2009年07月29日
ナダル衝撃インターヴュー
足を捻挫してから一週間、夫もモンブランの登頂に出かけてしまいましたので、家で休養しながら、200のスペインのコメントを読破したり、ジョコヴィッチのシリーズを完結したりで、相当がんばってきましたが、夫も帰ってきたことだし、このへんで少し休憩を・・・と思った矢先、ナダルの膝に対するショッキングな発言!
毎日10時間以上コンピューターでリサーチしてましたので目が痛い。でもナダルファンにとってはきがきでない内容だけに、またグーグルに頑張ってもらって、彼のインターヴューの一部が掲載されている記事を翻訳してご紹介したいと思います。
http://bit.ly/1a7Qg2
今日28日にスペインTV局、TVEがナダルの独占インターヴューを、Porto Cristoにあるナダルの別荘で行いました。
私のスペイン語は赤ちゃんレベルですので、ビデオで何を言っているのかわかりませんが、要約した記事を読んでみるとだいたい以下の内容であったように思います。スペイン語のグーグルの翻訳は、ときどき訳のわからない文章が出てくることがあり、ニュアンスやら、解釈に多少のズレがあるかもしれませんがご了解ください。後日、ナダルのHPにて正式に英語版が出るまでのつなぎの情報です。これはインターヴューの一部でしかも要約されたものです。
『僕の膝は深刻な問題』"Mi problema real son las rodillas"
僕の調子はよいと思う。でもまだトレーニングし始めてから1週間とちょっとだから、これからどれくらい回復していくのか待たなければまだわからない。最初は希望に燃えているけれど、でも本当のテストはプッシュしてみたときにはじめて分かると思う。
僕の両親のことで、僕の調子が悪くなったんじゃないかという噂が流れているようだけれど、僕のテニスと家族のことは全く関係ないのです。僕だって人間だから、消化していくのはむずかしいけれど、僕が今心配しているのは自分の膝の問題なんです。
膝が痛み出したのは、インディアンウェルズ、バルセロナ、そしてローマのときでした。
マイアミから戻ってきたときに右膝がすごく痛みだしたんです。これは今までとは違った痛みでした。僕が膝テープをとったときは、皆が完全に治ったと思っていたようですが、本当は膝下は痛くはなかったんですよ。痛みは膝の上だったんです。
それ以来すべてが悪い方向に進んでしまいました。痛み止めのパッチも貼りましたが、僕はもうその痛みに我慢ができなくなってしまったんです。しばらくテニスをやめて回復を待とうと決心しました。自分への自信がなければ同じレベルでは戦えないということが分かっていましたから。
僕とテニスとの関係は、長い間の痛みとの付き合いでした。毎日痛み止めの薬を飲んでテニスをやってきました。 僕は苦痛とともに暮らしてきたんです。あんまり痛いときは、あれも経験の一つだと思うようにしました。苦痛が僕にいろんな価値を教えてくれたと思います。毎日、痛みがひどく悪化していくのを感じながらも、僕はいつ止めたらよいのか分からなかったのです。
テニスを止めたこの2ヶ月間はむずかしかった。あまり回復に期待がもてなかったし、きちんとやるべきことをやらなかった(健康管理)ことに対する悔いもありました。
マドリッドは僕のミステークだった。僕の問題はいつ止めるべきかをきちんと判断できなかったことです。でも僕はマドリッドでプレーをしたかった。でもそれは大きな間違いだったのです。
でもこの2ヶ月の間はずいぶんゆっくりとくつろいだ時間がもてましたよ。ソファにすわる時間は、過去4年間よりももっと長かったように思います。
正直いってモントリオールに出れるかどうかまだ分かりません。トーナメントを控えて、僕のライヴァルたちのことを考えると、自分に対する疑問がいろいろ湧いてきます。
カムバックへの決断はスポンサーやATPのプレッシャーからではなく、自分の自由意志でありたいと願っています。彼らの心配していることは、誰がナンバーワンになることだけど、僕にとってはそれは二の次なんです。本当に僕が望んでいることは、テニスを楽しむこと、しかも向上して、膝に問題が起きないことなんです。
フェデラーとは連絡をとっていますか?の質問に、「この2ヶ月間ロジャーには連絡していないけれど、彼のゴールはナンバーワンというよりGSタイトルだと思う」と答えたラファ。10日前の「僕の方がフェデラーより有利」の言葉も、不安な自分に言い聞かせていたのですね。
今まで激痛に耐えながら歯を食いしばって戦ってきたラファのインターヴューは涙なくしては読めません。
(追記)ビデオではナダルは笑って答えていますのであまり深刻な感じはありませんが、活字になってしまうと衝撃的な印象を受けます。
毎日10時間以上コンピューターでリサーチしてましたので目が痛い。でもナダルファンにとってはきがきでない内容だけに、またグーグルに頑張ってもらって、彼のインターヴューの一部が掲載されている記事を翻訳してご紹介したいと思います。
http://bit.ly/1a7Qg2
今日28日にスペインTV局、TVEがナダルの独占インターヴューを、Porto Cristoにあるナダルの別荘で行いました。
私のスペイン語は赤ちゃんレベルですので、ビデオで何を言っているのかわかりませんが、要約した記事を読んでみるとだいたい以下の内容であったように思います。スペイン語のグーグルの翻訳は、ときどき訳のわからない文章が出てくることがあり、ニュアンスやら、解釈に多少のズレがあるかもしれませんがご了解ください。後日、ナダルのHPにて正式に英語版が出るまでのつなぎの情報です。これはインターヴューの一部でしかも要約されたものです。
『僕の膝は深刻な問題』"Mi problema real son las rodillas"
僕の調子はよいと思う。でもまだトレーニングし始めてから1週間とちょっとだから、これからどれくらい回復していくのか待たなければまだわからない。最初は希望に燃えているけれど、でも本当のテストはプッシュしてみたときにはじめて分かると思う。
僕の両親のことで、僕の調子が悪くなったんじゃないかという噂が流れているようだけれど、僕のテニスと家族のことは全く関係ないのです。僕だって人間だから、消化していくのはむずかしいけれど、僕が今心配しているのは自分の膝の問題なんです。
膝が痛み出したのは、インディアンウェルズ、バルセロナ、そしてローマのときでした。
マイアミから戻ってきたときに右膝がすごく痛みだしたんです。これは今までとは違った痛みでした。僕が膝テープをとったときは、皆が完全に治ったと思っていたようですが、本当は膝下は痛くはなかったんですよ。痛みは膝の上だったんです。
それ以来すべてが悪い方向に進んでしまいました。痛み止めのパッチも貼りましたが、僕はもうその痛みに我慢ができなくなってしまったんです。しばらくテニスをやめて回復を待とうと決心しました。自分への自信がなければ同じレベルでは戦えないということが分かっていましたから。
僕とテニスとの関係は、長い間の痛みとの付き合いでした。毎日痛み止めの薬を飲んでテニスをやってきました。 僕は苦痛とともに暮らしてきたんです。あんまり痛いときは、あれも経験の一つだと思うようにしました。苦痛が僕にいろんな価値を教えてくれたと思います。毎日、痛みがひどく悪化していくのを感じながらも、僕はいつ止めたらよいのか分からなかったのです。
テニスを止めたこの2ヶ月間はむずかしかった。あまり回復に期待がもてなかったし、きちんとやるべきことをやらなかった(健康管理)ことに対する悔いもありました。
マドリッドは僕のミステークだった。僕の問題はいつ止めるべきかをきちんと判断できなかったことです。でも僕はマドリッドでプレーをしたかった。でもそれは大きな間違いだったのです。
でもこの2ヶ月の間はずいぶんゆっくりとくつろいだ時間がもてましたよ。ソファにすわる時間は、過去4年間よりももっと長かったように思います。
正直いってモントリオールに出れるかどうかまだ分かりません。トーナメントを控えて、僕のライヴァルたちのことを考えると、自分に対する疑問がいろいろ湧いてきます。
カムバックへの決断はスポンサーやATPのプレッシャーからではなく、自分の自由意志でありたいと願っています。彼らの心配していることは、誰がナンバーワンになることだけど、僕にとってはそれは二の次なんです。本当に僕が望んでいることは、テニスを楽しむこと、しかも向上して、膝に問題が起きないことなんです。
フェデラーとは連絡をとっていますか?の質問に、「この2ヶ月間ロジャーには連絡していないけれど、彼のゴールはナンバーワンというよりGSタイトルだと思う」と答えたラファ。10日前の「僕の方がフェデラーより有利」の言葉も、不安な自分に言い聞かせていたのですね。
今まで激痛に耐えながら歯を食いしばって戦ってきたラファのインターヴューは涙なくしては読めません。
(追記)ビデオではナダルは笑って答えていますのであまり深刻な感じはありませんが、活字になってしまうと衝撃的な印象を受けます。
2009年07月29日
知られざるジョコヴィッチの素顔
ジョコヴィッチのファンサイトはドイツ、フランス、スイスといろいろありますが、スイスのファンサイトがよく出来ていることは前回の記事で書きました。しかも6月にスタートしたばかりの新サイトです。
http://www.novakdjokovic.ch/
そのサイトからジョコヴィッチのインターヴュー記事の情報を手に入れることができたので、ウェブマスターに感謝のコメントを残しました。これは私がいつもやっていることで、礼儀とでもいいましょうか。そうすると数時間後に彼から下記のメールが飛びこんできました。
Hi...
It's nice to hear that Nole has fans in Japan too...
The website is my big passion. I really thank you for the kind of nice words.
Maybe you can translate me what you have written at your blog about my page...
best regards
Zdravko
簡単に訳しますと、「ノーレのファンが日本にいることを知って嬉しい。ウェブサイトは僕のパッションです。褒めていただいてありがとう。僕のHPについて、もしあなたのブログに書かれたとしたら・・・翻訳して教えてください。」
彼の名前は Zdravko 名前から彼はスイスに住むセルビア人に違いないとピーンときたのです。スイスでこれほどしっかりしたジョコヴィッチのファンサイトをつくるのは、セルビア関係の人に違いないと。
昨夜早速 Zdravkoに返事を書きました。(舌を噛みそうな名前です)
「ひょっとしてあなたはセルビア出身ですか?そうであればセルビア語が読めますか? ジョコヴィッチの資料集めで苦労していますので、もしセルビアに関することでおもしろい情報があれば教えてください。ちなみに私の夫はバーゼル出身のスイス人です。」
彼からまた返事。
「そうです。僕はスイスのルッチェルン住むセルビア人です。ルッチェルンはバーゼルから一時間のところです。セルビア語は完璧に読めますよ。もし何かぼくでお手伝いできることがあれば言ってください。ところで8月31日にUS Openをみるためニューヨークに行きます。会えるとよいですね。」
ルッチェルンですか。子供が小さいときは毎年そこにある交通博物館によく行ったものです。飛行機から各種の電車まで展示されていて、スケールの大きな博物館で息子は一日中そこで遊んでました。
そうそう一年前、Tennistalkをやり始めたスウェーデンのヨハンにも会いました。私に日本語版をやってほしいという話でしたが、やはり私は自分の記事が書きたいのでお断りしてしまいましたが。また、ひょんなことから自分のサイトをもっているオーストラリアの選手と知り合いときどき交信しています。このようにインターネットのおかげでテニスの輪がどんどん世界に広がっていきます。一瞬のうちに地球のどこでもコネクトしてしまうのですから、ますますその魅力にどっぷりと浸ってしまいそうです。もう溺れる寸前ですが(笑)。
前置きが長くなってしまいましたが、本題のジョコヴィッチの話に戻ります。
ジョコヴィッチが英字のメディアに出てこない、と思っていたらドイツやスイスの雑誌・新聞にインターヴュー記事が出ていることがわかりました。
彼はジュニアのときに単身ドイツへテニス留学していますので、彼のドイツ語は達者です。しかし彼の英語も流暢で、英字メディアには出てこない理由は、決して彼が英語が苦手なのが理由ではなくて、今まで彼の発言が散々叩かれてきましたので、英米メディアへのアレルギーがあるのかもしれません。
2008年のドイツの大会でのインターヴューではジョコヴィッチはあご髭をはやしています。彼のドイツ語はなかなか達者です。
それでは昨日のドイツ誌Tennis Magazinのインターヴューの続きです。
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview
Tennis Magazin 2009年7月15日
Q:何が人生で最も大切なことですか?
ジョコ: 自分の心の平和を保つこと。そして自分の周囲の人たちに対して忠実で正直であること。もし仮に僕がGSタイトル20個とってNo.1となったとしたら、それはすばらしいことだけど、でも人生それだけじゃないからね。30歳になってキャリアが終わってしまうとしたら、それからどうする?
Q:じゃテニスの他に何かやりたいことでも? ステージに向いているってマッケンローが言ってましたけど。
ジョコ: そうかもしれない。僕は4歳のころから歌ったり、踊ったりすることが好きで、よく皆の前でエンターテインしてきたからね。僕にはいろんな興味があるから、後のことなど分からないよ。
(前に、ジョコのマイケル・ジャクソンのスリラーを紹介しましたが、彼ってなかなか芸達者で感心しました。)
Q:昨年のUS Openでロディックを批判したことは賢明だと思いますか?
ジョコ:多分やっちゃいけないことだったんだろうけど。僕は思ったことをそのまま隠さず言ってしまうから。鏡に映っている僕の姿が僕のありのままの姿なんだ。ピュアなんだよ。
Q:今まで道化者だったり、ショーマンだったりするジョコヴィッチは最近おとなしくなったようですが?
ジョコ: 僕は人を楽しませようとすることは前と変わらないけれど、僕の国や、ファン、そしてメディアのプレッシャーがあるからね。ほんと、疲れてしまったよ。僕には「試合をわざと放棄する選手」として定評があるみたいだけれど、傷ついているんだ。そんなことは決してありえないのに。
Q:テニスには娯楽性が必要ですか?
ジョコ:今のテニス選手には面白いキャラクターが少なすぎるよ。ツォンガやマレーがいるとしても、もっと多く出てきてもよいはずだ。いつもフェデラーvsナダルのライヴァルはよくないと思う。もっといろんな選手が削り合って戦えばファンにとっても面白いし、マーケティングにもプラスになる。
Q:昨年はコソヴォについて政治的な発言をしていましたけど?
ジョコ:セルビアのような小さな国から、トップ選手が出てくることをメディアは受け入れたくないのだと思う。僕のようにエネルギーに溢れていて、正直な人間をね。思っていることをスパッと言ってしまうし。僕はこの一年半の間、コソヴォの独立についてコメントをしてきた。でも自分が同じ境遇にない限りなかなか理解してもらえないことがわかったよ。この反セルビア感情は西欧のメディアだけだけど、もう僕はこれからコソヴォのことについては発言をしないことに決めたんだ。アスリートが政治的発言をすること自体、よくないことに気がついた。僕のプライオリティーはテニスなんだから。
(注釈)
この最後の>反セルビア感情は西欧のメディアだけだ<の下りのコメントには、セルビアから大量に移民がヨーロッパに流出し、社会問題になっているという背景があります。そのために治安が悪化したり、犯罪率が増えるというネガティヴがイメージがあるのです。しかもセルビア人は熱狂的な愛国心をスポーツイヴェントなどに誇示し、ときどき暴力事件などに発展することがあり、地元の反感も招いているようにも思えます。
このジョコヴィッチの発言は興味がありますので、 Zdravkoにメールを送って彼の感想を聞いてみたいと思います。
では5月のインターヴューになりますが、ドイツ誌Blickのインターヴューから、一部をひろってみました。
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview
Blick 2009年5月28日
Q: 最近のテニスは生真面目な選手が多くなりましたね?
ジョコ: 1520年前はマッケンロー、ベッカー、ナスターゼ、コナーズなんかがいてとても面白かったのに、今はキャラクターが少なすぎるよ。彼らはチャンピオンだけではなくて、観客を沸き立たせることを知っている。観客とどうコネクトしていくかは、とても大切なことだと思う。
Q:だから人の分まで努力してるのですか?
ジョコ: テニスは自分を売ることも大切だけれど、テニスというスポーツ自体も面白くしていかなければならないと思う。切符を買ってくださるお客さんに喜んでいただいてポピュラーにしていかなければならない。最終的にはビジネスなのだから、皆で盛り立てていくべきだと思うよ。
Q:ガールフレンドのエレナさんとはあまり公共の場では一緒のところをみかけませんが?
ジョコ:僕たちが知り合って3年半になるけど、彼女はその間に学校を卒業し、今は働いている。でも週に56日は働かなくちゃならないからなかなか一緒に過ごすときがないんだ。僕たちはモナコに住んでいるけど、わざと一目を避けてるんじゃないよ。
(二人はイタリアで休暇を楽しんだばかり。沢山の写真がこのサイトでみれます。)
http://bit.ly/17Nt2e
Q:フェデラーがガールフレンドと結婚しましたが、結婚の予定など?
ジョコ:そんなまだまだ先の話だよ。ロジャーは78歳も年上なんだから。
Q:いや、まだ5歳しか違いませんよ。
ジョコ:5歳? でも彼の方が年上だよ。エレナと僕は今の状態が気に入っているんだ。彼女は野心家でキャリアを積みたいと願ってる。家族が大切だから、もちろんいずれは誰かと結婚して子供をつくると思うけど。
(おかしいのは、ジョコヴィッチにとってはフェデラーはずいぶん年上に映っていること。これは多分フェデラーが圧倒的に強い期間が長かったので、ずーっと年上のような印象をもっていたのではないでしょうか。最近のナダルの発言にもありましたが、フェデラーが年をとっているような印象ですが、まだまだ若くフェデラー時代はこれからも続いていくことを忘れてもらっては困ります。)
(あとはもう一つ気になったことは、Vielleicht jemand, der in deine Fussstapfen tritt.のコメントです。この jemandの言葉が気になります。これは結婚する相手が誰かという意味でエレナとは限らないのです。ジョコヴィッチがドイツ語でインターヴューしたのか、英語を翻訳したのか分かりませんが、ちょっと微妙な発言です。)
(訂正)どうしても翻訳された英語では彼の発言がつじつまが合わないので、しっかりとドイツ語で読んでみました。彼のあいまいな表現でわかりづらいのですが、どうやらジョコがいいたかったのは、この誰かというのは結婚する相手ではなくて、”子供”という意味のようです。つまりいずれは結婚して、フットステップとなる子供をつくり・・・というような意味だと思います。ですから今のガールフレンドとの結婚を前提にしているように思います。微妙なニュアンスとなると、グーグルの翻訳の限界があるようです。失礼しました。
最後はスイスのバーゼル新聞でおなじみのBasler Zeitungです。
Basler Zeitung 4月4日
Q:弟たちはお兄さん(ジョコ)のようにテニスの才能があると思いますか?
ジョコ:二人とも将来有望だ。二人ともプロ選手になるため必死でがんばっているよ。上のマルコは今バルセロナでトレーニングしていて、下のジョーディアは僕の通っていたミュンヘンのピリッチのアカデミーにいる。
Q:二人にとってはお兄さんから得るところが大きいでしょうね?
ジョコ:もちろん直接助けられるところは全面的にサポートしているけれど、マイナス面もある。二人に対するプレッシャーが大きい点だ。特にセルビアでは皆が注目しているからね。でももうすぐ僕を負かすようになると思うけど。(笑)
さて8月からモントリオールで久しぶりのジョコヴィッチの姿が観られますが、予定されていたサフィンとのエグジビションマッチもやめてしまって、ウォーミングアップなしのマスターズとなるところが気になります。
フィットネスとメンタルの問題はジョコヴィッチの最大の課題です。
「メディカル・タイムアウトをとりすぎる」という汚名を返上するため(試合の途中で息切れになることが多く、時間稼ぎのためにトレーナーを呼ぶという批判が多い)、ジョコヴィッチは新しくフィジオを迎えて、真剣にフィットネスの向上に取り組みはじめました。マレーとロディックはフィジカルトレーニングの強化によってランキングを上げてきた選手です。特に熱さに弱いジョコヴィッチにとっては、これからのUS Openシリーズは彼のフィットネスが試されるときとなります。
マドリッドの激戦の末、ナダルに最終的には負けてしまったジョコヴィッチは、メンタルの問題もこれからの大きな課題として真剣に取り組んでいかなければなりません。ときどきあっさりと負けてしまったときなどは、彼のメンタルは大丈夫なのか?と首をかしげたくなるような態度があることも確かです。
このあっさりしているととれる印象は、多分彼の体調に自信がないところから来ているかもしれません。「僕には健康であるということが最も大切なことなんだ。無理をして害を与えたくない。」試合中 よく肩で息をしていて、時には呼吸困難なようにもみえるときがあります。昔、鼻の手術をして呼吸をしやすくしたと聞いています。このようなハンディを克服しながら、果たしてフェデラー、ナダル、マレーと対等に5セットマッチが戦えるのか?
ジョコヴィッチのキャラクターはテニス界にとって貴重です。ときにはおどけたりジョークを言って笑わせてくるエンターテイナー。無表情のフェデラーのような選手ばかりではつまりません。コートにドラマを展開してくれる数少ないエンターテイナーとして、モントリオールではどのようなパーフォーマンスを演じてくれるでしょうか?
http://www.novakdjokovic.ch/
そのサイトからジョコヴィッチのインターヴュー記事の情報を手に入れることができたので、ウェブマスターに感謝のコメントを残しました。これは私がいつもやっていることで、礼儀とでもいいましょうか。そうすると数時間後に彼から下記のメールが飛びこんできました。
Hi...
It's nice to hear that Nole has fans in Japan too...
The website is my big passion. I really thank you for the kind of nice words.
Maybe you can translate me what you have written at your blog about my page...
best regards
Zdravko
簡単に訳しますと、「ノーレのファンが日本にいることを知って嬉しい。ウェブサイトは僕のパッションです。褒めていただいてありがとう。僕のHPについて、もしあなたのブログに書かれたとしたら・・・翻訳して教えてください。」
彼の名前は Zdravko 名前から彼はスイスに住むセルビア人に違いないとピーンときたのです。スイスでこれほどしっかりしたジョコヴィッチのファンサイトをつくるのは、セルビア関係の人に違いないと。
昨夜早速 Zdravkoに返事を書きました。(舌を噛みそうな名前です)
「ひょっとしてあなたはセルビア出身ですか?そうであればセルビア語が読めますか? ジョコヴィッチの資料集めで苦労していますので、もしセルビアに関することでおもしろい情報があれば教えてください。ちなみに私の夫はバーゼル出身のスイス人です。」
彼からまた返事。
「そうです。僕はスイスのルッチェルン住むセルビア人です。ルッチェルンはバーゼルから一時間のところです。セルビア語は完璧に読めますよ。もし何かぼくでお手伝いできることがあれば言ってください。ところで8月31日にUS Openをみるためニューヨークに行きます。会えるとよいですね。」
ルッチェルンですか。子供が小さいときは毎年そこにある交通博物館によく行ったものです。飛行機から各種の電車まで展示されていて、スケールの大きな博物館で息子は一日中そこで遊んでました。
そうそう一年前、Tennistalkをやり始めたスウェーデンのヨハンにも会いました。私に日本語版をやってほしいという話でしたが、やはり私は自分の記事が書きたいのでお断りしてしまいましたが。また、ひょんなことから自分のサイトをもっているオーストラリアの選手と知り合いときどき交信しています。このようにインターネットのおかげでテニスの輪がどんどん世界に広がっていきます。一瞬のうちに地球のどこでもコネクトしてしまうのですから、ますますその魅力にどっぷりと浸ってしまいそうです。もう溺れる寸前ですが(笑)。
前置きが長くなってしまいましたが、本題のジョコヴィッチの話に戻ります。
ジョコヴィッチが英字のメディアに出てこない、と思っていたらドイツやスイスの雑誌・新聞にインターヴュー記事が出ていることがわかりました。
彼はジュニアのときに単身ドイツへテニス留学していますので、彼のドイツ語は達者です。しかし彼の英語も流暢で、英字メディアには出てこない理由は、決して彼が英語が苦手なのが理由ではなくて、今まで彼の発言が散々叩かれてきましたので、英米メディアへのアレルギーがあるのかもしれません。
2008年のドイツの大会でのインターヴューではジョコヴィッチはあご髭をはやしています。彼のドイツ語はなかなか達者です。
それでは昨日のドイツ誌Tennis Magazinのインターヴューの続きです。
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview
Tennis Magazin 2009年7月15日
Q:何が人生で最も大切なことですか?
ジョコ: 自分の心の平和を保つこと。そして自分の周囲の人たちに対して忠実で正直であること。もし仮に僕がGSタイトル20個とってNo.1となったとしたら、それはすばらしいことだけど、でも人生それだけじゃないからね。30歳になってキャリアが終わってしまうとしたら、それからどうする?
Q:じゃテニスの他に何かやりたいことでも? ステージに向いているってマッケンローが言ってましたけど。
ジョコ: そうかもしれない。僕は4歳のころから歌ったり、踊ったりすることが好きで、よく皆の前でエンターテインしてきたからね。僕にはいろんな興味があるから、後のことなど分からないよ。
(前に、ジョコのマイケル・ジャクソンのスリラーを紹介しましたが、彼ってなかなか芸達者で感心しました。)
Q:昨年のUS Openでロディックを批判したことは賢明だと思いますか?
ジョコ:多分やっちゃいけないことだったんだろうけど。僕は思ったことをそのまま隠さず言ってしまうから。鏡に映っている僕の姿が僕のありのままの姿なんだ。ピュアなんだよ。
Q:今まで道化者だったり、ショーマンだったりするジョコヴィッチは最近おとなしくなったようですが?
ジョコ: 僕は人を楽しませようとすることは前と変わらないけれど、僕の国や、ファン、そしてメディアのプレッシャーがあるからね。ほんと、疲れてしまったよ。僕には「試合をわざと放棄する選手」として定評があるみたいだけれど、傷ついているんだ。そんなことは決してありえないのに。
Q:テニスには娯楽性が必要ですか?
ジョコ:今のテニス選手には面白いキャラクターが少なすぎるよ。ツォンガやマレーがいるとしても、もっと多く出てきてもよいはずだ。いつもフェデラーvsナダルのライヴァルはよくないと思う。もっといろんな選手が削り合って戦えばファンにとっても面白いし、マーケティングにもプラスになる。
Q:昨年はコソヴォについて政治的な発言をしていましたけど?
ジョコ:セルビアのような小さな国から、トップ選手が出てくることをメディアは受け入れたくないのだと思う。僕のようにエネルギーに溢れていて、正直な人間をね。思っていることをスパッと言ってしまうし。僕はこの一年半の間、コソヴォの独立についてコメントをしてきた。でも自分が同じ境遇にない限りなかなか理解してもらえないことがわかったよ。この反セルビア感情は西欧のメディアだけだけど、もう僕はこれからコソヴォのことについては発言をしないことに決めたんだ。アスリートが政治的発言をすること自体、よくないことに気がついた。僕のプライオリティーはテニスなんだから。
(注釈)
この最後の>反セルビア感情は西欧のメディアだけだ<の下りのコメントには、セルビアから大量に移民がヨーロッパに流出し、社会問題になっているという背景があります。そのために治安が悪化したり、犯罪率が増えるというネガティヴがイメージがあるのです。しかもセルビア人は熱狂的な愛国心をスポーツイヴェントなどに誇示し、ときどき暴力事件などに発展することがあり、地元の反感も招いているようにも思えます。
このジョコヴィッチの発言は興味がありますので、 Zdravkoにメールを送って彼の感想を聞いてみたいと思います。
では5月のインターヴューになりますが、ドイツ誌Blickのインターヴューから、一部をひろってみました。
http://www.novakdjokovic.ch/index.php?Interview
Blick 2009年5月28日
Q: 最近のテニスは生真面目な選手が多くなりましたね?
ジョコ: 1520年前はマッケンロー、ベッカー、ナスターゼ、コナーズなんかがいてとても面白かったのに、今はキャラクターが少なすぎるよ。彼らはチャンピオンだけではなくて、観客を沸き立たせることを知っている。観客とどうコネクトしていくかは、とても大切なことだと思う。
Q:だから人の分まで努力してるのですか?
ジョコ: テニスは自分を売ることも大切だけれど、テニスというスポーツ自体も面白くしていかなければならないと思う。切符を買ってくださるお客さんに喜んでいただいてポピュラーにしていかなければならない。最終的にはビジネスなのだから、皆で盛り立てていくべきだと思うよ。
Q:ガールフレンドのエレナさんとはあまり公共の場では一緒のところをみかけませんが?
ジョコ:僕たちが知り合って3年半になるけど、彼女はその間に学校を卒業し、今は働いている。でも週に56日は働かなくちゃならないからなかなか一緒に過ごすときがないんだ。僕たちはモナコに住んでいるけど、わざと一目を避けてるんじゃないよ。
(二人はイタリアで休暇を楽しんだばかり。沢山の写真がこのサイトでみれます。)
http://bit.ly/17Nt2e
Q:フェデラーがガールフレンドと結婚しましたが、結婚の予定など?
ジョコ:そんなまだまだ先の話だよ。ロジャーは78歳も年上なんだから。
Q:いや、まだ5歳しか違いませんよ。
ジョコ:5歳? でも彼の方が年上だよ。エレナと僕は今の状態が気に入っているんだ。彼女は野心家でキャリアを積みたいと願ってる。家族が大切だから、もちろんいずれは誰かと結婚して子供をつくると思うけど。
(おかしいのは、ジョコヴィッチにとってはフェデラーはずいぶん年上に映っていること。これは多分フェデラーが圧倒的に強い期間が長かったので、ずーっと年上のような印象をもっていたのではないでしょうか。最近のナダルの発言にもありましたが、フェデラーが年をとっているような印象ですが、まだまだ若くフェデラー時代はこれからも続いていくことを忘れてもらっては困ります。)
(あとはもう一つ気になったことは、Vielleicht jemand, der in deine Fussstapfen tritt.のコメントです。この jemandの言葉が気になります。これは結婚する相手が誰かという意味でエレナとは限らないのです。ジョコヴィッチがドイツ語でインターヴューしたのか、英語を翻訳したのか分かりませんが、ちょっと微妙な発言です。)
(訂正)どうしても翻訳された英語では彼の発言がつじつまが合わないので、しっかりとドイツ語で読んでみました。彼のあいまいな表現でわかりづらいのですが、どうやらジョコがいいたかったのは、この誰かというのは結婚する相手ではなくて、”子供”という意味のようです。つまりいずれは結婚して、フットステップとなる子供をつくり・・・というような意味だと思います。ですから今のガールフレンドとの結婚を前提にしているように思います。微妙なニュアンスとなると、グーグルの翻訳の限界があるようです。失礼しました。
最後はスイスのバーゼル新聞でおなじみのBasler Zeitungです。
Basler Zeitung 4月4日
Q:弟たちはお兄さん(ジョコ)のようにテニスの才能があると思いますか?
ジョコ:二人とも将来有望だ。二人ともプロ選手になるため必死でがんばっているよ。上のマルコは今バルセロナでトレーニングしていて、下のジョーディアは僕の通っていたミュンヘンのピリッチのアカデミーにいる。
Q:二人にとってはお兄さんから得るところが大きいでしょうね?
ジョコ:もちろん直接助けられるところは全面的にサポートしているけれど、マイナス面もある。二人に対するプレッシャーが大きい点だ。特にセルビアでは皆が注目しているからね。でももうすぐ僕を負かすようになると思うけど。(笑)
さて8月からモントリオールで久しぶりのジョコヴィッチの姿が観られますが、予定されていたサフィンとのエグジビションマッチもやめてしまって、ウォーミングアップなしのマスターズとなるところが気になります。
フィットネスとメンタルの問題はジョコヴィッチの最大の課題です。
「メディカル・タイムアウトをとりすぎる」という汚名を返上するため(試合の途中で息切れになることが多く、時間稼ぎのためにトレーナーを呼ぶという批判が多い)、ジョコヴィッチは新しくフィジオを迎えて、真剣にフィットネスの向上に取り組みはじめました。マレーとロディックはフィジカルトレーニングの強化によってランキングを上げてきた選手です。特に熱さに弱いジョコヴィッチにとっては、これからのUS Openシリーズは彼のフィットネスが試されるときとなります。
マドリッドの激戦の末、ナダルに最終的には負けてしまったジョコヴィッチは、メンタルの問題もこれからの大きな課題として真剣に取り組んでいかなければなりません。ときどきあっさりと負けてしまったときなどは、彼のメンタルは大丈夫なのか?と首をかしげたくなるような態度があることも確かです。
このあっさりしているととれる印象は、多分彼の体調に自信がないところから来ているかもしれません。「僕には健康であるということが最も大切なことなんだ。無理をして害を与えたくない。」試合中 よく肩で息をしていて、時には呼吸困難なようにもみえるときがあります。昔、鼻の手術をして呼吸をしやすくしたと聞いています。このようなハンディを克服しながら、果たしてフェデラー、ナダル、マレーと対等に5セットマッチが戦えるのか?
ジョコヴィッチのキャラクターはテニス界にとって貴重です。ときにはおどけたりジョークを言って笑わせてくるエンターテイナー。無表情のフェデラーのような選手ばかりではつまりません。コートにドラマを展開してくれる数少ないエンターテイナーとして、モントリオールではどのようなパーフォーマンスを演じてくれるでしょうか?