に落ちてくるボール)にあって、ヴォレーが出来ずブレークされてしまいました。
しかしすぐフェデラーはブレークしなおしましたが、エラーはふえる一方。シモンは観ていて安心できるプレーヤーでエラーが少なく、確率の高いテニスをしています。フェデラーはそのためか、早く決めてしまいたいといった感じでウィナーを打ちますが、これがほとんどオーヴァーヒット。特にフォアのエラーが目立ちます。結局5-7で第2セットを落としてしまいました。しかし、フェデラーの苛立も分かるような気がします。シモンのテニスは完全にゾーンに入ってきたようで、どんなボールでも拾いまくり、拾いまくるだけでなく、むずかしいポジションから攻撃をしかけてきます。ナダルのような野獣的な力のテニスではありませんが、ほっそりして線の細いタイプには似つかない食いつきぶりです。いつの間にこんなすごい選手に成長したのでしょうね。
「彼は細くて高いから、とてもこんなに足が速いとは思わなかった。バックハンドは打つ直前にチョンと打つ感じで、どこに飛んでくるのか分からないし。」とフェデラーはシモンとの試合のむずかしさについて述べています。
第3セットでは、フェデラーは最初からアグレッシヴにネットダッシュをして、ポイントをおさめ、ああ、やっとこれでフェデラーらしくなった、と安堵したのもつかの間、ヴォレーミス。もう少し粘れば勝てるチャンスもミスで逃し、粘りがなくなってしまいました。結局3セットも落として、6-2, 5-7, 4-6で22位の選手に負けてしまいました。
「まだまだハードコートのシーズンは9ヶ月と長いのだし、シーズンが始まったばかりなんだから。残念だったけれど、これからだよ。」と負け惜しみを言ってますが、「ちょっとフェデラーは大丈夫なのか?」と彼の心の状態が気になります。サンプラスがいかに世界一をキープすることが大変であったか、ホテルで何度も吐く日が続き、想像を絶するほど辛い日々があったと述べていました。
私たちには想像もできないプレッシャーと闘ってきたフェデラーです。いくら肉体を鍛えても、心が疲れてきてしまっては何もなりません・・・ビヨンボルグの言葉がよぎります。
「僕はロジャーがテニスをいつ止めても不思議に思わないね」
トップの座を守り抜かなければならなかった者だけが分かる苦しみを、ボルグは言っているのでしょう。でも私はフェデラーなら、この苦しみを超え、さらに偉大な真の王者になれると信じています。
確かにジエス・シモン(仏)は先週、インディアナポリスで優勝しているだけあって自信に溢れ、ショットも安定し、フットワークもナダルばりの速さで球をとりまくり、きっとやりにくい相手だったのでしょう・・・それにしても、3セット目は、半分試合を捨ててしまったような感じのエラーが続出して、観るに耐えない試合でした。記事の後半でフェデラーの試合について述べてみたいと思います。
ロジャーズカップ:Day 3(テニスチャンネルで放送)
4時まで雨が降って、今日の試合は諦めていたのですが、5時ごろから空が晴れ出し、ナダルvsレヴィーンの試合が始まりました。左利きのジェッシー・レヴィーンは、ナダル対策としてフェデラーがわざわざドバイまで招待して練習相手をつとめたあのレヴィーンです。この左利き同士の試合で最初ナダルは、もたつき4ゲーム目でブレークされてしまい、1-4のスコアでヒヤヒヤしましたが、そこから1ゲームも落とすことなく、6-4で第1セットをとりました。このあたりがさすがグランドスラム・チャンピオンです。最初は思うように打てないといった感じで中途半端なショットが多く、レヴィーンのアグレッシヴなテニスに押され気味でしたが、それでもすぐブレークしなおしてから、リズムを取り戻して、2セット目は、完全にナダルのペースとなり、6-4, 6-2で勝利をおさめました。レヴィーンは、ベースラインから下がることなく、on-the-riseで叩くように打ってくるので、ナダルとしては嫌な相手だったと思います。(ダヴィデンコに似ています)
「ウィンブルドンの後、あまり練習をしていなかったので、1回戦はむずかしかった。これからもハードコートのテニスを向上させて、調子をあげていきたい。」といつもの熱心なナダルの言葉でした。
フェデラーvsシモンの試合は夜7時半から始まりました。
フェデラーは快調の滑り出し。どんどんネットにダッシュしてウィナーを決めていきます。夕食時でしたし、ちゃんと観れませんでしたが、第1セットは問題なく6-4で勝ちましたので、安心しきっておりました。
ところが第2セットからは、エラーが目立ってきました。ベースラインぎりぎりのボールを打っています。これは相手をベースラインの後ろに止めて、相手のオフェンスに釘をさす意味では有効なのですが、とてもリスキーな打ち方です。どんな天才でも毎回ラインぎりぎりは不可能です。それにシモンはどんなボールを打たれても返してしまう恐るべき足の持ち主です。普通ならウィナーとなるコーナーショットやアングルショットでも、すべてボールが返ってくるのです。だんだんフェデラーが苛ついてきました。
フェデラーvsシモンのゲームは2-3でフェデラーのサーヴとなりました。ラリーが続きます。フェデラーがシモンを左右に振っても、全部きっちり返してきます。
シモンは完全なカウンターパンチャーです。フェデラーのミス待ちといったディフェンステニスを展開して、フェデラーがいらいらしてきました。そしてウィナーを打ち損なって、ブレークポイントに。フェデラーはサーヴ&ヴォレーを試みましたが、シモンのディンクショット(急に落ちてくるボール)にあって、ヴォレーが出来ずブレークされてしまいました。
しかしすぐフェデラーはブレークしなおしましたが、エラーはふえる一方。シモンは観ていて安心できるプレーヤーでエラーが少なく、確率の高いテニスをしています。フェデラーはそのためか、早く決めてしまいたいといった感じでウィナーを打ちますが、これがほとんどオーヴァーヒット。特にフォアのエラーが目立ちます。結局5-7で第2セットを落としてしまいました。しかし、フェデラーの苛立も分かるような気がします。シモンのテニスは完全にゾーンに入ってきたようで、どんなボールでも拾いまくり、拾いまくるだけでなく、むずかしいポジションから攻撃をしかけてきます。ナダルのような野獣的な力のテニスではありませんが、ほっそりして線の細いタイプには似つかない食いつきぶりです。いつの間にこんなすごい選手に成長したのでしょうね。
「彼は細くて高いから、とてもこんなに足が速いとは思わなかった。バックハンドは打つ直前にチョンと打つ感じで、どこに飛んでくるのか分からないし。」とフェデラーはシモンとの試合のむずかしさについて述べています。
第3セットでは、フェデラーは最初からアグレッシヴにネットダッシュをして、ポイントをおさめ、ああ、やっとこれでフェデラーらしくなった、と安堵したのもつかの間、ヴォレーミス。もう少し粘れば勝てるチャンスもミスで逃し、粘りがなくなってしまいました。結局3セットも落として、6-2, 5-7, 4-6で22位の選手に負けてしまいました。
「まだまだハードコートのシーズンは9ヶ月と長いのだし、シーズンが始まったばかりなんだから。残念だったけれど、これからだよ。」と負け惜しみを言ってますが、「ちょっとフェデラーは大丈夫なのか?」と彼の心の状態が気になります。サンプラスがいかに世界一をキープすることが大変であったか、ホテルで何度も吐く日が続き、想像を絶するほど辛い日々があったと述べていました。
私たちには想像もできないプレッシャーと闘ってきたフェデラーです。いくら肉体を鍛えても、心が疲れてきてしまっては何もなりません・・・ビヨンボルグの言葉がよぎります。
「僕はロジャーがテニスをいつ止めても不思議に思わないね」
トップの座を守り抜かなければならなかった者だけが分かる苦しみを、ボルグは言っているのでしょう。でも私はフェデラーなら、この苦しみを超え、さらに偉大な真の王者になれると信じています。
フェデラーvsシモン第3セット
2008年07月24日
現地レポ(2):ロジャーズカップ Day 2
今日は水曜日、トロントのマスターズシリーズDay3ですが、一日中雨がじゃんじゃん降ってます。テニスチャンネルではライヴ放送を毎日完全中継をやる予定だったのですが、、雨のため昨日のDay2の試合を再放送です。せっかくナダルやフェデラーが観れると思ったのですが、現在午後4時、雨が止みそうにありません・・・
今日はナダルはシングルスとダブルスのダブルヘッダーの日です。今日この2試合が明日に延びると一体どういうことになるのでしょうね。毎日ダブルヘッダーという恐ろしい状況が生まれるかもしれません。フェデラー、ロディック、マリー兄弟もダブルスを勝ち残ってきてますので、雨が降ると彼らもダブルヘッダーになる可能性十分。ナダルは4月のモンテカルロのマスターズでは、シングルスを優勝した後、休む暇なくすぐダブルスにロブレドと出て優勝してしまったというスーパーマンぶりを発揮しましたが、果たしてこの偉業が他の選手にも果たせますかどうか?
さて、昨日のDay2の模様をTennisnakama特派員、kentomo記者から貴重なレポートが届いてますのでご紹介したいと思います。
ロジャーズカップ:Day2
Reported by kentomo
今週のトロントは荒れ模様の天気が続いています。我が家を出たときは晴れていたのですが会場に近づくと黒い雲が低くかぶさっています。急に不気味な風も吹きだしてもしかしたらハリケーンにでもなるのかと思いました。
会場に着くと少し雨が降った跡がありセンターコートのRoddicとMahutの試合が中断されていました。他のコートはどうかと思うと練習コートが人だかりです。よく見るとFedererがFerrerと練習しています。一般席からは一番離れたコートでしたが週間パスホルダー専用席の目の前です。せっかくパスを持っているので早速行ってみるとすぐそこでFedererが練習しています。
うわさには聞いていましたがかなり力を抜いた練習です。ラリーも意外と長く続きません。それでもどのショットも楽そうに打っています。あれなら私も出来るかもしれないと思わせてしまうほどでした。全力で打っているナダルの練習とは対照的でした。
しばらくするとセンターコートでRoddickとMahutの試合が再開されました。ここはTennis Canadaが2年前に完成させたばかりの豪華な施設です。今流行のコンピューターを使ったラインコールのチャレンジも出来ます。観客は画面が出るたびに「ヒューッ」という効果音を出して楽しんでいます。
Roddickはタイブレークで2セット目を落としましたが3セット目は乗り切りました。目の前で見るRoddickのサーブは目的地めがけて最短距離を進む弾丸のようでした。
私も明日は団体リーグ戦の優勝をかけた最終戦ですのでRoddickの真似をしてサービスエースを狙っていくことに決めました。優勝したらこの会場で開かれるプレーオフに出場出来ますので気合が入ります。明日はリーグ戦の後に観戦してきます。いよいよナダルの試合が見られます。今からわくわくしてきました。
今日はナダルはシングルスとダブルスのダブルヘッダーの日です。今日この2試合が明日に延びると一体どういうことになるのでしょうね。毎日ダブルヘッダーという恐ろしい状況が生まれるかもしれません。フェデラー、ロディック、マリー兄弟もダブルスを勝ち残ってきてますので、雨が降ると彼らもダブルヘッダーになる可能性十分。ナダルは4月のモンテカルロのマスターズでは、シングルスを優勝した後、休む暇なくすぐダブルスにロブレドと出て優勝してしまったというスーパーマンぶりを発揮しましたが、果たしてこの偉業が他の選手にも果たせますかどうか?
さて、昨日のDay2の模様をTennisnakama特派員、kentomo記者から貴重なレポートが届いてますのでご紹介したいと思います。
ロジャーズカップ:Day2
Reported by kentomo
今週のトロントは荒れ模様の天気が続いています。我が家を出たときは晴れていたのですが会場に近づくと黒い雲が低くかぶさっています。急に不気味な風も吹きだしてもしかしたらハリケーンにでもなるのかと思いました。
会場に着くと少し雨が降った跡がありセンターコートのRoddicとMahutの試合が中断されていました。他のコートはどうかと思うと練習コートが人だかりです。よく見るとFedererがFerrerと練習しています。一般席からは一番離れたコートでしたが週間パスホルダー専用席の目の前です。せっかくパスを持っているので早速行ってみるとすぐそこでFedererが練習しています。
うわさには聞いていましたがかなり力を抜いた練習です。ラリーも意外と長く続きません。それでもどのショットも楽そうに打っています。あれなら私も出来るかもしれないと思わせてしまうほどでした。全力で打っているナダルの練習とは対照的でした。
しばらくするとセンターコートでRoddickとMahutの試合が再開されました。ここはTennis Canadaが2年前に完成させたばかりの豪華な施設です。今流行のコンピューターを使ったラインコールのチャレンジも出来ます。観客は画面が出るたびに「ヒューッ」という効果音を出して楽しんでいます。
Roddickはタイブレークで2セット目を落としましたが3セット目は乗り切りました。目の前で見るRoddickのサーブは目的地めがけて最短距離を進む弾丸のようでした。
私も明日は団体リーグ戦の優勝をかけた最終戦ですのでRoddickの真似をしてサービスエースを狙っていくことに決めました。優勝したらこの会場で開かれるプレーオフに出場出来ますので気合が入ります。明日はリーグ戦の後に観戦してきます。いよいよナダルの試合が見られます。今からわくわくしてきました。