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Tennisnakama in New York 世界にテニスの輪を広げたいと願っています。元レポーターのTennisnakamaが、ホットな情報やめずらしい話を、ニューヨークからどんどんお届けします。自由にリンクしてください。(記事はすべて〓tennisnakama.comとなっておりますので、無断掲載はご遠慮ください)

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伝説のニューコム氏が答えてくれます!

もう一年以上前の話です。私がウェブサイトをつくってブログを書き始めた頃、海外のいろんなテニスのブログをサーフしていたときでした。

ひょんなことからオーストラリアのテニスファンとネットで知り合ったのです。彼の名はマイケル・メイデンズ。アマチュアでは全国大会にも出場するプロに近いテニス選手です。彼も私同様に気持ちはテニスの伝道師ということが分かり「いかにテニスを普及させるか」というゴールのもとに意気投合したのですが、お互いいそがしくここ半年は連絡も途絶えておりました。

しかし彼は私のことを覚えていてくれたようで、昨日受信ボックスにマイケルからメールが届いていました。

「元No.1のジョン・ニューコムが読者の質問に答えてくれるので、日本のテニスファンも彼に質問してみませんか?」

マイケルはテニスの向上をめざすテニスファンのために、オーストラリア・ジュニアデ杯チームのキャプテン、ピーター・トラマッチ と組んで、 TennisAssist を立ち上げ、「試合に勝つテニス」のアドヴァイスを続けてきましたが、今回は伝説のジョン・ニューカムを迎えての特集です。

tennisassist



ジョン・ニューコムとは、オーストラリア人でグランドスラムのシングルスのタイトル5個、ダブルスでは何と11個、計16のタイトルをとっています。ですからダブルスを含めればフェデラーよりタイトルが多いことになります。しかもダブルスは2回のキャリア・グランドスラム(各GSを2個づつとっている)をとっています。

1969年のロッド・レイヴァーとのウィンブルドン決勝は歴史に残る試合として有名で、YouTubeでその一部を観ることができます。
http://bit.ly/ZwoBm
http://bit.ly/u02f7

さてembedできるビデオでニューコムとビヨン・ボルグとの試合をみつけました。1977年World Invitational Tennis Classicです。




そこでさっそくニューコム氏あてに質問してみました。

「現役で活躍されていた時代と違って、現代のテニスはますますパワーゲームになりつつあり、小柄な選手が試合に勝つことがむずかしくなってきています。パワーテニスに対抗するため、日本人のような小柄な選手は、どのようなテニスを目指せばよいのでしょうか?」

このテーマはかつてニック・ボレテリ氏にも聞いたことがあります。彼の意見は以下の記事に掲載しました。
http://newyork.blog.tennis365.net/archives/article/141318.html

この問題は日本選手がかかえる深刻な問題です。選手の巨人化がすすむテニス界にあって日本選手が成功するには、彼らと同じようにベースラインから打つベースライナーとなっては、勝ち目がないのは明らかです。またいくら小柄な選手がすばしっこくても、マイケル・チャンが伸び悩んだように、球を取りまくるディフェンス・テニスの将来性はありません。

ラケットとストリングの進歩と同時に、選手の巨大化とパワー化によってテニス自体に大きな変化が訪れています。その変化にどのように対応していけばよいのか?

つい最近の記者会見で伊達選手が「私は頭とテクニックを使ったテニスで勝負をする」といったような意味の発言をしています。まさに彼女の言う通りですが、では具体的にどのようなテニスをすれば勝てるのか?

ジョン・ニューカム氏の答えは一週間後にもらえると思いますが、まずマイケルの意見をご紹介します。

マイケル・メイデンズから
「誰もが190cmを超える大型選手でないのだから、この質問は実によい質問だと思う。サーヴィスゲームとリターンゲームの二つに分けて簡単に述べてみたい。

サーヴィスゲーム
小柄な選手はまずサーヴが武器でなければならない。%の高いサーヴでサーヴィスゲームを勝ち取ることが先決。
(tennisnakama: 錦織選手のデビュー当時は、何度もブレーク合戦を繰り返していました。これは彼のサーヴが弱く、特に2ndサーヴはよく狙われていましたので、サーヴィスゲームをホールドすることがむずかしかったように思います。)

サーヴのあとの第1ショットは、リターンのパワーを殺すショットで対抗する。例えば相手のボディを狙って打つとか、ショートボールを打ってネットにおびき寄せるとか、またショートアングルを打って相手のバランスを崩させるとか。相手にパワーを使わせないショットを組み立てる必要がある。つまり相手から武器を奪いとることが大切。苦手なショットを強いられる相手は、リズムを得られず焦りがでてきてミスが多くなる。

リターンゲーム
リターンの成功率がよくなければならない。まずリターンをしてから辛抱強くブレークチャンスを待つ。相手が予期できないショット、気持ちよく打たせないショットの原則は変わらない。アガシはベストのリターナーだった。小柄な彼のコンパクトなリターンは参考になると思う。

Tennisnakamaから一言
相手を気持ちよく打たせない、ブラッド・ギルバートの提唱する「アグリーなテニスをする」ことが、小柄な選手に必要な基本条件だとすれば、ではどんなショットが有効なのか? ドロップショット、ループボール、ドライヴヴォレーなどいろんなショットがありますが、私はフォアのスライスショットを加えたいと思います。

フォアハンドのスライス
サントロのテニスを昨年ニューポートで生でじっくりと観戦しましたが、ユニークなのは、彼の両ハンドのフォアハンドから生み出される、ネットぎりぎりに滑りこんでくる鋭いスライスです。今の選手はトップスピンの練習ばかりで、スライスに慣れていません。相手コートに低空飛行するスライスは、ウェスターンのグリップでは打ち返すことはむずかしく慌ててしまうのです。

ロディックナダルが強くなったのも、片手バックハンドのスライスをふんだんに使い始めたことが大きく原因していますが、彼らの場合はバックハンドだけに限られています。武蔵のように両刀使いで、フォアとバックハンドの両方を、トップスピンとスライスで翻弄すると、相手はリズムが狂ってしまいます。

チップ&チャージ
またサーヴ&ヴォレーやダブルスではよく使われているあのチップ&チャージも有効だと思います。スライスをカットするように打つのをチップといいますが、チップしたあとすぐネットダッシュしてチャージします。これはアグレッシヴなリターンゲームで、突然使うと相手をぎょっと驚かすことができ効果的です。

このようにアグリーな試合を展開するには、様々な技を自由自在にこなせることが必須となりますので大変ですが、できないことはないと思います。アメリカやスペインで教えている方法をそのまま取り入れるよりも、日本人に合った「勝つテニス」を理解した上で、ジュニアのプログラムを組み指導していくことが大切なのではないかと思うのですが。

さて、ニューコム氏への質問ですが、この記事のコメント欄に書いていただければ、英訳してお伝えしますので、ぜひふるってご参加ください。(一人一問となりますがよろしくお願いします)



投稿者 Tennisnakama  23:16 | コメント(17) | トラックバック(0)

ボールがボールに開眼

Carsten Ball

ballcarsten



8月2日のロサンジェルスATP250の決勝は、地元同士のカリフォルニアンボーイの対決となりました。クウォリー(予選者)のカーステン・ボールCarsten Ball 22歳が健闘して、クェリーに第2セットを奪いましたが、 6-4, 3-6, 6-1 で最後はガス欠で敗退。しかし予選から戦い抜いて決勝まで進出したボールの快挙は、一年前デルレービーチでブレイクを破って優勝した錦織選手を思い出します。

ボールとクェリーの二人はいずれも南カリフォルニア生まれ。1984年にジミー・コナーズがエリオット・テルシャーを倒して優勝していますが、彼らもカリフォルニア出身。今年は25年ぶりの all-Southern California マッチとなり、ローカル選手の対決で大いに盛り上がりました。

ボールという名は聞き慣れないと思ったら、LAのトーナメントに出るときのランキングは205位のオーストラリア人。ほとんどフューチャーズとチャレンジャーのトーナメントで戦ってきた選手ですので、どうりで浮上してこなかったわけです。

ボールの名前は球のボールと一緒でややこしいのですが、とにかく左利きのサーヴがすばらしい。彼のフォームは理想的で美しく、強烈なキックサーヴが対戦相手を苦しめてきました。「ここのサーフェスは速くていい感じだ。僕の球が高くスピンしてくれて、その間にネットダッシュできるからね。」と自信満々。恐ろしい新人です。

Los Angeles Final - Sam Querrey vs Carsten Ball (Second set)




ボールは南カリフォルニアのニューポートビーチ生まれ育っています。多分二重国籍だと思いますが、なぜ国籍をアメリカ人としないでオーストラリア人で登録しているのか?  

父親はオーストラリアのプロ選手、シド・ボールですが、それにしてもトレーニングは生まれたときからカリフォルニアです。今もベースは変わらずニューポートビーチなのに、国籍をアメリカにしないでオーストラリアにしているのは不思議です。

これはあくまでも私の想像ですが、アメリカ人枠よりもオーストラリア人の方が、デ杯やオリンピックのチャンスが大きいと考慮したのかもしれません。しかもオーストラリアでは父親のコネもありますし。

「父親と一緒にいるのはタフなときもあるけど、父がコーチでずうっと僕についていてくるのでフォーカスできる点がプラス。」

「僕にとってはこの試合が転機になった。違うレベルでやっていける自信がついた。」

ボールはまだATPツアーレベルの優勝はありませんが、今年はこのLAの大会で3回連続の決勝戦に進出するという快進撃です。この記録は2004年のロディック以来だそうで、ボールは突然ボールに開眼したようです。(つまらないダジャレですみません)


投稿者 Tennisnakama  00:49 | コメント(5) | トラックバック(0)