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クレーの謎、スライディングの謎

「クレーコートではスライディングが決定的な役割を果たします。」とよく言われますが、実際クレーでテニスをしたことがないと理解しづらいですよね。そこでいろいろYouTubeなどでスライドの仕方を説明しているビデオはないものかと探したのですが、みつかりませんでした。結構皆が言う割には資料がほとんどないことに気づきました。

そこで仕方がないので、まずフェデラーナダル、モンフィスのスライディングの様子をビデオにおさめてみました。TVのスクリーンから撮ってますので、見辛いと思いますが、まず彼らのすばらしいスライディングをご覧ください。

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私はテニス環境に恵まれていて、冬はインドアのハードコート、夏はセントラルパークのグリーンクレー(Har-Truと呼ばれ砂がまかれている)とハドソン・リヴァーパークのレッドクレー(ローランギャロスと同じ)でプレーをしています。ですからサーフェスの違いについての知識は多少なりともありますので、ここで簡単にクレーとスライディングについて説明したいと思います。

リカヴァリーのためのスライディング
アガシのようにハードコートのように走っていく選手は例外で、スライディングをしなければ前後左右に振られた場合、リカヴァリーがききません。つまりいかに速く反対の方向にチェンジできるか、つまりリカヴァリーのためにスライディングが使われます。

ではなぜスライディングが有効なのか? 

ハードでしたら、コートとの摩擦があるので急停止できますが、クレーでは土に足が食い込んだり、滑ってしまったりしてバランスを崩して転びやすく、またリカヴァリーに時間がかかってしまいます。一番滑りやすいのは、砂のまかれたグリーンクレーで、私も昔はよく転んで怪我をしていました。

ヒッティングのタイミング
クレーではこのようにスライディングをして打つ場合が多いので、スライドするタイミングが重要なカギとなります。つまりいつからスライドし始め、いつ打って、いつストップするのか? これらの練習を重ねないとヒッティングのタイミングが合わずに、ミスヒットとなります。

クレーでは、ウィナーでポイントをとるよりも、相手のエラーでポイントをとることの方が多いのは、ヒッティングのタイミングのむずかしさと、ボールのバウンスが一定でないことが大きな原因です。

ヘヴィーなスピンボールを打つ理由
ではクレーコートの選手はナダルのようにヘヴィーなトップスピンが多いのはなぜ?

エラーを少なくするには、まずボールを確実にコートの内側に確実に入れなくてはなりません。スピンが多くかかればそれだけコート内に入る確率が高くなります。また山なりになったスピンボールはスピードが減速されますので、その間にリカヴァリーができる特典もあります。

今日のデルポトロの試合の途中で水が撒かれたのは?
日中の温度が高く乾燥していると、クレーも乾燥してきます。そうするとサーフェスは速くなり、滑りやすくなります。ここで問題なのは、クレーの乾燥度によってスライディングが変わってくることです。スライドのスピードと距離はクレーの乾燥度によって微妙に違ってくるのです。デルポが水をまいてほしいとリクエストしたのは、余りにも乾燥しすぎていて、サーフェスが速くなりすぎていたためで、ヘヴィーで遅いサーフェスを得意とするデルポにとっては、乾燥してしまったサーフェスは不利となります。

熱い日は試合の前後に水がまかれるのは、サーフェスのコンディションを一定に保つためですが、毎回微妙に違うので選手は適応能力がないとクレーでは勝てません。ですからアメリカの選手が勝てないのは、このクレーでの経験が圧倒的に少ないためで、これは自然な結果といえます。その中で健闘しているロディックは実に賞賛に値します。

スライディングの仕方
大切なことは、オープンスタンスであろうと、クロスであろうと、スライドしていくときは重心を体の中央におくこと。体の軸は左右にも前後にも傾斜せずスライドしていきます。そして方向を変えるときに、進行方向の足の方に重心を移してその足で踏ん張って方向転換をはかります。

シュテフィ・グラフのスライディングをご覧ください。わかりやすいと思います。




来週から私もいよいよレッドクレーでテニスです。憂鬱なのは靴も靴下もスコートもレンガ色に染まってしまって洗濯が大変なこと。そして普段の2倍も走るので(ボールに追いついてしまうのです)疲労が激しい。でもハドソン河沿いのきれいな公園ですので気持ちがスカッとするかもしれません。

よーし!ナダルのような華麗なスライディングに挑戦です。


投稿者 Tennisnakama  12:35 | コメント(10) | トラックバック(0)

進化し続けるデルポトロ

3回戦 Del Potro def Andreev: 6-4, 7-5, 6-4

デルポ



エラーを恐れない
今までローランギャロスは、昨年の2回戦進出がせいぜいで、その他はすべて1回戦どまりだったデルポトロが、今年は4回戦の進出を決めました。

今日のアンドレエーヴとの試合を観て感じたことは、デルポが苦戦しながらもオフェンスの手を緩めなかったこと。何度もエラーを繰り返しながらアグレッシヴなショットをねらった試合は、今まであまりみられなかったデルポです。今日はいつにもなく33もエラーをおかしましたが、気持ちをあくまでもアグレッシヴに保つための発奮材だったような気がします。

デルポを観ていると、ナダルがディフェンスからアグレッシヴ・ディフェンスに進化していった過程を思い出します。滅多にエラーをしなかったナダルは最近エラーの数が増えています。これは注意力が散漫になったエラーではなく、アグレッシヴなエラーです。

ディフェンス選手は負けそうになると消極的になり、ミスをおそれてガッツのあるショットができなくなります。エラーを恐れずにオフェンスであり続けるためには、ある程度のエラーには目をつぶるメンタルトレーニングが必要です。エラーが起こす気持ちの上でのダウンやイライラを引きずらないトレーニングです。

そして肝心なときに、エースで決められるメンタルの強さも今日のデルポにはみられました。

フェデラーに感謝?
デルポはディフェンスプレーヤーですから、ベースラインから確実にカウンターを決めながらチャンスを待ちます。今日のアンドレエーヴのような強烈なハードヒッターとの試合では、従来ならデルポは深くベースラインから下がって対抗したはずですが、今日のデルポは違っていました。

マドリッドの準決勝ではフェデラーに、 第1ゲームからドロップショットを3回もされたデルポ。それでもベースラインを離れようとしないデルポは、フェデラーからドロップショットの嵐に合い屈辱的な思いをしました。フェデラーは試合後の記者会見で、「ドロップショットは選手によって使い分けるけれど、今日は気持ちよく使わせてもらったよ。」みたいなことを言われては、いつまでもベースラインにへばりついてはいれないことに気がついたはずです。

昨年のRGではデルポのネットアプローチはせいぜい18回どまり。この18回も確実に浮いた球しかネットダッシュをしないため、「相手にプレッシャーを与える」ことがありませんでした。しかしアンドレエーヴとの対戦ではネットアプローチが26回。しかも18回成功していますので、約7割の成功率です。あのハードヒッターのアンドレエーヴに対してこれだけネットにくるのは、かなりの度胸がいったはずです。

しかし第3セットでマッチポイントを5回もミスってしまうあたりは、まだメンタルの修行が必要ですが、でもデルポはまだ20歳。US Openで錦織選手との試合を生観戦したときに「彼はトップ3にいける!」と直感した私の予感が当たる日が近づいてきているように思います。

次はいよいよフィリップ・シャトリエでフランスのアイドル、ツォンガとの対戦です。会場全体がツォンガを応援するでしょうし、しかも初めてのセンターコートです。この試合は今年最大のデルポのメンタルテストになるかもしれません。

(昨年の US Open 『錦織、残念でしたね』の記事参照)




投稿者 Tennisnakama  08:22 | コメント(3) | トラックバック(0)