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ジョコヴィッチを解体

全豪オープン優勝から1年半。「僕のゴールはNo.1になること」とジョコヴィッチは誇らしげに宣言してきました。ですが、それ以降のGSタイトルはなく、今年に入ってからは、タイトルはドバイとベルグラードのみ。しかもフェデラーナダルには考えられない初戦での敗退をおかすジョコヴィッチに対して、「彼は本当にチャンピオンになれる資質があるのだろうか?」という疑問が投げかけられています。

ジョコヴィッチはグランドスラムのOne-time-winner単発屋に終わってしまうのではないか? と密かにささやかれ始めていることも確かです。それに家族の不和の噂なども気になります。ウィンブルドン以降、トーナメントに出場していないジョコヴィッチは、今週弟のマルコと組んで、クロアチアのUmag大会にダブルスで出場しますが、なぜシングルスに出ないのか?

最新のドイツ誌のインターヴュー記事は、今までジョコヴィッチが語らなかった側面にも迫り、興味深い記事となっていますのでここで紹介したいと思いますが、その前にジョコヴィッチを知っていただく意味で、彼の過去2年の行動を振り返ってみたいと思います。

ジョコヴィッチは複雑で、なかなか一般のテニスファンには理解してもらえない選手です。

まずセルビアの熱い血が流れています。エモーショナルで表現がストレートなため、誤解を生むことが多く、今までもずいぶん損をしてきました。

セルビアのヒーローとしての義務と責任。
自分への過大な期待。
セルビアオープンの主催事業。

選手として、国民のヒーローとして、そして事業家として、彼の肩にのしかかるプレッシャーは私たちの想像を絶するものがあると思います。

2008年のゴールデンイヤー
ジョコヴィッチの2008年の活躍は目を見張るものがあります。全豪オープンで準決勝でフェデラーを破り、決勝でツォンガを倒して優勝。破竹の勢いでインディアンウェルズ、ローマ、そして上海のマスターズカップのタイトルを獲得しました。自信にあふれ2位のナダルとの距離をどんどん縮めるジョコヴィッチは、スリリングでエキサイティングなテニスを私たちに堪能させてくれました。

ラケットを替える危険な賭け
しかし今年に入ってラケットをウィルソンからヘッドに替えて以来、ジョコヴィッチのテニスにリズムが得られず、タイトルもATP500のドバイと、マイナーな自分が主催するセルビアオープンのみという停滞が続いています。ラケットを替えてランキングが大幅に落ちてしまった選手にリュービチッチがいますが、 全豪のディフェンディング・チャンピオンとして、トーナメント直前におかしてはならないタブー「ラケットのチェンジ」をなぜ行ったのか? 後に彼は金銭的な動機があったことを認めています。

Love - Hateに分かれたテニスファン
2007年のUS Openでシャラポヴァやナダルの物真似をして、世界のテニスファンのハートをキャッチしてしまったジョコヴィッチは、久しぶりのエンターテイナーの出現で、テニス界にセンセーションを起こしました。

しかし翌年のUS Openでジョコヴィッチが、昨年の大喝采とはまるで逆のブーイングを受けるなど誰が予想したでしょう。彼の人気をどん底に突き落としたジョコヴィッチの発言をまずビデオでご覧になってください。この事件はジョコヴィッチを語る上で見逃してはならない重要な事件ですので、ここでブーイングにいたった経過を簡単に説明してみたいと思います。




ジョコヴィッチの問題の発言:(ビデオの翻訳)
ジョコ:「アンディ(ロディック)は前の試合で僕が16の怪我をしたと言っていたけど、今日の試合ではっきりそうじゃないということがわかったはずだ。」(ブー)
ジョコ:「好むと好まざるにかかわらず実際そうなんだから。」(ブー)

司会者:そんなことをいうと、昨年はあれほど君のことを愛してくれた会場のファンを敵にまわすことになりますよ。
ジョコ:「わかってるよ。彼らはすでに僕のことを敵視していることは。」(ブー)
「僕がみんな嘘ついてると思われていることは知ってるよ。」(ブー)

司会者:誰もそんなこと言ってませんよ。アンディが言っただけなんだから。でも彼は冗談で言ったんですよ。そのことで怒ってるんですか?
ジョコ:「皆の前で16回も怪我をしたとか、怪我のふりをしたとか、そんなことを言うなんてよくないよ。僕は誰に対しても反対してるんじゃなくて、そんなことをいうことはよくないって言いたいだけなんだ。」

地元のロディックに対するネガティヴな発言とブーイングの事件は、世界にすぐさま放送されてしまったことはいうまでもありません。ジョコヴィッチは「ファンを敵にまわしてはならない」というタブーをおかしてしまったのです。

多すぎるメディカル・タイムアウトに対する疑惑
ここでジョコヴィッチのコメントに何度も出てきた「16回の怪我のふり」について、なぜロディックがこのような冗談を言ったのか理解する必要があります。

ことの発端は記者会見でのロブレドの発言でした。ロディック戦の前に、5セットのフルセットでジョコヴィッチはロブレドに勝ちましたが、メディカル・タイムアウトをやたらとったことに対して、「僕だってつかれているけれどとらなかった」と、ジョコヴィッチのスポーツマンシップを疑問視するロブレドは不満をぶちまけたのです。

それでなくても、ジョコヴィッチには「インジャリータイムアウトのとりすぎ」「リタイアのしすぎ」の批判の歴史がありますので、翌日の試合を控えたロディックに質問が殺到しました。

ロディックの記者会見
ビデオのクリップ: http://bit.ly/B12eg

Q: 今日のジョコヴィッチの(ロブレド戦の)怪我ですが、他の日は左足首といってましたが、今日は右足首だとか・・・
ロディック:両方じゃなかったの?それとも背中、それとも腰だっけ?

Q:彼は数えきれないくらいあると言ってましたけど、
ロディック:じゃ、痙攣もあったのかな。

Q. 彼の調子はどうだと思いますか?
ロディック:バードフルー

Q. いろんな事が重なった?北京弊害?(オリンピックの直後なため)
ロディック:まあ、ね。

Q. 彼の病気のリストは長いですね。
ロディック:炭疽菌、SARS, 咳に風邪・・・(笑い) すごい数だ。試合を中断してトレーナーを呼ぶことは簡単なことだよ。そうだろう? 彼は一番クレージーな男なんだから。判断は君たち(記者団)に任せるよ。

ロディックがここでHe is the craziest guy of all time. と断言していることが気になります。これだけはっきりと記者団に言えるということは、やはり「トレーナーを呼びすぎる」ことに、選手の中でも批判がでているのは明らかです。

確かに冗談を言われているジョコヴィッチにとっては実に不愉快なコメントだったと思います。しかしロディックにしては、同じような記者団の質問に、まともに答えてられなかった、と言っている状況も分からないではありません。つまりこれは記者たちがロディックの反応を面白がって質問を止めなかった。ロディックも巧みに質問をかわす外交術をもたなかった。いわゆるロッカールームのジョークののりで、この無神経な発言になったようです。

(詳しくは『ジョコの教訓』2008年9月5日に記載していますので参照してください。)
http://newyork.blog.tennis365.net/archives/article/135033.html#comment


あれから一年。また話題の多いUS Openがやってこようとしています。ジョコヴィッチの身辺に何が起こりつつあるのか? 

では彼の最新インターヴュー記事の一部をご紹介していきたいと思います。

Tennis Magazin 2009年7月15日(ドイツ語)
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview

Q: 4冠王になり15のタイトルをとったフェデラーはテニス史上でベストな選手だと思いますか?
ジョコ: ベストとは思わない。ベストな一人だと思うけれど。時代によってテニスが変化しているので、単純には比較できないよ。

Q: フェデラーとの関係はあまりよくないみたいですね?
ジョコ: そんなことはないよ。友だちではないというだけさ。一緒にディナーにでかけたりするような仲でないのは確かだ。お互いライヴァイル同士なのだから、選手の間で友人関係をつくるのはむずかしい。

Q: No.1になるというゴールはまだ同じですか?
ジョコ: 変わっていない。この2、3年自分としては最高のレベルでプレーしてきたと思っている。これからはコンシステンシー、自信、テニスへのコミット、そしてプロフェッショナリズムにかかっていると思う。

Q: 何が人生で最も大切なことですか?

(おっと、時間切れです。記事が余りにも長くなるので、途中ですが今日はこれでおしまいです。)

このインターヴューは、ジョコヴィッチの人生哲学などにもふれてなかなか面白いので、次回につづけてご紹介していきたいと思います。

(追記)8月6日に予定されていたアシュヴィルにて、サフィンとジョコヴィッチのエグジビションは28日に延期されました。スケジュールの関係でジョコヴィッチは出場できなくなり、かわりにアガシがプレーすることになりました。ジョコヴィッチはウォームアップがなくなって、直接モントリオール入りとなります。



投稿者 Tennisnakama  04:48 | コメント(19) | トラックバック(0)