2009年09月19日
フェデを怒らせたチャレンジシステム
ここ3日間、デルポトロのUS Open決勝で、フェデラーが主審に吐いた言葉がいろいろメディアを騒がせています。禁止語のShitやFxxkingの言葉を使って主審に抗議したフェデラーに$1500の罰金が課され、フェデラーファンにはちょっとショックな事件でした。
フェデラーはクラシックな紳士としてファンや選手の間から尊敬を受けていますが、彼がそんな言葉を?と私も生で聞いていて驚きました。しかしあまりにも主審がひどいので、彼の怒る気持ちも理解できないではありませんでしたが。(フェデラーの行為を是認しているわけではありませんので誤解のないように)
今回のフェデラー暴言事件は、ポジティヴに考えれば、いつも問題になっている「チャレンジのルールのあいまいさ」について真剣に関係者が取り組む機会を、ロジャーが与えてくれたと思います。
(今ヨーロッパで一斉にデ杯が始まり、ストリーミングでスイスvsイタリアを観ながら書いています。ヴァヴリンカとセッピ。イタリア放送を聞いていますが、解説者はよくしゃべりますね。何を言っているのかチンプンカンプンなのでバックグランドですが、それにしてもスイス人一隊が赤の国旗のTシャツを着て敵陣に乗り込み、団結のあるところをみせています。ヴァヴリンカが勝っていよいよフェデラーの出番です。)
フェデラーの話にもどります。最近はフェデラーが神格化されてしまって、彼がラケットを投げたときは、フェデラーファンに大きなショックを与えてしまいました。しかしあまりにも理想化されてしまった自分のイメージに結構息苦しかったようで、イライラ感情をストレートに表現したあの瞬間は、フェデラーにとっては「スカッとした」という感じがあったのではないかと思います。
記者会見でも「僕もこういうことをやることがあるよ」と言っていましたし、もちろんコードヴァイオレーションにひっかかる違反行為ですが、ジュニアのときにみせた短気で激しい性格は、やはり彼の本来の性格の一部でしょうし・・・感情をすべて押し殺してしまって窒息するよりは・・・罰則を覚悟でときには爆発させることもAnger Managementにプラスなのかな、とも思ったり。でもセリーナのようにラインジャッジに暴走されては困りますが。
どんな状況にあっても、感情的に抗議してはいけない、というのは正論ですが、そうなると選手がロボットのようになってつまらなくなるだろうし。それでなくても最近は個性の少ない選手が多くなってつまらなくなったという声をよく聞きますし・・・むずかしい問題ですね。
(デ杯:おお!またフェデラーのフォアのエラーです。フォアがまだ不安定ですが、それでも6-3で第1セットを勝ってしまうところはさすがです。)
さて、あのラケット事件以降からフェデラーのたががちょっとはずれたかな?と思わせたのが今回のVerbal Abuseの事件でした。今回のSワードとFワードはいきすぎでしたが、あの主審もひどかった。
フェデラーの暴言の前に、第2セットで彼を怒らせるホークアイの判定があり、フラストレーションを爆発させる下地をつくっていたと思います。
デルポトロのショットをアウトと確信したフェデラーはチャレンジ。しかしホークアイではインの判定。フェデラーはボールのマークを指差して、ここにしっかりとボールがアウトしているマークがあるじゃないか!と主審に抗議しますが、誰もホークアイには勝てません。もともとホークアイの導入に反対であったフェデラーがここで、だからこのシステムには反対だったんだといわんばかり。ホークアイの判定がおかしいとばかりに、その後もボールマークを何度も見るフェデラーは、ここでもう集中力が欠けてしまったようでした。
「マークは一つしかないんだ。そのマークはアウトだったんだ。こんなことはもともとバカげてるんだよ。僕は確かにボールが落ちるところを見たんだから。」
そしていよいよ第3セットのチェンジオーヴァーのときです。
http://www.timesonline.co.uk/tol/sport/tennis/article6834729.ece
フェデラーが主審のジェイク・ガーナーJake Garnerに抗議しました。
"No, no, no! It's too late! I wasn’t even able to challenge after two seconds and he takes ten seconds every time. Do you have any rules in there?”
「(デルポが主審の意見をきいて時間をとっているのに対して)ノーノーノー!遅すぎるよ!僕には2秒しかチャレンジする時間をくれないのに、彼には毎回10秒やってるじゃないか。ルールなんてどこにあるんだ?」
デルポにチャレンジする時間をあたえすぎた主審に食ってかかったのです。
フェデラーの抗議に対して、手を使って「まあまあ押さえて」という主審のジェスチャーに、フェデラーの怒りが爆発。
“Don’t do that with your hand. Don’t tell me to be quiet!”
「手を使って僕に黙れって言わないでくれ!」(マイルドな訳)
デルポトロは主審に今のボールは入っていたのかどうか尋ねていたのですが、これにフェデラーがプッツン。
“I don’t give a s*** what he said. Don’t f***ing tell me the rules.”
「彼(デルポ)が言ったことなんてどうでもいいんだよ。ルールのことを俺に言ってくれるな!」(マイルドな訳)
これは言い過ぎで、フェデラーは罰金を受けてしかるべきですが、しかしきちんとしたチャレンジのルールがないことが、そもそもおかしいといつも思っていましたので、いつか誰かが爆発するだろうなと思っていました。しかしそれが全世界が観ている決勝戦でフェデラーがやったとは。
チャレンジをする前に、多くの選手が主審に「今のボールは入っていたのかどうか」尋ねるときがあります。これはおかしいと思うのですが、ルールに違反だと明記されていないので、まず主審の意見を聞いてから、チャレンジをするかどうか判断するケースが多くなってきています。これを許してしまったら何のためにチャレンジがあるのか。
しかし今の段階ではルール違反でないのでデルポを責めるわけにはいきません。もしデルポの態度がスポーツマンシップに反すると主審が判断すれば、ルールで定められてなくても、主審がきっぱりとした態度でデルポに、早くチャレンジをするのかしないのか決めるように、注意するべきだったと思います。
(1)ボールの判定について主審に意見を求めない。
(2)チャレンジは・・秒以内に行わなければならない。
この2点についてルールが設定され、しかもそのルールを主審が守る(サーヴの20秒ルールはほとんど守られていない)ことをやれば、もっとスムーズに試合が運ぶのでは?
しかし反面、あまりにもルール、ルールで縛ってしまう試合は、人間の生の感情の発露の機会を殺してしまい、あのマッケンローのような選手を永久に葬ってしまうことにもなります。そのバランスがむずかしいですね。
(デ杯:第3セットはstreamingが切れてしまってみれませんでした。フェデラーがリズムに乗ってこれたのか、ボレリが自滅したのか分かりませんが、6-1で決めました。試合結果はスイスvsイタリア:2-0でスイスのリードです。明日はフェデラー/ヴァヴリンカの金メダルペアのダブルスで楽しみです。)
(追記1)
チャレンジシステムとは、ラインジャッジの判定(InでもOutでも)を不服として、選手がチャレンジしてホークアイで決着をつけるシステムです。ときにはラインジャッジの判定を覆す主審のオーヴァールールに対しても、選手はチャレンジすることができます。
主審がオーヴァールールしないかぎり、ラインジャッジの判定に主審も同意していることになります。
ですから、その同意している主審に「今のは入ったと思う?」と彼の意見を聞くこと事態がおかしい。しかし現実には主審はその時に確信があれば、ラインジャッジのコールを支持して「入っていると思うよ」と言ったりする主審が多いのです。しかし自信がなくてオーヴァールールできなかったときは、「I'm not sure.」と逃げています。一体どうなってるの?といつも思っていました。解説者もおかしいと言っていますが、誰もちゃんとしたルールをつくろうという動きがまだないようです。
最初はホークアイが導入されたときは、このようなことはなかったのですが、最近は主審の意見を聞いてからチャレンジの決断をする選手が多くなってきていていますので、フェデラーのように文句を言いたい選手は沢山いると思います。ナダルも主審に聞いているときがあります。
また多くの選手がボールマークを確認するためにわざわざネット近くまで見に行っていますよね。あれもずいぶんと時間を消費しています。クレーではしっかりとボールマークがつくのでホークアイはありませんが、薄くついたりしてしまうハードコートでのホークアイには、どちらを信用するのか? この場合はホークアイの勝ちとなってしまうのも変な話です。
フェデラーがThis thing is so ridiculous anyway. 「そもそもこんなことはバカげてるよ」といいたい気持ちが分かるような気がします。
ですからホークアイを使用する場合は、ボールマークを認めない。そして例えばチャレンジは5秒までに決断するとかに決めてしまえば、シンプルで文句の言いようがありません。完璧なシステムというものはないのですから、できるだけアビューズされないシンプルなシステムが最良だと思います。
(追記2)
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フェデラーはクラシックな紳士としてファンや選手の間から尊敬を受けていますが、彼がそんな言葉を?と私も生で聞いていて驚きました。しかしあまりにも主審がひどいので、彼の怒る気持ちも理解できないではありませんでしたが。(フェデラーの行為を是認しているわけではありませんので誤解のないように)
今回のフェデラー暴言事件は、ポジティヴに考えれば、いつも問題になっている「チャレンジのルールのあいまいさ」について真剣に関係者が取り組む機会を、ロジャーが与えてくれたと思います。
(今ヨーロッパで一斉にデ杯が始まり、ストリーミングでスイスvsイタリアを観ながら書いています。ヴァヴリンカとセッピ。イタリア放送を聞いていますが、解説者はよくしゃべりますね。何を言っているのかチンプンカンプンなのでバックグランドですが、それにしてもスイス人一隊が赤の国旗のTシャツを着て敵陣に乗り込み、団結のあるところをみせています。ヴァヴリンカが勝っていよいよフェデラーの出番です。)
フェデラーの話にもどります。最近はフェデラーが神格化されてしまって、彼がラケットを投げたときは、フェデラーファンに大きなショックを与えてしまいました。しかしあまりにも理想化されてしまった自分のイメージに結構息苦しかったようで、イライラ感情をストレートに表現したあの瞬間は、フェデラーにとっては「スカッとした」という感じがあったのではないかと思います。
記者会見でも「僕もこういうことをやることがあるよ」と言っていましたし、もちろんコードヴァイオレーションにひっかかる違反行為ですが、ジュニアのときにみせた短気で激しい性格は、やはり彼の本来の性格の一部でしょうし・・・感情をすべて押し殺してしまって窒息するよりは・・・罰則を覚悟でときには爆発させることもAnger Managementにプラスなのかな、とも思ったり。でもセリーナのようにラインジャッジに暴走されては困りますが。
どんな状況にあっても、感情的に抗議してはいけない、というのは正論ですが、そうなると選手がロボットのようになってつまらなくなるだろうし。それでなくても最近は個性の少ない選手が多くなってつまらなくなったという声をよく聞きますし・・・むずかしい問題ですね。
(デ杯:おお!またフェデラーのフォアのエラーです。フォアがまだ不安定ですが、それでも6-3で第1セットを勝ってしまうところはさすがです。)
さて、あのラケット事件以降からフェデラーのたががちょっとはずれたかな?と思わせたのが今回のVerbal Abuseの事件でした。今回のSワードとFワードはいきすぎでしたが、あの主審もひどかった。
フェデラーの暴言の前に、第2セットで彼を怒らせるホークアイの判定があり、フラストレーションを爆発させる下地をつくっていたと思います。
デルポトロのショットをアウトと確信したフェデラーはチャレンジ。しかしホークアイではインの判定。フェデラーはボールのマークを指差して、ここにしっかりとボールがアウトしているマークがあるじゃないか!と主審に抗議しますが、誰もホークアイには勝てません。もともとホークアイの導入に反対であったフェデラーがここで、だからこのシステムには反対だったんだといわんばかり。ホークアイの判定がおかしいとばかりに、その後もボールマークを何度も見るフェデラーは、ここでもう集中力が欠けてしまったようでした。
「マークは一つしかないんだ。そのマークはアウトだったんだ。こんなことはもともとバカげてるんだよ。僕は確かにボールが落ちるところを見たんだから。」
そしていよいよ第3セットのチェンジオーヴァーのときです。
http://www.timesonline.co.uk/tol/sport/tennis/article6834729.ece
フェデラーが主審のジェイク・ガーナーJake Garnerに抗議しました。
"No, no, no! It's too late! I wasn’t even able to challenge after two seconds and he takes ten seconds every time. Do you have any rules in there?”
「(デルポが主審の意見をきいて時間をとっているのに対して)ノーノーノー!遅すぎるよ!僕には2秒しかチャレンジする時間をくれないのに、彼には毎回10秒やってるじゃないか。ルールなんてどこにあるんだ?」
デルポにチャレンジする時間をあたえすぎた主審に食ってかかったのです。
フェデラーの抗議に対して、手を使って「まあまあ押さえて」という主審のジェスチャーに、フェデラーの怒りが爆発。
“Don’t do that with your hand. Don’t tell me to be quiet!”
「手を使って僕に黙れって言わないでくれ!」(マイルドな訳)
デルポトロは主審に今のボールは入っていたのかどうか尋ねていたのですが、これにフェデラーがプッツン。
“I don’t give a s*** what he said. Don’t f***ing tell me the rules.”
「彼(デルポ)が言ったことなんてどうでもいいんだよ。ルールのことを俺に言ってくれるな!」(マイルドな訳)
これは言い過ぎで、フェデラーは罰金を受けてしかるべきですが、しかしきちんとしたチャレンジのルールがないことが、そもそもおかしいといつも思っていましたので、いつか誰かが爆発するだろうなと思っていました。しかしそれが全世界が観ている決勝戦でフェデラーがやったとは。
チャレンジをする前に、多くの選手が主審に「今のボールは入っていたのかどうか」尋ねるときがあります。これはおかしいと思うのですが、ルールに違反だと明記されていないので、まず主審の意見を聞いてから、チャレンジをするかどうか判断するケースが多くなってきています。これを許してしまったら何のためにチャレンジがあるのか。
しかし今の段階ではルール違反でないのでデルポを責めるわけにはいきません。もしデルポの態度がスポーツマンシップに反すると主審が判断すれば、ルールで定められてなくても、主審がきっぱりとした態度でデルポに、早くチャレンジをするのかしないのか決めるように、注意するべきだったと思います。
(1)ボールの判定について主審に意見を求めない。
(2)チャレンジは・・秒以内に行わなければならない。
この2点についてルールが設定され、しかもそのルールを主審が守る(サーヴの20秒ルールはほとんど守られていない)ことをやれば、もっとスムーズに試合が運ぶのでは?
しかし反面、あまりにもルール、ルールで縛ってしまう試合は、人間の生の感情の発露の機会を殺してしまい、あのマッケンローのような選手を永久に葬ってしまうことにもなります。そのバランスがむずかしいですね。
(デ杯:第3セットはstreamingが切れてしまってみれませんでした。フェデラーがリズムに乗ってこれたのか、ボレリが自滅したのか分かりませんが、6-1で決めました。試合結果はスイスvsイタリア:2-0でスイスのリードです。明日はフェデラー/ヴァヴリンカの金メダルペアのダブルスで楽しみです。)
(追記1)
チャレンジシステムとは、ラインジャッジの判定(InでもOutでも)を不服として、選手がチャレンジしてホークアイで決着をつけるシステムです。ときにはラインジャッジの判定を覆す主審のオーヴァールールに対しても、選手はチャレンジすることができます。
主審がオーヴァールールしないかぎり、ラインジャッジの判定に主審も同意していることになります。
ですから、その同意している主審に「今のは入ったと思う?」と彼の意見を聞くこと事態がおかしい。しかし現実には主審はその時に確信があれば、ラインジャッジのコールを支持して「入っていると思うよ」と言ったりする主審が多いのです。しかし自信がなくてオーヴァールールできなかったときは、「I'm not sure.」と逃げています。一体どうなってるの?といつも思っていました。解説者もおかしいと言っていますが、誰もちゃんとしたルールをつくろうという動きがまだないようです。
最初はホークアイが導入されたときは、このようなことはなかったのですが、最近は主審の意見を聞いてからチャレンジの決断をする選手が多くなってきていていますので、フェデラーのように文句を言いたい選手は沢山いると思います。ナダルも主審に聞いているときがあります。
また多くの選手がボールマークを確認するためにわざわざネット近くまで見に行っていますよね。あれもずいぶんと時間を消費しています。クレーではしっかりとボールマークがつくのでホークアイはありませんが、薄くついたりしてしまうハードコートでのホークアイには、どちらを信用するのか? この場合はホークアイの勝ちとなってしまうのも変な話です。
フェデラーがThis thing is so ridiculous anyway. 「そもそもこんなことはバカげてるよ」といいたい気持ちが分かるような気がします。
ですからホークアイを使用する場合は、ボールマークを認めない。そして例えばチャレンジは5秒までに決断するとかに決めてしまえば、シンプルで文句の言いようがありません。完璧なシステムというものはないのですから、できるだけアビューズされないシンプルなシステムが最良だと思います。
(追記2)
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投稿者 Tennisnakama 01:05 | コメント(0)| トラックバック(0)
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