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フェデラーが失言?

マレーに負け続けた後だけに、「彼(マレー)がオーストラリアン・オープンの本命と聞いて驚いたよ」なんて言ってしまったものですから、フェデラーはメディアにいろいろ書かれてしまいました。でも彼の言っていることはある程度真理をついているのですが、正直に意見をいうと、このように取り沙汰されてしまうので(叩かれるとは言いませんが)ちょっと気の毒なような気もします。

以下が「マレーがAOの本命」についてフェデラーのコメントです。  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「彼(マレー)は以前は調子がよい時や悪い時があってアップダウンしていたけれど、今は確実に安定してきていることは明らかだし、動きはいいし、オールラウンドプレーヤーで、よい作戦も立てられるし、とにかく、彼は自信に満ちてそれが毎回試合に出ているよ。」
.'Before, he was very up and down,' he said. 'But I think he has shown now he is knocking on the door, he has been able to make his move, he is a good all-round player, he has good tactics, he has become very confident and you can see that every time.'


「彼(マレー)は今はとてもいい位置にいるよ。スタートがよかったし、ドーハでもよいプレーをしたし、昨年の終わり方は強かったしね。でもブッキー(賭元)がマレーがAOの本命だと言ってると聞いて驚いたね。だって彼はまだグランドスラムに勝っていないのだから。ナヴァク(ジョコヴィッチ)は昨年度のチャンピオンだし、ラファはすごいシーズンだったし、僕はシーズン最後のGSに勝っているし。」
''But look, he has put himself into a great position. He started off well, playing well in Doha, finished strong last year, but it still does surprise me that the bookies say that, because he has never won a slam. Novak (Djokovic) is the defending champion here. Rafa (Nadal) had an incredible season last year. I won the last slam of last season.”

「確かに彼(マレー)は勝てる位置にいると思うけれど、グランドスラムに勝つということは別物なんだ。そんなに多くの選手が勝てていないからね。」
'Sure, he has put himself into a winning position, but still, winning a grand slam is a different animal. Not many guys have been able to win grand slams in the last years.'

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんなに大したことは言っていないのですが、「驚いたよ」の表現がよくなかったようです。口は災いのもと、「マレーが本命だって?それは面白いね That's interesting.」くらいに言っておけばよかったかもしれませんね。(interestingという言葉は、否定的な意見を避けるときに使われる便利な言葉です。) そういえば昨年もドバイで負けたときに、「マレーのプレーはそれほど印象的じゃなかったよ。」なんて言って、イギリスのメディアから叩かれてました。後で慌てて誤っていましたが。そのような背景があるために、メディアは面白がって書き立ててるようです。

忘れてはいけないのは、フェデラーは、1月のカタールでマレーに負けたときは、「マレーはグランドスラムに勝てるかという質問には、僕の答えはYesだ。月日が経つにつれてそのチャンスは大きくなるだろうね。彼はますますベターな選手になっているから。」とちゃんとマレーの可能性について肯定的な意見を述べていることです。しかし、フェデラーにとっては、その時期は今年のオーストラリアン・オープンではないということをいいたかったのでしょう。

ジョコヴィッチの発言もそうですが、いくら彼らの英語が堪能であっても、ニュアンスを表現するのは大変むずかしいことなのです。私も息子にときどき注意されますが、外国人の選手にはお手柔らかに願いたいものです。

ちなみに昨年のAOの成績は、マレーは初戦でツォンガに敗退、ジョコヴィッチは優勝、フェデラーは準決勝でジョコヴィッチに敗退しています。

果たして初戦で敗退してしまったマレーは、今年は優勝することができるでしょうか?
「僕にいくら何度も勝ったからってGSに勝てるとはいえないよ。」とスイスのマスターは言いたがってるようです。

ところでマレーのことはこれくらいにして、今日フェデラーvsモヤのエグジビションを観ましたが、フェデラーはモヤに6-2, 6-3で勝ちましたが、ミスの多い、何かすっきりしないテニスでした。何かを試しているのか、単純なミスなのか、意図があってのショットなのか、よく分からないショットが多く理解に苦しみましたが、フェデラーのすごさは、第2セットの5ゲーム目で0-40の大ピンチにもかかわらず、きっちりとサーヴでポイントを押さえブレークを逃れることができるメンタルと技でした。

フェデラーが1月に2度もエグジビションを入れた意図がどのようなものであるのか計りかねますが、安心して彼の試合が観れるように早くコンディションを調整して、オーストラリアン・オープンに臨んでほしいと思います。


投稿者 Tennisnakama  16:00 | コメント(7) | トラックバック(0)

「ナダル改造論」とは?

今日はalalaさんがTimeに掲載されたナダルの記事を訳して、まとめていただいた原稿をアップさせていただきます。

この記事は今後のナダルの動向を理解する上で、とても興味深い記事となっています。「ナダルはこれからどのように変化をとげていくのか?」alalaさんに「ナダル改造論」と名付けていただきました。

それにしても、英仏西の3カ国語を訳することができるなんて、なんてすばらしい! alalaさんの才能と寛大さにあらためて畏敬の念を払うと共に感謝深謝です。

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by alala

2ヶ月ぶりの実戦に戻ったラファエル・ナダル
トレードマークだったパイレーツ・スタイルを捨て去り、半そでのポロシャツにこれまでより短めのパンツで、新しいラファを打ち出してきました。

「Time」誌(2009年1月19日号)に、この新しいラファについての記事が載っていました。この記事は去年ベルシーで取材されたもので、見開き2ページにわたるものですが、後半に「ニュー・ラファ」に関する記述がありましたので、その部分をまとめてみました。

ラファ・ファンとしては、新しいラファがこれからどうなっていくのか、とても興味があります。今までの彼でもいて欲しいし、惜しげもなく古いイメージを捨てて新しい自分を見せてくれる彼には頼もしさも感じます。今までどおり全身全霊を込めたプレイをして欲しいとも思うし、少しでも長く現役で活躍する彼を見たい、とも思います。彼のような選手を好きになってしまったファンの幸せと不安を、この記事は伝えてくれているような気がします。

(以下、記事の翻訳とまとめです)
ナダルはコートを離れればシンプルな男だが、コート上では悪党役にキャストされてきた。テニスの純粋主義者たちは、彼の激しく、かつディフェンシブなテニスが愉快なものではないとずっと思ってきたし、フェデラーの流れるようなテニスに比べて、効率が悪いと思ってきた。ところが最近になって、伝説的な名選手たちがナダルに対する考え方を変え始めたのだ。エドバーグは、「現代の選手がナダルを倒すのは不可能だろう」と言っているし、ピート・サンプラスに至っては「自分の14回のグランドスラム優勝記録を抜くのはフェデラーではなく、ナダルだろう」とまで言っている(ナダルの優勝回数は5回。彼より5歳年上のフェデラーが13回)。

しかし、これには諸手をあげて賛成するわけにはいかない。
彼のように激しいゲームをする選手が、この記録を全て塗り替えるだけの長いキャリアを積むことができるだろうか?テニス選手の寿命は、その選手のプレイスタイルによって決まる。一点を取り、一試合を勝つためにかかる時間が長いほど、選手の寿命は短くなるのだ。ナダルの重たいトップスピンは、裏を返せば彼に激しいラリーを強要することになる。筋骨隆々な彼の身体が生み出す爆発的な力は、彼の身体に相当な負担を与えている。クレイやグラスに比べ弾力のないハードコートでのグランドスラム大会で彼がまだ一度も決勝に残ったことがないのは、このことと関係あるだろう。トレイナーのラファ・マイモに「プレイ後ナダルの身体のどこに張りがあるか」と聞いてみた。答えは、「肩、足全体、そして背中」。つまり身体中だ。サンプラスはもっとはっきりと言っている。「ナダルのように1ポイント1ポイント力をこめていたら、いつかどこかが壊れてしまう」。(中略)

ナダルにとっては、一番の問題はあまりにも過密なツアー・スケジュールだ。「来年(2009年)は大変な一年になると思うよ。だって僕は今年すでに相当大変な思いをしたから」と忙し過ぎた一年に不平をもらすナダルの横で、おじのトニーはいかに甥の身体的な負担を軽くして試合をさせるかについて考えている。この数ヶ月ふたりは、少しでもエースを取れるようにサーブのスピードあげ、試合展開を早めるためにネットプレイを改善することに集中してきた。だが一番大きな変化は、ナダルのトレードマークともいえるフォアハンドを徹底的に変えようとしたことである。

パリでナダルの練習を2時間見たが、その時ナダルは今までのように鞭を振るうように腕を頭の後ろまで振り上げるのではなく、身体の前に斜めに出すトラディショナルなフォロースルーの練習をしていた。ナダルがついうっかり今までのように振り上げてしまうとトニーは怒って怒鳴った。ある時など、甥のフォロースルーに不満だったトニーは、コートの上にある大画面にうつった大会のポスターを指差した。そこでは、スイスの選手がフォアハンドを打った後のポーズを決めていて、「打ち返せるものなら、やってみろ」(訳者註:大会のキャッチコピー)と書いてあった。「見ろ!!こういう風に打つんだ!」トニーは「フェデラーは素晴らしい選手だ」と言い、画家のように上下に筆を振る手つきをして、「彼はこんな風にプレイするんだ。本当に軽やかなんだ」と言った。

トニーは甥のナダルに、フェデラーの真似をするように言っているのだろうか?「いや、違う。だってフェデラーは素晴らしすぎるよ」。トニーは言う。「ラファエルは自分らしくプレイをするべきだ。だが、もっとうまくならなくてはならない。(スピンを減らして)もっとはやい展開で点を取らないといけない」。(中略)

ナダルのプレイスタイルを変えることは、より大きな「ナダル改造計画」の一部に過ぎない。この改造計画の核となるのは、ナダルのより成熟したイメージを作ることだ。これがナダル自身の中から自然に出てきたものかどうか言うのは難しい。多くの選手が十代半ばでプロになるため、キャリアを通して大人に成長せずにいることもよくある。

十代後半から二十代前半の選手たちが集まるプレイヤーズ・レストランで一番人気があるのは、キャンディの入った大きなびんが並んでいる一角だ。全体的にこのような状況だとはいえ、それでもナダルだけに見られる子供っぽさというものがある。試合前にミネラルウォーターのびんをきっちり置くルーティンや、ポイントごとにお尻をさわる癖、優勝トロフィーにかみつくいつものポーズなどなど。

ナダルのマネージャーのカルロス・コスタによれば、彼はもう大人になる準備ができている、ということである。お手本となるモデルは、もちろんロジャー・フェデラー。(中略)コスタは言う。「フェデラーナダルは全く違うタイプの人間です。フェデラーが大人なのに対して、ナダルはもっと子供っぽい。けれど、ナダルフェデラー並みのものを稼ぐようになれば、このイメージは変えていかなくてはならない。ナダルのスポンサーは若者をターゲットにしているけれど、それでも彼はいつかそういったブランドが、会社を代表する顔として認めてくれるような存在にならなければいけないのです。子供でなくひとりの大人に」。

現にナイキは去年の夏、USオープンでナダルが新しいスタイルのウェアを着ることを発表した。ナイキによるとそれは、テニスのオールドファンにも受けの良さそうな「より成熟した」スタイルだということだったが、大会数日前になってナダルが着心地が悪いと訴えたため、お蔵入りとなった。

このナダルの改造計画は、裏目に出ないだろうか?

たとえ何を変えたとしても、彼の決してへこたれない精神力や自分より秀でた選手すらも圧倒する力など、決して変わらないナダルらしさは残るだろう。が、今の彼を作り上げたのは、伝統を壊そうとする反逆児としての精神に他ならない。だとすれば、よりオーソドックスなテニスを目指すトニーのプランは、他の選手たちの中でも際立ったナダルのオーラをぼやけさせてしまうことにはならないだろうか?

現にこの改革について知ったアンディ・ロディックは、ナダルがスピンを減らすなんて信じられない、と言う。「ナダルと戦う時に一番厄介なのはあのものすごいトップスピンなんです。それを減らすことが良いことだとは思えない」。彼はタイム誌にそう語った。

スポンサーが彼に大人になって欲しいと思おうが、彼は彼であるべきである。ナダルのファンが彼に夢中になるのは、それが彼のリアルな姿だからだ。右利きの彼が左手でラケットを握り、今まで誰も打たなかったような打ち方をするといった、かなり計算され作り上げられた彼の特徴でさえも、破壊本能から生まれたものではないかと思える。テニス界のアンチヒーロー(少なくともコート上では)にとって、「普通」というのはなかなかたどりつくのが難しいものかもしれない。
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by tennisnakama
ナダルは変化していかなければならないのだろうか?」という提議はとても興味のある提議だと思います。

私はテニスにおいては、「ナダルを変える」のでなく「ナダルを進化」させる必要は、これからのナダルにとって不可欠だと思います。イメージの点では、あの野性的なナダルを殺してしまうことは、彼の個性を殺すことになり残念なことです。新しいウェアについては、袖無しでなくとも、カプリのパンツでなくとも、もう少し彼らしいテニスウェアがあってもよかったかなと思います。野性的であることは、年齢と関係のない個性で、マヨルカの自然児ナダルの本質だと思います。シンプルで自然を愛するナダルフェデラーはソフィスティケートの象徴。ナダルはシンプリシティーの象徴。彼らの個性をナイキは大切にしてほしいと思います。

テニスの進化ですが、ナダルの今のプレイスタイルは、ナダルのテニス生命を脅かすスタイルであることは、議論の余地がない事実だと思います。今日のテニスは余りにもフィジカルで、ラリーを続けていくベースラインのテニスは再検討が迫られています。早く試合を終わらせるゲーム展開として、ネットプレイの他に、ウィナーがベースラインからとれるショットが必要となってきます。このウィナーショットに欠かせないのが、フラットに近いスピンの軽い速球のダウンザラインとクロスのフォアハンドです。ナダルのスピンのかかりすぎたショットは、サーヴィスラインに落ちることが多く、いくらスピンがかかっていたとしてもウィナーになり辛いからです。

トニーはナダルをマレーのように、武器の多い選手に育てあげようとしているのだと思います。ナダルのスピンを減らすのではなく、スピンの少ないフラット系も打てる選手に育てあげようとしているのではないでしょうか。

2008年のナダルのNo.1とGS2タイトルの偉業のかげには、絶えず「ナダルを完璧な選手」にするための努力がありました。サーヴ、スライス、ヴォレー、深いストロークの向上によって、ナダルのテニスは今までの一面的テニスから、立体的なテニスへと脱皮しつつあります。

フラットのウィナーでゲームポイントを決め・・・
サーヴィスエースでブレークポイントを免れ・・・
ネットプレーで試合を短縮させる・・・

もしこのようなテニスをナダルが身につけることができれば?

サンプラス、フェデラーに優る「史上最強のナダル帝国」の獲物に向かって、牙をむき吠えながら進化し続けるナダル

すでに現代のテニスをフィジカルに変えてしまったナダルの次の挑戦は、弱点のない、豊富な武器を駆使した完成されたテニスではないかと思います。

この挑戦は短期では実現不可能な挑戦です。オーストラリアン・オープンでナダルが早退してしまったとしても、それは彼が今偉大な構想に向かって試行錯誤の段階にあるとして、失望するのはやめたいと思います。現状に満足せず、絶えず向上をめざす勇気のあるナダルの行為に大きな拍手を送りたいと思います。


投稿者 Tennisnakama  01:37 | コメント(17) | トラックバック(0)