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フェデラーに奇跡起こらず!

Murray def Federer: 6-4, 6-7(3), 5-7

フェデラーは下痢と腰痛に悩まされながらよく戦いました!しかも2セットの後、腰のマッサージを受けながら、よくぞここまで戦い抜きました。 これほど手に汗をにぎる試合は久しぶりです。マスターズカップの決勝戦といってもおかしくない最高レベルのテニスを満喫させてもらいました。でも本当に疲れました。フェデラーは試合前に記者会見で「奇跡が起こる事を願っているよ」と冗談まじりに、しかし本音も混じったコメントを残しましたが、ついに神様は奇跡を起こしてくれませんでした。

ライヴ放送が観れないため、いろいろ苦労しながら、最後にたどりついたチャンネルは中国語放送。贅沢は言ってられません。それにしても、中国のアナウンサーと解説者はよくしゃべります。日本のアナウンサーのおしゃべりにびっくりしましたが、中国はそれ以上に試合中でもしゃべりっぱなしでした。しかも完全にフェデラー側。(中国語が分からなくても雰囲気でわかります)でも臨場感があってまるで上海にいるようでしたよ。

二人の芸術テニス
これほどいろんなスーパーショットを一試合で観れたのは本当に久しぶりのことです。完璧なドロップショット、完璧なアングルヴォレー、完璧なインサイドアウトやクロスコートのウィナー。 もうゲップがでるほど(もったいない)盛り沢山の試合でした。

さて、二人のテニス芸術をたっぷり鑑賞できたこの試合は、やはりマリーが確率の高いメンタルの強さで勝った試合でした。天才肌のフェデラーは(サフィンやツォンガにもいえますが)、自分の最高のショットで勝たねばならない運命を背負っているようです。
せっかく7度のマッチポイントを切り抜けながら、最後のゲーム、5-6では、フェデラーのフォーカスが途切れてしまって、ダブルフォルト、スイングヴォレーのバカミス。
そして最後のとどめは、マッチポイントのフォアハンドのバカ打ちで、勝利をマリーに譲ってしまいました。7度のマッチポイントを免れた時点で、フェデラーのフォーカス度が落ちてしまいましたね。でもあんな大エラーの連続のバカな負け方は、幾ら何でもないでしょうに、と愚痴りたくなりますが、やっぱり彼は天才なのです。みみっちいショットでは勝てないのでしょう。

マリーの作戦の勝利
マリーはフェデラーの弱点をよく知っていました。フェデラーのバックハンドはもはや弱点ではなく、彼の武器になりつつあります。しかし問題はフォアハンドです。特にフェデラーが必ずといってよいほどエラーを犯すときは、バックハンドからフォアハンドに切り替わったときです。この切り替えがうまく処理できない。

マリーは最初にフェデラーに4~5本バックで打たせます。そして急にフォアハンドの方に打ち込みます。フェデラーはこのときフォアのクロスに返せば切り抜けられるのですが、フェデラーはマリーのバックハンドのdown-the-lineのウィナーを狙って失敗してしまうのです。
多分これはフェデラーの癖なのでしょうけれど、マリーは何度もこのパターンでしかも肝心なポイントを獲得しました。
特に第3セットの8ゲーム目は致命的でした。フェデラーのフォアハンドのdown-the lineの3回のミスでブレークチャンスを逃してしまいました。

一方フェデラーは予期した通り、ネットダッシュのオフェンステニスでマリーにプレッシャーを与えましたが、まず今日のフェデラーはネットダッシュを成功させるサーヴの威力に欠けました。52%の1stサーヴの低い確率で、しかもマリーのリターンが抜群によいため、サーヴィスゲームをホールドするのも苦労しました。
しかもネットダッシュしてもマリーのパッシングショットが巧すぎて思うようにポイントがとれません。
特にマリーの両手バックハンドでショートクロスを狙ったパッシングショットは、サーヴィスラインの手前のサイドラインぎりぎりに落ちるという、リターン不可能なショットなのです。

とにかくフェデラーお疲れさまでした。こんなに調子が悪くてもここまでやれる彼をみて安心しました。彼はまだまだ鯛です。ゆっくり休んでください。このビデオは試合のハイライトです。スペイン語で分かり辛いと思いますが、二人のスーパーショットが観れます。



ところでフェデラーがエースを打つたびに、中国人の解説者とアナウンサーは声をそろえて、「オー!チョー!」または、「ホー!チョー!」と叫んでましたが、これって「やった!」という意味でしょうかね?

投稿者 Tennisnakama  22:18 | コメント(24) | トラックバック(0)

ステパネックは選手の鏡

「なぜ27位のステパネックがマスターズカップの補欠にえらばれたのか?」

毎年マスターズカップの補欠選びは大変です。選手たちの間では、「もうシーズンが終わってしまっている」ので、この時期は疲れた体と精神を癒すためにヴァケーションに出かけてしまっています。ふだん試合で旅行ばかりしている選手にとって、このヴァケーション時期は、家族と共にすごせる唯一の安らぎの時期です。それを全部フイにして、また戦場に戻っていくというのは、並大抵の努力ではできないことだと思います。しかしそれにしても、補欠代500万円を棒にふって(もし試合に出て勝つと、試合ごとに1000万円の賞金がつきます)、この名誉ある大会に出る選手がいないというのは驚きでした。

2005年の上海マスターズカップでは、ロディックサフィンヒューイットが直前に怪我で欠場してしまったため、補欠探しが大変だったのですが、パタゴニアで釣りのヴァケーションに行っていたナルバンディアンに連絡が通じ、彼が急遽上海に飛ぶことになりました。そして何と、決勝戦で彼はフェデラーを破って優勝してしまったのです。こういう夢のような話もあるので、補欠とはいえ油断できません。でも今年のナルビーは最初から、補欠としては参加しないと言っていましたので、彼の出場は実現しませんでした。

さて補欠探しですが、OKの返事がもどってきたのは、27位のステパネックと35位のキーファーです。キーファーは「電話を受けたとき、こんなすばらしい機会は二度と訪れないから、喜んで上海に行く、と迷わず返事したよ。マスターズカップに招待されるなんて、すごい名誉なことなんだから、招待を受けた選手はすべて参加するべきだと思う。僕にとって今年の努力が認められたことになるので大変嬉しい。」と興奮を隠せないでいます。

ステパネックはタイでヴァカンスを楽しんでいました。でもキーファーと同じ理由で、即OK。しかしテニスバッグと身の回り品がなぜだか、中国の税関で差し止めを喰ってしまったのです。コンタクトレンズは注文して取り寄せることができましたが、ラケットは同じラケットを使っているジョコヴィッチから、ソックスはマリーから借りて、とにかく大変な状況の中、ステパネックはよくフェデラーと戦いました。

でもどうして他人のソックスまで借りなければならなかったか? 中国にはソックスはないのか? 私が思うに、日本でもそうですが、大男のサイズのソックスを探すのは大変です。多分市販のソックスでは小さすぎたのでは? でもマリーのお古のソックスでよく頑張りました。テニスウェアなどはどうしたのでしょうね。この辺のところはまだよく分かっておりませんが、何しろこのエピソードのおかげで、ステパネックの人気はうなぎ上りです。

「こういう緊急事態だったけれど自分なりに対応できたと思う。僕にとってはマスターズカップに出るのは夢なんだ。世界のベスト8が集まるんだからね。こうやってプレーできるのは、僕にとって本当に栄誉なことなんだ。」

この真摯な態度、選手の鏡です。ステパネックはさすがヒンギスが選んだ(一時婚約)男だけあります。やっぱり男は顔じゃない!(ステパネック、ごめん)


投稿者 Tennisnakama  01:05 | コメント(13) | トラックバック(0)