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ジョコが準決勝へ

Masters Cup 2008

ジョコヴィッチ def ダヴィデンコ 7-6(3), 0-6, 7-5

興味のある方のために、できるだけ英語の表現で書くことにしました。
( )内は日本で使われている表現です。

二人のND (Novak DjokovicとNikolay Davydenko)の戦いは、二人のNGをもろに露見させてしまった試合となりました。

快調にみえたダヴィデンコ
まず第1セットの初っ端、第1ゲームからジョコ(ジョコヴィッチ)はダヴィー(ダヴィデンコ)の攻撃に押されてブレークされるというピンチに陥りました。勢いを得たダヴィーは、2ゲームからフォアハンドのインサイドアウト(逆クロス)でウィナー、ネットダッシュでウィナーと、完全にダヴィーのペースで展開。このままジョコは押し切られる感じでしたが、彼を救ったのは、ジョコのサーヴです。

0-2の3ゲーム目は、ジョコはサーヴィスウィナー(タッチエース)2本、サーヴィスエース1本、最後はお得意の左右にゆさぶりをかけてラヴゲームでサーヴィスゲームをとりました。また全く同じ展開で、5ゲーム目もラヴゲームでサーヴィスゲームを勝ち取りましたが、ジョコはどうしてもダヴィーのサーヴを破れません。スコアは5-4、このままダヴィーがサーヴィスゲームをホールド(キープ)して逃げ切るかと思われたのですが・・・あと2ポイントでダヴィーの第1セット勝利が決まる30-30。

ダブルフォルトに呪われたダヴィデンコ
あと数ポイントでセット勝ちとなると、チョーキング(固くなる)するのは勝っている方です。どうしても勝ち急いだり、ムリをして勝とうと意気込んでしまいます。ダヴィーが今までよく試合に負けるパターンがこの肝心なときのダブルフォルトなのです。「こんな大切なときになぜ1stサーヴのようなきわどい2ndサーヴをするのか?」このダブルフォルトでブレークポイントに。しかも次のショットも焦ってエラーで、ダヴィーはゲームを落としてしまいました。

このDF(ダブルフォルト)は痛かった。しかしなぜかそのあともDFの繰り返しをつづけるダヴィー。怒りと苛立と焦りですべてネガティヴなテニスとなり、タイブレークでまたDF。しかもおまけに最後のポイントもまでもDFで、ついに第1セットを落としてしまいました。理解に苦しむダヴィーのテニスです。

今度はジョコのダブルフォルト
不思議な試合が続きます。今度はジョコが最初のサーヴィスゲームで、彼のDFによってブレークされてしまいました。それからというもの、ジョコのエラーの連続です。ジョコはイライラしてラケットをコートに投げつけますが、ますますエラーがふえるばかり。今度はDFに呪われたのはジョコです。あがけばあがくほど、思い通りのテニスができず自爆して0-6の無惨な結果となってしまいました。何だか訳のわからないテニスになってきました。

ITO(インジャリータイムアウト)の効果は?
いよいよ第3セットです。3ゲーム目にダヴィーが左足首を捻ったようで、タイムアウトです。しかしタイムアウト後の彼のフットワークには異常が見られなかったので、これは念のための ITO だったのか、作戦上のタイムアウトだったのかは分かりませんが、このタイムアウトで有利になったのは、ダヴィーではなく、しばらく頭を冷やすことができたジョコだったと思います。ジョコのイライラもおさまり、二人のハイクウォリティなテニスが始まりました。

お互いブレークされることなく、サーヴィスゲームが続きます。しかし、またもやダヴィーが肝心なポイントをミスってしまいました。スコアは5-5でダヴィーのサーヴです。今度はDFではありませんがヴォレーのミスです。簡単なヴォレーでも勝てたチャンスボールをきわどくサイドライン上を狙ったためにサイドアウトしてしまいました。そしてベースラインを超えるロングのエラーでブレークポイント。続いてワイドのエラーを出してしまったダヴィーはついにゲームを落としてしまいます。ダヴィーのテニスは、ラインぎりぎりを狙ったローパーセンテージのテニスです。そして当然のごとくジョコにブレークされ、勝負はここで決まりました。

かつて「やる気がない」として受けた罰金2000ドル
デヴィデンコのダブルフォルトは有名で、2007年のSt. Petersburgでシリッチと戦ったときのことです。10回もダブルフォルトをやって、審判は「やる気がない」としてダヴィーに2000ドルの罰金を言い渡しました。こういう罰金もあるのかと当時は驚きましたが、ダヴィーのサーヴはときどき全く入らなくなることがあるのです。彼のサーヴは、あの小柄な体をエビのようにまげ、ハイジャンプして前方にすべてのパワーを伝達する、物理学から言えば理想のサーヴですが、それだけにハイリスクもあるサーヴです。セカンドサーヴにもっとスピンをかけないと、ますますDFが続いていくでしょう。こういうもったいない試合を続けていると、ダヴィーはベスト5の地位もあぶなくなるかもしれません。

ジョコヴィッチ準決勝へ
この勝利で2勝したジョコヴィッチは、次のツォンガとの試合の結果に関係なく、準決勝進出が決定しました。

「第2セットは不思議なセットだった。ちょっとしたつまずきがふくれあがってコントロールできなくなってしまった。」
「準決勝にいけることになりこれでホッとした。自分でもよくやったと思う。」
「コートに入ったら、どんな試合でも大切だといつも自分に言い聞かせているので、ツォンガとの試合も勝ちたい。」

ジョコヴィッチは今までのようにすっきりとした勝ち方ができなくなってきています。メンタルの不安定さがショットに影響しているかもしれません。最近はあのひょうきん者のハッピーなジョコの姿はなく、テニスをやりたくないような感じもします。プレッシャーに負けているように見えます。セルビアの国民のプレーッシャーだけでなく、スタジアムとホテル建設の企画に燃え、オランダのトーナメントのライセンスを競り落とした、あの野心に溢れる両親のプレッシャーもあるのでしょう。ぶつぶつ文句の言う姿もみかけます。一日もはやくあの明るいくったくのないジョコがかえってきて私たちを楽しませてほしいものです。

投稿者 Tennisnakama  23:26 | コメント(6) | トラックバック(0)

安定した強さをみせるマリー

Murray vs Roddick 6-4, 1-6, 6-1

いつも1-6, 6-1のようなスコアを見て不思議に思うのですが、一体選手たちに何が起こったのか? これはよくいわれるモメンタムの問題で、これはメンタル作戦の領域です。なぜボロ負けしたあとボロ勝ちすることができるのか? 多分選手にとっても、あっと言う間の出来事だったと思いますが、一体マリーvsロディック戦で何が起こったのか?

マリーvsロディック戦は、マリーのソフトに対してロディックのハードの硬軟の対比が面白く、クウォリティーの高い盛り上がりのある試合となりました。しかし予想通り、マリーが総合点の上で上回る優等生ぶりを発揮して勝利をあげました。

私はまずロディックの変わりように驚きました。髪を剃ってみるからに僧侶のようなロディックで、彼のテニスも忍耐の鬼のように我慢を続け、なんとunforced errorはわずかに19です。(マリーは23。フェデラーは50)マリーにとっては、ラリーをつづけることがテニスの基本になっていますので、チャンスがくるまで辛抱強く待つテニスはヘイチャラです。しかしロディックは禅修行をしてきたかと思われるほど、我慢してきわどいところは狙わず、ここぞと思ったときに迷わずウィナーを狙うメリハリのあるテニスができるようになったのは大進歩です。

第2セットは、ロディックの今後を歩むべき道を象徴するようなテニスをしました。彼のテニスはあくまでもオフェンスです。第1セットは丁寧にやりすぎて、ミスは少なかったものの攻撃力に欠け、マリーにセットをとられましたが、第2セットは執拗なほどネットダッシュを繰り返し、マリーにプレッシャーを与えました。マリーはミスが重なって0-3で2度目のブレークを許してしまいます。そうするとマリーのわるい癖がでて、すべてがディフェンスとなり、ますますロディックの攻撃を止めることができません。ロディックもサーヴ&ヴォレー、リターンダッシュとネットダッシュをし続け、第2セットは6-1でロディックの圧勝となりました。

第3セットですが、6-1と2セット目を大勝したロディックがなぜもろくも1-6で大敗してしまったのか?

まず、マリーが第2ゲームで早々にブレークに成功したことがマリーを強気にさせました。ロディックは昔とくらべてヴォレーがとてもうまくなりましたが、アングルヴォレーでウィナーがまだとれないでいます。カーロヴィッチのように、スムーズにネットダッシュして、見事にオープンコートにウィナーを決めなければ、ネットダッシュは自殺行為です。

しかもロディックはネットダッシュのタイミングに問題があります。今日の選手はパッシングショットの技術がすぐれているので、アプローチショットが甘ければ命とりとなります。マリーはロディックの足もとに落とす。わざとショートボールでロディックをネットにおびき寄せる。そしてネットに来たロディックにトップスピンロブを上げる。何をやっても答えを用意しているマリーに向かって、ロディックは頑固にネットダッシュを続けますが、もうパターンを知り尽くしたマリーは、ロディックを翻弄して6-1の大差で初戦に白星をかざりました。

マリーに続けてプレッシャーを与え続けるには、第3セットはネットダッシュのプランAだけではなく、プランB、プランCが用意されていなければなりません。勝敗の原因は、手が読まれてしまっているプランAに固執したロディックの作戦負けと、総合技術に優れていたマリーの勝ちというところでしょうか。

マリーはもともと技術、戦略の面では、トップスリーに入るほどの実力がありながら、感情のコントロールができずに自滅パターンで負けてきた選手ですので、メンタルを強化していけば、誰に勝っても不思議でない選手です。第2セットを1-6で落としながら「冷静さを失わなかった」マリーは、さらに大きく成長しました。

以下がマリーのコメントです。

「第1セットはうまくプレーできた。でも第2セットではブレークチャンスがあったのに逃してしまった。そのときロディックは猛烈にアグレッシブになってきて、彼にのまれてしまった。」

「でも第3セットにはよいプレーができるようになって、そのまま順調に勝つ事ができた。でもコートがスローなので試合はタフだった。ジェットラグ(時差)にも悩まされているから体調ももう一つなんだ。」

厳しい時差と風俗習慣の違いの中で選手たちは頑張っています。


投稿者 Tennisnakama  02:19 | コメント(8) | トラックバック(0)