2009年09月10日
ウダン戦争の結末
やっと日本のメディアのほとんどがウダンと呼んでくれるようになりましたね!
しかし日本のスポーツメディア、テニスファンはまだ混乱してしまっているようです。
混乱状態にあるのはスポーツナビ。9月8日の記事では、オウディンとウダンで別々の記事を掲載しています。
記事も写真もオウディン
同日、ウダンと書いた記事の見出しにも拘らず、写真はオウディン
WOWOWとは、二転三転のいきさつがあり、最終的にウダンで統一することに決定しました。
『ウダン戦争の結末』のタイトルは恐ろしい戦争のような感じですが、Melanie Oudinの呼び方に関しては、「ウダンと呼ぼうキャンペーン」を展開しているだけに、今までの過程はまるで戦争のようでした。
『ウダンのお話』でも書きましたが、今年のウィンブルドンでヤンコヴィッチを破ったウダンは17歳の予選選手。アメリカでは騒がれた存在でしたので、あのときはよく覚えています。
アメリカのメディアはどう発音してよいか分からず、最初は解説者もいろんな違った発音の仕方をしておりました。
しかし彼女が記者会見で、「いろんな呼び方をされていますが、ウダンと読みます。」と発言して以来、放送関係者はすべてウダンに統一しました。この記者会見をTVでみていましたので、特に印象に残ったためよく覚えています。
アメリカは移民の国です。いろんな名前がありいろんな読み方をします。たとえば伊達選手。もし彼女が無名の選手なら、Dateですからまずはデイトと呼ばれます。実際そうだったようですが、ここでどうするか。彼女の場合は発音の間違いを指摘し続けたのでしょう。今ではデイトと呼ぶ放送は聞いたことがありません。
しかしここで、正しく報道するという、伊達選手の努力とメディアの両者の努力があることを忘れてはいけないと思います。
私たち家族の名前でも、英語ではないのですから、母国と同じ発音で呼んでほしいと期待する方がむずかしく、夫の名字の場合は呼び方を英語風にしています。しかし私のファーストネームはあくまでも日本語読みで呼んでもらいますが。
ではなぜ夫の名字を英語風に発音しているのか? それでないと毎回説明しなくてはならず、そこに費やすエネルギーが膨大なものになるからです。スイス語の彼の名前を英語読みにすると最初は変な感じでしたが、今では慣れました。欧米では、日本のお役所のようにフリガナをつけて、呼び方を明記するシステムはどこにもありませんので、本人が呼びたいように呼べばよいということになります。
例えばニック・ボレテリの場合、彼はイタリア系なので、正確にはBollettieriボレティエリとなりますが、彼はボレテリと呼んでいます。(日本でどうしてボロテリになるのか分かりませんが)
メラニー・ウダンのケースは、お父さんがフランス人です。Oudinを英語読みにしてしまうと、オーディン、アウディン、ウーディンということになり、そこでお父さんは余りにも違った名前で呼ばれることに閉口し、ウダンで通すことにしたのでしょう。しかも英語読みでもこれだけ違ってくるのですから、それだったらこの際ちゃんと呼んでもらおうということでしょう。
ウィンブルドンの記者会見では、メラニーはいつもいろんな名前で呼ばれてきていると言っていましたが、これからそういう面倒な思いもせず、世界中がウダンと呼んであげることになり、本当によかったと思います。ただし日本を別としてですが。
ネーミングの諸悪の根源はニュース通信社にあり
このオーディンの出元をいろいろ探してみましたが、共同通信、時事通信、ロイターなど日本の通信社がこのオーディンの名で最初は書いていました。ですからウダンがディメンティエヴァを破ったときは、日本のメディアは一斉にオーディンでした。しかしアメリカに支社をもつ、読売、朝日などはニューヨークに派遣されている特派員がきちんとウダンと書いていましたが。
しかし日本のメディアのほとんどは、通信社の記事を掲載するわけですから、そこでオーディンとなってしまったのです。
そこで私が「オーディンは間違いだから、ウダンにせよ」と何度もいろんな手段をつかってキャンペーンをはってきました。彼女のアイドルはエナン。もし日本がエナンのことをヘニンなんて呼んでいたら恥ずかしいですよね。変えるのなら今のうち。遅れれば遅れるほど変更できなくなってしまうのです。
WOWOWウダン変更への過程
ブログやTwitterで「ウダンキャンペーン」を展開するだけでなく、直接WOWOWにも連絡。読者の方々もいろいろ協力していただきました。これは本当にグラスルーツ運動でした。
どうして私がここまでこだわるか?についてはコメントなどで説明していますので割愛しますが、「報道は正確に」という姿勢を貫く努力をみせないと市民はメディアを信用できなくなります。
9月6日あたりから、共同、時事がウダンに変更したため、ほとんどのメディアが記事をそのまま載せているために、ウダンとなりました。多分掲載している新聞社たちはこの動きを知らないで記事をのせているのでしょうが、いずれにしても、これで約9割が解決しました。しかし問題はメディアのジャイアンツ、WOWOWの対応です。
Beanさんは、WOWOWに直接質問を送り以下の返答をもらっています。
9月8日
「この度は、貴重なご意見をいただきありがとうございます。お問い合わせいただきました『全米オープンテニス』選手名の発音(表記)につきまして、外国人選手の場合は様々な呼び方があり、Oudinという名称についても「ウダン」および「オーディン」との発音がございます。その為、弊社では、Melanie Oudin選手を「メラニー・オーディン」と発音(表記)することといたしました。何卒、ご了承下さい。今回、お客様よりお寄せいただきましたご意見につきましては、担当者に申し伝え、今後の参考とさせていただきます。」
この情報を受け、私はすぐに関係者に連絡。本人がウダンだと言っているのに、それはおかしいと抗議しました。あとでWOWOWが大恥をかくことは目に見えています。私たちはネットやストリーミングですでにウダンであるということを知っているのですから、これは視聴者をバカにした話です。
9月9日
「まだオーディンと呼んでいます」と読者の方々から情報が入りまたWOWOWに連絡。どうしても納得がいかない、ので変更してほしいと主張しつづけてきました。私はWOWOWを観れないくせに、ほっとけばよいのに、という方もいらっしゃるでしょうが、ほっとけない理由があります。
WOWOWの評判がガタ落ちになる
視聴率が落ちる
テニスの放送が減る
というわけで、日本のテニスの復興を願っている私に関係ないと見過ごすことができないのです。
9月9日夜
「WOWOWがウダンと発音してますよ。よかったですねぇ。」というコメントがどんどん入ってきました。
Beanさんも諦めずクレームを再度おくり、WOWOWからのメールが届いたとのこと。
『この度は、再度のお問い合わせをいただき重ねて御礼申し上げます。お問い合わせいただいております、『全米オープンテニス』での選手名につきまして、WOWOWでは、「メラニー・オーディン」選手としてお送りしておりましたが、正確には「メラニー・ウダン」であると正式な発表がありました。また、WOWOWとしても選手本人に発音を確認いたしましたところ、「ウダン」であると返答を得たことを受け、大会途中ではありますが、今後の選手名の案内に関しましては、「メラニー・ウダン」選手へと変更させていただきます。今後とも末永くWOWOWをご愛顧くださいますようお願い申し上げます。お問い合わせいただきありがとうございました。』
よかった。これでWOWOWは一件落着です。
しかし・・・
まだいい加減な呼び名で記事や写真を送り続けている通信社があります。それはAFPBB。以前平気でシモン選手のことをサイモンと書いて写真までつけて掲載していました。あまりにひどいので、スポーツナビで掲載されていたので、クレームをつけると、スポーツナビでは、これは弊社のものでないので訂正できないとの話。(2008年12月30日)
今回も上記に示したようにまだ平気でオウディンと書き続けています。ですからこの通信社の記事を載せているメディアはまだオウディンです。
「あきらめずに言いつづければ大きなシステムも変えることができる」
しかし日本のスポーツメディア、テニスファンはまだ混乱してしまっているようです。
混乱状態にあるのはスポーツナビ。9月8日の記事では、オウディンとウダンで別々の記事を掲載しています。
記事も写真もオウディン
同日、ウダンと書いた記事の見出しにも拘らず、写真はオウディン
WOWOWとは、二転三転のいきさつがあり、最終的にウダンで統一することに決定しました。
『ウダン戦争の結末』のタイトルは恐ろしい戦争のような感じですが、Melanie Oudinの呼び方に関しては、「ウダンと呼ぼうキャンペーン」を展開しているだけに、今までの過程はまるで戦争のようでした。
『ウダンのお話』でも書きましたが、今年のウィンブルドンでヤンコヴィッチを破ったウダンは17歳の予選選手。アメリカでは騒がれた存在でしたので、あのときはよく覚えています。
アメリカのメディアはどう発音してよいか分からず、最初は解説者もいろんな違った発音の仕方をしておりました。
しかし彼女が記者会見で、「いろんな呼び方をされていますが、ウダンと読みます。」と発言して以来、放送関係者はすべてウダンに統一しました。この記者会見をTVでみていましたので、特に印象に残ったためよく覚えています。
アメリカは移民の国です。いろんな名前がありいろんな読み方をします。たとえば伊達選手。もし彼女が無名の選手なら、Dateですからまずはデイトと呼ばれます。実際そうだったようですが、ここでどうするか。彼女の場合は発音の間違いを指摘し続けたのでしょう。今ではデイトと呼ぶ放送は聞いたことがありません。
しかしここで、正しく報道するという、伊達選手の努力とメディアの両者の努力があることを忘れてはいけないと思います。
私たち家族の名前でも、英語ではないのですから、母国と同じ発音で呼んでほしいと期待する方がむずかしく、夫の名字の場合は呼び方を英語風にしています。しかし私のファーストネームはあくまでも日本語読みで呼んでもらいますが。
ではなぜ夫の名字を英語風に発音しているのか? それでないと毎回説明しなくてはならず、そこに費やすエネルギーが膨大なものになるからです。スイス語の彼の名前を英語読みにすると最初は変な感じでしたが、今では慣れました。欧米では、日本のお役所のようにフリガナをつけて、呼び方を明記するシステムはどこにもありませんので、本人が呼びたいように呼べばよいということになります。
例えばニック・ボレテリの場合、彼はイタリア系なので、正確にはBollettieriボレティエリとなりますが、彼はボレテリと呼んでいます。(日本でどうしてボロテリになるのか分かりませんが)
メラニー・ウダンのケースは、お父さんがフランス人です。Oudinを英語読みにしてしまうと、オーディン、アウディン、ウーディンということになり、そこでお父さんは余りにも違った名前で呼ばれることに閉口し、ウダンで通すことにしたのでしょう。しかも英語読みでもこれだけ違ってくるのですから、それだったらこの際ちゃんと呼んでもらおうということでしょう。
ウィンブルドンの記者会見では、メラニーはいつもいろんな名前で呼ばれてきていると言っていましたが、これからそういう面倒な思いもせず、世界中がウダンと呼んであげることになり、本当によかったと思います。ただし日本を別としてですが。
ネーミングの諸悪の根源はニュース通信社にあり
このオーディンの出元をいろいろ探してみましたが、共同通信、時事通信、ロイターなど日本の通信社がこのオーディンの名で最初は書いていました。ですからウダンがディメンティエヴァを破ったときは、日本のメディアは一斉にオーディンでした。しかしアメリカに支社をもつ、読売、朝日などはニューヨークに派遣されている特派員がきちんとウダンと書いていましたが。
しかし日本のメディアのほとんどは、通信社の記事を掲載するわけですから、そこでオーディンとなってしまったのです。
そこで私が「オーディンは間違いだから、ウダンにせよ」と何度もいろんな手段をつかってキャンペーンをはってきました。彼女のアイドルはエナン。もし日本がエナンのことをヘニンなんて呼んでいたら恥ずかしいですよね。変えるのなら今のうち。遅れれば遅れるほど変更できなくなってしまうのです。
WOWOWウダン変更への過程
ブログやTwitterで「ウダンキャンペーン」を展開するだけでなく、直接WOWOWにも連絡。読者の方々もいろいろ協力していただきました。これは本当にグラスルーツ運動でした。
どうして私がここまでこだわるか?についてはコメントなどで説明していますので割愛しますが、「報道は正確に」という姿勢を貫く努力をみせないと市民はメディアを信用できなくなります。
9月6日あたりから、共同、時事がウダンに変更したため、ほとんどのメディアが記事をそのまま載せているために、ウダンとなりました。多分掲載している新聞社たちはこの動きを知らないで記事をのせているのでしょうが、いずれにしても、これで約9割が解決しました。しかし問題はメディアのジャイアンツ、WOWOWの対応です。
Beanさんは、WOWOWに直接質問を送り以下の返答をもらっています。
9月8日
「この度は、貴重なご意見をいただきありがとうございます。お問い合わせいただきました『全米オープンテニス』選手名の発音(表記)につきまして、外国人選手の場合は様々な呼び方があり、Oudinという名称についても「ウダン」および「オーディン」との発音がございます。その為、弊社では、Melanie Oudin選手を「メラニー・オーディン」と発音(表記)することといたしました。何卒、ご了承下さい。今回、お客様よりお寄せいただきましたご意見につきましては、担当者に申し伝え、今後の参考とさせていただきます。」
この情報を受け、私はすぐに関係者に連絡。本人がウダンだと言っているのに、それはおかしいと抗議しました。あとでWOWOWが大恥をかくことは目に見えています。私たちはネットやストリーミングですでにウダンであるということを知っているのですから、これは視聴者をバカにした話です。
9月9日
「まだオーディンと呼んでいます」と読者の方々から情報が入りまたWOWOWに連絡。どうしても納得がいかない、ので変更してほしいと主張しつづけてきました。私はWOWOWを観れないくせに、ほっとけばよいのに、という方もいらっしゃるでしょうが、ほっとけない理由があります。
WOWOWの評判がガタ落ちになる
視聴率が落ちる
テニスの放送が減る
というわけで、日本のテニスの復興を願っている私に関係ないと見過ごすことができないのです。
9月9日夜
「WOWOWがウダンと発音してますよ。よかったですねぇ。」というコメントがどんどん入ってきました。
Beanさんも諦めずクレームを再度おくり、WOWOWからのメールが届いたとのこと。
『この度は、再度のお問い合わせをいただき重ねて御礼申し上げます。お問い合わせいただいております、『全米オープンテニス』での選手名につきまして、WOWOWでは、「メラニー・オーディン」選手としてお送りしておりましたが、正確には「メラニー・ウダン」であると正式な発表がありました。また、WOWOWとしても選手本人に発音を確認いたしましたところ、「ウダン」であると返答を得たことを受け、大会途中ではありますが、今後の選手名の案内に関しましては、「メラニー・ウダン」選手へと変更させていただきます。今後とも末永くWOWOWをご愛顧くださいますようお願い申し上げます。お問い合わせいただきありがとうございました。』
よかった。これでWOWOWは一件落着です。
しかし・・・
まだいい加減な呼び名で記事や写真を送り続けている通信社があります。それはAFPBB。以前平気でシモン選手のことをサイモンと書いて写真までつけて掲載していました。あまりにひどいので、スポーツナビで掲載されていたので、クレームをつけると、スポーツナビでは、これは弊社のものでないので訂正できないとの話。(2008年12月30日)
今回も上記に示したようにまだ平気でオウディンと書き続けています。ですからこの通信社の記事を載せているメディアはまだオウディンです。
「あきらめずに言いつづければ大きなシステムも変えることができる」
皆さんありがとう!
投稿者 Tennisnakama 01:08 | コメント(4)| トラックバック(0)
ロジャー(ロジ)のビデオのように、これからは選手全員が自分の呼んでほしい名前を宣言するビデオが必要になるかもしれませんね(笑)
大ファンです。さてウダンの件はなによりですが、日本にはもっとひどいことがあります、某国営放送では、中国の選手の読みはめちゃくちゃです。ジェン・ジーはテイケツ、チャン・ユンジャンはセンエイゼンです。以前2度ほど某国営放送になぜそんな読みをするのかの質問と改正の要望を個人的にメールしましたけど、返事はありませんでした。無視されました。
wowowさんは柔軟でいいですね。Tennisnakamaさんどう思います?
中国語の問題は私も多いに疑問で「名前を正確に呼ぼう」運動の核をなすものです。このご質問は皆さんにも読んでいただきたいため、最新記事の『ヴォズニアーキとクレスターズ』のコメントでも紹介させていただきますので、そちらをご覧になってください。
WOWOWがTVの冒頭で訂正を発表した時は、何かつっかえが取れた気持ちになりました。
ほんとによかったです。
ありがとうございました。