2009年08月31日
小柄な選手の将来は?ニューコム氏に聞く
8月7日の記事『伝説のニューコム氏が答えてくれます!』の記事で皆さんからいろいろ彼に対してご質問をいただきました。
Tennisassist.comはオーストラリアのサイトですが、ジュニアの養成を目的として、マイケルとピーターによって運営されています。今回はジョン・ニューコムとトニー・ローチの両氏にインターヴューをするので、質問があったら聞いてあげるよ、ということで参加させていただきました。
ジョン・ニューコム John Newcombeとは、オーストラリア人でグランドスラムのタイトルは、シングルス7個(全豪2個、ウィンブルドン3個、全米2個) 、ダブルスでは何と17個、計24個のタイトルをとっています。ですからダブルスを含めればフェデラーも足下にも及ばないタイトルの数です。
元世界No.1で、パワフルなサーヴを生かしたサーヴ&ヴォレーがプレースタイル。同じオーストラリア人のトニー・ローチ(元フェデラーのコーチ)と組んで、ダブルスでGS12個のタイトルの記録は今だに破られておりません。特に世界でもベストに数えられるほどパワフルな2ndサーヴは有名です。
現在ニューコム氏は、テキサスで、テニス牧場 The Johne Newcombe Tennis Ranchを経営しています。ここはテニスをしながら、いろんなアドヴェンチャーもできる、アクティヴィティが盛りだくさんのテニス好きな人にとっては最高のヴァケーションスポットとなっています。
このテニスランチでは、ジュニアの養成にも力を入れていて、私たちもこのテニスアカデミーのアダルトキャンプに入ることができます。詳しいことは以下のサイトをご覧ください。
http://www.newktennis.com/tennis-academy-38.html
このインターヴューはオーストラリアで実際テニスのジュニアの指導にあたっているピーター・トラマッチが行っていますので、大変よくできたインターヴューとなっています。その一部を紹介したいと思います。
http://tennisassist.com/john-newcombe-interview-aug-2009-part-1/
ジョン・ニューコムに聞く
Q:tennisnakamaからの質問です。「現代のテニスは昔と違ってパワーテニスに変化してきています。錦織圭は怪我で長い間休戦しています。パワーテニスの中で175cmくらいの体格の選手が、怪我をせずトップになれる可能性はあるのでしょうか?」
ニューコム:今のテニスは確かにビッグマンゲームとなってきている。(ニューカム氏は183cm) 今の選手はほとんどが6フィート(183cm)以上だ。長身だとサーヴを中心としたゲームができるからね。しかし小柄な選手にとっては、彼らに対抗するのはむずかしいが、不可能なことではないと思う。
実際レイトン・ヒューイットは6フィートもない(180cm)が、世界No.1になっている。小柄な選手はサーヴが一般に弱い。サーヴはパワーだけではないので、効果的なサーヴを打てることが大切となる。
Q:では小柄な選手はどのような武器をもてばよいのでしょうか?
ニューコム:(1)小柄な選手の長所はクイックであるということ。今日のテニスは体のサイズに拘らず、クイック(速い動き)でなければならない。
(2)好いサーヴが打てることも必要だ。
(3) taking the ball early(早めにボールを打つ)ということも重要。今はトップスピンが多くかかったショットなので、早めに打たなければボールが高く跳ね上がってしまい、ヒッティングゾーンからはずれてしまうからだ。
そのためには、前方にステップインする。ボールをカンフォートゾーンで打つ。俊敏なフットワーク。優れたhand-eye-coordination。これなどが必須条件となる。
何メートルもベースラインから下がってしまうと、コートが空いてしまうので、相手にゲームをコントロールされてしまう。例をあげれば、アガシのようにオンザライズ(on the rise)で打つテニスだ。
Q:またベルギーのローカス兄弟やイスラエルのセラなどは、前方に出てきますね。
ニューコム:興味深いのは彼らはすべて片手バックハンドであること。小柄な選手のほとんどはパワーを出すために両手だが、これはワールドクラスになると、片手は出来ないことはないということを証明している。
Q:ジュニアの選手にとって最も大切なのは?
ニューコム:すべてのストーロークをマスターする必要があるが、その中でも最も大切なのはサーヴだ。これは小さいときに基礎を身につけていないと、後になってマスターするのが非常にむずかしいからだ。もちろんパワーはないが正しいアクションを体で覚える必要がある。パワーは後についてくるので、効果的なサーヴは大きくなったときに習得すればよい。
1970年代初期に日本へ行ったときのことだ。石黒修選手とテニスキャンプを開いたことがあったが、このサイズの質問が出てきてね。「日本人の体格では、偉大なテニスプレーヤーになるには背たけがたりないので無理だ。」というんだ。
でもケン・ローズウォール、ロッド・レイヴァーは二人とも173cmくらいだ。彼らはとても腕相撲で勝てるようなパワフルな選手でないけれど、テニス史上でベスト8に入るくらい優れた選手たちだ。
小柄な選手の長所は、左右の動きが速いということ。大きな選手よりも左右の動作のスピードが速いので、その長所を生かして左右に相手を振るゲームをする必要がある。
ジュスティン・エナンがパーフェクトな例だ。小柄な彼女はウィリアムズ姉妹のパワーゲームに勝つために、膝から上の筋肉を強化して、パワフルなショットを打てるために激しいトレーニングを重ねてきた。そして世界NO.1に君臨することができた。このように、ある部分の筋肉を強化することによって、パワーショットに対抗することができる。つまりフットワークを生かしたゲーム展開の中で、自分がコントロールできる作戦を組み立てる必要がある。
(次回はyamaさんからいただいた「片手バックハンドの将来は?」というご質問に対する彼の意見を紹介したいと思います。お楽しみに。)
Tennisassist.comはオーストラリアのサイトですが、ジュニアの養成を目的として、マイケルとピーターによって運営されています。今回はジョン・ニューコムとトニー・ローチの両氏にインターヴューをするので、質問があったら聞いてあげるよ、ということで参加させていただきました。
ジョン・ニューコム John Newcombeとは、オーストラリア人でグランドスラムのタイトルは、シングルス7個(全豪2個、ウィンブルドン3個、全米2個) 、ダブルスでは何と17個、計24個のタイトルをとっています。ですからダブルスを含めればフェデラーも足下にも及ばないタイトルの数です。
元世界No.1で、パワフルなサーヴを生かしたサーヴ&ヴォレーがプレースタイル。同じオーストラリア人のトニー・ローチ(元フェデラーのコーチ)と組んで、ダブルスでGS12個のタイトルの記録は今だに破られておりません。特に世界でもベストに数えられるほどパワフルな2ndサーヴは有名です。
現在ニューコム氏は、テキサスで、テニス牧場 The Johne Newcombe Tennis Ranchを経営しています。ここはテニスをしながら、いろんなアドヴェンチャーもできる、アクティヴィティが盛りだくさんのテニス好きな人にとっては最高のヴァケーションスポットとなっています。
このテニスランチでは、ジュニアの養成にも力を入れていて、私たちもこのテニスアカデミーのアダルトキャンプに入ることができます。詳しいことは以下のサイトをご覧ください。
http://www.newktennis.com/tennis-academy-38.html
このインターヴューはオーストラリアで実際テニスのジュニアの指導にあたっているピーター・トラマッチが行っていますので、大変よくできたインターヴューとなっています。その一部を紹介したいと思います。
http://tennisassist.com/john-newcombe-interview-aug-2009-part-1/
ジョン・ニューコムに聞く
Q:tennisnakamaからの質問です。「現代のテニスは昔と違ってパワーテニスに変化してきています。錦織圭は怪我で長い間休戦しています。パワーテニスの中で175cmくらいの体格の選手が、怪我をせずトップになれる可能性はあるのでしょうか?」
ニューコム:今のテニスは確かにビッグマンゲームとなってきている。(ニューカム氏は183cm) 今の選手はほとんどが6フィート(183cm)以上だ。長身だとサーヴを中心としたゲームができるからね。しかし小柄な選手にとっては、彼らに対抗するのはむずかしいが、不可能なことではないと思う。
実際レイトン・ヒューイットは6フィートもない(180cm)が、世界No.1になっている。小柄な選手はサーヴが一般に弱い。サーヴはパワーだけではないので、効果的なサーヴを打てることが大切となる。
Q:では小柄な選手はどのような武器をもてばよいのでしょうか?
ニューコム:(1)小柄な選手の長所はクイックであるということ。今日のテニスは体のサイズに拘らず、クイック(速い動き)でなければならない。
(2)好いサーヴが打てることも必要だ。
(3) taking the ball early(早めにボールを打つ)ということも重要。今はトップスピンが多くかかったショットなので、早めに打たなければボールが高く跳ね上がってしまい、ヒッティングゾーンからはずれてしまうからだ。
そのためには、前方にステップインする。ボールをカンフォートゾーンで打つ。俊敏なフットワーク。優れたhand-eye-coordination。これなどが必須条件となる。
何メートルもベースラインから下がってしまうと、コートが空いてしまうので、相手にゲームをコントロールされてしまう。例をあげれば、アガシのようにオンザライズ(on the rise)で打つテニスだ。
Q:またベルギーのローカス兄弟やイスラエルのセラなどは、前方に出てきますね。
ニューコム:興味深いのは彼らはすべて片手バックハンドであること。小柄な選手のほとんどはパワーを出すために両手だが、これはワールドクラスになると、片手は出来ないことはないということを証明している。
Q:ジュニアの選手にとって最も大切なのは?
ニューコム:すべてのストーロークをマスターする必要があるが、その中でも最も大切なのはサーヴだ。これは小さいときに基礎を身につけていないと、後になってマスターするのが非常にむずかしいからだ。もちろんパワーはないが正しいアクションを体で覚える必要がある。パワーは後についてくるので、効果的なサーヴは大きくなったときに習得すればよい。
1970年代初期に日本へ行ったときのことだ。石黒修選手とテニスキャンプを開いたことがあったが、このサイズの質問が出てきてね。「日本人の体格では、偉大なテニスプレーヤーになるには背たけがたりないので無理だ。」というんだ。
でもケン・ローズウォール、ロッド・レイヴァーは二人とも173cmくらいだ。彼らはとても腕相撲で勝てるようなパワフルな選手でないけれど、テニス史上でベスト8に入るくらい優れた選手たちだ。
小柄な選手の長所は、左右の動きが速いということ。大きな選手よりも左右の動作のスピードが速いので、その長所を生かして左右に相手を振るゲームをする必要がある。
ジュスティン・エナンがパーフェクトな例だ。小柄な彼女はウィリアムズ姉妹のパワーゲームに勝つために、膝から上の筋肉を強化して、パワフルなショットを打てるために激しいトレーニングを重ねてきた。そして世界NO.1に君臨することができた。このように、ある部分の筋肉を強化することによって、パワーショットに対抗することができる。つまりフットワークを生かしたゲーム展開の中で、自分がコントロールできる作戦を組み立てる必要がある。
(次回はyamaさんからいただいた「片手バックハンドの将来は?」というご質問に対する彼の意見を紹介したいと思います。お楽しみに。)
投稿者 Tennisnakama 00:26 | コメント(3)| トラックバック(0)
この記事は僕にぴったりだと思いました!
ジュニアについても書かれているし、僕は小柄ですw
サーブ、フットワークにもっと力を入れていこうと思います。
ありがとうございました!
ジョン・ニューコム氏はジュニアを育てているため、ものすごくジュニアの育成には詳しい方です。日本のジュニアを育てるにはまずコーチの育成から始めなければならないと思います。こんな方が日本に来てジュニアの指導者の指導にあたってくれれば日本のテニスの将来も明るくなるのでは。 テニス少年 さん、テニスプロがよく指摘するように、頭をつかったテニス、アグリーテニスを目指してください。勝負はきれいに打っても駄目。勝たなければお話になりませんから。がんばってね!
日本人は小柄な選手が多いですからフェデラーやナダルのマネをしても「縮小版」になってしまいますよね?!
「早めにボールを打つ」!伊達さんのテニスにもヒントがあるかもしれませんね。
成功している多くの小柄な選手が(ルーカス兄弟、セラ、そしてエナン等)が、時代に逆行していると言われる片手バックハンドというのは、非常に興味深いです!!!
私達指導者もマニュアルにぶら下がるのではなく、もっと視野を広げてジュニア育成を行っていくべきだと思います!
ピーター・トラマッチ!懐かしい!!同世代の選手でいた。ジュニアの指導をしているんですね!