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ナダル打倒 - シモンの作戦とは?

いよいよナダルvsシモン戦が始まります。二人ともお気に入りの選手ですのでワクワクします。シモンが勝てるとは思っていませんが、見応えのある試合をみせてほしいと思います。

作戦は足
記者会見でシモンは、ナダル作戦はという質問に、一言「足」と答えました。ナダルのレベルは作戦を練ったりショットメイキングを考えたりするレベルではなく、もうとりまくるしかないのです。私も今のナダルを観ていると、あらゆる点でシモンは劣りますから、足で拾いまくり、ナダルをいらつかせる、彼のミスをさそう手段しかないと思います。あの今にも倒れそうな苦しそうなシモンの表情が浮かんできます。

しかし最後のナダルとの試合、マドリッドマスターズは、シモンが3-6 7-5 7-6(6) で勝っています。ですから打倒ナダルは不可能ではないはず。そこでシモンが勝ったマドリッドの試合のスタッツを分析してみることにしました。

不思議なスタッツ
下のスタッツでも分かるように、サーヴィスにおいてもリターンにおいても、ナダルはシモンに優っています。しかも総合ポイント数もナダルの方が多いのに、どうしてナダルはシモンに負けてしまったのでしょうか?

それはシモンはブレークポイントを22回もとられながら17回も逃れることを可能にした彼のサーヴと足力だと思います。サーヴは決して強力とはいえませんが、ここぞという大切なときにウィナーがとれるメンタルの強さがあります。そしてナダルのショットを拾いまくってしまうことから、ナダルはぎりぎりのショットを狙いエラーを犯します。それに反して、ナダルは8回ブレークポイントをとられていますが、ブレークを逃れたのは半分の4回です。つまりシモンは危ういところを何度もセーヴしながら、効率よくブレークしていったといえるでしょう。

マドリッド・マスターズ
シモン def ナダル 3-6 7-5 7-6(6)

シモン ナダル
1st サーヴ確率 61% 61%
1st サーヴポイント獲得 63% 65%
2nd サーヴポイント獲得 49% 58%
1st リターンポイント獲得 34% 36%
2nd リターンポイント獲得 41% 50%
サーヴィスポイント総数 57% 62%
リターンポイント総数 37% 42%
ポイント総数 49% 50%

Nadal vs Simon戦はナイトゲームです。球はスローになり気温も下がりシモンの有利になります。もしシモンがマドリッドを再現すれば? 大アプセット事件が起こるかもしれません。


(注記)夜がスローというのは?
一般に速い、遅いとテニスでいっているのは、サーフェスの違い、バウンスの違い、摩擦の違いなどから生ずる球の速さを言っています。

私がここで言っているslowは、同じサーフェスで温度の違いから生まれるバウンドの違いの表現です。全豪オープンでは、アメリカの解説者がよく「夜はスローだから」という表現を使っています。空気の一杯入ったボールを打つのと、空気の抜けたボールを打つのと比較してください。固いボールは高くバウンドしスピードも速いですね。

メルボルンは昼夜の気温の差が激しく日中は温度があがり球の中の空気も膨張し気圧が高くなり、バウンドが高く跳ね上がります。ですから温度差の激しいところでは日中に比べて夜は温度が下がり、バウンドがゆるやかになるので、スローと言っています。


投稿者 Tennisnakama  11:08 | コメント(10) | トラックバック(0)

フェデラーが直言

フェデラーはデルポトロを完全にノックアウトしてしまいました。フェデラー王朝の復活を思わせる自信に満ちたテニスで、6-3, 6-0, 6-0で理想的な試合を見せてくれました。

デルポは反面、フェデラーのオフェンスにリズムが最後までつかめず、第3セットの後半はすでに試合を諦めた感じがありました。「早くホテルに帰りたい」といった気持が顔に出ていて、デルポファンにとっては、もう少し粘ってくいついてほしかったという残念な試合でもありました。

ベーグル2つという完敗に、解説者は「このスコアはランキング100位の選手のスコアならわかるが、6位のスコアじゃない」となかなかきびしいことを言ってました。 こういう屈辱的な敗北を通して、選手は鍛え上げられていくのですから、これを踏み台にしてデルポが大きく成長してくれることを期待します。

フェデラーの心の準備
フェデラーのインターヴューをいろいろ読んでると、二つのフェデラーの顔が見えてきます。「バーディッチに負けそうになった弱気のフェデラー」と「デルポに圧勝した自信満々のフェデラー」です。バーディッチ戦は彼は5セットになることを予期していたといいます。心のどこかで5セットになっても仕方がないという弱気のフェデラーがありました。しかしデルポ戦では反対に、「デルポの試合はたやすい」という自信でもって最初から自分のリズムをつかんでいます。

カニアスとの対戦がよい例ですよね。3度も負けるような選手でないレベルの選手にフェデラーは負けています。今回の試合で、試合前の心の準備がいかに大切かを物語る意味でも興味深い試合となりました。

フェデラーが直言
さて、ジョコヴィッチvsロディック戦で、ジョコヴィッチがリタイアしたことについてフェデラーは歯に衣着せないコメントをしています。
(BBCの録音)
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/tennis/7853693.stm

「リタイアは前にあったことだし。彼(ジョコヴィッチ)は試合を絶対最後まで諦めないで戦う選手ではないのだし、トップの選手が途中で棄権してしまうのは残念なことだ。彼は昨年の僕とのモナコの試合でも、喉が痛いとかでリタイアしてるしね。そういうことがあればちょっと考えるよ。僕は今までのキャリアでリタイアしたのは、パリでのブレイクとの試合で腰が痛くて動けなくなった時だけなんだから。」

このフェデラーの発言は誤解を生みそうなので、(前のようにマレーの本命に関する発言の例もありましたので)、ジョコヴィッチの主なリタイアの歴史を調べてみました。

フューチャーズのリタイアは含んでおりませんが、一年に2回のペースはやはり多いかもしれません。しかし、なぜMTOやリタイアのイメージが強いかと言えば、その回数ではなくて、その試合の重要性にあります。デ杯で2回、グランドスラムで4回のリタイアはイメージとして与えるインパクトが大きいのです。

ジョコヴィッチのリタイアの歴史
2005 フレンチオープン(vsコリア
2006 フレンチオープン(vsナダル
2006 クロチア(vsヴァヴリンカ)
2007 デ杯(vsジョージア)
2007 ウィンブルドン(vsナダル
2008 デ杯(vsロシア)
2008 モンテカルロ(vsフェデラー
2009 オーストラリアンオープン(vsロディック

フェデラーは昨日の記者会見で、MTO(メディカル・タイムアウト)についても次のように答えています。
(記者会見)
http://www.australianopen.com/en_AU/news/interviews/2009-01-27/200901271232977497765.html

Q:(ジョコがトレーナーを呼んだことと関連して)トレーナーを呼ぶことによって、試合の流れが変わってしまうことがありますが、そのことについては?
(概要)
「これは微妙な問題だと思う。僕はトレーナーは呼ばないからね。
昔は僕の様な選手に対して、若い選手はMTOを乱用していると思ったよ。試合に自信がなくなってセットを落としたりすると、トイレに行ったり、トレーナーを呼んで足首をテーピングしたり。
センターコートでプレーするようになってから、尊敬してもらえるのか、そういうことはなくなったけれど。
もしフィットしていないのなら、コートを出るべきだという意見に僕はほぼ賛成だね。」

今回のロディック戦では、ジョコは最後まで戦おうと努力しましたが、体がついてこなかったのは残念です。彼なりに最後まで頑張ったことは評価されてよいと思います。しかしジョコに関していつも問題にとりあげられるのは、彼のフィットネスの問題です。このような猛暑の中では、最後はいかにフィットしているかにかかってくるのですから。ロディックの準備は正解でした。あたらしいコーチのもとで、ロディックは6kg減量して、猛烈にトレーニングを積んだ成果が明らかに出ていました。

マレーを破ったべルダスコも、ホリデー返上でラスベガスに飛び、元アガシのトレーナーのジル・レエスのもとでトレーニングを積みました。彼の体をみて驚いたのは、デ杯の彼とすっかり体つきが変わってきたことです。

マレー、ロディック、べルダスコにみられるフィットネスの確固たるコミットメントがテニスの結果として如実に現れてきています。ジョコヴィッチを破ったあと、ロディックはテニスチャンネルのインターヴューで、「これからのテニスはショットメイキングよりも、フィットネスと足だ」と断言しました。

ジョコのナイトセッションのリクエストが受け入れられなかったことについて、フェデラーは以下のように答えています。
Q:ジョコヴィッチがナイトセッションにならなかったことについて不満を言っていますが、彼の言う事が正しいと思いますか?(2日前の試合が深夜に長引いたことから、ジョコヴィッチはナイトセッションをリクエストしたが却下されたことについて)
(要約)
「ディレクターの仕事は不可能な仕事だね。何百人という選手がいろんなリクエストをしてくるだろうし。
ジョコヴィッチは前にリクエストをして受け入れられたからじゃないかな。
僕は夜プレイできてラッキーだったけれど、日中でも準備はできてたよ。僕の試合はむしろ日中の方がいいんだ。夜は球が遅いからね。
ジョコヴィッチは中休みが一日あったのだから、最悪の状態ではないと思うけど。」

ESPNの記事では、ラヴィ・ウバー記者がジョコヴィッチのリクエストの却下について、このように述べています。
http://sports.espn.go.com/sports/tennis/aus09/columns/story?columnist=ubha_ravi&id=3863194

「昨年はR16で朝の4時半まで行ったヒューイットと翌日当たって、その恩恵にあずかったのは、皮肉にも不平を言ったジョコヴィッチ当人だった。」

また同記事にモンフィスのコーチ、ラシードは、「もし僕が昨年のチャンピオンだったら、昼間のスケジュールにがっかりしただろうね。でもどの選手もスケジュールに関しては、一度は信じ難いことを経験するもんだよ。」と同情的なコメントを残しています。



投稿者 Tennisnakama  01:59 | コメント(5) | トラックバック(0)