2009年01月28日
フェデラーが直言
フェデラーはデルポトロを完全にノックアウトしてしまいました。フェデラー王朝の復活を思わせる自信に満ちたテニスで、6-3, 6-0, 6-0で理想的な試合を見せてくれました。
デルポは反面、フェデラーのオフェンスにリズムが最後までつかめず、第3セットの後半はすでに試合を諦めた感じがありました。「早くホテルに帰りたい」といった気持が顔に出ていて、デルポファンにとっては、もう少し粘ってくいついてほしかったという残念な試合でもありました。
ベーグル2つという完敗に、解説者は「このスコアはランキング100位の選手のスコアならわかるが、6位のスコアじゃない」となかなかきびしいことを言ってました。 こういう屈辱的な敗北を通して、選手は鍛え上げられていくのですから、これを踏み台にしてデルポが大きく成長してくれることを期待します。
フェデラーの心の準備
フェデラーのインターヴューをいろいろ読んでると、二つのフェデラーの顔が見えてきます。「バーディッチに負けそうになった弱気のフェデラー」と「デルポに圧勝した自信満々のフェデラー」です。バーディッチ戦は彼は5セットになることを予期していたといいます。心のどこかで5セットになっても仕方がないという弱気のフェデラーがありました。しかしデルポ戦では反対に、「デルポの試合はたやすい」という自信でもって最初から自分のリズムをつかんでいます。
カニアスとの対戦がよい例ですよね。3度も負けるような選手でないレベルの選手にフェデラーは負けています。今回の試合で、試合前の心の準備がいかに大切かを物語る意味でも興味深い試合となりました。
フェデラーが直言
さて、ジョコヴィッチvsロディック戦で、ジョコヴィッチがリタイアしたことについて、フェデラーは歯に衣着せないコメントをしています。
(BBCの録音)
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/tennis/7853693.stm
「リタイアは前にあったことだし。彼(ジョコヴィッチ)は試合を絶対最後まで諦めないで戦う選手ではないのだし、トップの選手が途中で棄権してしまうのは残念なことだ。彼は昨年の僕とのモナコの試合でも、喉が痛いとかでリタイアしてるしね。そういうことがあればちょっと考えるよ。僕は今までのキャリアでリタイアしたのは、パリでのブレイクとの試合で腰が痛くて動けなくなった時だけなんだから。」
このフェデラーの発言は誤解を生みそうなので、(前のようにマレーの本命に関する発言の例もありましたので)、ジョコヴィッチの主なリタイアの歴史を調べてみました。
フューチャーズのリタイアは含んでおりませんが、一年に2回のペースはやはり多いかもしれません。しかし、なぜMTOやリタイアのイメージが強いかと言えば、その回数ではなくて、その試合の重要性にあります。デ杯で2回、グランドスラムで4回のリタイアはイメージとして与えるインパクトが大きいのです。
ジョコヴィッチのリタイアの歴史
2005 フレンチオープン(vsコリア)
2006 フレンチオープン(vsナダル)
2006 クロチア(vsヴァヴリンカ)
2007 デ杯(vsジョージア)
2007 ウィンブルドン(vsナダル)
2008 デ杯(vsロシア)
2008 モンテカルロ(vsフェデラー)
2009 オーストラリアンオープン(vsロディック)
フェデラーは昨日の記者会見で、MTO(メディカル・タイムアウト)についても次のように答えています。
(記者会見)
http://www.australianopen.com/en_AU/news/interviews/2009-01-27/200901271232977497765.html
Q:(ジョコがトレーナーを呼んだことと関連して)トレーナーを呼ぶことによって、試合の流れが変わってしまうことがありますが、そのことについては?
(概要)
「これは微妙な問題だと思う。僕はトレーナーは呼ばないからね。
昔は僕の様な選手に対して、若い選手はMTOを乱用していると思ったよ。試合に自信がなくなってセットを落としたりすると、トイレに行ったり、トレーナーを呼んで足首をテーピングしたり。
センターコートでプレーするようになってから、尊敬してもらえるのか、そういうことはなくなったけれど。
もしフィットしていないのなら、コートを出るべきだという意見に僕はほぼ賛成だね。」
今回のロディック戦では、ジョコは最後まで戦おうと努力しましたが、体がついてこなかったのは残念です。彼なりに最後まで頑張ったことは評価されてよいと思います。しかしジョコに関していつも問題にとりあげられるのは、彼のフィットネスの問題です。このような猛暑の中では、最後はいかにフィットしているかにかかってくるのですから。ロディックの準備は正解でした。あたらしいコーチのもとで、ロディックは6kg減量して、猛烈にトレーニングを積んだ成果が明らかに出ていました。
マレーを破ったべルダスコも、ホリデー返上でラスベガスに飛び、元アガシのトレーナーのジル・レエスのもとでトレーニングを積みました。彼の体をみて驚いたのは、デ杯の彼とすっかり体つきが変わってきたことです。
マレー、ロディック、べルダスコにみられるフィットネスの確固たるコミットメントがテニスの結果として如実に現れてきています。ジョコヴィッチを破ったあと、ロディックはテニスチャンネルのインターヴューで、「これからのテニスはショットメイキングよりも、フィットネスと足だ」と断言しました。
ジョコのナイトセッションのリクエストが受け入れられなかったことについて、フェデラーは以下のように答えています。
Q:ジョコヴィッチがナイトセッションにならなかったことについて不満を言っていますが、彼の言う事が正しいと思いますか?(2日前の試合が深夜に長引いたことから、ジョコヴィッチはナイトセッションをリクエストしたが却下されたことについて)
(要約)
「ディレクターの仕事は不可能な仕事だね。何百人という選手がいろんなリクエストをしてくるだろうし。
ジョコヴィッチは前にリクエストをして受け入れられたからじゃないかな。
僕は夜プレイできてラッキーだったけれど、日中でも準備はできてたよ。僕の試合はむしろ日中の方がいいんだ。夜は球が遅いからね。
ジョコヴィッチは中休みが一日あったのだから、最悪の状態ではないと思うけど。」
ESPNの記事では、ラヴィ・ウバー記者がジョコヴィッチのリクエストの却下について、このように述べています。
http://sports.espn.go.com/sports/tennis/aus09/columns/story?columnist=ubha_ravi&id=3863194
「昨年はR16で朝の4時半まで行ったヒューイットと翌日当たって、その恩恵にあずかったのは、皮肉にも不平を言ったジョコヴィッチ当人だった。」
また同記事にモンフィスのコーチ、ラシードは、「もし僕が昨年のチャンピオンだったら、昼間のスケジュールにがっかりしただろうね。でもどの選手もスケジュールに関しては、一度は信じ難いことを経験するもんだよ。」と同情的なコメントを残しています。
デルポは反面、フェデラーのオフェンスにリズムが最後までつかめず、第3セットの後半はすでに試合を諦めた感じがありました。「早くホテルに帰りたい」といった気持が顔に出ていて、デルポファンにとっては、もう少し粘ってくいついてほしかったという残念な試合でもありました。
ベーグル2つという完敗に、解説者は「このスコアはランキング100位の選手のスコアならわかるが、6位のスコアじゃない」となかなかきびしいことを言ってました。 こういう屈辱的な敗北を通して、選手は鍛え上げられていくのですから、これを踏み台にしてデルポが大きく成長してくれることを期待します。
フェデラーの心の準備
フェデラーのインターヴューをいろいろ読んでると、二つのフェデラーの顔が見えてきます。「バーディッチに負けそうになった弱気のフェデラー」と「デルポに圧勝した自信満々のフェデラー」です。バーディッチ戦は彼は5セットになることを予期していたといいます。心のどこかで5セットになっても仕方がないという弱気のフェデラーがありました。しかしデルポ戦では反対に、「デルポの試合はたやすい」という自信でもって最初から自分のリズムをつかんでいます。
カニアスとの対戦がよい例ですよね。3度も負けるような選手でないレベルの選手にフェデラーは負けています。今回の試合で、試合前の心の準備がいかに大切かを物語る意味でも興味深い試合となりました。
フェデラーが直言
さて、ジョコヴィッチvsロディック戦で、ジョコヴィッチがリタイアしたことについて、フェデラーは歯に衣着せないコメントをしています。
(BBCの録音)
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/tennis/7853693.stm
「リタイアは前にあったことだし。彼(ジョコヴィッチ)は試合を絶対最後まで諦めないで戦う選手ではないのだし、トップの選手が途中で棄権してしまうのは残念なことだ。彼は昨年の僕とのモナコの試合でも、喉が痛いとかでリタイアしてるしね。そういうことがあればちょっと考えるよ。僕は今までのキャリアでリタイアしたのは、パリでのブレイクとの試合で腰が痛くて動けなくなった時だけなんだから。」
このフェデラーの発言は誤解を生みそうなので、(前のようにマレーの本命に関する発言の例もありましたので)、ジョコヴィッチの主なリタイアの歴史を調べてみました。
フューチャーズのリタイアは含んでおりませんが、一年に2回のペースはやはり多いかもしれません。しかし、なぜMTOやリタイアのイメージが強いかと言えば、その回数ではなくて、その試合の重要性にあります。デ杯で2回、グランドスラムで4回のリタイアはイメージとして与えるインパクトが大きいのです。
ジョコヴィッチのリタイアの歴史
2005 フレンチオープン(vsコリア)
2006 フレンチオープン(vsナダル)
2006 クロチア(vsヴァヴリンカ)
2007 デ杯(vsジョージア)
2007 ウィンブルドン(vsナダル)
2008 デ杯(vsロシア)
2008 モンテカルロ(vsフェデラー)
2009 オーストラリアンオープン(vsロディック)
フェデラーは昨日の記者会見で、MTO(メディカル・タイムアウト)についても次のように答えています。
(記者会見)
http://www.australianopen.com/en_AU/news/interviews/2009-01-27/200901271232977497765.html
Q:(ジョコがトレーナーを呼んだことと関連して)トレーナーを呼ぶことによって、試合の流れが変わってしまうことがありますが、そのことについては?
(概要)
「これは微妙な問題だと思う。僕はトレーナーは呼ばないからね。
昔は僕の様な選手に対して、若い選手はMTOを乱用していると思ったよ。試合に自信がなくなってセットを落としたりすると、トイレに行ったり、トレーナーを呼んで足首をテーピングしたり。
センターコートでプレーするようになってから、尊敬してもらえるのか、そういうことはなくなったけれど。
もしフィットしていないのなら、コートを出るべきだという意見に僕はほぼ賛成だね。」
今回のロディック戦では、ジョコは最後まで戦おうと努力しましたが、体がついてこなかったのは残念です。彼なりに最後まで頑張ったことは評価されてよいと思います。しかしジョコに関していつも問題にとりあげられるのは、彼のフィットネスの問題です。このような猛暑の中では、最後はいかにフィットしているかにかかってくるのですから。ロディックの準備は正解でした。あたらしいコーチのもとで、ロディックは6kg減量して、猛烈にトレーニングを積んだ成果が明らかに出ていました。
マレーを破ったべルダスコも、ホリデー返上でラスベガスに飛び、元アガシのトレーナーのジル・レエスのもとでトレーニングを積みました。彼の体をみて驚いたのは、デ杯の彼とすっかり体つきが変わってきたことです。
マレー、ロディック、べルダスコにみられるフィットネスの確固たるコミットメントがテニスの結果として如実に現れてきています。ジョコヴィッチを破ったあと、ロディックはテニスチャンネルのインターヴューで、「これからのテニスはショットメイキングよりも、フィットネスと足だ」と断言しました。
ジョコのナイトセッションのリクエストが受け入れられなかったことについて、フェデラーは以下のように答えています。
Q:ジョコヴィッチがナイトセッションにならなかったことについて不満を言っていますが、彼の言う事が正しいと思いますか?(2日前の試合が深夜に長引いたことから、ジョコヴィッチはナイトセッションをリクエストしたが却下されたことについて)
(要約)
「ディレクターの仕事は不可能な仕事だね。何百人という選手がいろんなリクエストをしてくるだろうし。
ジョコヴィッチは前にリクエストをして受け入れられたからじゃないかな。
僕は夜プレイできてラッキーだったけれど、日中でも準備はできてたよ。僕の試合はむしろ日中の方がいいんだ。夜は球が遅いからね。
ジョコヴィッチは中休みが一日あったのだから、最悪の状態ではないと思うけど。」
ESPNの記事では、ラヴィ・ウバー記者がジョコヴィッチのリクエストの却下について、このように述べています。
http://sports.espn.go.com/sports/tennis/aus09/columns/story?columnist=ubha_ravi&id=3863194
「昨年はR16で朝の4時半まで行ったヒューイットと翌日当たって、その恩恵にあずかったのは、皮肉にも不平を言ったジョコヴィッチ当人だった。」
また同記事にモンフィスのコーチ、ラシードは、「もし僕が昨年のチャンピオンだったら、昼間のスケジュールにがっかりしただろうね。でもどの選手もスケジュールに関しては、一度は信じ難いことを経験するもんだよ。」と同情的なコメントを残しています。
投稿者 Tennisnakama 01:59 | コメント(5)| トラックバック(0)
そして私が見た、お腹を壊しながらもベルディヒと最後まで戦った彼とも別人でした。
どこがどうなってしまったんでしょう?
ここまでスコアに差が出るとは思っていませんでした。
単なるメンタルの問題なんでしょうか。
フェデラーは、いろいろ記者の質問に対して率直に答えることが多いのですね。
もっともな意見が並んでいます。
それでも、どうしても体が動かない、とならないうちは、選手には戦って欲しいなぁと私は思います。
誰であろうと、どんなであろうと、選手は勝負の結果を試合スケジュールのせいにはしてほしくないですね。そういう言葉を聞いてしまったら、どんな良い試合も色あせてしまいます。
ロディックは、一球一球に集中していましたね。帽子のつばから垣間見える強いまなざしに、
去年までとは違う何かを見ました。
私の苦手だったロディックはどこへ行ってしまったんでしょう^^;
体のキレがいい!コーチとの関係が上手くいって何よりです。これからの試合も注目します。
もちろん、体の不調は選手にしかわからないので、これからの選手生命に支障をきたすような試合の続行は私も望みません。でも昨日のロディック戦はちょっとリタイアに残念だったかな。
負けると判っていても、試合終了まであともう少しがんばって欲しかった。
ロディックの最大目標はGSタイトルをとることで、オーストラリアンオープンは、熱暑に対応できるフィットネスが最も重要な課題と言ってました。そのために減量し、激しいトレーニングをしてきたロディックには、別人のフットワークがありましたね。ステファンキはジョコヴィッチとも比較していました。つまりフィットしていれば、試合中に余裕がでるためリラックスできるのだと。今のロディックはリラックスできたベストの状態にあるそうです。これでフェデラーvsロディック戦がものすごく面白くなってきました。
今大会、中盤から棄権者が相次いで驚いています。気候の厳しさも一因でしょうか。
気候条件に対応していくのもアウトドアスポーツでは実力のうち、と思いますが、
メルボルンのメインアリーナのように、開閉屋根があるとなると、
どこまでを自然条件として耐えるべきなのか難しくなりますね。
今日敗退したクズネツォワは、試合途中から屋根が閉められて、
調子が狂ったと怒っていたと聞きました。
同じコートでも気温でプレイ環境が大きく変わるとなれば、彼女の気持ちもわかる気がします。
かと言って、熱中症で倒れる人が続出しても困るのですけど…。
ウィンブルドンも今年から屋根がつきますが、それもどう試合に影響してくるのでしょう。
フェデラーははっきり物を言って小気味良いですが、
リタイアして一番損をしてるのは本人ですし、一番悔しいのも本人なのですから
メディアごしにそう厳しく言わないであげてほしいなと個人的には思います。
(ジョコビッチの周囲の人たちはもっと言ってあげてほしいですが。)
何はともあれ残りあと4日楽しみですね。
Del Potro は本当にどうしちゃったんでしょうか。いつも負け試合はこうなんでしょうか。
『ベーグル2つ』は、結果としては最悪。試合を見ると、そのプロセスはもっと最悪でした。
見ながらその背景を推測しました。
①Djokovic 同様、体調を崩している、②Federer の出来が良過ぎて、戦意喪失、③Federer を尊敬し過ぎている、④Never give up は自分の辞書に無い、等々。
この日について一番妥当だと思うのは、④及び②です。
確かに、Federer は絶好調のように見えました。ですが、Del Potro に期待していたのは、若さ故の勝利またはポイント獲得への荒々しくも必死な執念だったのですが。。。(実は、彼の play を見たのはこれが初めてですが、6位の価値が問われてしまいそう)最初から最後まで、それがありませんでした(無いようにみえました)。
残念ながら、never give up の精神は、set 3 で Del Potro の ball を Federer が heading して挑発しても起き上がってきませんでした。
Post-match Press Conference も読みましたが、完全に punch-drunk 、二言三言でした。
ふと思ったのは、top 4 には勝てないけれど、それ以外には、ツアー4連勝するほどの実力があるところを見ると、権威・体制に弱いヒトかも、と。。。(多分、誤解?)
mental toughness を鍛えて、improve して欲しいものです。
他の要因があれば、それを克服して欲しいものです。
それにしても、記者の人は切り口が臨機応変ですね、感心させられました(Djokovic が Hewitt から受けた過去の恩恵の一件)。