2008年11月11日
安定した強さをみせるマリー
Murray vs Roddick 6-4, 1-6, 6-1
いつも1-6, 6-1のようなスコアを見て不思議に思うのですが、一体選手たちに何が起こったのか? これはよくいわれるモメンタムの問題で、これはメンタル作戦の領域です。なぜボロ負けしたあとボロ勝ちすることができるのか? 多分選手にとっても、あっと言う間の出来事だったと思いますが、一体マリーvsロディック戦で何が起こったのか?
マリーvsロディック戦は、マリーのソフトに対してロディックのハードの硬軟の対比が面白く、クウォリティーの高い盛り上がりのある試合となりました。しかし予想通り、マリーが総合点の上で上回る優等生ぶりを発揮して勝利をあげました。
私はまずロディックの変わりように驚きました。髪を剃ってみるからに僧侶のようなロディックで、彼のテニスも忍耐の鬼のように我慢を続け、なんとunforced errorはわずかに19です。(マリーは23。フェデラーは50)マリーにとっては、ラリーをつづけることがテニスの基本になっていますので、チャンスがくるまで辛抱強く待つテニスはヘイチャラです。しかしロディックは禅修行をしてきたかと思われるほど、我慢してきわどいところは狙わず、ここぞと思ったときに迷わずウィナーを狙うメリハリのあるテニスができるようになったのは大進歩です。
第2セットは、ロディックの今後を歩むべき道を象徴するようなテニスをしました。彼のテニスはあくまでもオフェンスです。第1セットは丁寧にやりすぎて、ミスは少なかったものの攻撃力に欠け、マリーにセットをとられましたが、第2セットは執拗なほどネットダッシュを繰り返し、マリーにプレッシャーを与えました。マリーはミスが重なって0-3で2度目のブレークを許してしまいます。そうするとマリーのわるい癖がでて、すべてがディフェンスとなり、ますますロディックの攻撃を止めることができません。ロディックもサーヴ&ヴォレー、リターンダッシュとネットダッシュをし続け、第2セットは6-1でロディックの圧勝となりました。
第3セットですが、6-1と2セット目を大勝したロディックがなぜもろくも1-6で大敗してしまったのか?
まず、マリーが第2ゲームで早々にブレークに成功したことがマリーを強気にさせました。ロディックは昔とくらべてヴォレーがとてもうまくなりましたが、アングルヴォレーでウィナーがまだとれないでいます。カーロヴィッチのように、スムーズにネットダッシュして、見事にオープンコートにウィナーを決めなければ、ネットダッシュは自殺行為です。
しかもロディックはネットダッシュのタイミングに問題があります。今日の選手はパッシングショットの技術がすぐれているので、アプローチショットが甘ければ命とりとなります。マリーはロディックの足もとに落とす。わざとショートボールでロディックをネットにおびき寄せる。そしてネットに来たロディックにトップスピンロブを上げる。何をやっても答えを用意しているマリーに向かって、ロディックは頑固にネットダッシュを続けますが、もうパターンを知り尽くしたマリーは、ロディックを翻弄して6-1の大差で初戦に白星をかざりました。
マリーに続けてプレッシャーを与え続けるには、第3セットはネットダッシュのプランAだけではなく、プランB、プランCが用意されていなければなりません。勝敗の原因は、手が読まれてしまっているプランAに固執したロディックの作戦負けと、総合技術に優れていたマリーの勝ちというところでしょうか。
マリーはもともと技術、戦略の面では、トップスリーに入るほどの実力がありながら、感情のコントロールができずに自滅パターンで負けてきた選手ですので、メンタルを強化していけば、誰に勝っても不思議でない選手です。第2セットを1-6で落としながら「冷静さを失わなかった」マリーは、さらに大きく成長しました。
以下がマリーのコメントです。
「第1セットはうまくプレーできた。でも第2セットではブレークチャンスがあったのに逃してしまった。そのときロディックは猛烈にアグレッシブになってきて、彼にのまれてしまった。」
「でも第3セットにはよいプレーができるようになって、そのまま順調に勝つ事ができた。でもコートがスローなので試合はタフだった。ジェットラグ(時差)にも悩まされているから体調ももう一つなんだ。」
厳しい時差と風俗習慣の違いの中で選手たちは頑張っています。
いつも1-6, 6-1のようなスコアを見て不思議に思うのですが、一体選手たちに何が起こったのか? これはよくいわれるモメンタムの問題で、これはメンタル作戦の領域です。なぜボロ負けしたあとボロ勝ちすることができるのか? 多分選手にとっても、あっと言う間の出来事だったと思いますが、一体マリーvsロディック戦で何が起こったのか?
マリーvsロディック戦は、マリーのソフトに対してロディックのハードの硬軟の対比が面白く、クウォリティーの高い盛り上がりのある試合となりました。しかし予想通り、マリーが総合点の上で上回る優等生ぶりを発揮して勝利をあげました。
私はまずロディックの変わりように驚きました。髪を剃ってみるからに僧侶のようなロディックで、彼のテニスも忍耐の鬼のように我慢を続け、なんとunforced errorはわずかに19です。(マリーは23。フェデラーは50)マリーにとっては、ラリーをつづけることがテニスの基本になっていますので、チャンスがくるまで辛抱強く待つテニスはヘイチャラです。しかしロディックは禅修行をしてきたかと思われるほど、我慢してきわどいところは狙わず、ここぞと思ったときに迷わずウィナーを狙うメリハリのあるテニスができるようになったのは大進歩です。
第2セットは、ロディックの今後を歩むべき道を象徴するようなテニスをしました。彼のテニスはあくまでもオフェンスです。第1セットは丁寧にやりすぎて、ミスは少なかったものの攻撃力に欠け、マリーにセットをとられましたが、第2セットは執拗なほどネットダッシュを繰り返し、マリーにプレッシャーを与えました。マリーはミスが重なって0-3で2度目のブレークを許してしまいます。そうするとマリーのわるい癖がでて、すべてがディフェンスとなり、ますますロディックの攻撃を止めることができません。ロディックもサーヴ&ヴォレー、リターンダッシュとネットダッシュをし続け、第2セットは6-1でロディックの圧勝となりました。
第3セットですが、6-1と2セット目を大勝したロディックがなぜもろくも1-6で大敗してしまったのか?
まず、マリーが第2ゲームで早々にブレークに成功したことがマリーを強気にさせました。ロディックは昔とくらべてヴォレーがとてもうまくなりましたが、アングルヴォレーでウィナーがまだとれないでいます。カーロヴィッチのように、スムーズにネットダッシュして、見事にオープンコートにウィナーを決めなければ、ネットダッシュは自殺行為です。
しかもロディックはネットダッシュのタイミングに問題があります。今日の選手はパッシングショットの技術がすぐれているので、アプローチショットが甘ければ命とりとなります。マリーはロディックの足もとに落とす。わざとショートボールでロディックをネットにおびき寄せる。そしてネットに来たロディックにトップスピンロブを上げる。何をやっても答えを用意しているマリーに向かって、ロディックは頑固にネットダッシュを続けますが、もうパターンを知り尽くしたマリーは、ロディックを翻弄して6-1の大差で初戦に白星をかざりました。
マリーに続けてプレッシャーを与え続けるには、第3セットはネットダッシュのプランAだけではなく、プランB、プランCが用意されていなければなりません。勝敗の原因は、手が読まれてしまっているプランAに固執したロディックの作戦負けと、総合技術に優れていたマリーの勝ちというところでしょうか。
マリーはもともと技術、戦略の面では、トップスリーに入るほどの実力がありながら、感情のコントロールができずに自滅パターンで負けてきた選手ですので、メンタルを強化していけば、誰に勝っても不思議でない選手です。第2セットを1-6で落としながら「冷静さを失わなかった」マリーは、さらに大きく成長しました。
以下がマリーのコメントです。
「第1セットはうまくプレーできた。でも第2セットではブレークチャンスがあったのに逃してしまった。そのときロディックは猛烈にアグレッシブになってきて、彼にのまれてしまった。」
「でも第3セットにはよいプレーができるようになって、そのまま順調に勝つ事ができた。でもコートがスローなので試合はタフだった。ジェットラグ(時差)にも悩まされているから体調ももう一つなんだ。」
厳しい時差と風俗習慣の違いの中で選手たちは頑張っています。
投稿者 Tennisnakama 02:19 | コメント(8)| トラックバック(0)
Tennisnakama さんの記事は、いつもWorld-Wideに広がりと奥行きがあって、面白いと思います。
この、ジャーナリズムのセンスは、ニュー・ヨークの文化で磨かれたものとご自身の天性のものが混ざり合って、調和しているものと思い、敬意を表します。
ところで、マリーとロディックの試合ですが、TVで観ていて感じたことは、この前のAIGオープンで実際に観たベルディッチ戦とダブりました。ロディックは、強いと思われる相手に何か自信がなく、本当に気持ちが向かっていない、ヘタリ者になっています。面白くない。度々の審判に対する悪態もそれの裏返しかなと思います。きっと、自分でも葛藤しているのでしょう。
テニスは、格闘技です。気持ちの強いものが、相手を凌駕します。
だから、シモンのゲームは面白かった。デルポも根性があり、好きだ。
最後に、錦織君も、一刻も早くこの大会に出てほしい。体も心も強くなれ~!!合掌
褒めていただいて(るのですよね?)お恥ずかしいです。スポーツに限らず、芸術、科学などの分野に天才的なセンスのある人がいますよね。このセンスの問題は、いくら一生懸命学習しても習得できない天性のものです。フェデラーが天才であることには誰も異論がないと思いますが、マリーはフェデラーの家の玄関のところまできました。シモンはやっと門のところまで。デルポはネットダッシュをふやせば、一挙に玄関まで上がってくるかもしれません。あとツォンガですが、もう完全なエンターテイナーでテニス界の復興には欠かせない人材となりました。彼はパワーとソフトの両刃のテニスができるので、怪我さえなければ玄関から居間に入ってこれる実力派。こんなに多くの伏兵がチャンスを狙っていては、来年は御三家、フェデラー、ナダル、ジョコヴィッチが危ない!
もしかしたら勝っちゃうかも!って思いました。
アプローチ&ドライブボレーとか、おおおおおおおお。派手!!
華やかで、魅力のあるテニスをしていたのはロディックでした!
逆に、あれが、フェデラーが愚痴を言った守備的マレーなんですね。(全米ではあそこまでやらなかった。)
憎たらしい。。。。
このまま3セット目も一気に取ってしまうのか・・・と思いましたが、ロディックの最初のサービスゲームをブレイクしたのも大きかったけど、第3セットに入る時のマリーの顔つきがちがってたと思いました。
ロディックは、もういいわ~!!というくらいネットダッシュして、Tennisnakamaさんがおっしゃるように、マリーに全て読まれていましたね。ホント、こういう相手には第2、第3、第4ぐらいまで作戦を
立てておかなくちゃだめですよね。でも、マスターズカップって、みんながすごいレベルだから、(当たり前か)結果読むのが難しくって観てて本当に面白い。
ラファ、デ杯断念・・・!すごくショックです(涙)
ラファのデイビスカップ断念、朝からほんとに胸が痛い…。
素晴らしい一年の最後にこんなにつらい思いをするなんて。ラファが本当に気の毒です。しかも、今回の膝の故障はちょっと心配みたいですね。
とにかく、膝を治して、来年また大活躍してくれることを祈りましょう。
うー、胸が痛いよう。
優勝はマリーかツォンガだとおもっています。
今年のアゲアゲムードが他の選手と違いますから^^
ロディックも、勝ちをもぎとるためにどんどんメンタルが変わってきているんですね。
コートを去る姿もわたしの見たロディックとは別物の感じがしました。
勝つためには自分のテニスに集中し、自分のテニスを良くすることに努めないとダメですよね。
ロディックの今後も注目したいとおもいます。
マリーのシーズン当初のランキングを見てびっくり。
これを見ただけでも成長の度合いが素晴らしいということがわかります。
CNNニュースでナダルデ杯欠場のことを知り、ことのほかショックを受けています。
デ杯はなんとしても出たいと思っていたでしょうに、欠場だなんてよほど悪いのでしょう。
心も体も痛いでしょうね。心配です。
マレーは大人になりました。結果引き出しの多さの違いでマレーが勝ったような気がします。
いやー、昨日からお腹いっぱいにさせてもらってます。
しっかし、フェデラーなんかおかしい。シモンは攻撃な彼に変身してた!?