2008年12月30日
錦織2008年の歩み (後半期)
12月29日は錦織圭選手の誕生日。
Happy Birthday! いよいよティーン最後の年19才。
2008年の圭君の活躍は目を見張るものがありました。今回は2008年の後半の試合すべてを追いながら、彼の歩みを振り返ってみたいと思います。
5月26日トルコ/イズミール(チャレンジャー Hard)
錦織:100位
R32:メロMello(199位)に勝利 6-4 6-2
R16:マルチェンコMarchenko(354位)に敗退 4-6 2-6
「Keiは最後のほうは、マルチェンコにわざと負けたのではないが、最後までベストを尽くして頑張った様子はなかった。試合が終わった後も、それほど悔しい感じでもなかった。」とTennis AlternativeのTobi記者は感想を述べていますが、感情をあまり表に出さない圭君だからそのように映ったのではないでしょうか。
しかしダブルスではジェッシー・レヴィーンと組んで優勝しました。
Tobi記者 は以下のようにダブルスの試合をのべています。
「錦織とレヴィーンの試合はファンタスティックだった。10分間くらいで、スコアはすでに5-0 に。 Obradovicがロブを思い切り高く上げたが、レヴィーンがサンプラスのようなッスマッシュで打ち込み、それはまるでエクジビションのような試合となった。35分とはいわないでも、40分とはかからなかった試合で、選手のすべてが楽しんでいるような試合だった。」
6月2日イギリス/サービトン(チャレンジャー Grass)
錦織:113位
R32:ボーリBohli 1-5 RET
イギリスに着いてから体調を壊したようで、一回戦で圭君はリタイアしてしまいました。
6月9日ロンドン/クウィーンズクラブ(国際シリーズGrass)
錦織:113位
R64:ファジャFalla(101位)に勝利 2-6 6-4 6-2
R32:パシアンスPatience(158位)に勝利 7-6(8) 6-3
R16:ナダル(2位)に敗退 4-6 6-3 3-6
ナダル戦に向けて圭君はこのように語りました。楽しい試合になりそう、とは実にプロらしい言葉です。
「楽しい試合になると思う。世界のベストプレーヤーの一人とプレーできるんだから。ナダルは僕の好きな選手の一人なんです。」
ナダルは以下のように語っています。
「Keiは今年、強豪選手を破って、デルレイビーチで優勝している。彼は次の世代のスターの一人になるだろうし、たぶんトップ10までいくのではないかと思う明日はきびしい試合になると思う。とてもタフな試合にね。」
ナダルの予言通り、1セットを圭君からとられ簡単に勝てる試合ではありませんでした。このGSに近いレベルの大会で、優勝したナダルから1セットをとったのは、カーロヴィッチと圭君の二人だけ。ナダルは試合後、「Keiはトップ5になれるかも」といわせたほど、圭君のテニスは目を見張る進歩です。
ナダル戦をインターネットで観戦できました。その試合の状況をtennisnakama.comで詳しく記事にしています。
http://web.me.com/fyorifuji/Tennisnakama/%E9%8C%A6%E7%B9%94%E5%9C%AD/Entries/2008/6/14_%E9%8C%A6%E7%B9%94%E3%80%81%E7%94%9F%E6%94%BE%E9%80%81%E3%81%A7%E8%A6%B3%E6%88%A6%EF%BC%81.html
6月16日イギリス/ノッティングガム(国際シリーズ Grass)
錦織:105位
Q1(予選1)ウィドムWidom(312位)に勝利 6-3 6-7(7) 6-3
Q2(予選2)プルピックPrpic(226位)に勝利 6-0 6-4
Q3(予選3)コックスCox(940位)に勝利 6-3 7-5
R32:ヨハンソン(68位)5-7 RET
圭君は予選3戦を勝ち続け、本戦にエントリーしましたが、初戦でスウェーデンのヨハンソンとの対戦時にリタイアとなりました。理由は腹筋痛。このあたりから、圭君の体への負担が大きくなっていったようで、腰痛や膝の問題が生じてリタイアが続きます。
6月23日ウィンブルドン (Grass)
錦織:103位
R128:ジケル(53位)に敗退 6-4 5-7 RET
危惧されたように、またもや圭君は本戦初戦でリタイアとなりました。故障を完治せずに試合に出て無理がたたったようです。あれほど楽しみにしていたウィンブルドンがリタイアになってしまったのは、さぞかし口惜しい想いだったでしょうね。
ここで健康に赤信号がでましたので、約2ヶ月ちかく休養をとって、オリンピックにそなえることになります。
8月11日北京オリンピック(Hard)
錦織:124位
R64:シュトラー(35位) に敗退 4-6 7-6(5) 3-6
試合はライヴスコアでしか観戦できませんでしたが、3セット目はガス欠のような感じで、まだ完全な体調にもどれていないような印象を受けました。
試合後のインターヴューでは体調について以下のように述べています。
「(第3セットでメディカル・タイムアウトを取ったのは?)
腰です。腰痛がもう1年くらいずっと治らない状況で、できないほど痛くはないですが、たまに痛みがあって、今日はたまたま……。水分補給が足りなかったのかもしれません。
(ウィンブルドンの時に棄権した腹筋の痛みはない?)
はい、それは完全に(大丈夫です)。」
圭君のメンタルのすごさは第2セットの逆転劇、7-6(5)のスコアが物語っています。
「(気持ちを切り替えられたプレーは?)
05になってから1ゲームを取れたことですね。このままでは終わりたくなかったし、本当に悔いが残るので。このままでは終われないという気持ちが強かったです。」
8月25日US オープン(Hard)
錦織:126位
R128:モナコ(32位)に勝利 6-2 6-2 5-7 6-2
R64:カラヌシック(100位)6-1 7-5 RET リタイアで勝利
R32:フェレール(4位)に勝利 6-4 6-4 3-6 2-6 7-5
R16:デルポトロ(17位)に敗退 3-6 4-6 3-6
US Openは私のホームグラウンドですので、圭君のすべての4試合を観ることができました。4位のフェレールを5セットで破った圭君の活躍は、再び世界に名を轟かせることになりました。初めて目の当たりに観る圭君のテニスは、とてもエキサイティングで観る人を魅きつける魔力があります。特にフォアハンドのスピードとプレースメントがすばらしい。これはやはり生でぜひ観てほしいとおもいます。
フェレール戦にそなえて、私は周りの観客を総動員して応援団を組みました。そのことが圭君の力づけの原動力と一つとなったようで(圭君も応援が嬉しかったとコメントしてくれました)、声がかすれてしまいましたが、応援しがいのある思い出の残る試合でした。
デルポトロ戦では、予想されたようにガス欠と腰痛で敗退してしまいました。
9月29日AIG オープン(国際ゴールドHard)
錦織:84位
R64:ケンドリック(100位)に勝利 7-6(3) 6-7(5) 6-2
R32: ガーシアロペス(60位)に勝利 6-4 6-4
R16:ガスケ(13位)に敗退 1-6 2-6
AIG オープンは皆さんの方がよくご存知ですのでここでは詳しいことは省きます。ガスケ戦では、「ガスケを尊敬しすぎた」と圭君はコメントしていますが、日本での試合はプレッシャーもあってやり辛かったと思います。ナダル戦のように、「楽しみたい」というリラックスした気持ちがなければ、緊張で実力が発揮できないのは(デ杯、オリンピックなども)、トップクラスの選手でも経験すること。この緊張感の害虫をいかにメンタルで駆逐できるかが今後の課題だと思います。
10月6日スウェーデン/ストックホルム(国際シリーズHard)
錦織:77位
R32:グラノエールGranollers(55位)に勝利 2-6 6-4 6-2
R16:ハーバティHrbary(396位)に勝利 6-1 1-6 7-5
Q:アンチッチ(31位) W/O アンチッチは棄権
S(準決勝)ソダーリング(35位)に敗退 1-6 0-6
膝の痛みを抱えながら、準決勝では最後まで試合を放棄することなく戦った圭君に大きな拍手を送りたいと思います。
圭君のマネージャーから以下のようなメッセージをいただきました。
「バーゼルとパリの出場を取りやめました。彼のチームとボレテリスポーツメディシンのスタッフと相談した結果、今日 Keiは、今年一杯試合にでることを控えることに決めました。
彼の膝が長期にかかるものではなく、深刻な問題でないことを100%確認するため、 KeiはMRIをとった結果、膝は完全に大丈夫であることがわかりました。この膝の症状は、長いシーズンの終わりに、 毎週違ったサーフェスで試合をしている選手によく起こる症状です。」
という訳でこれ以降は2009年まではトーナメントはしばらくお休みとなりました。圭君の試合がみれないのは残念でしたが、彼にとってベストなチョイスだったと思います。しっかりと怪我を完治させ、強靭な体つくりに専念していよいよ圭君は2009年を迎えようとしています。
明日は圭君の一年のスタッツとNo.1のナダルや他のライヴァル選手のスタッツと比較しながら、2008年を振り返ってみたいと思います。
Happy Birthday! いよいよティーン最後の年19才。
2008年の圭君の活躍は目を見張るものがありました。今回は2008年の後半の試合すべてを追いながら、彼の歩みを振り返ってみたいと思います。
5月26日トルコ/イズミール(チャレンジャー Hard)
錦織:100位
R32:メロMello(199位)に勝利 6-4 6-2
R16:マルチェンコMarchenko(354位)に敗退 4-6 2-6
「Keiは最後のほうは、マルチェンコにわざと負けたのではないが、最後までベストを尽くして頑張った様子はなかった。試合が終わった後も、それほど悔しい感じでもなかった。」とTennis AlternativeのTobi記者は感想を述べていますが、感情をあまり表に出さない圭君だからそのように映ったのではないでしょうか。
しかしダブルスではジェッシー・レヴィーンと組んで優勝しました。
Tobi記者 は以下のようにダブルスの試合をのべています。
「錦織とレヴィーンの試合はファンタスティックだった。10分間くらいで、スコアはすでに5-0 に。 Obradovicがロブを思い切り高く上げたが、レヴィーンがサンプラスのようなッスマッシュで打ち込み、それはまるでエクジビションのような試合となった。35分とはいわないでも、40分とはかからなかった試合で、選手のすべてが楽しんでいるような試合だった。」
6月2日イギリス/サービトン(チャレンジャー Grass)
錦織:113位
R32:ボーリBohli 1-5 RET
イギリスに着いてから体調を壊したようで、一回戦で圭君はリタイアしてしまいました。
6月9日ロンドン/クウィーンズクラブ(国際シリーズGrass)
錦織:113位
R64:ファジャFalla(101位)に勝利 2-6 6-4 6-2
R32:パシアンスPatience(158位)に勝利 7-6(8) 6-3
R16:ナダル(2位)に敗退 4-6 6-3 3-6
ナダル戦に向けて圭君はこのように語りました。楽しい試合になりそう、とは実にプロらしい言葉です。
「楽しい試合になると思う。世界のベストプレーヤーの一人とプレーできるんだから。ナダルは僕の好きな選手の一人なんです。」
ナダルは以下のように語っています。
「Keiは今年、強豪選手を破って、デルレイビーチで優勝している。彼は次の世代のスターの一人になるだろうし、たぶんトップ10までいくのではないかと思う明日はきびしい試合になると思う。とてもタフな試合にね。」
ナダルの予言通り、1セットを圭君からとられ簡単に勝てる試合ではありませんでした。このGSに近いレベルの大会で、優勝したナダルから1セットをとったのは、カーロヴィッチと圭君の二人だけ。ナダルは試合後、「Keiはトップ5になれるかも」といわせたほど、圭君のテニスは目を見張る進歩です。
ナダル戦をインターネットで観戦できました。その試合の状況をtennisnakama.comで詳しく記事にしています。
http://web.me.com/fyorifuji/Tennisnakama/%E9%8C%A6%E7%B9%94%E5%9C%AD/Entries/2008/6/14_%E9%8C%A6%E7%B9%94%E3%80%81%E7%94%9F%E6%94%BE%E9%80%81%E3%81%A7%E8%A6%B3%E6%88%A6%EF%BC%81.html
6月16日イギリス/ノッティングガム(国際シリーズ Grass)
錦織:105位
Q1(予選1)ウィドムWidom(312位)に勝利 6-3 6-7(7) 6-3
Q2(予選2)プルピックPrpic(226位)に勝利 6-0 6-4
Q3(予選3)コックスCox(940位)に勝利 6-3 7-5
R32:ヨハンソン(68位)5-7 RET
圭君は予選3戦を勝ち続け、本戦にエントリーしましたが、初戦でスウェーデンのヨハンソンとの対戦時にリタイアとなりました。理由は腹筋痛。このあたりから、圭君の体への負担が大きくなっていったようで、腰痛や膝の問題が生じてリタイアが続きます。
6月23日ウィンブルドン (Grass)
錦織:103位
R128:ジケル(53位)に敗退 6-4 5-7 RET
危惧されたように、またもや圭君は本戦初戦でリタイアとなりました。故障を完治せずに試合に出て無理がたたったようです。あれほど楽しみにしていたウィンブルドンがリタイアになってしまったのは、さぞかし口惜しい想いだったでしょうね。
ここで健康に赤信号がでましたので、約2ヶ月ちかく休養をとって、オリンピックにそなえることになります。
8月11日北京オリンピック(Hard)
錦織:124位
R64:シュトラー(35位) に敗退 4-6 7-6(5) 3-6
試合はライヴスコアでしか観戦できませんでしたが、3セット目はガス欠のような感じで、まだ完全な体調にもどれていないような印象を受けました。
試合後のインターヴューでは体調について以下のように述べています。
「(第3セットでメディカル・タイムアウトを取ったのは?)
腰です。腰痛がもう1年くらいずっと治らない状況で、できないほど痛くはないですが、たまに痛みがあって、今日はたまたま……。水分補給が足りなかったのかもしれません。
(ウィンブルドンの時に棄権した腹筋の痛みはない?)
はい、それは完全に(大丈夫です)。」
圭君のメンタルのすごさは第2セットの逆転劇、7-6(5)のスコアが物語っています。
「(気持ちを切り替えられたプレーは?)
05になってから1ゲームを取れたことですね。このままでは終わりたくなかったし、本当に悔いが残るので。このままでは終われないという気持ちが強かったです。」
8月25日US オープン(Hard)
錦織:126位
R128:モナコ(32位)に勝利 6-2 6-2 5-7 6-2
R64:カラヌシック(100位)6-1 7-5 RET リタイアで勝利
R32:フェレール(4位)に勝利 6-4 6-4 3-6 2-6 7-5
R16:デルポトロ(17位)に敗退 3-6 4-6 3-6
US Openは私のホームグラウンドですので、圭君のすべての4試合を観ることができました。4位のフェレールを5セットで破った圭君の活躍は、再び世界に名を轟かせることになりました。初めて目の当たりに観る圭君のテニスは、とてもエキサイティングで観る人を魅きつける魔力があります。特にフォアハンドのスピードとプレースメントがすばらしい。これはやはり生でぜひ観てほしいとおもいます。
フェレール戦にそなえて、私は周りの観客を総動員して応援団を組みました。そのことが圭君の力づけの原動力と一つとなったようで(圭君も応援が嬉しかったとコメントしてくれました)、声がかすれてしまいましたが、応援しがいのある思い出の残る試合でした。
デルポトロ戦では、予想されたようにガス欠と腰痛で敗退してしまいました。
9月29日AIG オープン(国際ゴールドHard)
錦織:84位
R64:ケンドリック(100位)に勝利 7-6(3) 6-7(5) 6-2
R32: ガーシアロペス(60位)に勝利 6-4 6-4
R16:ガスケ(13位)に敗退 1-6 2-6
AIG オープンは皆さんの方がよくご存知ですのでここでは詳しいことは省きます。ガスケ戦では、「ガスケを尊敬しすぎた」と圭君はコメントしていますが、日本での試合はプレッシャーもあってやり辛かったと思います。ナダル戦のように、「楽しみたい」というリラックスした気持ちがなければ、緊張で実力が発揮できないのは(デ杯、オリンピックなども)、トップクラスの選手でも経験すること。この緊張感の害虫をいかにメンタルで駆逐できるかが今後の課題だと思います。
10月6日スウェーデン/ストックホルム(国際シリーズHard)
錦織:77位
R32:グラノエールGranollers(55位)に勝利 2-6 6-4 6-2
R16:ハーバティHrbary(396位)に勝利 6-1 1-6 7-5
Q:アンチッチ(31位) W/O アンチッチは棄権
S(準決勝)ソダーリング(35位)に敗退 1-6 0-6
膝の痛みを抱えながら、準決勝では最後まで試合を放棄することなく戦った圭君に大きな拍手を送りたいと思います。
圭君のマネージャーから以下のようなメッセージをいただきました。
「バーゼルとパリの出場を取りやめました。彼のチームとボレテリスポーツメディシンのスタッフと相談した結果、今日 Keiは、今年一杯試合にでることを控えることに決めました。
彼の膝が長期にかかるものではなく、深刻な問題でないことを100%確認するため、 KeiはMRIをとった結果、膝は完全に大丈夫であることがわかりました。この膝の症状は、長いシーズンの終わりに、 毎週違ったサーフェスで試合をしている選手によく起こる症状です。」
という訳でこれ以降は2009年まではトーナメントはしばらくお休みとなりました。圭君の試合がみれないのは残念でしたが、彼にとってベストなチョイスだったと思います。しっかりと怪我を完治させ、強靭な体つくりに専念していよいよ圭君は2009年を迎えようとしています。
明日は圭君の一年のスタッツとNo.1のナダルや他のライヴァル選手のスタッツと比較しながら、2008年を振り返ってみたいと思います。
投稿者 Tennisnakama 00:30 | コメント(0)| トラックバック(0)
コメント
この記事へのコメントはありません。