2009年11月17日
ナダルの衝撃発言
11月15日のスペイン紙 La Vanguardiaの日曜版の雑誌に掲載されたナダルの最新インタービューが話題になっています。タイトルは "He llorado bastante" 『今まで何度も泣いたことがある』
このインタービューでは、戦争、貧困、宗教などの問題から、ガールフレンド、フェデラーに至るまで、 普段は避けて通るテーマについて驚くべき正直さで答えています。特に宗教については物議をかもす発言もあって、今までのインタービューのなかでは最も興味のあるインタービューだと思います。
全文は掲載しませんが、興味深い質問を選んで翻訳してみました。なお全文のインタービューは以下のサイトでごらんになることができます。翻訳はグーグルを使って要約したものです。
http://www.magazinedigital.com/reportajes/los_reportajes_de_la_semana/reportaje/cat_id/81
Q:プレッシャーを感じることはあるの?
ナダル:プレスに対してはないけれど、自分がかけるプレッシャーはある。過去5年間の結果は自分が想像していた以上のもので、自分としては満足しているよ。もし例え今日僕のキャリアが終わったとしても、自身としては納得できるものだと思っている。プレッシャーはいつも向上したいと気持ちと、ベストになりたいという願いからきている。試合に負けても悲しくはないよ。北京では調子がよかったから、チリッチに負けたときは痛かったけれど、彼のほうがあの日はベターな選手だったということだから。
Q:ナダルが怒ることはあるの?
ナダル:もちろんさ。皆が怒るようにね。でも自制心が強いから、怒ってもどなったりはしない。
Q:泣くことはあるの? 最後に泣いたのはいつ?
ナダル:何度も泣いたことはある。でもいつだかそれは言わないけど。
Q:フェデラーみたいにトーナメントで泣いたことがある?
ナダル:コートでは泣いたことはない。2007年にウィンブルドンの決勝で負けたときは、ロッカールームでは泣いたけど。公衆の前では泣くのは嫌なんだ。
Q:最も敬愛しているのはどの選手?
ナダル:フェデラーはテニス史上ベストな選手だと思う。僕のトレーニングはインテンシヴだけれど、彼がトレーニングで一度もインテンシヴになったのを見たことがない。これはすごいことだ。彼も小さいときから激しいトレーニングを重ねてきたと思うけれど、今の彼のトレーニングはそれほど一生懸命にやっているようにはみえない。彼のテニスへのインスピレーションはそれほど集中しなくても起こるみたいだ。フィーリングですぐさま捉えてそれを活かす。むずかしいことでも彼にとっては簡単にやってしまう。それは生まれもった特別な才能だと思う。
Q:自分自身に限界があると思う?
ナダル:限界に挑戦するということは、勝つという目的ではなく、向上したいという情熱をもって毎日トレーニングに励むことだと思う。勝敗の結果ではなく、ベターな選手になりたいという新鮮な気持ちが大切なんだ。
Q:ガールフレンド(ジスカ)はモチベーションを上げるのに手伝ってくれてると思う?
ナダル:彼女はモチベーションとは全く関係ないよ。アスリートは家族、友人、コーチの助けによってモチベーションが上がるのではない。それは自分自身の問題なんだ。ベストになれるという信念と希望を持ち続けることが大切なんだ。ベストになりたいのか?それともなりたくないのか? 200回も自分に問いかけながらね。
Q:健康以外に気にかけていることは?
ナダル:今世界で起こっているいろんな悲惨な状況に心が痛まない人はいないと思う。貧困、誘拐、戦争、飢饉、世界の危機に無関心な人はいないはず。僕は特に子供たちが戦争や飢饉で命を落とすのが耐えられない。
Q:ナダルの理想的な世界とは?
ナダル:理想的な世界はあり得ないけれど、まず武器を破壊すること。よく人々は貧困が不幸の原因だと言うが、僕はインドで貧しいながらも幸せそうな人たちをみてきた。彼らは何もなくて道ばたで寝ていても顔は正直だ。ここでは豊かな生活をしているのに、不幸な人たちが多くいる。僕にも当てはまるけれど、僕たちがいかに恵まれているか、僕たちはよく見えていないんだ。 彼らから多くを学ぶことがあると思う。
Q:もし友だちがスペイン兵士としてアフガニスタンの戦場に送られることになったら? 彼への見送りの言葉は?
ナダル:何を言ってよいのか分からない。戦争に行くこと自体信じられないことだから。ラディカルな行動や思想が原因で世の中には悪いことがいろいろ起きている。他人の趣味や信念、意見を尊敬すれば防ぐことができる場合が多いのに。特に宗教についてはそうだ。(追加訳:宗教心のある人、無神論者、キリスト教信者ムスリム教信者、いろんな人がいてよいはずなのに。)宗教が原因であらゆる残虐行為が行われている。僕は宗教が歴史のなかで一番のキラー(殺人者)最大の死因だと思っている。
この最後の言葉、「歴史のなかで最大の死因は宗教だ」は大変勇気のある言葉です。日本のような比較的宗教の影響の薄い国民にとっては、彼の発言のインパクトがいかに大きいかはなかなか想像できないと思います。
アメリカでさえ宗教が悪いなんとでも言おうものなら、ふとどきな人間というレッテルが貼られる可能性が大きいのです。しかもスペインはカソリック教徒の国です。スペインに何度か訪れたことがありますが、日曜日はラジオは一斉に教会のミサが放送されてしまう国。その国で「宗教が最大の殺人者である」などと断言することは大変勇気のいる行為だと思います。
彼のこの発言に対する批判の多くは、物事をシンプルに捉えてすぎているというものですが、これは仕方のないことだと思います。このインタービューは戦争を論議するインタービューではないのです。しかもナダルは政治家でも平和活動家でもありません。正直に自分の目で見て来た世界観を述べているにすぎないのです。
私は例えシンプルな世界観や平和観であっても、世界に貢献する人たちを大いに評価します。インドの恵まれない子供たちに巨額な費用をかけてテニスアカデミーを建設中のナダルは、例え彼の世界観がナイーヴなものであってもそれは批判に値するものではないのです。
He llorado bastante 何度も泣く事があったと言うナダル・・・
数百回も自問自答を繰り返すというナダル・・・
常にベストでありつづけたいと願うナダル・・・
偉大なアスリートに、そして偉大な人間に、限りない自己挑戦を続けるナダルを見守っていきたいと思います。
(追記)
ナダルの宗教に対する意見などはかなりのインパクトがあり、いろんなブログで賛否両論で論議が行われています。以下はその一つ、有名なテニスファンのサイト、メンズテニスフォーラムです。
http://www.menstennisforums.com/showthread.php?t=154300
このインタービューでは、戦争、貧困、宗教などの問題から、ガールフレンド、フェデラーに至るまで、 普段は避けて通るテーマについて驚くべき正直さで答えています。特に宗教については物議をかもす発言もあって、今までのインタービューのなかでは最も興味のあるインタービューだと思います。
全文は掲載しませんが、興味深い質問を選んで翻訳してみました。なお全文のインタービューは以下のサイトでごらんになることができます。翻訳はグーグルを使って要約したものです。
http://www.magazinedigital.com/reportajes/los_reportajes_de_la_semana/reportaje/cat_id/81
Q:プレッシャーを感じることはあるの?
ナダル:プレスに対してはないけれど、自分がかけるプレッシャーはある。過去5年間の結果は自分が想像していた以上のもので、自分としては満足しているよ。もし例え今日僕のキャリアが終わったとしても、自身としては納得できるものだと思っている。プレッシャーはいつも向上したいと気持ちと、ベストになりたいという願いからきている。試合に負けても悲しくはないよ。北京では調子がよかったから、チリッチに負けたときは痛かったけれど、彼のほうがあの日はベターな選手だったということだから。
Q:ナダルが怒ることはあるの?
ナダル:もちろんさ。皆が怒るようにね。でも自制心が強いから、怒ってもどなったりはしない。
Q:泣くことはあるの? 最後に泣いたのはいつ?
ナダル:何度も泣いたことはある。でもいつだかそれは言わないけど。
Q:フェデラーみたいにトーナメントで泣いたことがある?
ナダル:コートでは泣いたことはない。2007年にウィンブルドンの決勝で負けたときは、ロッカールームでは泣いたけど。公衆の前では泣くのは嫌なんだ。
Q:最も敬愛しているのはどの選手?
ナダル:フェデラーはテニス史上ベストな選手だと思う。僕のトレーニングはインテンシヴだけれど、彼がトレーニングで一度もインテンシヴになったのを見たことがない。これはすごいことだ。彼も小さいときから激しいトレーニングを重ねてきたと思うけれど、今の彼のトレーニングはそれほど一生懸命にやっているようにはみえない。彼のテニスへのインスピレーションはそれほど集中しなくても起こるみたいだ。フィーリングですぐさま捉えてそれを活かす。むずかしいことでも彼にとっては簡単にやってしまう。それは生まれもった特別な才能だと思う。
Q:自分自身に限界があると思う?
ナダル:限界に挑戦するということは、勝つという目的ではなく、向上したいという情熱をもって毎日トレーニングに励むことだと思う。勝敗の結果ではなく、ベターな選手になりたいという新鮮な気持ちが大切なんだ。
Q:ガールフレンド(ジスカ)はモチベーションを上げるのに手伝ってくれてると思う?
ナダル:彼女はモチベーションとは全く関係ないよ。アスリートは家族、友人、コーチの助けによってモチベーションが上がるのではない。それは自分自身の問題なんだ。ベストになれるという信念と希望を持ち続けることが大切なんだ。ベストになりたいのか?それともなりたくないのか? 200回も自分に問いかけながらね。
Q:健康以外に気にかけていることは?
ナダル:今世界で起こっているいろんな悲惨な状況に心が痛まない人はいないと思う。貧困、誘拐、戦争、飢饉、世界の危機に無関心な人はいないはず。僕は特に子供たちが戦争や飢饉で命を落とすのが耐えられない。
Q:ナダルの理想的な世界とは?
ナダル:理想的な世界はあり得ないけれど、まず武器を破壊すること。よく人々は貧困が不幸の原因だと言うが、僕はインドで貧しいながらも幸せそうな人たちをみてきた。彼らは何もなくて道ばたで寝ていても顔は正直だ。ここでは豊かな生活をしているのに、不幸な人たちが多くいる。僕にも当てはまるけれど、僕たちがいかに恵まれているか、僕たちはよく見えていないんだ。 彼らから多くを学ぶことがあると思う。
Q:もし友だちがスペイン兵士としてアフガニスタンの戦場に送られることになったら? 彼への見送りの言葉は?
ナダル:何を言ってよいのか分からない。戦争に行くこと自体信じられないことだから。ラディカルな行動や思想が原因で世の中には悪いことがいろいろ起きている。他人の趣味や信念、意見を尊敬すれば防ぐことができる場合が多いのに。特に宗教についてはそうだ。(追加訳:宗教心のある人、無神論者、キリスト教信者ムスリム教信者、いろんな人がいてよいはずなのに。)宗教が原因であらゆる残虐行為が行われている。僕は宗教が歴史のなかで一番のキラー(殺人者)最大の死因だと思っている。
この最後の言葉、「歴史のなかで最大の死因は宗教だ」は大変勇気のある言葉です。日本のような比較的宗教の影響の薄い国民にとっては、彼の発言のインパクトがいかに大きいかはなかなか想像できないと思います。
アメリカでさえ宗教が悪いなんとでも言おうものなら、ふとどきな人間というレッテルが貼られる可能性が大きいのです。しかもスペインはカソリック教徒の国です。スペインに何度か訪れたことがありますが、日曜日はラジオは一斉に教会のミサが放送されてしまう国。その国で「宗教が最大の殺人者である」などと断言することは大変勇気のいる行為だと思います。
彼のこの発言に対する批判の多くは、物事をシンプルに捉えてすぎているというものですが、これは仕方のないことだと思います。このインタービューは戦争を論議するインタービューではないのです。しかもナダルは政治家でも平和活動家でもありません。正直に自分の目で見て来た世界観を述べているにすぎないのです。
私は例えシンプルな世界観や平和観であっても、世界に貢献する人たちを大いに評価します。インドの恵まれない子供たちに巨額な費用をかけてテニスアカデミーを建設中のナダルは、例え彼の世界観がナイーヴなものであってもそれは批判に値するものではないのです。
He llorado bastante 何度も泣く事があったと言うナダル・・・
数百回も自問自答を繰り返すというナダル・・・
常にベストでありつづけたいと願うナダル・・・
偉大なアスリートに、そして偉大な人間に、限りない自己挑戦を続けるナダルを見守っていきたいと思います。
(追記)
ナダルの宗教に対する意見などはかなりのインパクトがあり、いろんなブログで賛否両論で論議が行われています。以下はその一つ、有名なテニスファンのサイト、メンズテニスフォーラムです。
http://www.menstennisforums.com/showthread.php?t=154300
投稿者 Tennisnakama 10:48 | コメント(0)| トラックバック(0)
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