2009年11月19日
変わりつつあるジョコヴィッチ
ロンドンのファイナルズのドローが決まりました。このファイナルズのレースの先頭馬は、連勝をつづけているジョコヴィッチです。今日はエンジン全開でばく進中のジョコヴィッチについて書いてみたいと思います。
バーゼルでホームタウンボーイのフェデラーを破り、パリでもホームゲームで圧倒的な応援を得ているモンフィスを打倒したジョコヴィッチは、最後まで冷静に試合を展開。決定的に不利な状況にありながらパリ優勝をなし遂げ、勝利の喜びで幾度もジョコヴィッチは吠えました。手に汗にぎるタイブレークでも決して焦らず、最後まで自分を奮い立たせて戦った、そんな彼に今まで見られなかった不屈な戦士の姿をみたような気がしたのです。
何かがジョコヴィッチの中で生まれようとしている・・・
不調といわれた今年前半
今年前半のジョコヴィッチは、なかなか自分のテニスができず模索中といったイメージがありました。本人も言っているように、年頭からラケットをヘッドに変更したため、なかなかショットが安定しませんでした。エラーが多くリズムをつかめないまま、それでも3月マイアミ(マリーに敗退)、4月モンテカルロ(ナダルに敗退)、4月ローマ(ナダルに敗退)の3マスターズに連続で決勝まで進んだジョコヴィッチは、自信を徐々に深めていきました。
ジョコヴィッチの弱点はフィジカルとメンタルと言われています。これは本人も認めています。
フィジカルの向上
アンディ・マリーやべルダスコのフィジカル強化トレーニングの話は有名です。疲れをしらない肉体をつくる。フィットした彼らのランキングの上昇はめざましく、いかにフィジカルトレーニングが重要であるかを彼らは証明しています。
今まで試合の後半になると息切れをしていたジョコヴィッチは、フェデラーやナダルを破るにはフィジカル面の向上が必須であることは明らかでした。
そこでまずジョコヴィッチは元No.1のトーマス・ムスターのコーチ、Ronald Leitgeb をトレーナーとして迎えたのです。なぜ有名な元コーチがトレーナーとしてジョコヴィッチにアドヴァイスを与えるのか、そのあたりの事情はよく分かりませんが、ともかく見違えてジョコヴィッチがフィットしてきたのです。
そして5月のマドリッドの準決勝。ナダルに連敗してきたジョコヴィッチは、ナダルに優るとも劣らないパーフォーマンスで第3セットのタイブレークに。しかしフィジカル面ではジョコヴィッチはナダルに劣りませんでしたが、惜しくも2ポイントの差でメンタルの男、ナダルにポイントを譲ってしまいました。最後の踏ん張りがきかない。この敗北は明らかにメンタルの敗北だったのです。
(追記)この試合は4時間以上にわたって行われ、マスターズでは最長時間を記録したエピック試合となりました。状況をポイントごとにメモしております。読みづらいとは思いますがよかったらご覧ください。
http://www.scribd.com/doc/22744471
第2コーチを雇う
ジョコヴィッチのコーチは Marian Vajdaです。TVでもよく映るポチャとした好人物です。彼はジョコヴィッチの占有コーチですが、アドヴァイザーとしてジョコが第2の意見を聞くことにこだわりません。2007年にはオーストラリアのダブルスの伝説選手Mark Woodfordeを雇って、ジョコヴィッチはネットプレーを彼から学びました。
またクレーを上達するためにも、フェデラーもパートタイムのコーチとして雇ったことのある Jose Higueras ホゼ・イゲラスから短期特訓を受けたことがあります。イゲラスからジョコヴィッチはどのようにしてポイントをとるのか、そのゲームの組み立て方を学びました。
今年のジョコヴィッチの課題は、フィジカルとメンタルを強化するだけでなく、ベースラインプレーヤーから脱皮して、フェデラーのようなオールラウンダーなることでした。ジョコヴィッチにはまだネットプレーが不自然です。ネットプレーを含むことによってゲームの展開に深さが増し、ヴァラエティーに富んだ作戦を実践することができるのです。
イゲラスの愛弟子であったトッド・マーティンの名前が浮上してきました。
彼はサンプラスとアガシに敗れ、2度もグランドスラムのタイトルを取り損なった不運の名選手です。そして2度もATPスポーツマンシップ賞を与えられるほど、フェアなジェントルマンで知られている温厚な選手です。彼のプレースタイルはオールラウンドで、バランスのとれたテニス。最後まで戦い抜くファイターで多くのファンを魅了してきました。ジョコヴィッチは自分のテニスを完成させるためには、マーティン以上に最適な人物はいないように思われたのです。
(原稿が長過ぎるので2部構成にしました。明日はトッド・マーティンが何を行ったのか? 『ジョコの陰の男マーティン』を掲載しますのでお楽しみに。)
バーゼルでホームタウンボーイのフェデラーを破り、パリでもホームゲームで圧倒的な応援を得ているモンフィスを打倒したジョコヴィッチは、最後まで冷静に試合を展開。決定的に不利な状況にありながらパリ優勝をなし遂げ、勝利の喜びで幾度もジョコヴィッチは吠えました。手に汗にぎるタイブレークでも決して焦らず、最後まで自分を奮い立たせて戦った、そんな彼に今まで見られなかった不屈な戦士の姿をみたような気がしたのです。
何かがジョコヴィッチの中で生まれようとしている・・・
不調といわれた今年前半
今年前半のジョコヴィッチは、なかなか自分のテニスができず模索中といったイメージがありました。本人も言っているように、年頭からラケットをヘッドに変更したため、なかなかショットが安定しませんでした。エラーが多くリズムをつかめないまま、それでも3月マイアミ(マリーに敗退)、4月モンテカルロ(ナダルに敗退)、4月ローマ(ナダルに敗退)の3マスターズに連続で決勝まで進んだジョコヴィッチは、自信を徐々に深めていきました。
ジョコヴィッチの弱点はフィジカルとメンタルと言われています。これは本人も認めています。
フィジカルの向上
アンディ・マリーやべルダスコのフィジカル強化トレーニングの話は有名です。疲れをしらない肉体をつくる。フィットした彼らのランキングの上昇はめざましく、いかにフィジカルトレーニングが重要であるかを彼らは証明しています。
今まで試合の後半になると息切れをしていたジョコヴィッチは、フェデラーやナダルを破るにはフィジカル面の向上が必須であることは明らかでした。
そこでまずジョコヴィッチは元No.1のトーマス・ムスターのコーチ、Ronald Leitgeb をトレーナーとして迎えたのです。なぜ有名な元コーチがトレーナーとしてジョコヴィッチにアドヴァイスを与えるのか、そのあたりの事情はよく分かりませんが、ともかく見違えてジョコヴィッチがフィットしてきたのです。
そして5月のマドリッドの準決勝。ナダルに連敗してきたジョコヴィッチは、ナダルに優るとも劣らないパーフォーマンスで第3セットのタイブレークに。しかしフィジカル面ではジョコヴィッチはナダルに劣りませんでしたが、惜しくも2ポイントの差でメンタルの男、ナダルにポイントを譲ってしまいました。最後の踏ん張りがきかない。この敗北は明らかにメンタルの敗北だったのです。
(追記)この試合は4時間以上にわたって行われ、マスターズでは最長時間を記録したエピック試合となりました。状況をポイントごとにメモしております。読みづらいとは思いますがよかったらご覧ください。
http://www.scribd.com/doc/22744471
第2コーチを雇う
ジョコヴィッチのコーチは Marian Vajdaです。TVでもよく映るポチャとした好人物です。彼はジョコヴィッチの占有コーチですが、アドヴァイザーとしてジョコが第2の意見を聞くことにこだわりません。2007年にはオーストラリアのダブルスの伝説選手Mark Woodfordeを雇って、ジョコヴィッチはネットプレーを彼から学びました。
またクレーを上達するためにも、フェデラーもパートタイムのコーチとして雇ったことのある Jose Higueras ホゼ・イゲラスから短期特訓を受けたことがあります。イゲラスからジョコヴィッチはどのようにしてポイントをとるのか、そのゲームの組み立て方を学びました。
今年のジョコヴィッチの課題は、フィジカルとメンタルを強化するだけでなく、ベースラインプレーヤーから脱皮して、フェデラーのようなオールラウンダーなることでした。ジョコヴィッチにはまだネットプレーが不自然です。ネットプレーを含むことによってゲームの展開に深さが増し、ヴァラエティーに富んだ作戦を実践することができるのです。
イゲラスの愛弟子であったトッド・マーティンの名前が浮上してきました。
彼はサンプラスとアガシに敗れ、2度もグランドスラムのタイトルを取り損なった不運の名選手です。そして2度もATPスポーツマンシップ賞を与えられるほど、フェアなジェントルマンで知られている温厚な選手です。彼のプレースタイルはオールラウンドで、バランスのとれたテニス。最後まで戦い抜くファイターで多くのファンを魅了してきました。ジョコヴィッチは自分のテニスを完成させるためには、マーティン以上に最適な人物はいないように思われたのです。
(原稿が長過ぎるので2部構成にしました。明日はトッド・マーティンが何を行ったのか? 『ジョコの陰の男マーティン』を掲載しますのでお楽しみに。)
投稿者 Tennisnakama 08:39 | コメント(0)| トラックバック(0)
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