2008年10月29日
渓谷・・投身
(物騒なタイトルですみません。今回はテニスの話ではありません。)
コーネル大学から戻ってきました。大学については、簡単に「Moving Day」で紹介していますが、何度訪れても美しいキャンパスで、教授たちも親切だし、ますます気に入りました。私は日本の大学を出ていますが、学校が面白くなく、ほとんどクラブ活動(ジャズバンド)のほうに熱を上げていた不良学生でしたので、こういう大学ならさぞかしよく勉強した(?)だろうに、と息子が羨ましくなります。
アメリカの大学はParents Dayを設けて、新入生の親のために週末3日間にわたり盛り沢山の行事が催されます。教授との懇談会、各種の講義、大学のスポーツ観戦、コンサート、大学ツアー、などなどが朝から夜までぎっしり。講義も親のために用意されたもので、いろいろ選択できるようになっています。私たちは、「新大統領のイラク戦争の課題」と「嘘の時代(コンピューターが新しく作り出した現象)」を受講してきました。いいですね、学ぶってことは。久しぶりに頭を使う楽しさを味わいました。
(parakeetさんが、コーネルについてコメントでていねいに説明してくださっています。)
しかし、楽しいことばかりではありませんでした。コーネルはアイヴィーリーグのなかでも、最も勉強させられる大学の一つとして有名で、ノイローゼになる学生が多いと聞いています。しかも冬は北海道のような厳しい気候も手伝って鬱になりやすく、自殺者が出ることでも知られる大学です。アメリカの大学生の自殺者は全国平均の7.7人(10万人に対して)ということですが、コーネルは4.3人と少ないにもかかわらず、キャンパスにある美しい渓谷に投身というドラマティックな自殺をする学生がいたために、自殺の多い大学というイメージがついてしまいました。
「あの橋から飛び降りないでよ」なんて息子に冗談まぎれに言っていた私たちでしたが、本当に自殺者が出てしまいました。それもParents Dayの数日前のことです。 33才のコーネル卒業生だそうです。わざわざ母校に戻って橋(写真の上の方にある橋です)から投身自殺です・・・想像しただけでも胸が痛みます。ご冥福を祈ります。
自殺を防止するためかどうか分かりませんが、反対側の橋は新しい醜いアルミの橋に変わっていて、この上に登れないようなデザインでした。
「どう、勉強のほうは大変?」
寮に向かって歩きながら息子に聞いてみました。
「試験はむずかしいというより質問がtrickyだね。皆結構よく勉強しているよ。」
「まあ、勉強もいいけどジムにも通いなさいね。せっかく隣にジムがあるんだから。」
と言いながら彼の部屋に一歩足を踏み入れてびっくり!!!
「何!この大きなTVは!?」
彼の寮はいってみれば4部屋付きのホテルみたいなもので、リヴィングルーム、バスルームを共有するようになっています。彼の寮には、370人の学生が住んでいますが、確か2ヶ月前はこんな巨大なTVは彼のリヴィングルームになかったはず!
「僕が買ったんだ。バーゲンセールでね。これで皆がゲームを楽しめるからね。」
「ななぬ?! ゲゲーム!?」(ワナワナ声が高ぶってきます。)
息子は夏休み働いて稼いだお金をつぎ込んでこの大型TVを買ったというのです。
「それじゃ勉強は一体どうなってるの!!」
「いや、普段はTVはつけないよ。週末だけだよ。」
「でもちゃんと小さなTVがあるから二台もいらないでしょう? なぜそんなもったいない買い物をするの?」
むかつきながら厳しい口調で息子を問いつめました。
「僕たちの部屋は、寮の中で一番人気があるんだ。いろんなゲームがこの大きなスクリーンで楽しめるからね。週末は他の部屋からもゲームをもってきて、いろんな学生が集まってくるんだよ。冬は寒くて外になかなか出れないからね。そこでTVの所有者である僕がリーダーとなってこの寮を支配してるって訳。」
「ウッむむむ~! 」(おぬし、入ったばかりだというのに、いつから政治家に)
まあ、ガリ勉ばかりして橋から身を投げられても困るし、とにかく小遣いは全く与えていないので、彼のお金で買っていることだし。今のところテストの結果も、まあまあですのでしばらく様子をみてみようということになりました。でもまさか、いくら半額セールとはいえ、8万円も自腹を切って寮に提供するとは!
子供って親の手を離れて、どんどん成長していきますね。
ちょっと危なっかしげで・・・
ちょっと頼もしげで・・・
ちょっと手の届かなくなってしまった・・・
そんないろんな想いを抱いてキャンパスにお別れです。
コーネル大学から戻ってきました。大学については、簡単に「Moving Day」で紹介していますが、何度訪れても美しいキャンパスで、教授たちも親切だし、ますます気に入りました。私は日本の大学を出ていますが、学校が面白くなく、ほとんどクラブ活動(ジャズバンド)のほうに熱を上げていた不良学生でしたので、こういう大学ならさぞかしよく勉強した(?)だろうに、と息子が羨ましくなります。
アメリカの大学はParents Dayを設けて、新入生の親のために週末3日間にわたり盛り沢山の行事が催されます。教授との懇談会、各種の講義、大学のスポーツ観戦、コンサート、大学ツアー、などなどが朝から夜までぎっしり。講義も親のために用意されたもので、いろいろ選択できるようになっています。私たちは、「新大統領のイラク戦争の課題」と「嘘の時代(コンピューターが新しく作り出した現象)」を受講してきました。いいですね、学ぶってことは。久しぶりに頭を使う楽しさを味わいました。
(parakeetさんが、コーネルについてコメントでていねいに説明してくださっています。)
しかし、楽しいことばかりではありませんでした。コーネルはアイヴィーリーグのなかでも、最も勉強させられる大学の一つとして有名で、ノイローゼになる学生が多いと聞いています。しかも冬は北海道のような厳しい気候も手伝って鬱になりやすく、自殺者が出ることでも知られる大学です。アメリカの大学生の自殺者は全国平均の7.7人(10万人に対して)ということですが、コーネルは4.3人と少ないにもかかわらず、キャンパスにある美しい渓谷に投身というドラマティックな自殺をする学生がいたために、自殺の多い大学というイメージがついてしまいました。
「あの橋から飛び降りないでよ」なんて息子に冗談まぎれに言っていた私たちでしたが、本当に自殺者が出てしまいました。それもParents Dayの数日前のことです。 33才のコーネル卒業生だそうです。わざわざ母校に戻って橋(写真の上の方にある橋です)から投身自殺です・・・想像しただけでも胸が痛みます。ご冥福を祈ります。
自殺を防止するためかどうか分かりませんが、反対側の橋は新しい醜いアルミの橋に変わっていて、この上に登れないようなデザインでした。
「どう、勉強のほうは大変?」
寮に向かって歩きながら息子に聞いてみました。
「試験はむずかしいというより質問がtrickyだね。皆結構よく勉強しているよ。」
「まあ、勉強もいいけどジムにも通いなさいね。せっかく隣にジムがあるんだから。」
と言いながら彼の部屋に一歩足を踏み入れてびっくり!!!
(息子の住む寮)
「何!この大きなTVは!?」
彼の寮はいってみれば4部屋付きのホテルみたいなもので、リヴィングルーム、バスルームを共有するようになっています。彼の寮には、370人の学生が住んでいますが、確か2ヶ月前はこんな巨大なTVは彼のリヴィングルームになかったはず!
「僕が買ったんだ。バーゲンセールでね。これで皆がゲームを楽しめるからね。」
「ななぬ?! ゲゲーム!?」(ワナワナ声が高ぶってきます。)
息子は夏休み働いて稼いだお金をつぎ込んでこの大型TVを買ったというのです。
「それじゃ勉強は一体どうなってるの!!」
「いや、普段はTVはつけないよ。週末だけだよ。」
「でもちゃんと小さなTVがあるから二台もいらないでしょう? なぜそんなもったいない買い物をするの?」
むかつきながら厳しい口調で息子を問いつめました。
「僕たちの部屋は、寮の中で一番人気があるんだ。いろんなゲームがこの大きなスクリーンで楽しめるからね。週末は他の部屋からもゲームをもってきて、いろんな学生が集まってくるんだよ。冬は寒くて外になかなか出れないからね。そこでTVの所有者である僕がリーダーとなってこの寮を支配してるって訳。」
「ウッむむむ~! 」(おぬし、入ったばかりだというのに、いつから政治家に)
まあ、ガリ勉ばかりして橋から身を投げられても困るし、とにかく小遣いは全く与えていないので、彼のお金で買っていることだし。今のところテストの結果も、まあまあですのでしばらく様子をみてみようということになりました。でもまさか、いくら半額セールとはいえ、8万円も自腹を切って寮に提供するとは!
子供って親の手を離れて、どんどん成長していきますね。
ちょっと危なっかしげで・・・
ちょっと頼もしげで・・・
ちょっと手の届かなくなってしまった・・・
そんないろんな想いを抱いてキャンパスにお別れです。
(コーネル夏の遊び:渓谷ダイヴィング)
(コーネル冬の遊び:明日は大雪だそうです。キャンパスがスロープに変わります
投稿者 Tennisnakama 02:47 | コメント(9)| トラックバック(0)
いつも冷静な分析で私たちを「むむむ・・」と思わせてくれるTennisnakamaさんが、ワタワタしているなんて 微笑ましいです。おかあさんだなぁ・・・(しみじみ)・・同じですよね。 子供はどんどん世界を広げて飛び立って行ってしまいますねぇ。うれしいやら、淋しいやら・・ですね。
私の上の娘は高1で部活動でミュージカルをやっており、ナカナカ本格的なので、朝から夜まで凄く忙しそうですが急速に自分の世界を広げてしております。子供の1年と大人の1年の長さの違いを感じますね。
未来から来ているはずの若者が自殺とは、本当に痛ましいことです。こんな素晴らしい環境の大学でさえ・・・。日本ではむしろ中高年の自殺の方がより深刻な社会現象となっています。住む場所の天候は意外に自殺と深い関係があるようです。曇天の多い地方ではちょっと多い傾向があるみたいですね。自分の中に「晴れ」を持つ術が現代は必要かもしれません。
自然がいっぱいの大学で息子さんもどんどん成長していってますね。
うちは中学生の娘ですが、反抗期もかさなり喧嘩ばっかりです(笑)
橋から投身したかたはご自分の最後を母校にしたかったのでしょうか。
楽しかったその頃に戻りたかったのかもしれませんね。
ほんとに心が痛みます。私からもご冥福をお祈りいたしますm(__)m
さぞお疲れの事と思います。
勉強、勉強の毎日で、週末だけ皆が集まり巨大テレビでゲームするって、寒い冬には良いリフレッシュになりますね。そういう場所を提供したり、自分のお小遣いをつぎ込んで巨大テレビを買ったり、息子さんは皆を上手にまとめて、すでに大学でもリーダー的存在なんですね。
大雪も寒そうですが、渓谷ダイヴィングは、かなづちの私には恐怖の映像です。。。
命を絶たれた方は、おきのどくです。心からご冥福をお祈りします。
私の娘も中学生ですが、反抗期の真っ只中、口喧嘩の毎日で、最近は負けちゃうことも・・・
でも、こうやって少しづつ成長していくんですね。
まわりの雰囲気も勉強する、という体勢でよいですね。
私も生まれ変わったらアメリカの大学に行ってきちんと勉強したい。
しかしこんな綺麗なところで自殺だなんて・・・
さみしすぎる。
なんとか美しい景色をみて思い返さなかったんだろうか。
息子さん、なかなかの戦略家ですね^^;
週末のリフレッシュだけなら
コミュニケーションにも活用できるゲーム対戦なら
いいんじゃないんですかぁ~。
TVで戦場にいるアメリカ兵士がメッセージを残すときは、必ず「Hi, Mom」と言ってます。お父さんには申し訳ないですが、誰も「Hi, Dad」とは言わないのです。母親の存在は偉大です。
ねこちゃんさん、Welcome!
私の横にねこちゃんがいますが、本当にねこってかわいいですね。
これからも、できるだけドライな情報(勝敗だけのニュース)ではなく、そこにまつわるエピソードを書いていきたいと思っています。これからもよろしくね。
母親には文句を言いながらもなんやかんや言っているようなのですが。。。まぁ、しゃあないですね。
ところで種丸さんに付けて頂いた「旦八」ですがいまやブログ内では”本名”になりました。私のサイトを今週リニューアルした際に変更いたしました。「親」の話が出ましたので「名付け親」の種丸さんにこの場をお借りして感謝いたします。テニスの話題からは完全に遠ざかっている今のブログですがまたよろしければ遊びに来てくださいませ。
本名になるなんて 楽しい。 私も遊びにいきます。