2009年08月07日
伝説のニューコム氏が答えてくれます!
もう一年以上前の話です。私がウェブサイトをつくってブログを書き始めた頃、海外のいろんなテニスのブログをサーフしていたときでした。
ひょんなことからオーストラリアのテニスファンとネットで知り合ったのです。彼の名はマイケル・メイデンズ。アマチュアでは全国大会にも出場するプロに近いテニス選手です。彼も私同様に気持ちはテニスの伝道師ということが分かり「いかにテニスを普及させるか」というゴールのもとに意気投合したのですが、お互いいそがしくここ半年は連絡も途絶えておりました。
しかし彼は私のことを覚えていてくれたようで、昨日受信ボックスにマイケルからメールが届いていました。
「元No.1のジョン・ニューコムが読者の質問に答えてくれるので、日本のテニスファンも彼に質問してみませんか?」
マイケルはテニスの向上をめざすテニスファンのために、オーストラリア・ジュニアデ杯チームのキャプテン、ピーター・トラマッチ と組んで、 TennisAssist を立ち上げ、「試合に勝つテニス」のアドヴァイスを続けてきましたが、今回は伝説のジョン・ニューカムを迎えての特集です。
ジョン・ニューコムとは、オーストラリア人でグランドスラムのシングルスのタイトル5個、ダブルスでは何と11個、計16のタイトルをとっています。ですからダブルスを含めればフェデラーよりタイトルが多いことになります。しかもダブルスは2回のキャリア・グランドスラム(各GSを2個づつとっている)をとっています。
1969年のロッド・レイヴァーとのウィンブルドン決勝は歴史に残る試合として有名で、YouTubeでその一部を観ることができます。
http://bit.ly/ZwoBm
http://bit.ly/u02f7
さてembedできるビデオでニューコムとビヨン・ボルグとの試合をみつけました。1977年World Invitational Tennis Classicです。
そこでさっそくニューコム氏あてに質問してみました。
「現役で活躍されていた時代と違って、現代のテニスはますますパワーゲームになりつつあり、小柄な選手が試合に勝つことがむずかしくなってきています。パワーテニスに対抗するため、日本人のような小柄な選手は、どのようなテニスを目指せばよいのでしょうか?」
このテーマはかつてニック・ボレテリ氏にも聞いたことがあります。彼の意見は以下の記事に掲載しました。
http://newyork.blog.tennis365.net/archives/article/141318.html
この問題は日本選手がかかえる深刻な問題です。選手の巨人化がすすむテニス界にあって日本選手が成功するには、彼らと同じようにベースラインから打つベースライナーとなっては、勝ち目がないのは明らかです。またいくら小柄な選手がすばしっこくても、マイケル・チャンが伸び悩んだように、球を取りまくるディフェンス・テニスの将来性はありません。
ラケットとストリングの進歩と同時に、選手の巨大化とパワー化によってテニス自体に大きな変化が訪れています。その変化にどのように対応していけばよいのか?
つい最近の記者会見で伊達選手が「私は頭とテクニックを使ったテニスで勝負をする」といったような意味の発言をしています。まさに彼女の言う通りですが、では具体的にどのようなテニスをすれば勝てるのか?
ジョン・ニューカム氏の答えは一週間後にもらえると思いますが、まずマイケルの意見をご紹介します。
マイケル・メイデンズから
「誰もが190cmを超える大型選手でないのだから、この質問は実によい質問だと思う。サーヴィスゲームとリターンゲームの二つに分けて簡単に述べてみたい。
サーヴィスゲーム
小柄な選手はまずサーヴが武器でなければならない。%の高いサーヴでサーヴィスゲームを勝ち取ることが先決。
(tennisnakama: 錦織選手のデビュー当時は、何度もブレーク合戦を繰り返していました。これは彼のサーヴが弱く、特に2ndサーヴはよく狙われていましたので、サーヴィスゲームをホールドすることがむずかしかったように思います。)
サーヴのあとの第1ショットは、リターンのパワーを殺すショットで対抗する。例えば相手のボディを狙って打つとか、ショートボールを打ってネットにおびき寄せるとか、またショートアングルを打って相手のバランスを崩させるとか。相手にパワーを使わせないショットを組み立てる必要がある。つまり相手から武器を奪いとることが大切。苦手なショットを強いられる相手は、リズムを得られず焦りがでてきてミスが多くなる。
リターンゲーム
リターンの成功率がよくなければならない。まずリターンをしてから辛抱強くブレークチャンスを待つ。相手が予期できないショット、気持ちよく打たせないショットの原則は変わらない。アガシはベストのリターナーだった。小柄な彼のコンパクトなリターンは参考になると思う。
Tennisnakamaから一言
相手を気持ちよく打たせない、ブラッド・ギルバートの提唱する「アグリーなテニスをする」ことが、小柄な選手に必要な基本条件だとすれば、ではどんなショットが有効なのか? ドロップショット、ループボール、ドライヴヴォレーなどいろんなショットがありますが、私はフォアのスライスショットを加えたいと思います。
フォアハンドのスライス
サントロのテニスを昨年ニューポートで生でじっくりと観戦しましたが、ユニークなのは、彼の両ハンドのフォアハンドから生み出される、ネットぎりぎりに滑りこんでくる鋭いスライスです。今の選手はトップスピンの練習ばかりで、スライスに慣れていません。相手コートに低空飛行するスライスは、ウェスターンのグリップでは打ち返すことはむずかしく慌ててしまうのです。
ロディックやナダルが強くなったのも、片手バックハンドのスライスをふんだんに使い始めたことが大きく原因していますが、彼らの場合はバックハンドだけに限られています。武蔵のように両刀使いで、フォアとバックハンドの両方を、トップスピンとスライスで翻弄すると、相手はリズムが狂ってしまいます。
チップ&チャージ
またサーヴ&ヴォレーやダブルスではよく使われているあのチップ&チャージも有効だと思います。スライスをカットするように打つのをチップといいますが、チップしたあとすぐネットダッシュしてチャージします。これはアグレッシヴなリターンゲームで、突然使うと相手をぎょっと驚かすことができ効果的です。
このようにアグリーな試合を展開するには、様々な技を自由自在にこなせることが必須となりますので大変ですが、できないことはないと思います。アメリカやスペインで教えている方法をそのまま取り入れるよりも、日本人に合った「勝つテニス」を理解した上で、ジュニアのプログラムを組み指導していくことが大切なのではないかと思うのですが。
さて、ニューコム氏への質問ですが、この記事のコメント欄に書いていただければ、英訳してお伝えしますので、ぜひふるってご参加ください。(一人一問となりますがよろしくお願いします)
ひょんなことからオーストラリアのテニスファンとネットで知り合ったのです。彼の名はマイケル・メイデンズ。アマチュアでは全国大会にも出場するプロに近いテニス選手です。彼も私同様に気持ちはテニスの伝道師ということが分かり「いかにテニスを普及させるか」というゴールのもとに意気投合したのですが、お互いいそがしくここ半年は連絡も途絶えておりました。
しかし彼は私のことを覚えていてくれたようで、昨日受信ボックスにマイケルからメールが届いていました。
「元No.1のジョン・ニューコムが読者の質問に答えてくれるので、日本のテニスファンも彼に質問してみませんか?」
マイケルはテニスの向上をめざすテニスファンのために、オーストラリア・ジュニアデ杯チームのキャプテン、ピーター・トラマッチ と組んで、 TennisAssist を立ち上げ、「試合に勝つテニス」のアドヴァイスを続けてきましたが、今回は伝説のジョン・ニューカムを迎えての特集です。
ジョン・ニューコムとは、オーストラリア人でグランドスラムのシングルスのタイトル5個、ダブルスでは何と11個、計16のタイトルをとっています。ですからダブルスを含めればフェデラーよりタイトルが多いことになります。しかもダブルスは2回のキャリア・グランドスラム(各GSを2個づつとっている)をとっています。
1969年のロッド・レイヴァーとのウィンブルドン決勝は歴史に残る試合として有名で、YouTubeでその一部を観ることができます。
http://bit.ly/ZwoBm
http://bit.ly/u02f7
さてembedできるビデオでニューコムとビヨン・ボルグとの試合をみつけました。1977年World Invitational Tennis Classicです。
そこでさっそくニューコム氏あてに質問してみました。
「現役で活躍されていた時代と違って、現代のテニスはますますパワーゲームになりつつあり、小柄な選手が試合に勝つことがむずかしくなってきています。パワーテニスに対抗するため、日本人のような小柄な選手は、どのようなテニスを目指せばよいのでしょうか?」
このテーマはかつてニック・ボレテリ氏にも聞いたことがあります。彼の意見は以下の記事に掲載しました。
http://newyork.blog.tennis365.net/archives/article/141318.html
この問題は日本選手がかかえる深刻な問題です。選手の巨人化がすすむテニス界にあって日本選手が成功するには、彼らと同じようにベースラインから打つベースライナーとなっては、勝ち目がないのは明らかです。またいくら小柄な選手がすばしっこくても、マイケル・チャンが伸び悩んだように、球を取りまくるディフェンス・テニスの将来性はありません。
ラケットとストリングの進歩と同時に、選手の巨大化とパワー化によってテニス自体に大きな変化が訪れています。その変化にどのように対応していけばよいのか?
つい最近の記者会見で伊達選手が「私は頭とテクニックを使ったテニスで勝負をする」といったような意味の発言をしています。まさに彼女の言う通りですが、では具体的にどのようなテニスをすれば勝てるのか?
ジョン・ニューカム氏の答えは一週間後にもらえると思いますが、まずマイケルの意見をご紹介します。
マイケル・メイデンズから
「誰もが190cmを超える大型選手でないのだから、この質問は実によい質問だと思う。サーヴィスゲームとリターンゲームの二つに分けて簡単に述べてみたい。
サーヴィスゲーム
小柄な選手はまずサーヴが武器でなければならない。%の高いサーヴでサーヴィスゲームを勝ち取ることが先決。
(tennisnakama: 錦織選手のデビュー当時は、何度もブレーク合戦を繰り返していました。これは彼のサーヴが弱く、特に2ndサーヴはよく狙われていましたので、サーヴィスゲームをホールドすることがむずかしかったように思います。)
サーヴのあとの第1ショットは、リターンのパワーを殺すショットで対抗する。例えば相手のボディを狙って打つとか、ショートボールを打ってネットにおびき寄せるとか、またショートアングルを打って相手のバランスを崩させるとか。相手にパワーを使わせないショットを組み立てる必要がある。つまり相手から武器を奪いとることが大切。苦手なショットを強いられる相手は、リズムを得られず焦りがでてきてミスが多くなる。
リターンゲーム
リターンの成功率がよくなければならない。まずリターンをしてから辛抱強くブレークチャンスを待つ。相手が予期できないショット、気持ちよく打たせないショットの原則は変わらない。アガシはベストのリターナーだった。小柄な彼のコンパクトなリターンは参考になると思う。
Tennisnakamaから一言
相手を気持ちよく打たせない、ブラッド・ギルバートの提唱する「アグリーなテニスをする」ことが、小柄な選手に必要な基本条件だとすれば、ではどんなショットが有効なのか? ドロップショット、ループボール、ドライヴヴォレーなどいろんなショットがありますが、私はフォアのスライスショットを加えたいと思います。
フォアハンドのスライス
サントロのテニスを昨年ニューポートで生でじっくりと観戦しましたが、ユニークなのは、彼の両ハンドのフォアハンドから生み出される、ネットぎりぎりに滑りこんでくる鋭いスライスです。今の選手はトップスピンの練習ばかりで、スライスに慣れていません。相手コートに低空飛行するスライスは、ウェスターンのグリップでは打ち返すことはむずかしく慌ててしまうのです。
ロディックやナダルが強くなったのも、片手バックハンドのスライスをふんだんに使い始めたことが大きく原因していますが、彼らの場合はバックハンドだけに限られています。武蔵のように両刀使いで、フォアとバックハンドの両方を、トップスピンとスライスで翻弄すると、相手はリズムが狂ってしまいます。
チップ&チャージ
またサーヴ&ヴォレーやダブルスではよく使われているあのチップ&チャージも有効だと思います。スライスをカットするように打つのをチップといいますが、チップしたあとすぐネットダッシュしてチャージします。これはアグレッシヴなリターンゲームで、突然使うと相手をぎょっと驚かすことができ効果的です。
このようにアグリーな試合を展開するには、様々な技を自由自在にこなせることが必須となりますので大変ですが、できないことはないと思います。アメリカやスペインで教えている方法をそのまま取り入れるよりも、日本人に合った「勝つテニス」を理解した上で、ジュニアのプログラムを組み指導していくことが大切なのではないかと思うのですが。
さて、ニューコム氏への質問ですが、この記事のコメント欄に書いていただければ、英訳してお伝えしますので、ぜひふるってご参加ください。(一人一問となりますがよろしくお願いします)
投稿者 Tennisnakama 23:16 | コメント(17)| トラックバック(0)
tennisnakamaのTwitterから:
このアドレスがtennisnakamaです。 http://twitter.com/tennisnakama
おはようございます。朝起きてみて嬉しい写真が掲載されてました。ロジャーとミルカのツインは美人ですね。写真はロジャーのフェイスブックに: http://bit.ly/i76zT
【速報!フェデラー確定!】3分前のモントリオール・ガゼット紙のニュースで金曜フェデラーがモントリオールへ向かっていることが判明しました!家族と一緒かどうか分かりませんが、これで確実にフェデラーはロジャーカップに出場です! http://bit.ly/CaeRf
Q片手バックハンドの選手はこのまま減り続けるのか?(もしくは片手バックハンドで両手バックハンドに勝ちつづけることはむずかしいのか?)
フェデラーを例外として、男子ランキング上位も両手バックハンドの選手ばかりになりました。今のベースラインからのトップスピン全盛のテニスだとどうしてもパワーがだせる両手バックハンドの優位性はわかるのですが、フォームの美しい片手バックハンドの選手がやはり好きです。片手バックハンドの今後の可能性について何かきけたらと思います。
psycho profilerというのは聞いたことがありませんが、おっしゃる意味は分かります。いろんな職業が出てきましたね。でもそれはコーチの役目のような気がします。つまり心理分析家が見ても、大会の実戦の経験がなければ机上の空論になりそうな感じがしますが。理想的なのは、経験豊かなコーチ陣がスポーツ心理を勉強してくれることです。私のテニス仲間でスポーツ心理を専攻したアメリカ女性がおりましたが、負けだすと冷静を失って、ボールを投げつけていたのは彼女でしたので、一体学んだ知識は何だったのと皆不思議でした。もう仲間に入れてもらえず、今頃彼女はどこでテニスをしているのでしょうね。
yamaさん、
さっそくご質問をいただきありがとうございます。
いい質問ですね。私は両手バックで、スライスのときは片手を使う、いわゆる現代の両手バックハンドですが、両方使えますのでリーチの問題もなく、今後はますますこの方向に進んでいくと思われます。しかし困るのは、片手のときはスライスと相手にすでに予知されてしまうことです。さっそくtennisassist.comに質問をしてみました。
http://tennisassist.com/?p=428&cpage=1#comment-28
質問が少ないのでちょっとさみしい気がしますので、みどりさんのご意見を以下のような質問にさせていただきました。
「ネットプレーが見直されてきているように思いますが、すたれてしまったサーヴ&ヴォレーの復活の可能性についてどうお考えになりますか?」
いつも、いろいろな目新しい興味ある記事 本当にありがとうございます。
”質問”考えてみたのですが、、、いっぱいありそうで なさそう、、、ていうか素人感覚で何か ちょっと恥ずかしい気もしますが、、、思い切って、Q:テニスは"心.体.技”といわれ、その内80~90%が"心”(メンタル)などとよく言われるのを聞きますが ニューコム氏自身は
その比率は 度の位の割合と思われますか?
なかなかよい質問ですね。私も興味あります。さっそく投稿してみますね。Thank you!
遅くなってしまって、間に合うかわかりませんが、質問をさせてください。
日本の男子では松岡修造選手以来、久しぶりに錦織圭選手がトップ100に入ってきました。
日本のテニス協会は世界で戦える選手をもっと送り出したいと考えていると思いますが、なかなかうまくいっていないです。
ジュニアが成長していくにはどのサーフェースで練習するのがいいと思いますか?
これも大切な質問ですよね。ありがとうございます。さっそく質問のコーナーに投稿しておきます。
遅れて申し訳ございませんが下記の質問にもご返答頂けたら幸いです。
「どのレベルにいれば世界での活躍は可能か?」
ジュニア時代どの位の成績をあげていれば活躍することが可能なのか?
できれば異例のサクセスストーリー(この選手がこんな活躍をした等・・・)やこんな方向性の選手は飛躍的に成長した等・・・。
お手数をおかけ致しますが何卒宜しくお願い致します。
マイケル・メイデンズ(tennisassist.comの管理者)からニューコム氏の答えを今週末にもらえる予定ですので、期待したいと思います。紙面の関係で、ひょっとすると全部の質問にたいする答えが得られなかった場合もありうると思いますが、ご了承ください。
ご協力ありがとうございました!